介護報酬改定パブコメ 前回の12倍

訪問介護巡る意見多数

「引き下げ反対」 「ヘルパー不足がより深刻化する」

 

 

 岸田政権は介護事業者や介護保険利用者・市民の大反対を押し切って、訪問介護基本報酬の2~3%引き下げを含む介護報酬改定を15日、告示(4月実施、一部6月)しました。同時に公表した意見公募手続き(パブリックコメント)の結果では、改定案に1190件の意見が寄せられていたことが分かりました。前回改定時(97件)の12倍で、同省老健局は「訪問介護報酬に関する意見が多かった。国会質問もあり電話もかかってきている」としています。

 

 同結果には、「なぜ訪問介護の基本報酬を引き下げるのか。引き下げに反対」「基本報酬引き下げでヘルパー不足がより深刻化すると考えるが、どう対応していくのか」「訪問介護の収支差率が良好というが、小規模事業者の状況を適切に把握できているとは考えられない。引き下げは妥当ではない」など、引き下げ反対の意見が複数の類型でまとめられています。

 改定案を審議した同省の社会保障審議会介護給付費分科会でも18日、改定の影響を把握するよう求める声が相次ぎました。認知症の人と家族の会の鎌田松代代表理事は、「国会審議で訪問介護事業所の36・7%が赤字だったと報告された。なぜ審議会にそのデータを示さなかったのか。4割近い事業所が赤字のなかで引き下げが告示されたことに無念の思いがする」と訴えました。

 日本介護福祉士会の及川ゆりこ会長は、「事業所の持続可能性だけでなく訪問介護員離れにつながっているとの声も届いている」と強調。民間介護事業推進委員会の稲葉雅之代表委員も「訪問介護事業所の閉鎖が増えているのではないか。在宅重視を掲げた介護保険だが利用者への影響が少なからずあることを危惧する」と語りました。

あきらめず撤回求める
ケア社会をつくる会世話人 暮らしネット・えん代表理事 小島美里さん
 パブコメへの意見が前回の10倍を超えたのは、訪問介護の信じがたい減額への危機感が大きかったからだと思います。私も、ちゃんと意見を言おうよ、と周囲に呼びかけました。

 しかし行政手続法42条の「提出された命令等の案についての意見を十分に考慮しなければならない」が順守されたとは思えません。訪問介護報酬の引き下げでは、厚労省はさまざまな機会に反論されてきたにもかかわらず、これまでどおりの回答を繰り返すだけです。私たちはあきらめることなく撤回を求め、意見を伝えていきたい。

 

介護報酬見直しで「訪問介護」なくなる? 小規模事業者の運営はギリギリ 自宅で介護受けられなくなる日も

 

地域で暮らす高齢者を支える「訪問介護」。その現場で働くヘルパーたちから怒りの声があがっている。

ヘルパー50代:悲しいですよね。それだけの価値しかないのか、私のやっていることはみたいなそんな思い。

ヘルパー60代:もう訪問介護いらんのやろなって、国は思ってるんだなあっていうのが、もうひしひしと伝わってきてますね。とことん人を馬鹿にした国やねって。

怒りの矛先は、厚生労働省が4月から行う、「介護報酬」の見直しだ。

同じ介護でも「特別養護老人ホーム」や「デイサービス」では報酬が軒並みアップする中、「訪問介護」だけがまさかの減額。このままでは、地域で暮らす高齢者が、自宅で介護を受けられなくなる未来が、やって来るかもしれない。

 

■介護報酬の改定で「訪問介護だけ」2%から3%の減額
大阪市西成区にある「ヘルパーステーションわかば」は、9人のヘルパーで、地域に暮らす64人の高齢者の訪問介護を担っている。

ヘルパー:島田さーん。おはようございますどうも。きょうもよろしくお願いします。

訪れたのは、84歳の島田時子さんのお宅。

この日は、ヘルパーに付き添ってもらいながら、近所のスーパーへ買い物に。島田さんは、歩行器を使わなければ、外で歩くことができず、介護が必要な度合いは、5段階で2番目に重い”要介護4”だ。

同居している50代の息子は、手足の神経がまひする難病を抱え、働くことが難しい状態で、息子のためにも、できるだけ長く自宅で暮らしたいと考えている。

島田時子さん:少しでも歩かんとな、歩けなくなるのが一番いややから、こないしてちょっとでも歩けるだけありがいたいと思って、歩いてるんです。

しかしいま、そんな島田さんの生活を脅かしかねない事態が、迫っている。

共産党 宮本徹衆議院議員:今度の介護報酬の改定で、訪問介護の基本報酬がマイナス改定に。

事業者の主な収入源である”介護報酬”は、3年に一度見直されるが、厚生労働省は、4月から、ほぼ全てのサービスで軒並み増額としたものの、訪問介護だけは、2%から3%の減額としたのだ。

