大炎上中の国会に新たな〝重大疑惑〟再エネ中国企業ロゴ問題 かつての「トライベイキャピタル事件」めぐる三浦瑠麗氏と似た構図

 
夕刊フジの記事ということを、頭に置いて読まなければならないが…。
 
 
【ニュース裏表 安積明子】

1月26日に召集された第213回通常国会は「政治とカネ」の問題で明け暮れている。そして、ここにきて新たな〝重大疑惑〟が浮上している。
 
エネルギー政策をめぐる政府の会議体などに提出された資料に、中国の国営企業「国家電網公司」のロゴマークの透かしが入っていたのだ。

外国の国営企業が、わが国の「政策決定過程」に関与したのか―。意図的な通商介入や摩擦を画策する「経済テロリズム」を疑い、日本の安全保障に関わる有事と受け止めるのが当然ではなかろうか。

一連の事態を整理しよう。

発端は、再生可能エネルギーに関する規制見直しを検討する内閣府のタスクフォース(TF)での出来事だ。河野太郎規制改革担当相の肝煎りで発足した「再エネTF」で、「自然エネルギー財団」の大林ミカ事業局長が持ち込んだ資料に、国家電網公司のロゴの透かしが入っているのが発覚した。

大林氏は経産省と金融庁の「有識者会議」にも同資料を提出していた。いずれも引用元が記されず、一見すると大林氏か「自然エネルギー財団」が作ったように見える。

国の重要課題を議論する会議体などが〝舞台回し〟になる疑惑や事件は、過去にもあった。例えば、昨年1月に発覚した「トライベイキャピタル事件」もそうだろう。

建設の見込みがない太陽光発電計画で、投資会社「トライベイキャピタル」が取引先から約4億2000万円を横領したとされる事件だ。同社社長の三浦清志氏は、東京地検特捜部に業務上横領容疑で逮捕・起訴された。

当時注目されたのが三浦氏の妻で国際政治学者の瑠麗氏だ。瑠麗氏は政府の「成長戦略会議」民間議員で、農地転用の簡易化など、太陽光事業者に有利な制度改革を提唱していた。また、太陽光発電のメリットを提唱する一方、大規模風力発電のデメリットを主張していたと指摘された。

瑠麗氏は「事件には無関係」と釈明したが、政府の政策決定に影響を及ぼし得る立場の人物が、親族のビジネスを後押しするような発信を行えば批判は免れないだろう。

その疑念と似た構図が「透かしロゴ問題」にも見える。エネルギー戦略は国家の存立に直結する重要政策だけに、大林氏を「再エネTF」のメンバーに推した河野氏は、詳細な経緯を国民に説明すべきだ。
 
なお、大林氏は河野氏が外相だった2018年、外務省に設置された「気候変動に関する有識者会合」にも名を連ねていた。河野氏の「お気に入り」だったのだろうか。

国会答弁を見ると、河野氏は事態を「軽微」と受け止めているようだ。だが、これほどの事案で、その程度の認識なら、日々、危機管理と直面する「国のトップ」に就く資質には、大きな疑問符がつくだろう。 (政治ジャーナリスト・安積明子)