小林製薬への不信は日に日に強まる。万博の成功を願う人がいれば、パビリオンからの撤退を求めるかもしれない。ただ不信を抱かせるのは府市も。何より身構えるのがパビリオンの中身だ。よくよく考えるべきは彼らが目指す先。本当に危ういのは誰なのか、しっかりと見極めねば。

 

 
 「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げる大阪・関西万博。先月には「健康」をテーマにした大阪府市のパビリオンの展示概要が公表された。ただ一方で足元が揺らぐ事態が生じた。「紅麹(べにこうじ)サプリ」を巡る問題だ。取り扱ってきた小林製薬(大阪市)は、府市パビリオンの大口協賛企業で、出展も予定してきた。「健康」を掲げるパビリオンはどうなるのか。進むべき道とは。(岸本拓也、西田直晃)
 
 
◆主力商品は医薬品よりも日用品
 「紅こうじ」問題は今、世界に波紋を広げている。
 台湾では体調不良を訴える人が続出。中国では関連商品を摂取しないよう、消費者協会が注意喚起する。日本政府は世界保健機関(WHO)などに情報提供しており、林芳正官房長官は「日本の食品への信頼の確保に努める」と話した。
 渦中にあるのが小林製薬だ。同社のサイトによると、1886年に名古屋で創業した。1910年代に拠点を大阪に移し、40年に製剤部門を分離して設立したのが小林製薬だ。同族経営で、現在の小林章浩氏が6代目社長になる。
 
 
 医療用医薬品は作らず、扱うのは医師の処方箋がなくても購入できる市販薬。2023年の国内売上高のうち、医薬品は4分の1程度。「ブルーレット」「熱さまシート」などの日用品が主力商品で、サプリメント事業は1割弱だ。
 
◆安倍晋三氏や麻生太郎氏側に寄付
 国内の日用品業界は花王と米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の二強体制が続くが、帝国データバンクの飯島大介氏は「小林製薬はスローガンの『あったらいいな』が象徴するように、他社が進出してこなかった分野に挑戦してきた。ニッチ商品で新市場を開拓し、トップシェアを握っている」と話す。
 
 そんな同社はかねて政治との接点があったようだ。
 
 例えば、安倍晋三氏が代表を務めた自民党支部の政治資金収支報告を見ると、小林製薬から21年に計30万円の寄付を受けたとあった。所在地として書かれたのは本社の住所だった。麻生太郎氏が代表の自民支部などにも寄付の記載があった。その狙いを小林製薬に尋ねたが、広報担当者は「即答はできない」と答えるにとどまった。
 
 
 地元との関係も密で、18年に大阪府と包括連携協定を締結。健康啓発のセミナーや子ども食堂の支援などに取り組んできた。
 
◆プレミアムパートナーとして協賛
 深く関わってきたのは、大阪・関西万博もだ。
 
 同社のX(旧ツイッター)には「『大阪ヘルスケアパビリオン』にプレミアムパートナーとして協賛してます」とある。このパビリオンは府市が中心となって準備され、「プレミアムパートナー」は10億円以上の協賛金を積んだ企業がなれる最上位の「スーパープレミアムパートナー」に次ぐカテゴリー(協賛金5億〜10億円未満)に分類される。
 
 22年6月にはパビリオンの出展予定企業に決定。先月25日に公表されたパビリオンの展示概要を見ると、「ミライのヘルスケア」という展示に他社とともに参加すると記されていた。
 
 そんな中で出たのが「紅こうじ」問題だ。同22日の公表後、ヘルスケアどころか、甚大な健康問題が疑われている。
 
 大阪市から行政処分を受けたのを機に府との包括連携事業は休止となった。万博のパビリオン出展はどうするのか。小林製薬の広報担当者は「社内的に協議できておらず、今後の対応は何も決まっていない」と回答。府万博推進局の担当者は「出展を取りやめてもらうとか、具体的に決まったことはない」と答えた。
 
◆コロナ死者最多の大阪が「健康」?
 「紅こうじ」問題で揺れる大阪府市のパビリオン。そもそも「健康」を主題に据えた理由は何か。
 
 
 万博協会は「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げてきた。府市のパビリオン推進委員会の担当者は「理念を具体化するため、有識者懇話会で議論を重ね、出展のテーマを決めた」と説明。2022年に公表した基本計画では、コロナ禍を乗り越えた新たな時代に向け、「『いのち』の原点に立ち戻って、世界が一つになるための第一歩を踏み出す」とうたっている。
 
 今回は協賛企業の問題が物議を醸したが、旗振り役の大阪府が「健康」を前面に押し出すことに違和感を抱く向きもある。
 
 NPO法人「医療制度研究会」の本田宏医師は「コロナ禍での死者は大阪府が全国最多だった。保健所職員の削減や医療費の抑制を進め、依存症患者を生む統合型リゾート施設(IR)を推進してきた。今さら『健康』と言うのはイメージアップのための利用でしかない」と話す。
 
◆「機能性表示食品」主導者が旗振り役
 「健康」という点で、不信感を抱かせる旗振り役は他にもいる。
 
 府市のパビリオンで総合プロデューサーを務めるのは、国産コロナワクチンの開発に失敗した製薬ベンチャー「アンジェス」の創業者、森下竜一氏だ。この森下氏は第2次安倍政権下の「規制改革会議」の委員として、機能性表示食品制度の創設を主導。小林製薬の「紅こうじサプリ」も機能性表示食品として販売され、摂取した人から健康被害が出たと報告されている。
 
