014年3月25日
共産 穀田氏「機能性表示をすれば健康食品被害がなくなるのか」
森雅子大臣「消費者被害が拡大しない方向で取りまとめたい」

 

 機能性表示食品導入に対して日本共産党は、穀田恵二衆院議員が14年に国会で「最悪の場合、命にかかわる。起きてからでは遅い」と指摘し、規制緩和でなく強化を求めました。導入後も、斉藤和子、梅村さえこ両衆院議員(ともに当時)が機能性表示食品として届け出られた商品に不整脈や血圧上昇をもたらす成分が含まれていたことを追及しました。

 消費者庁の新井ゆたか長官は28日の会見で「安全性に疑問を抱かせる深刻な事態。機能性表示食品については以前から意見をいただいている。しっかり検証していく」とのべました。制度自体の見直しが不可欠です。

 

 

小林製薬の「紅麹」を使ったサプリメントをめぐる問題で厚生労働省らが和歌山県の工場に立ち入り検査を行いました。

立ち入り検査があったのは和歌山県にある小林製薬の子会社の工場です。紅麹が入ったサプリメントが原因と疑われる死亡例は5人に上っていて、小林製薬は青カビ由来の「プベルル酸」が原因の可能性があると説明しています。

「プベルル酸」が入った原料は大阪工場で製造されたとみられていますが、現在は、設備が和歌山県の工場に移転されています。厚労省らは30日、大阪工場にも立ち入り検査をするなど原因を調べています。

 

 

機能性表示食品の危険性

穀田議員 10年前に警告

SNS上で反響

 
安倍内閣が「世界で一番活躍する企業活動を妨げる障害を一つ一つ改善していく」とすすめた健康食品の機能性表示の新しい制度。
その危険性を穀田さんが10年前の国会で警告していた。
 
 
 小林製薬の「紅麹(べにこうじ)」配合の機能性表示食品を摂取したことによる健康被害が拡大しています。この問題で日本共産党の穀田恵二衆院議員が2014年3月25日の衆院消費者問題特別委員会で、安倍政権が導入を狙っていた機能性表示食品の問題点を指摘していたことがSNS上で反響を呼んでいます。

 穀田議員の質問は、安倍晋三首相(当時)がおこなった「世界で一番活躍する企業活動を妨げる障害を一つ一つ改善していく」ことを目的とした規制改革会議の路線のもと、その一つが健康食品の機能性表示の新しい制度であることを指摘したもの。

 穀田議員は「食品成分の機能性について科学的な手法を確立し、そのうえで科学的根拠のある基準及び表示を明確化すべきである」と強調。「評価手法の研究段階でさえ課題が山積みにもかかわらず」「(閣議決定された)13年度中に結論を出して14年度中に実施するというのはあまりに拙速ではないか」と批判しました。

 そして「どんな機能があるのかは企業まかせ」「機能性表示をおこなえば健康食品被害がなくなるのか、もしくは少なくなると思っているのか」と科学的根拠のお粗末さを追及しました。

 森雅子消費者担当相(当時)は「消費者被害が拡大しないような方向でとりまとめたい」と願望をのべるばかり。穀田議員は「大臣がおっしゃる安全を第一にということじゃない事態になりかねないと警告する」とのべていました。

 安倍政権は問題を直視せず、わずか2カ月で機能性表示食品の制度を決め、2015年に導入されました。

 この質問動画がいま、SNS上で広がっています。「(この制度のもとで)健康被害がおこることを予言している」などと話題になっています。

 
主張
紅麹サプリ健康被害

 
機能性表示食品の見直し急務
 健康のためにと飲み続けたサプリメントで逆に健康を害し、死にまで至るとはあまりに理不尽です。飲むだけで「脂肪吸収を抑える」「コレステロールを下げる」などの「機能性」をうたう商品は消費者に魅力的に映り、市場を広げています。しかし、機能性表示食品の問題点を直視し抜本的に見直すことは急務です。

当初からの懸念が現実に
 小林製薬が製造した紅麹を使ったサプリを飲んでいて腎疾患などで死亡した人が30日までに5人にのぼりました。入院者は100人を超えます。「有害な物質」が含まれていたとして3種類のサプリの回収・廃棄を命じる行政処分が行われましたが、取り返しがつきません。

 機能性表示食品の安全性にはかねて懸念がもたれていました。

 健康に役立つことを商品に表示できるのは、2015年の機能性表示食品導入までは、栄養機能食品と特定保健用食品(トクホ)の2種類でした。栄養機能食品はビタミンなどを国の規格基準以上含むもの、トクホは効果や安全性の科学的根拠を国が食品1点ごとに審査し許可するものです。

 これに対し、機能性表示食品は企業の届け出制で、トクホのような、人を対象にした臨床試験は必須でなく、科学的根拠となる文献を提出するだけで、国の審査はありません。研究論文も、第三者の専門家が審査する査読を経ないものがあったと指摘されています。

 トクホでも、わずかな効能で消費者に過大な期待を抱かせる例が指摘されています。それと比べても機能性表示食品は安全性・効果の担保は企業任せで、極めて不十分です。悪質な企業の参入も防げません。事後チェックしか働かず、大規模な健康被害が起きて初めて国が対応することになると創設当初から危惧されていました。それが現実のものになりました。

 機能性表示食品は「規制改革こそ成長戦略の一丁目一番地」とする安倍晋三首相(当時)の号令で導入されました。安倍氏は13年6月、「成長戦略第3弾」と題して「企業活動の障害を徹底的に取り除く」とのべ「健康食品の機能性表示を解禁いたします」と宣言しました。「現在は、国からトクホの認定を受けなければ…効果を商品に記載できない。お金も時間もかかる」とのべたように、企業が安全性・機能性の研究にお金をかけずに市場に参入できるようにしたのが機能性表示食品です。「国民が自らの健康を自ら守る」と、安全性は“自己責任”とされました。今回のような深刻な被害が起きても国は責任を持ちません。

危険追及した国会議員団
 機能性表示食品導入に対して日本共産党は、穀田恵二衆院議員が14年に国会で「最悪の場合、命にかかわる。起きてからでは遅い」と指摘し、規制緩和でなく強化を求めました。導入後も、斉藤和子、梅村さえこ両衆院議員(ともに当時)が機能性表示食品として届け出られた商品に不整脈や血圧上昇をもたらす成分が含まれていたことを追及しました。

 消費者庁の新井ゆたか長官は28日の会見で「安全性に疑問を抱かせる深刻な事態。機能性表示食品については以前から意見をいただいている。しっかり検証していく」とのべました。制度自体の見直しが不可欠です。