事業者の収入が減ることに直結するだけに、関係者には衝撃が広がっている。

大阪きづがわ医療福祉生活協同組合 山田英樹常務理事:なんでヘルパーのところだけ、訪問介護だけ下げるんかなっていうのは、ちょっと意味がわからないですね。

この団体では、ヘルパーステーションわかばを含めて、3つの訪問介護事業所を運営しているが、今年度の収支は、赤字の見込みだ。

このまま報酬が減額となれば、収支を悪化させないために業務を効率化せざるを得ず、「付き添って一緒に買い物に行く」といった、利用者によりそったサービスが、提供できなくなる恐れがあるという。

島田時子さん(84):ゆっくりしか歩かれへんけどね。それでもね。まだ寝たきりよりはましやと。ありがたいと思ってね。一緒に歩いてもらってるんですよ。いつも元気になる言ってるもんな。元気もらって一緒に歩いて。

 

■減額理由は「利益率が高い」、一方で約4割の事業所が赤字経営
一体なぜ減額とされたのだろうか。

厚生労働省は、「訪問介護事業は、他の介護サービスと比べて、利益率が高いから」と説明しているが…

福島みずほ参議院議員:大臣、4割近くが赤字ということでよろしいですね?

武見敬三厚生労働大臣:(赤字は)およそ4割弱になります。

厚生労働省によると、約36%の事業所が赤字経営で、その多くは小規模な事業所とされる。しかし、厚生労働省の調査では、「訪問介護事業」の利益率は7.8%。この高い数字の背景にあるのは、大規模事業者の存在だ。

小規模事業所が1軒1軒離れた家を見て回る、地域密着型のサービスなのに対し、大規模な事業所は高齢者向けの住宅などに併設していて、複数を一気に訪問するため利益が出やすいのだ。

国はこの両者を区別せず、調査しており、実態とはかけ離れていると困惑する声も…。

一般社団法人和音ねっと 櫻庭葉子代表:こんだけ倒産してんのに…大変やでほんまに。

小規模事業所の代表を務める櫻庭葉子さんは、地域で暮らす高齢者のお宅を1軒1軒回って支えることをモットーにしている。

ただ、2022年は、新型コロナの影響で訪問件数が減ったこともあり、大幅な赤字に。

厳しい経営を強いられる中での報酬減額で今後、事業そのものを継続していけるか、不安を感じている。

一般社団法人和音ねっと 櫻庭葉子代表:報酬を下げるなんて、もうありえない話で、われわれとしたら報酬を下げずにしてもらいたいなぁって国には思ってます。じゃないと、みんなもう持ちこたえられない。自分たちのこれ以上の犠牲を払ってまで、やれる仕事じゃないです。もう先行き真っ暗ですね。

住み慣れた地域で暮らしたい高齢者を支えるはずの「訪問介護」がいま、岐路に立っている。

■小規模事業にとってかなり不利な診療報酬の改定
介護問題について取材している竹下洋平記者に解説してもらう。

訪問介護だけが減額、これは、事業者さんには、大きな打撃だ。

竹下洋平記者:大規模事業者が黒字と、小規模事業者が赤字という二極化になっています。小規模事業者が非常に大きな影響を受けそうです。小規模事業者の特徴として、利用者さんに寄り添った事業をしていて、融通を効かせてあげたり、本来のサービスではないけど、雑談に付き合ってあげたりしていていますが、そういうことをやっているからこそ、効率が悪くなって儲けが出にくいというところに、さらに今回の基本報酬の減額が追い打ちをかけている状況です。

訪問介護の減額について、武見厚労大臣は、今月の会見で、「基本報酬は減額だが、処遇改善加算はプラス、全体としてはプラスの改定とした」と説明した。これはどういうことだろうか?

竹下洋平記者:処遇改善加算というのは、事業所が働く人たちの「処遇」を改善すれば報酬を加算する、つまり簡単に言いますと『事業所で、キャリアアップ研修や、ICT化するなどして、優れた人材がいる良い事業所になれば、お金を増やします』ということです。ただ、簡単なことではありません。今回取材した小規模事業者の代表は『処遇改善加算は、要件を満たす基準が厳しく、研修に時間やお金をかける余裕がない。たくさん書類も必要で、書類を作る事務員もいない、小さな事業所は対応が難しい』と話していました。ちなみにこちらの事業所は、加算を取得しても全体の収支はマイナスになるということでした。

小規模事業にとっては、かなり不利な診療報酬の改定となったが、国は、どう考えているのだろうか?

