「厚労省の『過労死ライン』を優に超えている…」吉幾三が告発した“機内横柄男”長谷川岳参議院議員(53)の“要求”対応で札幌市職員の残業が月100時間超!《市側は取材に残業を認める》

 
これは大問題。ドレイ工場じゃないか!
 
 
 演歌歌手・吉幾三が自身のYouTubeで「飛行機内での横柄な態度」を告発し、物議を醸している自民党の長谷川岳参議院議員(53)。

 そんな長谷川氏の地元・北海道札幌市のGX(グリーントランスフォーメーション)担当部署で、長谷川氏への対応が続き、職員らの残業時間が月100時間超になっていることが「 週刊文春 」の取材で分かった。月100時間超の残業は、厚労省の「過労死ライン」を優に超えており、札幌市は小誌の取材に対してGX担当部署の残業が月100時間超になっていることを認めた。

地元では「HG」と呼ばれている
 長谷川氏は参院北海道選挙区から2010年に出馬し初当選。以降、3回の当選を重ねている。

「菅義偉前首相と近く、道内では影響力が大きい。一方、吉が告発したような横柄な態度は地元では有名。イニシャルを取って『HG』という隠語で呼ばれ、恐れられています」(地元紙記者)

「週刊文春」は 3月26日配信のスクープ速報 で長谷川氏が総務副大臣時代の2020年、副大臣の執務室で面会した自治体関係者らに「うるさい、黙っとけ!」などと暴言を吐いていたことを報じた( パワハラ音声は「週刊文春電子版」で公開中 )。

 だが、そんな長谷川氏の「横柄な態度」に苦しんでいる人は他にもいる。地元・札幌市役所から悲鳴の声が上がっているのだ。

「このままでは死人が出てもおかしくない」
 札幌市職員の朝は、「HG対応」から始まるという。特に大変なのは、長谷川氏が関心を寄せているGX担当の部署だ。GX事業関連の記事を集めさせるなど、職員に対し、様々な“要求”をしていると現役職員は証言する。

「長谷川氏が力を入れるGX事業の部署は特にひどい。HG対応が続いて残業時間は月100時間を超えることもざらで、厚労省の『過労死ライン』を優に超えています。このままでは死人が出てもおかしくない」

 札幌市に事実関係を確認すると、GX担当部署の100時間超の残業を認めた。一方の長谷川氏にも質問状を送ったが、期日までに回答はなかった。

 長谷川氏は一体、何をしたのか――。「 週刊文春電子版 」では、市職員への暴言や“HG参り”と呼ばれる長谷川事務所詣でなど、吉幾三に告発された“HG”こと長谷川氏の地獄パワハラ疑惑について詳報している。

「週刊文春」編集部/週刊文春 電子版オリジナル
 
 

ありがとう、吉幾三 5年で50億の二階俊博に「ばかやろう」という怒りを私たちは諦めてはいけない 北原みのり

 
 今年は「俺ら東京さ行ぐだ」の発売からちょうど40年になる。もはや東京は憧れの街ではなくなり、日本は1980年代のようには明るくはない。それでも、私たちが明るく前向きに怒る自由を自ら失ってはいけないのだ。思わぬ変化球で世間を賑わした吉幾三さんに、なんだか、心からありがとう、です。
 
 
 作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は吉幾三さんのYouTubeチャンネルで感じた、おかしいことをおかしいと言う自由について。
 
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 いいなぁ、吉幾三。ありがとう、吉幾三。そんな気分だ。

 10カ月前に吉幾三さんのYouTubeチャンネルで「飛行機で見た横柄な国会議員」の話がバズった。吉幾三さんと同じ飛行機に乗った客がCAに対し横柄だったこと、その客が国会議員であることを匿名で話したのだ。その後、その国会議員が現役CAの告発によって明かされ、ちょっとしたニュースになった。

 突然YouTubeで名指しされた自民党の長谷川岳議員は、自身のブログで飛行機の遅延に関する持論を長文で記し、メディアには「大声は出していない」などと反論をしている。

「国会議員がCAに横柄な態度を取る現場を見た」という吉幾三さんの言い分はシンプルだ。

「大人だったらさ、ある程度年いったら、ちゃんと人と接しないと恥ずかしいよ」「機嫌の悪いときもあるだろうけど、機嫌の悪いときはしゃべらなきゃいいじゃん」「機嫌の悪いときもあるけどさ、そこは、我慢しなくちゃだめだよ」

