フジのMCの最後の「攻撃されたら反撃するんですね」と言う質問は極論。山添氏は「戦争にならないためには外交が大事」だと言っています。日米軍事同盟が、逆に戦争の火種となることをも考えるべきなのです。アセアン諸国を軸として、近隣国との外交努力を進めることこそ、平和への近道だと言える!

 

 

既に防衛費の半分を占める「兵器ローン」 ますます借金しやすくする法が成立、防衛費全体が膨れ上がる恐れ

 
社会保険削減を毎年続ける政府。それと比例して軍事費だけが青天井にあがっていく矛盾。「命」よりも「軍備」の姿勢…。
「高齢者の多くは、不安を強めているはずです。生活を切り詰め、消費も減らしています。以前、話題になった2000万円問題も消えてしまった。2000万円問題は、老後は、支出に収入が追いつかなくなるから、生活を維持するためには2000万円の蓄えが必要というものでした。ところが、高齢者が生活費を切り詰め始めたため、2000万円も必要なくなった。日本の高齢者は、『現役世代に迷惑をかけるな』『少子化対策に協力しろ』と迫られると、文句を言いませんが、限界がありますよ」
 
 自衛隊の武器を最大10年の長期契約でまとめ買いできる時限法を恒久化する改正法が28日、参院本会議で自民、公明両党や日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決、成立した。国の財政運営を監視するために、国会で毎年度予算を議決する「単年度主義」の例外措置が固定化されることになり、分割払いによる「兵器ローン」の増大を後押しする恐れがある。(川田篤志)
 
◆時限法なら国会のチェックができたが…
 改正法では、「厳しい財政状況下で防衛力の計画的な整備を実施していく」として、2015年に設けられた「5年の失効規定」を削除する。財政法が認める「国庫債務負担行為」の契約期間は上限5年だが、武器購入は例外的に上限10年と規定。そうした購入方法が適切かどうか、時限法であれば5年の失効期限前に国会審議でチェックできたが、今回の恒久化で政府の武器調達は容易になる。
 
 
 国会審議では、立憲民主党が兵器ローンの新規分が23年度当初予算で7兆円を超えるなど「長期契約が増加し、防衛予算の硬直化の兆候がある」と指摘。国会の監視機能が弱まるとして恒久化に反対した。
 
◆「まとめ買いで節約」「微々たる額」
 政府は、現時点で長期契約が完了した5件で、まとめ買いにより計726億円の縮減効果があったと強調したが、共産党は「5年で43兆円に上る大軍拡のもとでは微々たる額だ。軍事費が子育てや医療、介護の予算を圧迫している」と反対した。賛成に回った日本維新の会からも「10年後には型落ちして使えなくなるものを買わないで」と注文が出た。
 国庫債務負担行為 国の予算は単年度で使うことを原則としているが、省庁などが高額な物品購入や施設建設を行う際に、複数年度にわたって費用を支払うことができる契約。防衛省の武器購入や、国土交通省や農林水産省の公共事業などに用いられる。この枠組みに基づく翌年度以降の支払いが「後年度負担」で、防衛省の場合は「兵器ローン」と呼ばれる。

 
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◆例外だった長期ローンも恒久化
 28日に成立した2024年度予算で過去最高を更新した防衛費のほぼ半分を占めるのが、23年度までに購入を契約した「兵器ローン」の支払いだ。この日の法改正で、例外扱いだった長期のローン購入も恒久化。その後払いが増える可能性が高まるため、防衛費の膨張がどんどん進む懸念が出てきた。(桐山純平)
 
 防衛予算はすでに、過去の武器購入のローン払いなどに圧迫されている。24年度予算の防衛費7兆9496億円のうち、3兆9480億円は過去のローン契約の支払いで、比率は約49%に上る。ローン支払いを除いた残りの半分以上は、減らしにくい人件費や糧食費に充てられ、硬直的な予算構造となっている。
 
 過去の契約によるローン支払いの増加は、防衛費そのものを増やす要因になる。5年前の19年度当初予算の防衛費は5兆円台で、ローン払いの比率も4割を切っていた。
 
◆「後払い分」が現計画の3倍に
 防衛費を巡っては、政府は23〜27年度の5年間で総額43兆円に増額する計画を実施中だ。計画では新たな装備品購入などの契約で43兆5000億円を見込む。ただ計画の期間内に支払うのは27兆円で、16兆5000億円は28年以降に先送りされる。現計画では過去の契約による支払額は約5兆円なので、3倍以上に急増することになる。
 
 
28年度以降は未定だが、ローン払いの急増で、防衛費全体を押し上げる可能性は否定できない。さらに長期のローン購入の恒久化で、雪だるま式に膨張する懸念もある。一橋大の佐藤主光(もとひろ)教授(財政学)は「(装備品の)分割払いは、クレジットカードの分割払いと同様に借金。政府のコスト意識を薄れさせかねない。防衛費の増大に歯止めがかかりにくくなる恐れがある」と危惧する。
 
◆薄れるコスト意識、借金の残額明示を
 防衛費がどんどん増えれば、財源確保の名目で増税や国債増発、また防衛費以外の予算削減など、生活へのしわ寄せが出かねない。佐藤氏は「政府がコスト意識を持つため、毎年の予算でローン残高がどれくらい残っているかなど防衛費の全体像をより明確に情報開示すべきだ」と訴える。
 
 