関西テレビ 神崎博報道デスク:国としては、いまの物価高や賃上げの流れの中で、介護職員さんの待遇を改善したい、給料アップしたいというところで、その点については手厚くしようということで、報酬は改善します。実は介護職の年収は他の全産業の平均よりだいぶ低く、人が集まらない状況なので、ここは何とか手厚くして人を集めようとしています。当然そこを増額するために、どこか減額しないといけないということで、今回、訪問介護が狙い撃ちされたという状況です。

■「2035年には訪問介護サービスは受けられない最大の失策」
訪問介護の今後について、社会保障政策に詳しい淑徳大学の結城教授は、「高齢者が増え、現役世代が減る2035年ごろには、訪問介護サービスは受けられなくなる!今回の改定は最大の失策」だと指摘している。

竹下洋平記者:2035年ごろというのがキーワードで、2035年に団塊の世代の方が85歳になります。85歳になると要介護の方の割合も非常に増えます。一方で、これから訪問介護サービスというのは、どんどん先細りサービスをしている事業者もどんどん減っていくだろうと。つまり、2035年には要介護者の方がたくさん増えるけれども、その方にサービスを提供できる事業者がなくなってしまうのではないかという意味で、最大の失策だと考えられているということです。

取材の中でどのようなことを感じたのか?

竹下洋平記者:少し厳しい言葉になりますが、『未来は、お金持ちしか安心して老後を暮らせない』と考えざるを得ないと思います。お金を持っている高齢者は、高齢者住宅など施設に入るか、家で暮らしたい方は高額なお金を払って家政婦さんに来てもらうことはできるかもしれません。お金のない弱い高齢者は、1人なんの介護も受けられず、畳の上で死んでいってしまう。こういう未来が待っていると感じました。弱肉強食の世界にこれからなっていくのではないかと個人的には強い危機感を持っています。

番組コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡さんは「この問題は、介護にかけられる予算のパイが決まっていて、それをどう分配するかということ。訪問介護は非常にサービスレベルの高い介護なので、可能な限り持続することが必要だと強く思う。パイを増やすために介護と医療の線引きに問題があり、改革することで十分な予算が確保でき、訪問介護を持続させる事ができる」と指摘した。

今後、訪問介護の報酬が改定されることはあるのだろうか?

竹下洋平記者:政府ではなく、厚生労働省が行った3年に一度の改定ですので、なかなか簡単に変わるものではありません。ただ、今回の改定が『おかしいんじゃないか』と世論が盛り上がれば、政治判断で臨時で改定される可能性もあります。なので、今後の世論の盛り上がりが1つのポイントになってくると思います。

必要な人に介護サービスが行き届くように、政府には、現場の声に耳を傾けてもらいたい。

(関西テレビ「newsランナー」2024年3月22日放送)

 

「日本の会社員の税金は安すぎる」が財務省の本音…岸田政権が「サラリーマン増税」に突き進む根本原因【2023下半期BEST5】「給与所得控除の引き下げ」で税負担は爆増する

 

岸田政権は「サラリーマン増税」の検討を進めている。その背景にはなにがあるのか。公認会計士の山田真哉さんは「会社員の経費は収入の3%が実態だが、給与所得控除は収入の3割もあり、主要国の水準と比べても高い。政府は働き方による税負担の差をなくそうとしている」という――。
 

「サラリーマン増税」に怒りの声
政府の税制調査会(政府税調)が「サラリーマン増税」を議論したことが報じられ、「会社員だけに増税するのか、ふざけるな!」という大きな反発が起きています。

実際に政府税調の答申(レポート)を読んでみると、「通勤手当」への課税や「退職金」への増税など、今後さまざまな増税を予定していると読み取れます。

ただ、議論の核心はあくまで「会社員は税制上優遇されている」という点です。焦点は「給与所得控除の引き下げ」で、これが実施されれば、会社員にとってかなりの負担増が予想されます。

私のYouTubeチャンネル「オタク会計士ch」でも解説しましたが、プレジデントオンラインでもあらためてこの問題について取り上げたいと思います。

 

政府税調が提言「日本の会社員の税金はかなり安い」
「日本の会社員の税金は、主要国と比較してかなり安い。相当手厚い仕組みである」

これが政府税調のレポートから読み取れる政府の認識です。どういうことか、具体的にご説明してみます。

会社員の収入は「給与所得」と呼ばれています。年末に会社から「給与所得の源泉徴収票」をもらいますが、この中に給与所得の額が書かれています。

年収400万円の場合、給与所得控除124万円を引いた276万円が給与所得となります。

この276万円から所得控除105万円(基礎控除48万円+社会保険料控除57万円(※1))を引いた約170万円を「課税所得」と言い、所得税はこの課税所得にかかってきます(「住宅ローン控除」や「外国税額控除」の対象であれば、さらに税金を引くことができます)。

