青木理さん
「これが一強を謳歌してきた政権党の実態かと思うと、いい加減有権者は自民党政治を終わらせなくてはならない。そうでなければこの党と一緒に私たちは沈没してしまう」

 

 

 毎日新聞は16、17の両日、全国世論調査を実施し、岸田内閣の支持率は17%だった。2月17、18日実施の前回調査(14%)より3ポイント上昇したが、2カ月連続で20%を下回った。不支持率は前回調査(82%)より5ポイント減の77%だった。

 

 支持率は、マイナンバーカードを巡るトラブルが相次いだことなどが影響して昨年6月以降、下落傾向に転じ、9月に内閣改造を実施するなどしたが、政権浮揚にはつながらなかった。11月以降、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題が深刻化。衆参両院で政治倫理審査会が開かれ、派閥幹部らが弁明したが、問題の実態解明は進んでいない。

 調査は、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせ、携帯490件、固定507件の有効回答を得た。固定については、能登半島地震で大きな被害が出ている石川県の一部地域を調査対象から外した。【野原大輔】

 

 

「一番の悪人はアイツだ…!」自民党裏金問題・清和会内部が憤怒する「大物議員」の名前

 
 
「例年ならば、この時期はパー券販売の準備で一番忙しい時期。それがなくなったことで、驚くほど仕事がなくなりましたよ……。他の清和会の秘書も同じような状況だといいます」
 
解散した清和会に所属したある議員の秘書・A氏は、現状についてこう吐露した。

政界を襲った裏金問題をめぐる余波の影響は、永田町から漏れ聞こえてくる。議員だけではなく、事務所で働く秘書やスタッフたちはその後処理や地元での説明などに追われているのかと思いきや、意外なことに多くの事務所スタッフが暇を持て余している現実もあるという。

清和会に所属したベテラン秘書・B氏がこう話す。

「はっきり言って暇ですよ。地元の支援者たちは、どちらかというと同情的な意見のほうが多くて、後処理というほどのものはあまりありませんでしたから。問題は今後の業務についてです。秘書会の集まりはありましたが、会が今後どうなるかまだ決まっていません」

背景には、現在開催中の政治倫理審査会でも当事者たちの責任の所在がはっきりしない答弁が続いていることもあるだろう。しかし、その個別対応については賛否ある。別の清和会ベテラン秘書・C氏は、派閥の「5人衆の中でも明暗が分かれた」と明かす。「最も強い批判にさらされるべき」と、参院のドンへ憤怒する。

「身内の中では、世耕弘成前参院幹事長(61)に一番批判が集まっていますね。理由は、『秘書に任せきり』だった、と責任を秘書になすりつけるような言動ばかりしているからです。

『秘書が私に報告しないまま、政治資金収支報告書の簿外で管理していた還付金について、把握することができなかった』とも説明していますが、秘書業務経験者なら誰でも分かりますが、そんなことを秘書の一存では決められませんから。参院の政治倫理審査会でも『還流には関与せず、報告・相談も受けていない』と話していますが、みんな鼻で笑っています。彼の言い訳には、呆れてしまいましたよ」

今月には自民党青年局が開いた懇親会に女性ダンサーを複数招き、口移しでチップを渡していた事件まで発覚した。企画したのは、世耕議員の元秘書だったことも明らかになっており、一層世耕氏への批判が強まりそうな気配もある。次いで、厳しい意見が相次ぐのが下村博文元文科相(69)だ、とも続ける。

「下村氏は自分だけ責任逃れをしようと必死で、渦中に新聞からテレビ、雑誌まであらゆるメディアと接触し情報提供を行っていました。自分が話すことにより、メディアをコントロールしようとしていた面が大きい。特に酷かったのが、幹部しか知りえない情報や捜査関連の情報まで流しており、そのことで他の幹部も『下村が1人で責任逃れをしようとしている』と怒っていたくらいですから。

派閥の力を利用してのし上がっていった人間が、危険が降り注いできたら派閥を売る。森喜朗元総理が、『下村だけはダメだ』とハンを押していた理由がよく分かります。本当に仁義もクソもあったもんじゃない」

その一方で、評価を上げたと目されているのが西村康稔前経産相(61)だ。西村氏は、今月1日に「安倍派5人衆」の中ではじめに衆議院の政治倫理審査会に出席している。その中で、「清和会の会計については一切関わっていなかった」と発言するなど、関与自体は否定し、モヤが残る結果となったのだが、なぜ西村氏を評価している声が出ているのか。

「西村氏とニコイチと言っていいほど長く一緒にやってきたベテラン秘書が、去年の暮れに過労で議員会館のトイレで倒れて今も入院中です。裏金問題のさなか、心労もあったのでしょう。それを機に、西村氏は自ら地元でも説明に回っています。自分が矢面に立つしかない、と腹を括ったのか、政倫審にも出席し、いの一番にある程度の説明責任は果たしたと言えるでしょう。