「兵器ローン法案に賛成したのは誰か」の記録が残らない 「押しボタン」休止中の対応、参院は検討すらせず

 
自民党議員ですら、自信を持って「私は賛成しました」と言えない法案だという証しでしょう。有識者会議の報告書も核心部分は曖昧にぼかされ、後世の歴史家が検証できない。
 
 28日に成立した「兵器ローン」の例外措置を恒久化する改正法の参院本会議での採決に関し、参院事務局は会派や議員の賛否の記録を残さず、採決結果のみを公表する方針だ。2020年に本会議での「押しボタン式」の投票を休止し、個々の議員の意向が分からなくなったためだが、重要法案の採決で誰がどのような票を投じたか、公式資料に基づく事後の検証ができない状況が続いている。
 
◆議長が賛成議員の起立を求めるだけ
 参院では「各議員の政治責任をより一層明確にできる」という理由で、1998年に個々の議員の賛否が分かる押しボタン式を導入し、採決結果をネット上で公表してきた。しかし、20年4月に新型コロナウイルスの感染対策で座席の間隔を空けるようにした際に使用を休止。記名投票する予算案などを除き、法案や補正予算案は個別の賛否を把握しない運用になった。
 
 
 押しボタン式投票は装置の改修があるため、25年の通常国会まで再開されない見通し。28日の参院本会議での改正法の採決では、尾辻秀久議長が賛成する議員に起立を求め、多数を占めたことを自身の目で確かめて可決を宣言した。
 
◆是正を求める声があるのに対応せず
 本紙は昨年12月、法案などの会派や議員の賛否は、選挙の際に有権者の判断材料になる重要な情報だと指摘し、識者からも是正を求める声が出ていることを報じた。参院事務局によると、その後に是正策は議論されていない。
 
 参院議院運営委員会の浅尾慶一郎委員長(自民)は本紙の取材に「押しボタン式の再開をもって是正としたい。改修工事には一定程度時間がかかり、他に(賛否の詳細を確認する)方法がない」と説明した。
 
 国会の採決に関し、衆院は会派ごとの賛否を採決後に公表しているが、押しボタン式を導入しておらず、個別の議員の賛否は分からない。本紙は、与野党で賛否が割れる重要法案などは各会派などに取材して賛否を確かめている。(我那覇圭)
 
 

主張

新年度予算成立

暮らし踏みつけ戦争する国へ

 
 このまま自民党政治を続けたら日本はどうなるのか。そう思わざるを得ない2024年度予算が、野党の反対を押し切り自民・公明両党の賛成で成立しました。戦争国家づくりに向け10年連続で過去最大となった軍事費や大企業への大盤振る舞いの一方で、国民の暮らしを切り捨てる中身です。

巨額借金国民に負わす
 自公政権は、▽日本が開発・輸出した戦闘機が将来的に戦闘に使われ、他国民にミサイルを撃ち込む道を開き▽国民の知る権利とプライバシーを侵害する経済秘密保護法案を今国会で通そうとするなど、「死の商人国家」「戦争する国」に向けて暴走しています。

 中国を抑え込むアメリカの軍事戦略の一翼を担うため米軍と自衛隊の一体化をすすめ、憲法違反の敵基地攻撃に使う長射程ミサイルの取得・開発・量産などに巨費を投じ、約8兆円の軍事費を盛り込みました。23年度当初予算と比べ1・1兆円の増額です。政府は、2兆円あれば大学無償化ができるとしています。なぜ、そちらに予算を向けないのでしょうか。

 日本共産党の論戦で、雇用を維持するための雇用調整助成金のコロナ対応時の残りを、能登半島地震の被災者に使わず軍拡財源に充てることや、軍拡財源確保のために子育て支援の財源を国民の負担で賄うことが明らかになりました。「安全保障」を言いつのりながら、国民の暮らしの安全・安心に背を向けています。

 巨額の軍事ローン(後年度負担)を国民に背負わせる、いびつな国家財政も深刻化させます。米国製武器の“爆買い”など安保3文書に基づく軍拡計画の下で、24年度予算で計画されている外国からの武器輸入契約額の約9割が新たな軍事ローンです。軍事ローンは過去2年間で倍増し、総額約13兆7500億円に膨らみ、後々まで国民にのしかかります。軍事費を特例扱いして侵略戦争に突き進んだ戦前の反省から、戦後、予算の単年度主義がとられてきました。それを形骸化させています。

 大企業への大盤振る舞いも際立ちます。半導体メーカーの台湾積体電路製造(TSMC)1社に計1・2兆円超の補助金を投入します。これは24年度の中小企業対策費1693億円の7倍以上です。特定分野に10年間減税する制度なども創設、大企業を中心に年間2500億円近い減税と見込まれます。

 一方、中小企業対策費は23年度当初予算から11億円減らされました。インボイス制度の導入で増税を強いられ、フリーランスや雇用の7割を占める中小企業は廃業の危機に立たされています。

 社会保障は高齢化などによる自然増を1400億円圧縮し、医療、介護、年金を切り詰めます。教育費は実質横ばいで、国立大学の運営費交付金は物価高の中、実質減額です。食料安定供給の予算も減らします。

打開の方向は明確だ
 アメリカと財界言いなりで暮らしを押しつぶす予算を続けていては、「少子化対策」を言っても国民には響かず、日本経済の30年の停滞からの脱却もできません。裏金問題で明らかになったように、財界からのカネの力で動く自民党政治はもはや現状を転換する方策を持たず行き詰まっています。国民の声を集めて自民党政治を終わらせる。打開の方向は明確です。