※1 年齢や加入されている健保組合等によって変わります

課税所得が約170万円の場合、所得税は約8万円です。意外と少ないですが、これに住民税約18万円が追加されますので、合計の納税額は26万円程度。これが給与から天引きされます。

年収400万円で約26万円ですから、大体ひと月分の給料を納税している、くらいの感覚ではないでしょうか。

 

 

会社員の経費は概算でOK
そもそも「給与所得控除」とは何でしょうか。

会社員として働く場合、スーツ代や通信費用、勉強するための費用などが必要です。

自営業者の場合は必要経費を収入から引くことができますが、会社員は費用の範囲が不明確になりがちなので、「概算でこのくらい引いてOK」という額が定められています。これが「給与所得控除」です。

会社員でも実額を控除できる「特定支出控除」という制度もあります。ただ、処理が面倒な割にメリットがないため、ほとんど使われていません。給与所得者約6000万人のうち、特定支出控除の利用者は約1000人程度と言われています。

 

「収入の3割」が控除されている
では「給与所得控除」はどのように決まっているのでしょうか。

基本的には、収入に応じて、55万~195万円を給与所得控除として収入から引くことが認められています。

給与所得控除の水準は大体「収入の3割」が目安とされていて、年収が400万円より低い場合は「収入の4割」、高い場合は「収入の2割以下」くらいになります。

また、年収が850万円を超えると、給与所得控除は195万円で打ち止めとなり、それ以上は上がりません。

 

 

実は大正時代に作られた制度
このように、会社員には税務申告の自由がありません。税金は給与から天引きされ、かかった経費を控除できません。

しかも会社が倒産し失業するリスクもあるため、会社員は優遇しなければならない、というのが政府の言い分でしした。

この制度の原型が作られたのは、実は大正時代です。

大正から昭和初期までは、自営業のほうが安定していて「勝ち組」だったので、会社員のほうを保護すべき、という感覚だったのです。

ですが、今では会社員のほうが「勝ち組」です。個人事業主・フリーランスは、自由ではありますが、会社員に比べると不安定な働き方です。

しかも政府税調の調査では、会社員の必要経費は収入の約3%に過ぎないことが判明したようです。前述の通り、給与所得控除を「収入の3割」で設定するのは多すぎるというわけです。

さらに、主要国の制度と比較したところ、日本の給与所得控除の水準は非常に高いことがわかりました。

日本の上限は195万円ですが、フランスの場合は約164.5万円、アメリカは約147.6万円(他の控除も含む)、ドイツは定額約13万円、イギリスはゼロと、かなり低いのです。

これらを踏まえ、政府税調は「日本の会社員は税金が優遇されている」と主張しているのです。

 

年収400万円の場合「約20万円の負担増」の可能性
今後、政府が給与所得控除を主要国並みに下げる可能性は高いでしょう。

その場合、会社員の負担はどのくらい増えるのでしょうか。ざっくりですが、計算してみました。

仮に給与所得控除をフランスの水準まで下げると、年収400万円の人の税負担は年間43万円。ドイツの水準まで下げると、年間48万円の負担になります。

現在の給与所得控除水準だと、年収400万円の場合の税負担は26万円でしたので、17万~22万円程度の負担増が見込まれます。年間の税負担が約2倍になり、大体2カ月分の給料くらいを税金として支払うイメージでしょう。

社会保険料の57万円を追加すると、年収400万円の人の税・社会保障負担は100万円を超えてしまいます。

かなり大きな負担だと思いますが、政府はいまこういう税制に変えようとしているのです。

と言っても一気に増税するわけではなく、数年かけて少しずつ引き下げていくのではないでしょうか。

 

 

「公的年金控除」「住宅ローン控除」も見直し予定
政府の目的は「働き方による税金の差をなくす」ことです。

そのため、給与所得控除を減らす代わりに基礎控除は増額することも考えられます。

実際、令和2年の税制改正でも、給与所得控除が10万円減った分、基礎控除を10万円増額しています。

ただ、政府税調が検討する増税は他にもたくさんあります。

特に、「公的年金控除」と「給与所得控除」の二重取りについては、今後是正される可能性が高いと思います。

年金を受給しながら働く場合、公的年金控除と給与所得控除の両方を受けられます。ただ、これが現役世代に比べて優遇されているという議論があり、見直しが検討されています。

