桐生市による生活保護制度の不適切な運用が明らかになったことを受け、同制度について群馬県と県内12市のホームページ(HP)への記載状況を本紙が調べたところ、安中、富岡、沼田の3市は制度について何らかの説明をする記載が全くないことが分かった。記載がある県や市でも内容に濃淡があり、生活困窮者支援に取り組む関係者は「生活保護が権利であることを知ってもらうためにも、自治体の努力を求めたい」としている。(小松田健一)

 

 

 本紙(東京新聞)は、12市の公式HPが10日時点で生活保護制度についてどのような内容を記載しているかを検証。町村住民の生活保護は県が実施するため、群馬県HPも対象とした。
 

 その結果、安中、富岡、沼田の3市は制度について記載がなかった。安中市は福祉課の業務に生活保護制度を記すだけで、沼田市も社会福祉課保護係の所掌事務に生活保護があることを記載するが、制度の説明はない。富岡市は福祉課生活保護係の連絡先を記すのみだった。

 

 

 安中市福祉課は「前年度から内部で検討しており、遅くとも5月中には記載したい」と回答。沼田市の星野稔市長は、2日の定例会見で「より分かりやすい案内をするのは当然のことで、改善していきたい」と述べた。富岡市福祉課は「記載していないことに特に理由はなく、具体的な意見も寄せられていないが、今後は考えなければいけない」とし、3市とも記載を決めたか、その方向としている。

 残る9市と県は記載があった。ただ、太田市は制度の概略と担当部署だけにとどまる。窓口で配布している「生活保護のしおり」は藤岡、渋川、館林の3市が掲載。藤岡市は独自に作成し、残る2市は県作成のしおりを転載している。生活保護が国民の権利であることを明記したのは、県と前橋、桐生、館林、藤岡、渋川の5市だった。

 

 保護費を分割した上で満額を支払わないなど違法性が疑われる運用が相次いで明らかになった桐生市は、長らく記載がなかったが、問題表面化後の今年1月に記載を始めた。

◆「自治体は努力求められる」
<生活保護問題対策全国会議事務局次長で社会福祉士の田川英信さんの話> 生活に困ったとき、特に若い世代はネットで調べて支援団体に頼ることがある。実は行政が頼りになることがまるで知られていない。自治体のホームぺージに「生活に困ったら気軽に相談を」と呼びかけたり、「あなたの権利です」と記されたりしていると、相談してみようと思うかもしれない。権利があってもそれを知らないことには行使ができない。自治体にはいっそうの努力が求められる。

 

 

生活保護を受けている間、他人に「お金を渡す」行為はNG?生活保護の「正しい使い道」とは?

 
色々なケースがあるはずだが…。私はいつも思う、生活保護利用者にもっと寛大でいいのではないか。そんな贅沢できる程支給していないではないか。身を縮みさせるような事ばかりでは、萎縮しますよ、私はいつも気持の悪い後味になってしまう。この記事もそうである。
 
生活保護は自立を助けるための制度
生活保護は、あくまで生活保護を受けている本人が自立できるように支援するための制度です。生活保護法では、生活保護を利用している方が守られる権利、そして守るべき義務が明記されています。生活保護受給者が守るべき義務の例は以下の通りです。

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・生活保護法第59条:保護又は就労自立給付金若しくは進学準備給付金の支給を受ける権利は譲り渡すことができない。__

・生活保護法第60条:被保護者は、常に、能力に応じて勤務に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない。
 
・生活保護法第61条:被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。

他人へお金を渡す行為は、自分の日常生活とは直接関係がありません。つまり、支出の節約に努めているとはあまりいえない状態でしょう。また、他人へお金を渡していることを報告していなければ、収支を届け出る義務にも反しているとみなされる可能性もあります。

さらに、生活保護費を渡すことで、生活保護の権利を他者へ譲り渡しているとされるリスクもゼロではありません。そのため、もし知人で生活保護を受給しているにもかかわらず、お金を他者へ渡している方がいる場合は、できるだけ止めるよう伝えたほうがいいでしょう。

状況によっては生活保護費が減額される可能性もある
生活保護受給中は、毎月収支をケースワーカーへ報告する必要があります。また、収入や生計の状況に変動があった際などは通帳の写しや給与明細などを用いて、具体的な収支の内容も報告が必要です。

他人へお金を渡すなどの生活と関係のない行為は、報告時に厳重注意を受ける可能性があります。また、生活に関係のない費用として、生活保護費が減額される可能性もゼロではありません。

減額をおそれて報告をしなかったり、他人へ渡すお金を稼ぐためにこっそり収入を得ていたりすると不正受給とみなされるケースもあります。不正受給と判断されると、今まで受け取っていた生活保護費を返還したり追加徴収がされたりする可能性があります。
 
こうした事態を防ぐためにも、生活保護費を生活と関係のない他者へと渡す行為は止めておいたほうがいいといえるでしょう。

生活保護費を生活保護と関係のない他者のために使う行為は止めたほうがいい
生活保護費は、あくまで生活保護を受けている方が自立した生活をするために支給されるお金です。関係のない他人へお金を渡す行為は、日常生活とは直接関係がありません。

生活保護の目的に沿っていないため、ケースワーカーから厳重注意を受けたり減額されたりする可能性があります。もし知人で生活保護費も使って他者へお金を渡している方がいる場合は、できるなら止めるように伝えておきましょう。