志位和夫さん
《国連安保理 ラマダン中の停戦を決議もイスラエル反発》
「ラマダン中」だが、安保理として初の停戦を求める決議が採択されたのは一歩前進。人道的危機の打開は一刻の猶予もない。イスラエルは決議を遵守せよ。米国は決議を遵守させよ。恒久的停戦に進むことを強く求める。

 

ガザ地区の情勢をめぐり国連安全保障理事会では、イスラム教の断食月、ラマダンの期間中の即時停戦を求める決議案の採決が行われ、15か国のうちアメリカは棄権しましたが、残る14か国が賛成して採択されました。
 

決議案は、ガザ地区の壊滅的な人道状況に深い懸念を示した上で、イスラム教の断食月、ラマダンの期間中の即時停戦と、すべての人質の無条件の即時解放、それにガザ地区で必要とされる人道支援の確保を求めています。
 

決議案は、日本を含む非常任理事国10か国が共同で提案し、25日、国連安保理の緊急会合で行われた採決の結果、15か国のうちアメリカは棄権しましたが、残る14か国が賛成して採択されました。
 

去年10月のイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突以降、ガザ情勢をめぐって、安保理で「停戦」という文言が含まれた決議が採択されたのは初めてで、採択が決まると議場から拍手がわきおこりました。
今月、議長を務める日本の山崎国連大使は決議の採択を歓迎し「停戦がこの地域の持続可能な平和と安定への道を開くと信じている」と述べました。
 

一方、棄権した理由についてアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は、決議はハマスを非難していないとした上で「即時停戦は人質の解放をもって開始できる。したがって、われわれはハマスに圧力をかけなければならない」と述べ、アメリカも仲介にあたっている外交によって事態の打開を目指す姿勢を強調しました。
 

イスラエル政府 改めて強硬な姿勢示す
国連安保理でラマダンの期間中の即時停戦を求める決議案が採択されたことに対し、イスラエルのエルダン国連大使は「ハマスが外交ルートで人質の解放を拒否するかぎり、軍事作戦以外に人質を取り戻す方法はない」と述べて、安保理の対応に強く反発しました。
 

また、イスラエル首相府も声明を発表し「人質の解放を条件としない停戦を求める決議案に、アメリカが拒否権を行使しなかったことは遺憾だ」と反発し、アメリカの首都ワシントンを訪問する予定だった一部の閣僚について派遣を取りやめると発表しました。
 

アメリカでは、ネタニヤフ首相が計画を承認したガザ地区南部のラファでの地上作戦について協議される予定でした。アメリカ政府は150万人近くが身を寄せるラファでの作戦の実施に懸念を示していて、これに代わる計画を提示する考えを示していました。
ただ、イスラエル政府が改めて強硬な姿勢を示したことから、ラファでの作戦に代わる計画がまとまるのか不透明な情勢になっています。
 

ガザ地区保健当局「107人が死亡し、死者は3万2333人に」
イスラエル軍は25日、過去24時間でガザ地区北部のシファ病院と南部のアマル病院で軍事作戦にあたったと発表しました。
一方、ガザ地区の保健当局は過去24時間で107人が死亡し、死者は3万2333人にのぼっていると発表しています。
アメリカ大統領補佐官「当惑している」
 

アメリカ・ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は25日、記者会見でアメリカが国連安保理でラマダンの期間中の即時停戦を求める決議案の採決で拒否権を行使せず、棄権したことについて「決議案は人質の解放と一時的な停戦を結びつけた点において、われわれが一貫して求めてきたものだ」と説明しました。その上で、イスラエルが一部の閣僚など高官の派遣を取りやめると発表したことについて「当惑している」と述べました。
 

ただ、イスラエルとは協議を続けていくとしています。

 

 

ガザ停戦決議棄権した米国「ハマス非難を怠っている」…イスラエル国防相は「道義的な権利ない」

 
 
 【ニューヨーク=金子靖志、カイロ=西田道成】国連安全保障理事会は25日、パレスチナ自治区ガザでのイスラム教のラマダン(断食月)期間中の即時停戦を求める決議案を賛成多数で採択した。安保理の全15理事国のうち14か国が賛成し、米国が棄権した。イスラエルとイスラム主義組織ハマスとの戦闘が始まった昨年10月以降、即時停戦が明記された決議案が採択されたのは初めて。

 日本や韓国など非常任理事国の全10か国が共同提案国となった。決議では、イスラエルとハマスの即時停戦によって持続的な停戦につなげることや、人質全員の無条件解放などを求めた。

 賛成した14か国からは、イスラエルとハマスに対して決議の履行を求める声が相次いだ。米国のリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使は、棄権した理由について「ハマスに対する非難を怠っている」と説明した。
 
 一方、会合に出席したパレスチナのリヤド・マンスール国連大使は、ガザの死者が3万人以上に上っていることに触れ、「イスラエルには何度も無差別の爆撃をやめ、民間人の命を守るよう求めたが、病院や避難所さえも攻撃した」と非難し、攻撃の即時停止を求めた。
 安保理決議は、各国に順守を義務付ける法的拘束力を持つ。国連のアントニオ・グテレス事務総長は採択後、自身のX(旧ツイッター)への投稿で、「安保理はガザに関する待望の決議を承認した。この決議は履行されなければならない。失敗は許されない」と強調した。

 ただ、イスラエル側は攻撃を継続する構えだ。イスラエル・カッツ外相は25日、決議採択を受け、「ハマスを壊滅させ、人質の最後の一人を帰すまで戦い続ける」とXに投稿した。訪米中のヨアブ・ガラント国防相も25日、「拉致された人質全員を取り戻すまでガザでの戦争を止める道義的な権利はない」と強調した。