 
 ノンフィクション作家の森功氏は「コロナワクチンの開発には補助金として、約90億円の税金が投入されたのに、失敗しても何の責任も問われなかった。実現可能性が不透明な事業だとしても、構わずに補助金を獲得したというイメージが強い」と指摘する。
 
◆展示で集めた個人情報を二次利用?
 不信を抱かせるのは、パビリオンの中身自体もだ。展示の目玉として、来場者の体の状態を基に生成した25年後のアバター(分身)を通じ、健康に関する未来の技術を体験するコーナーを設けるが、その過程で集まった個人情報が二次利用される懸念が生じている。
 
 推進委が公表した展示概要によると、来場者は手首にバンドをはめた状態で、心血管や筋骨格、肌や髪などから健康状態を測定する「PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)ポッド」という円柱型スペースに入る。その際の収集データが医療機関や研究機関のみならず、将来的に一部の協賛企業に提供されるという。
 
 「『ソフトレガシー』として利活用する方針だが、具体的な運用方法についてはこれから検討する」と推進委の担当者。委員総会の資料によれば、協賛金が3億円以上の企業が「PHR活用権」を特典として得ることになっている。
 
◆万博、医療で「金もうけ」の疑念
 
 
 「経済効果を喧伝(けんでん)して万博を強行し、個人情報で協賛企業を釣る。全く見事」と皮肉るのは阪南大の桜田照雄教授(経営財務論)。「(推進委は)公的な医療機関や研究機関と、利益追求を目的とする民間事業者を意図的に混同していないか。
来場者の医療への信頼を逆手に取って、金もうけの手段に転換させたいのが本音ではないか」と商業主義に疑念を強め、「万博の名を借りてやっていい行いのはずがない」と倫理面の問題を指摘する。
 
 問題が山積している府市のパビリオン。前出の森氏は根本的な問い直しを求める。「万博会場の建設は人手不足が深刻で、開催期日に間に合わないことが明白だ。さらに費用がかさむのも間違いない。この機会に立ち止まり、延期するのか、開催が必要なのかを考え直すべきではないか」
 
◆デスクメモ
 小林製薬への不信は日に日に強まる。万博の成功を願う人がいれば、パビリオンからの撤退を求めるかもしれない。ただ不信を抱かせるのは府市も。何より身構えるのがパビリオンの中身だ。よくよく考えるべきは彼らが目指す先。本当に危ういのは誰なのか、しっかりと見極めねば。(榊)
 
安全性を軽視した規制緩和によって、多くの方々の命や健康を奪ってきたことを、政府は何にも反省していない。

 

小林製薬、米サプリメーカーを買収 110億円超で

 
小林製薬は昨年、アメリカのサプリメーカーを買収している。万博で生体データに基づいたオススメサプリを教えてくれる企画もあるようだし、経産省は困ってるんじゃないか?西村康稔の動きも気になるね。
 

 
 
小林製薬は6日、米国でサプリメントや一般用医薬品を製造販売する「Focus Consumer Healthcare(フォーカスコンシューマーヘルスケア)LLC」(テネシー州)を7500万ドル(約111億円)で買収したと発表した。全持ち分を取得し完全子会社にした。商品の幅を広げ、米国での事業を伸ばす考えだ。

買収したフォーカス社はニンニクを使ったサプリメントのほか、生理用鎮痛剤や口唇ヘルペス対策薬など一般用医薬品を手掛ける。小林製薬は「ニッチ市場を開拓するビジネスモデルが当社と近く、われわれの技術やマーケティング力でさらに拡大できる」と説明している。

小林製薬は米国でカイロや額用冷却シートといった日用品に加え、一般用医薬品メーカーを相次ぎ傘下に収めて事業規模を拡大してきた。2025年12月期までに米国事業の売上高を前期比21%増の198億円へ引き上げることを目指している。

 

横山市長が武見大臣・自見大臣と会談 小林製薬「紅麹」サプリ問題で『連携を密にして原因究明や再発防止をスピーディーに進める』

 
衛生研究所? 維新が潰したやんけ。上山信一の言いなりになってよ。忘れたんか?

ああ、だから「紅麹」になるねんなあ。
情けない都市になったなあ。維新のせいでよ。
 
おいおい横山さんよ、散々小林製薬とつるんで利権漁りだけに懸命だったブーメランが今起きてたって事よ。他人事に話すな!
 
 
 小林製薬の「紅麹」問題で大阪市と国が連携強化です。

 (大阪市 横山英幸市長)「より今後緊密に情報連携が進んでいくかと思います。これからも関係機関、引き続き総力をあげて対応にあたっていきたいと思います」

 小林製薬の「紅麹」を原料とするサプリメントで健康被害が相次いでいる問題をめぐっては、厚生労働省は4月1日時点でサプリを摂取した後に腎疾患を発症したと疑われる5人が死亡、入院した人の数は166人にのぼるとしています。また、小林製薬の本社がある大阪市は、3月27日に3つの商品について回収命令を出しています。

 こうした中、大阪市の横山市長は、4月3日に武見厚労大臣や消費者庁を管轄する自見大臣と相次いで会談し、連携を密にして原因究明や再発防止をスピーディーに進めることを確認しました。