【一覧表あり】岸田首相が責任とらない自民党の「処分」 二階俊博氏や森喜朗氏も「不問」で収まるのか

 
 
 自民党の茂木敏充幹事長は1日、派閥の政治資金パーティー裏金事件に関係した安倍派と二階派の議員ら39人を処分するための党紀委員会の招集を逢沢一郎委員長に要請した。4日にも党紀委員会を開催し、処分を決定する。ただ、岸田文雄首相(党総裁)と、二階派会長の二階俊博元幹事長は処分対象とならず、トップが責任を取らない自民の姿勢に国民の不信感はさらに強まりそうだ。

◆安倍派幹部ら39人処分へ
 処分対象となった39人は、塩谷立元文科相、下村博文元政調会長、西村康稔前経済産業相、世耕弘成前参院幹事長ら安倍派幹部に加え、2018~22年の政治資金収支報告書への不記載額が500万円以上の議員と元議員。不記載があった85人のうち、500万円未満だった40人超は処分せず、茂木氏による注意にとどめる。
 
 不記載額が3526万円と党調査で最多の二階氏は、既に次期衆院選に出馬しないと表明しているため、党執行部は「自ら政治責任を取った」と判断し、処分を見送る。安倍派の会長経験者として、野党が裏金事件への関与の有無を明確に説明するよう求めている森喜朗元首相も、処分の対象に含まれていない。
 
◆「トップが責任とるのは当然」党内にも
 各議員の処分の重さは党紀委員会で決めるが、党執行部が一定の方針を示す。安倍派幹部には上から2番目の「離党勧告」など重い処分が検討されている。

 岸田派でも派閥の収支報告書への不記載で元会計責任者が立件されたが、議員側の不記載がなかったことから、会長を務めた首相を含め処分対象から外した。党内には「民間ではトップが責任を取るのが当然」(中堅)と、首相の総裁としての責任を問う声も根強い。(井上峻輔)

 自民党の処分 党則では、党の規律を乱すなどした議員らを処分すると規定する。重い順に(1)除名(2)離党勧告(3)党員資格停止(4)選挙における非公認(5)国会および政府の役職の辞任勧告(6)党役職停止(7)戒告(8)党則順守の勧告がある。原則として党紀委員会で審査して決定するが、対応を急ぐ場合は、幹事長の権限で(5)から(8)の軽い4種類に限り、速やかに実行できる。
 
 
 
 

「しれっと復党するでしょ?」小泉進次郎氏、安倍派幹部に「離党勧告すべき」強気の発言も集まる批判…緊急事態下で銀座行った元議員はたった1年で復党

 
 
 3月30日、小泉進次郎元環境相は、自民党の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、安倍派(清和政策研究会)幹部を「離党勧告」処分にすべきとの認識を示した。
 
 横浜市で開かれた同県連大会後の記者会見で、進次郎氏は、新型コロナウイルス緊急事態宣言中に東京・銀座のクラブを訪れ、離党勧告処分を受けた神奈川1区支部長の松本純・元国家公安委員長に触れ、「不公平感を抱かないよう、厳正な処分が不可欠だ」と述べた。

 自民党の処分には8段階(重い順に「除名」「離党勧告」「党員資格停止」「選挙での非公認」「国会・政府の役職の辞任勧告」「党の役職停止」「戒告」「党則などの順守勧告」)あるが、「離党勧告」は2番めに重い処分。

 松本氏は2021年2月、離党に追い込まれ、同年10月の衆院選で神奈川1区から無所属で出馬して落選。だが、離党勧告から約1年後の2022年1月に復党が認められ、同年10月に再び神奈川1区支部長に選出されている。

 進次郎氏は、安倍派幹部を離党勧告処分にすべきだとの認識を示したものの、SNSでは批判的な声があがっている。

《何故、緊急事態宣言違反の松本純の復党を許したのでしょうか?許したら結局「離党勧告」なんて全然重くない処分ですよね》

《離党したって、ほとぼりが冷めたら「禊は済んだ」とか言ってしれっと復党するでしょ? 国民舐めるなよ!》

《裏金は犯罪と脱税です。自民党からの離党勧告じゃ済みません》

 離党勧告処分を受けた松本氏が1年で復党することには、党内にも批判的な声があったと自民党ベテラン秘書が言う。

「親分である麻生太郎副総裁の影響があったとも言われていますが、たった1年での復党には、党内からも早すぎるとの異論がありました。公平性を保つためにも、離党勧告する際は期間を明記すべきという声が以前から出ていました。