 思わず深く頷いてしまう。機嫌の悪いときはしゃべらなきゃいいじゃん! その通りである。

 吉幾三さんは一人でカメラに向かい、打ち合わせも台本もないような自由な感じで、言いたいことを言いたい放題な感じでしゃべり続ける。コロナ禍中にはじめたチャンネルのようだが、最近は裏金問題に怒り、年金機構に怒り、国会議員の振る舞いに心から怒っている。この国に、怒ってる。

「政治に金かかるっていうけど、なんで金かかるんだよ、金かからない選挙しろよ」「働いても働いてもこんだけ税金高くてさ。あんたがた(←国会議員のこと)税金関係ねぇだろ。払ってんのかどうかわかんねぇけど」「どこにいった年金、この野郎(←年金機構のこと)、人の金、勝手に使ってんじゃねぇ、この野郎!」
 
 怒り顔は真顔だが、どこか楽しげで、時折自分の言ってることに吹き出したりもする。吉幾三さんには、飛行機や新幹線にただで乗れる国会議員特権はないが、自由があるのだ。右とか左とか、政治なども関係なく、思ったことを言う、おかしいことをおかしいと言う、吉幾三として言う、おかしいと思うから言う、ちゃんと言う、である。その自由は誰に与えられたものでもなく、自分で信じ、育ててきたものである。

 見ているうちに不思議に心が軽くなる。「人の前出たらな、歩いている犬猫にもアイサツして歩けって、オレは言ってんだよ」などと言っている吉幾三さんに癒やされている。え、なにこれ、どうしたの私。多分、そのくらいに今、言論空間が窮屈ということなのかも。SNSで自分と違う考えの人間を断罪し、レッテルを貼り、誰が誰に「いいね」したとかで責め、互いが互いを監視するような社会で、このくらいの気軽さ、このくらいのゆるさで、自分の言葉で言いたいことを言える社会だったら、もう少し風通しがよくなるのではないかと、ついつい「俺ら、東京さ行ぐだぁ~」と口ずさんだりしてしまって。

 吉幾三さんのチャンネルを見ながら、2018年に東京医大で女性差別受験が発覚したときのことを思い出した。私はあのとき、「東京医大前に集まりましょう」と人生で初めてSNSでデモを呼びかけた。あまりに腹が立ったからだ。ところがデモを呼びかけたとたんに、「医大前でデモだなんて入院患者に迷惑だ」とか「警察に許可を取ったのか?」とか「東医大に通っている男子学生の気持ちを考えたのか?」などとブレーキをかける声がいくつもあった。2019年に性暴力の無罪判決に抗議するフラワーデモを呼びかけたときも、「判決文を読んでからデモしろ」などと言う声は少なくなかった。

 個から発する怒りをなだめる声は、あまりに大きい。それが女の声ならばなおのこと。でも、怯むことないのだ。自分の立場で、自分の声で、自分の言葉で、私たちは発していくしかない。右とか左とか、政治信条関係ない。「歩いている犬猫にもアイサツして歩け!」な、そんなシンプルさでの自分の怒りを守るべきなのだと思う。

 先日、二階俊博さんが「ばかやろう」と記者会見で呟いた。85歳という年齢のことを言われ「お前もいつか年を取る」と切れた。年齢のことは、よほど悔しかったのだろう。それでも高齢者に敬意を払えないような社会を、あなたたちがつくってきたのだと思う。政治に怒る人々の声を無視し続け、政治を諦めさせる空気を生み、権力にあぐらをかき続け、庶民には到底手の届かないレベルの額の金を「国のため」ではなく「自民党のため」に使い続けた。「ばかやろう」はどちらなのだろう。5年で50億円どう使ったんだよ、おかしいだろう? そんな怒りを、私たちは諦めてはいけない。

 今年は「俺ら東京さ行ぐだ」の発売からちょうど40年になる。もはや東京は憧れの街ではなくなり、日本は1980年代のようには明るくはない。それでも、私たちが明るく前向きに怒る自由を自ら失ってはいけないのだ。思わぬ変化球で世間を賑わした吉幾三さんに、なんだか、心からありがとう、です。

北原みのり