実施されれば、年金で暮らす方にとってはかなり痛いと思います。

ほか、「住宅ローン控除」の見直しも検討されているようです。

少子高齢化の影響で空き家問題が深刻化しているため、これ以上新築を推奨するのは良くないという議論があり、見直しが検討されているようです。

年末の税制改正大綱に入るかどうかが焦点
これらの増税案は、あくまで現在議論されている段階に過ぎません。年末に発表される自民党の税制改正大綱に入るかどうかは現時点ではまだわかりません。

しかし、政府税調のレポートには財務省の意向が強く反映されていると見るべきで、この方向で決まる可能性は高いと思われます。

実際、インボイス制度の場合もこうした経緯をたどっています。2013~14年ごろに政府税調で議論された後、2015年に閣議決定され、実施が決まりました。

ちなみにインボイス制度の場合、税理士会は政府税調で議論されていた時から反対していました。ただその時点では世論が盛り上がっておらず、そのまま決定されてしまいました。

増税は実施が決まってからひっくり返すのは難しい、というのが過去から得られる教訓です。政府税調での議論を注視し、増税の是非について、継続的に見ていかなければならないと思います。

 

【賃上げ問題】働く人が「この上昇率を下回ると、給与に不満を感じはじめる」賃上げ率は、どれくらい?

 

求人サイト「Indeed(インディード)」の日本法人Indeed Japanは2024年3月13日、20歳~59歳の正社員の男女2400人を対象に、「賃上げに関する意識調査」を実施し、その調査結果を発表した。

年収・賃上げ率が大企業と比較して相対的に低い中小企業では、より敏感に不満を
賃上げに対する社会的な機運が高まる中、就業者の賃上げに対する意識や実態を明らかにする目的でおこなわれた今回の調査。
調査ではまず、「この上昇率を下回ると、給与に不満を感じはじめる年収の賃上げ率」について聞いたところ、体では平均プラス4.8%となった。企業規模別に見ると、大企業では平均プラス4.2%、中小企業では平均プラス5.2%という結果だった。

つぎに、「この上昇率を下回ると、転職・退職を検討しはじめる年収の賃上げ率」について聞いたところ、全体では平均プラス4.0%。企業規模別では、大企業では平均プラス3.6%、中小企業では平均プラス4.2%という結果になった。

 

この調査結果に、同社は次のようにコメントを寄せている。

(以下引用)

「厚生労働省の『賃金構造基本統計調査』によると、中小企業の平均賃金は大企業よりも低いことが示されています。また2024年2月にIndeedが公開した本調査結果では、大企業に勤める就業者よりも中小企業に勤める就業者のほうが、賃上げ率が低いことが明らかとなっています。

こうした実態を背景として、年収および賃上げ率が大企業の就業者と比較して相対的に低い中小企業の就業者は、大企業の就業者よりも高い賃上げ率において、より敏感に不満を感じはじめたり、転職・退職を検討しはじめる傾向があると考えられます」

(以上引用)

なお、調査は2024年1月16日~19日、インターネットを通じて実施した。現在就業中の20~59歳の正社員(勤務先の従業員規模が2人以上、現在の勤務先の勤続年数が2年以上)の男女計2400人が対象。「大企業」は、従業員数(アルバイト・パートを含む人数)1000人以上、「中小企業」は1000人未満と、それぞれ定義した。

 

 

中小の賃上げは「原資がどれだけあるかに尽きる」 小林健・東商会頭「価格転嫁をしっかりやろう」

 

大企業も下を向いてほしい。物価と賃金の好循環を回転させて、個人消費を増やし、GDP(国内総生産)を上げていく。大企業は内部留保を全額とは言わないがはき出すべき。連合は全くそこを言わない。

 

 

<東京商工会議所会頭 会見ファイル>

 ―日銀が(大規模な金融緩和策の柱である)マイナス金利政策と長短金利操作を廃止した。どう評価するか。

 異次元の緩和状態から出口への一歩を踏み出した。評価している。金融政策を将来的にノーマル(普通)に戻していくという日銀の姿勢と、急激な変化(引き締め)はさせないという姿勢が前に出ていた。

 

―連合が15日に今春闘の一次集計を出した。中小企業の賃上げ率は4%超の高水準だった。今後の見通しは。
 

 良い傾向だ。金融面の大きな変化はしばらくないというベース(前提)で言えば、賃上げの原資がどれくらいあるかに尽きる。(中小は)価格転嫁をしっかりやろう。大企業も下を向いてほしい。物価と賃金の好循環を回転させて、個人消費を増やし、GDP(国内総生産)を上げていく。日本経済を活性化していこう。(21日・大島宏一郎)