日本共産党の吉良よし子議員は1日の参院決算委員会で、今の日本社会では、子どもたちが「権利を持つ主体」として尊重されていない実態を示し、離婚後も父母双方が子どもの親権者となる「共同親権」を導入する民法改定案についても「子どもの意見表明権」など、子どもの意見・意思を尊重するよう求めました。

 

 吉良氏は、改定案に「子どもの意見」の「尊重」「考慮」という文言がないと指摘。「法務省は、家事事件手続法の65条に『子どもの意見を配慮し、把握し、考慮する』と規定しているからだというが、本当に子どもの意見が考慮されてきたのか」と質問すると、馬渡直史最高裁家庭局長は、2022年の面会交流についての家事審判・調停件数は1万2737件あり、一方、面会交流にかかわり子どもの意見を聴くなどの調査をしたのは5066件しかなかったと答弁しました。

 吉良氏は、離婚前のDV等が認められず、面会交流を強いられている当事者から「面会交流後に子どものおねしょが1週間続いた」などの声があり、「面会交流が子どものストレスになっている場合がある」と指摘。日本乳幼児精神保健学会が「面会交流前後の情緒・行動・身体症状を軽視してはならない」との声明を出しているとし、「子どもたちの切実な意思表明を尊重できない法案では『子どもの最善の利益』は守れない」と追及しました。

 岸田文雄首相は「明文化は離婚の場面で子に親を選択するよう迫ることになりかねず、かえって子の利益に反するといった意見もある」などと反論。吉良氏は、「子どもには子どもの暮らしがある。子どもの意見を聞いてくれない法律はいらない」という当事者の子どもたちからの声を紹介し、慎重な議論を求めました。