 今回の裏金事件をめぐる処分でも、離党期間を決めなければ、単なるまやかし。衆議院議員の場合は、平均在職日数が2年10カ月ですが、任期は4年ですので、復党までの期間は4年が妥当ではないか。それくらい厳しくしなければ、離党勧告はとても重い処分とは言えません」

 3月31日、読売新聞は、パーティー券収入のキックバックを止められる立場にありながら、対処しなかった塩谷立、下村博文・両元文部科学相、西村康稔・前経済産業相、世耕弘成・前参院幹事長の4氏に対し、離党勧告処分とする方向で最終調整していると報道。岸田文雄首相は4月10日の訪米前に処分を決定したい考えという。

 前兵庫県明石市長で弁護士の泉房穂氏は同日、自身の「X」に読売新聞の記事を貼り付けたうえでこう書きこんだ。

《『安倍派元幹部に離党勧告へ…自民、処分対象者を最終調整』との記事だが、“刺客も立てない離党勧告”なんて重くもなんともない。次の選挙で当選したら、禊(みそぎ)が済んだとして復党させるのがバレバレだ。訪米前に処分を終わらせてしまうという発想もどうかと思う・・・》

 2番めに重い処分でも、その意図が見透かされては意味がない。離党期間を明記するか、離党勧告した議員の選挙区に刺客を立てるぐらいの重い処分が必要だろう。

 

 

「異次元の厚顔無恥」岸田首相が新社会人にメッセージ「どんな修羅場も血肉に」しみじみ語るも「反面教師」と揶揄される皮肉に

 
 もしかしたら、自分自身への「エール」だったのかもしれない。

 4月1日、岸田文雄首相は、参院の決算委員会で自民党議員から新社会人へのメッセージを求められ、「私は人生において無駄なものは何もないと信じています。どんな苦難であっても、必ずやそれぞれの人生において意味があると信じています。それぞれの新しい人生、1歩1歩前を向いて進んでいただければと願っております」と語った。

「しみじみとした口調で、『噛みしめるような』という表現がぴったりの答弁でした。岸田首相の社会人キャリアスタートは、40年以上前の銀行員(日本長期信用銀行)です。

 答弁では『ずいぶん多くの失敗もした。仕事において修羅場と言っていいような場面にも数々出会った。しかし、それらはすべて今の私の血肉となっている』と述懐していました。

 岸田首相にとって直近の修羅場は、4月4日に予定されている、派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐる議員の処分でしょう」(政治担当記者)

 安倍派元幹部の塩谷立・元総務会長、下村博文・元政調会長、西村康稔・前経済産業相、世耕弘成・前参院幹事長は、キックバックについて証言が二転三転したこともあり、8段階ある処分で2番めに重い「離党勧告」を科す方向だと多くのメディアが報じている。

「世論調査で厳しい処分を求める声が多いことから、4番めに重い『選挙における非公認』では世論の納得が得られないということのようです。

 新型コロナウイルス禍のときに銀座のクラブに出かけた議員は離党勧告でしたから、そのバランスも考えてのことでしょう。ほかの議員の処分はキックバックの金額、党の役職などを勘案して決めるとしています。

 こうした目先の情勢だけで判断し、右往左往ぶりばかり目立つ岸田首相に『人生のアドバイス』をもらっても、説得力がないですよね(笑)」(同)

 ニュースサイトのコメント欄や「X」では、

《今現在で失敗を繰り返し、その自覚が無い方がメッセージを送っても全く響かない。皮肉にも反面教師という意味では良い教材かも知れない》

《なにか成し遂げた人が言うのなら響くが、時間だけ無駄に費やし、国民の要求に何ら答えていないあなたの言葉は響かない》

《苦労を押し付けてる側が押し付けられてる側に言うは間違ってるでしょ。異次元の厚顔無恥総理ですか》

《修羅場では、検討、検討で誤魔化し、秘書を身代わりにして逃げてきた》

 など、“おまゆう(お前が言うな)” と呆れる書き込みが目立っていた。岸田首相は、本当に新社会人に胸が張れているのだろうか。