少なくとも、逃げ回っていた他の幹部よりはいくぶんマシ。もっとも西村氏の場合は、彼の選挙区に元明石市長の泉房穂さん(60)が出馬する可能性は地元でも囁かれており、強い危機感を持っているという選挙対策の側面も強いのですが…」(前出・A氏)

13日には裏金相当額に該当する金額を、能登半島地震の被災地支援に充てる案が浮上した、という報道も一部で出ている。裏金の総額は2022年までの5年間で約5億7949万円にものぼる。これについても、前出のベテラン秘書はため息交じりに漏らす。

「2月末に清和会のちょっとした集まりがあった際に、派閥の残金を『能登半島地震の被災地や医療機関に寄付すべきだ』という驚愕の提案が一部議員や秘書の間で出た時はもはや呆れてしいました。今回の寄付騒動も、清和会発端の可能性が高い。

ある若手議員は、『あんな騒動があったのに、こんな発想になるとは国民感情をまるで理解していない』と嘆いていましたよ。何より支援者に対して申し訳ない気持ちです。被災地の方も、裏金で稼いだお金で復興支援など望んでいないでしょう。一連の裏金騒動を受けても未だ清和会の人たちの感覚は、『もらい事故にあった』くらいのもので、まるで反省の色が見えません」

相次ぐ不祥事で厳しい視線が向けられる自民党だが、国民感情を逆なでするような対応が続いている。その背景には、当事者意識の欠落という根本的な問題があるような気がしてならない。

FRIDAYデジタル
 
 

裏金議員の「証人喚問」に現実味…自民党は“小物界の大物”世耕弘成氏を差し出すのか?

 
 
 高まる世論のプレッシャーにあらがうことができるか。

 自民党派閥の裏金問題で、参院では初めての政治倫理審査会が14日開かれた。安倍派の世耕弘成前参院幹事長、橋本聖子元五輪相、西田昌司元政調会長代理の3人が出席したが、政治資金パーティー券販売のキックバックについて、経緯を「知らない」「記憶にない」と言うばかり。真相の解明にはつながらなかった。

 立憲民主党など野党は15日、「疑惑は深まった」として3人の証人喚問を要求。通常であれば与党が拒否して終わりなのだが、今回はひょっとすると実現するかもしれないという。

 裏金問題に対する世論は厳しい。知らぬ存ぜぬで通す安倍派議員の態度は国民の怒りの火に油を注ぎ、自民党内からも批判の声が上がっている。自民党が証人喚問を拒否すれば、「実態解明に後ろ向き」とますます風向きが悪くなるのは確実だ。

「来年度予算案は衆院で強行して年度末の自然成立が確定していますが、やはり参院としてもきっちり採決して成立させないと格好がつかない。来週あたりから日程のやりくりで駆け引きが激しくなる中、証人喚問が焦点になってくる。野党との取引材料として、『3人は無理だが1人なら』と、派閥幹部の世耕さんだけを証人喚問に差し出す可能性はあります。岸田総理も、昨秋の臨時国会で代表質問に立った世耕さんが『総理の決断と言葉には弱さを感じる』『政治家としての言葉で発信してほしい』などと酷評したことを忘れていないでしょうから、証人喚問にOKを出すんじゃないでしょうか」(自民党国対関係者)
 
■“チップ口移し”会合でも炎上

 参院政倫審では、いま問題になっている自民党青年局のハレンチ会合についても問われた。セクシーダンスの演出を企画した県議が世耕氏の元秘書だからだ。会合には別の現役秘書も出席し、女性ダンサーにチップを口移しで渡していた。

 世耕氏は「ああいう写真が撮られるということは極めて不適切。謹慎を申し付けている」と釈明したが、SNSでは《撮られたことが問題なのではない》《バレなきゃいいってことか》などと批判が殺到した。

 世耕氏は安倍側近として、第2次安倍政権で官房副長官や経産相など要職を歴任。2019年から務めた参院幹事長を裏金事件で辞任したが、参院では安倍派を中心に約40人が集まる「清風会」会長としても権勢をふるってきた。

「安倍元総理の威光と数の力をバックに幅を利かせてきた安倍派に対して、苦々しく思っている参院議員は多い。中でも威張り散らしていたのが世耕氏で、安倍さんの力で引き立てられてきたことを自分の実力のように勘違いしてエラソーにしてきた。態度だけはデカいことから、陰では“小物界の大物”と呼ばれています。彼を証人喚問に出させないように本気で守ろうという議員がどれだけいるか疑問です」(自民党のベテラン参院議員)
 
 今回の裏金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で在宅起訴された安倍派の会計責任者は、同じくNTT出身の世耕氏が派閥に紹介したという。

 改選の参院議員に販売したパーティー券の全額分をキックバックしていた独自ルールについて、世耕氏は政倫審で「私は参院の連絡役」「誰が決めたかも分からない」と説明していた。権力を誇っていたはずの参院幹事長の実態は、ただのパシリだったのか。それが本当なら、自らの小物ぶりを白状したも同然だが……。多くの国民が証人喚問を待ち望んでいる。