きょうの潮流
 

 ギリシャ神話に出てくる時間の神が名前の由来です。打ち上げ直後に爆発した民間ロケットの「カイロス」。世界最短の宇宙輸送をめざすスペースワンが開発を進めてきました

 

▼競争が苛烈な宇宙の場は、陸海空につづく第四の戦場とも呼ばれています。キヤノン電子などが共同出資するスペースワンも防衛省と契約。今回のロケットには、政府の軍事スパイ衛星を代替するための小型衛星を搭載していました

 

▼宇宙軍拡にも前のめりの岸田政権。国会で決議され、平和利用にかぎって認められてきた日本の宇宙政策を根本からひっくり返そうとしています。さらなる軍事大国の道。それは武器の輸入だけでなく、輸出でも

 

▼日本がイギリス、イタリアと共同開発する次期戦闘機や武器輸出の解禁。この国の重大な転換をめぐり、共産党の山添議員が首相の姿勢を国会でただしました。「海外へ武器を売りさばくという発想は『死の商人』国家との批判を免れない」

 

▼武器輸出の禁止は日本が国是としてきました。外務省の「平和国家としての60年の歩み」の実績にも、武器の供給源とならず武器の売買で利益を得ないことが記されています。専守防衛や軍事費のGNP(国民総生産)1%枠などとともに

 

▼戦後、国民の願いに押されるように掲げてきた平和国家。その実績を、ことごとく壊していく政権の背景には米国や財界のいいなりになっている自民党政治があります。軍事力で平和は築けない。時間を逆戻りさせないためにも、その転換こそ。

 

 日本が英国、イタリアと共同開発中の次期戦闘機をめぐり、自民党の渡海紀三朗、公明党の高木陽介両政調会長が15日、国会内で会談し、第三国への輸出解禁で合意した。これを受け、政府は武器輸出を制限している「防衛装備移転三原則」の運用指針を月内に改定する方針だ。

 両政調会長は会談で、国際共同開発品全般ではなく、次期戦闘機に限定して第三国への輸出を解禁することで合意。輸出先は日本と「防衛装備品・技術移転協定」などを締結している国に限定し、「武力紛争の一環として現に戦闘が行われている国」は対象外とすることを確認した。

 政府は今回の輸出制限緩和の政策転換を閣議決定した上で、三原則の運用指針を改定する。今後、実際に次期戦闘機を輸出することになった場合、個別の案件ごとに閣議決定を経て輸出を決める。

 英伊両国と共同開発している戦闘機は、日本にとって2035年ごろから退役が始まる航空自衛隊F2戦闘機の後継となる。現行の日本の運用指針では、次期戦闘機の完成品は日本から英伊両国以外の第三国には輸出できない。(田嶋慶彦)