統一教会極秘「不動産リスト」を独占入手 日本国内に80件の土地・建物 取得金額は175億円を超えていた

 
多くの方が泣いている中での財産、カルト集団の怖さだ。自民党や他の政党・組織はこのおこぼれを「献金」という名目で受取っている。罪は重い。
 
 
 昨年10月に統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に対する解散命令請求が文部科学省によってなされ、今年2月には東京地裁が教団、文科省から聞き取りを行なう初めての審問が開かれた。今後の焦点は教団が保有する財産の保全へと移った。霊感商法や高額献金の被害者を金銭面で救済するために、原資を確保しなければならないからだ。しかし、統一教会の資産の全容は、依然として明らかになっていない。
 
「いったい統一教会には、どのくらいの資産があるのか?」――。

『世界公的資産白書』を独占入手
 かつて、同じことを知りたいと考えた人物がいる。韓鶴子総裁(81)だ。2012年9月3日、創始者の文鮮明教祖が死去。利権を巡る骨肉の後継争いの末に息子たちを追放した韓鶴子総裁は、自分が手にできる資産の中身に関心を抱いたのだ。

 翌2013年の8月23日、統一教会の聖地である韓国の清平で、文教祖の1周忌を記念する行事が行なわれた。その場で韓鶴子総裁に、ふたつの文書が奉献された。そのうちの一つが『世界公的資産白書』である。統一教会の名義になっている全世界の不動産が一覧できるもので、作られたのはこのとき1回だけだ。

 フリーライターの石井謙一郎氏は、『世界公的資産白書』を独占入手。この『白書』は、表紙に英語で『2013 White Paper on Public Assets Worldwide』と書かれており、中身はハングルと英語で、全22巻に加えて別冊がある。1巻から20巻までは、韓国にある資産の状況が掲載されている。21巻がアジア、ヨーロッパ、東北、アフリカ。東北とは、ユーラシア大陸の旧共産圏の諸国を意味する。22巻は北米、南米、オセアニア。別冊は総覧となっている。

 その21巻の中に、日本の統一教会が所有している不動産のリストがある。1ページがひとつの物件に充てられ、土地+建物が68件。土地だけのものが12件。合計80件が記載されている。土地+建物は大半が全国各地の教会で、ほかは研修所などだ。土地は霊園のほか、空き地とされているものが多い。
 
資金源は「Donation(献金)」
 最初のページに載っているのは、渋谷区松濤にある日本統一教会の本部だ。土地の面積や取得年月日の1971年2月26日は、不動産登記と一致する。取得金額は36億8282万円。資金源は「Donation(献金)」。この資料が作られた2013年時点での市場価格は、19億9435万3063円とされている。

 各ページに記載された主な項目を日本語に訳し、表を作成。80件を合計すると、取得時の金額は175億5560万8円。2013年時点の市場価格の合計は、119億7347万7093円となった(ハワイの4件については、購入時、2013年とも、2013年のレート・1ドル=105円として計算)。

 統一教会に、保有資産の名義変更や売却を行なう予定の有無、および「指定宗教法人」に指定されたことについて聞くと、広報部は次のように回答した。

「(名義変更や売却について)現在の所、その予定はございません。(指定宗教法人に指定されたことについては)文科省の指示に従い、不動産の処分前の届け出や3カ月ごとの財産目録の提出等を励行して参ります」

「 週刊文春電子版 」では『世界公的資産白書』について詳報。『白書』に記された80件の物件について、所在地、土地・建物の面積、取得時の金額と2013年時点の市場価格などの不動産情報を公開する。また統一教会の資産保全における問題点についても解説している。

石井 謙一郎/週刊文春