海上自衛隊の遠洋練習航海に参加予定の練習艦隊司令官と実習幹部が毎年、靖国神社に集団参拝していたことも、本紙の調べで判明しています。防衛省は現在、この参拝について調査中ですが、『Q&A』でも禁じている「部隊参拝」を、隊員に事実上強要している疑いがあります。
 

 

 

 陸上自衛隊の幕僚監部人事部が監修した内部関係者向けの書籍で、陸自隊員が宗教施設を参拝する際の注意点をQ&A方式でまとめていることが6日、分かりました。これによると、今年1月の小林弘樹陸幕副長(当時)ら幹部の官用車を利用した靖国神社参拝は、「私的」ではなく「公的」参拝に当たることになります。日本共産党の穀田恵二衆院議員が明らかにした陸幕の内部資料(本紙4日付既報)とも一致します。

官用車使用は×
 問題の書籍は『陸上自衛隊 新服務関係Q&A』(学陽書房)です。陸自隊員が守るべき服務規律をまとめています。一般販売はしておらず、関係者向けの希少な本です。監修は、改訂3版まで陸上幕僚監部人事部ですが、最新の改訂4版の名義は「服務法規研究会」となっています。陸自の通達や訓令に精通した内容であることから、4版も陸幕が監修に関わったとみられます。

 この中で「神社の例大祭に招待を受けた場合、これに参加してよいか」という設問がありました。回答は「次の事項に留意することが必要」と4点を列挙し、「官用車を使用しないこと」「随行者は伴わないこと」などと明記されていました。

 本紙が1月に特報した小林副長(現、中部方面総監)らの靖国神社参拝では、行き帰りの送迎で官用車を使っていました。また参拝当日には、陸幕監部の勤務員を境内に配置。幹部を誘導し、小林副長の荷物を持って随行する勤務員の姿もありました。

 

 

部隊参拝は濃厚
 この『Q&A』でみれば、小林副長らの参拝が「公的」参拝であることは明らかです。ところが防衛省は、この参拝を「私的」だったとする調査結果を提出。「部隊参拝」を禁じた1974年の事務次官通達に違反していないとしました。「私的」と強弁する木原稔防衛相と防衛省の責任が問われます。

 また『Q&A』では、「宗教上の礼拝所に対して部隊として参拝すること及び隊員に参加を強制することは禁じられています」としています。

 海上自衛隊の遠洋練習航海に参加予定の練習艦隊司令官と実習幹部が毎年、靖国神社に集団参拝していたことも、本紙の調べで判明しています。防衛省は現在、この参拝について調査中ですが、『Q&A』でも禁じている「部隊参拝」を、隊員に事実上強要している疑いがあります。

 

陸上自衛隊の「第32普通科連隊」公式X、「大東亜戦争」と表現して批判の声「どこの極右」「大戦を美化して自己正当化か」

 
 陸上自衛隊第1師団に属する「第32普通科連隊(公式)」のX(旧ツイッター)アカウントが「大東亜戦争」という呼称を使ったことに、議論が巻き起こっている。
 
 第32普通科連隊はさいたま市の大宮駐屯地に駐屯し、主に埼玉県の災害派遣・防衛警備を担任している。この「公式」アカウントは5日、4枚の写真とともに「32連隊の隊員が、大東亜戦争最大の激戦地硫黄島において開催された日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式に旗衛隊として参加しました。慎んで祖国のために尊い命を捧げた日米双方の英霊のご冥福をお祈りします」と投稿した。この中で「大東亜戦争」という呼称に対し、一部から批判が出ている。
 
 
 Xでは「どこの極右かと思ったらマジもんの自衛隊公式アカウントで戦慄してる…」「バイアスのかかった言葉を公式アカウントが使うべきではない」「自衛隊部隊の公式アカウントが用いるなんて歴史修正主義に加担するわけですか?」「先の大戦を美化して自己正当化か」などの非難が目立つ。
 
 また、当該投稿が日米合同での慰霊追悼顕彰式を取り上げていることから「『大東亜戦争』という史観なら鬼畜米英だろうに。なんや日米双方の英霊って。わけがわからん」という指摘や「捧げたんじゃないぞ、赤紙1枚で強制連行されて特攻して死ねと命令されたんだ」「コレって村山談話と河野談話を破棄せずに、引き続き継承し続けている自民党政権の意向に自衛隊が反しているのでは?」とする意見も。一方で「ケースバイケースで判断かと…」「アメちゃん嫌いの人達がアメちゃんが押し付けたpacific war使いたがるのまじで草」などの反論もある。
 
 日本大百科全書によると、大東亜戦争は「太平洋戦争に対する当時の日本指導者層による呼称」で「太平洋戦争という呼称がアメリカ側からみた呼称であるのに対し、中国を中心とする東アジアを主戦場とする日本の戦争目的により合致してはいるが、『大東亜』解放の『聖戦』とした日本側の宣伝臭が含まれているため、戦後はあまり使用されていない」とある。