「元に戻すの難しい」財務省、能登半島地震「無駄な財政支出避けたい」方針に馳浩知事激怒も地元の声はより現実的

 
 
「冷や水をバケツでぶっかけられたような気持ちだ」

 4月11日、石川県の馳浩知事は、県庁での記者会見で憮然とした表情で語った。
 
「9日に財務省の財政制度等審議会分科会で、能登半島地震の復興が議題になりました。そこで『(復興のために)無駄な財政支出は避けたい』という発言があった、との報道を聞いた馳知事が激怒したのです。

 発生から3カ月が経ちますが、今なお8000人以上が避難生活を送り、各地で断水も続いています。避難生活が原因と見られる方も含めて244人が死亡、輪島市では3人の安否が不明のままです。

 分科会としては、将来の人口減少などを念頭に置いた復興の検討が必要だという立場で、財務省が被災地の学校や漁港の集約化の検討が必要だと提言していることに、馳知事は『いちいち上から言われたくないのが本音』『市、町、県と相談しながら最終的に判断する』と、不快感をあらわにしていました。

『創造的復興』を掲げ、被災地の要望を聞いて計画を立てている馳知事としては、財務省の頭ごなしの発言が看過できなかったのでしょう」(週刊誌記者)

 会見ではさらに「最初から上から目線でものを言われている気がして、たいへん気分が悪い」「財政上の観点から効率性を目指すのは政府として当然の方針だが、インフラの強靭化を検討していくうえで冷や水をかけられた気分だ」と述べ、怒りが収まらない様子だった。

 政府の発言に馳知事は怒髪天だが、石川県民は、意外にも冷静かつ現実的に受け止めているようだ。報じたニュースサイトのコメント欄には《税収が少ないのに、巨額のインフラの管理・修繕費は住民サービスの低下を招きます。将来のあるべき珠洲市を考えて、財務省がいうように選択しての重点的なインフラ整備が必要なのではないかと思います》《奥能登は元に戻すのは難しいと思うし、無理に戻す必要はないと思います。全てを元に戻そうとしても、20年ほど先には人がいなくなる集落がたくさん出てくるでしょう》《馳知事の言っていることは分かりますが、これから過疎が進むであろう地域のインフラ整備に資金を投入するのに躊躇するのは当たり前です》《石川県民です。地元に帰りたいと言う気持ちはわかります。が、その地元がめちゃくちゃなんですよね。町が元に戻る頃にはこの世に居るか分からない高齢者ばかりなのも事実で》などの声が寄せられていた。

 被災した方々が望んでいる「復興」に応える最適解は見つかるのだろうか。これからが正念場だ。

 

 

「大変気分が悪い」馳浩知事が不快感 「復興に無駄な支出避けたい」財務省に

 
 
能登半島地震の復興について、財務省は9日の会合で無駄な財政支出は避けたいという方針を示しました。これに対し石川県の馳浩知事は11日、「冷や水をかけられた」と述べ、不快感をあらわにしました。
 
能登半島地震の被災地の復興をめぐって財務省は、9日開かれた財政制度等審議会の分科会で、将来の人口減少や維持管理コストも念頭に置いた検討が必要だと訴え、無駄な財政支出は避けたいという立場を明確にしています。

11日の県庁での記者会見で、馳知事は財務省の姿勢に対し苦言を呈しました。

馳浩知事「ああいうニュースが出てくると最初から上から目線でモノを言われている気がして、大変気分が悪い」

馳知事は、「財政上の観点から効率性を目指すのは政府として当然の方針だ」と前置きしながらも、「インフラの強靭化を検討していくうえで冷や水をかけられた」と述べ、不快感をあらわにしました。

馳浩知事「道路と上下水道、電力、通信…創造的復興のプランを検討しているときに正直、冷や水をバケツでぶっかけられたような気持ち」

また、被災地の学校や漁港の集約化の検討が必要だと財務省が提言していることに対して、馳知事は「いちいち上から言われたくないのが本音」と述べ、「判断材料を示し現場と相談したうえで最終的に判断するもの」と考え方の違いをにじませました。

 

石川県が復旧復興プランの骨子案提示 5月末までに「創造的復興プラン」策定へ

 
 
能登半島地震の復旧・復興プランの策定に向けた石川県の有識者会議の会合がきょう開かれプランの大きな枠組みとなる骨子案が示されました。
県では「創造的復興プラン」の策定に向け、有識者会議を立ち上げて被災地の住民から意見を聞くなどして取りまとめを進めています。
 
こうしたなか、県庁ではきょう2回目の会合が開かれ県側からは復興プランの骨子案が示されました。
骨子案では能登のなりわいの再建や安全・安心な地域づくりなど、 5つの施策を盛り込み、今から9年後、2032年度末を計画期間に。

その上で、能登の将来像をイメージできるよう短期、中期、長期という目安をもって取り組むとしています。
委員からは「生活再建や事業再開などの取り組みを行う『復興推進センター』の設置を明記すべき」「避難所となり学ぶ場が失われている学校施設の集約化を進めるべき」といった意見が出されました。
 
復旧・復興アドバイザリーボード・和田隆志 座長:
「(計画時期を示すことで)その時点でのあるべき姿を共有できる点で非常にいいと思います」
「被災地の皆様の一日も早い復興・復旧、再建、全力を尽くしていければ」
 
県では今後も被災地の住民と意見を交わしながら、来月末までに復興プランの策定を目指すとしています。