安倍派の裏金の還流継続の経緯について幹部の証言に食い違いが出ている。
政倫審は一つのステップであり、真相解明のためには森喜朗元首相らの証人喚問が必要だ。

 

 

 

 

 自民党安倍派の組織的な裏金事件をめぐり、同派事務総長経験者の下村博文元文部科学相が12日、衆院政治倫理審査会(政倫審)への出席を申し出た。与野党は、下村氏の弁明と質疑を行う衆院政倫審を近く開催する方向で調整を進める。

 下村氏はこの日、衆院政倫審の田中和徳会長に申し出書を提出後、記者団の取材に「うそ偽りでなく、丁寧に説明をさせていただきたい」と述べ、完全公開で出席する考えを明らかにした。

 衆院政倫審ではこれまで、安倍派の運営中枢にいた事務総長経験者4人が出席したが、組織的な裏金作りを始めた時期など、実態解明は進んでいない。下村氏は、2022年の還流廃止と復活をめぐる同派の幹部協議に参加していたことが判明しており、野党が政倫審への出席を求めていた。

 

 

浜田敬子氏 自民ハレンチ懇親会に「社会の感覚からズレていることが裏金にもつながっている」

 
 
 フリージャーナリストの浜田敬子氏が13日、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜前8・00)に出演。自民党和歌山県連が主催し、党青年局幹部や近畿の若手地方議員らが参加した会合に、露出の多い衣装の女性ダンサーを複数招いていたことについてコメントした。

 会合は昨年11月、自民党和歌山県連が主催し、国会議員や近畿ブロックの地方議員ら計30~40人を集めて和歌山市のホテルで開かれた。露出の多い衣装の女性ダンサーを5人招き、ダンサーに口移しでチップを渡す参加者もいたという。その場にいた青年局の藤原崇局長(衆院岩手3区)と中曽根康隆局長代理(群馬1区)はいずれも役職を辞任した。藤原氏は8日に報道陣から「女性の体に触っていない?」などと聞かれ、「今の認識は触っていないということになります」「当時の記憶の中では触ってないです。”今の記憶で”ということ」などと釈明した。

 同党青年局は「青年局ブロック会議をめぐる事案について」のお知らせを掲載。「昨年11月の自民党青年局近畿ブロック会議後の有志による懇親会において、会の趣旨にそぐわない極めて不適切な内容の余興が開催県連青年局により企画され、実施されましたことは誠に遺憾であり、深くお詫び申し上げます。また、一部の参加者に品位に欠ける振舞いがあったものと承知しており、この点につきましても、心よりお詫びを申し上げます」と謝罪した。

 県連青年局長として会合を企画した川畑哲哉県議は11日、離党届を提出し、受理された。川畑氏は、世耕弘成前参院幹事長の元秘書で、ダンサーを招いた理由について「多様性の重要性を問題提起しようと思った」と説明していた。

 浜田氏は「いまだにこんなことやってんのかって、かなりあきれましたねえ。自民党の感覚が社会の流れからいかにズレているかということだと思う。しかも、地方の県連が企画したんですが、今ヤバい、これやめようと止めなかったというのは、本当に国会議員としてどうかと思いました」と指摘。そのうえで「多様性というのを言い訳のように使っていましたけれども、自民党の中で多様性がないからこういうことをやっているんですよ。女性議員が少なくて、女性議員がいたらこういうことを企画しないですよ、そもそも。女性議員が増えない理由の1つがこういう自民党のカルチャーに入るのがみんな嫌なんですよ。男性ばっかりで、こういうことがいまだに喜ばれるだろうみたいに余興をやっているような文化の中で、ここに女性議員が立候補したいって思いますかね」とした。

 そして、「票ハラスメントという言葉があるくらい女性の議員たちはすごく後援者、支持者からのハラスメント、党内でのハラスメントにも苦しんでいて、いまだにお酌を強要されたり、触られたりということがある」と言い、「そういうのをなくしていかないと、女性議員が増えない。女性議員が増えないから、自民党の中に多様性がない。多様性がないから、こういうことがいまだに許されると思ってしまう状況。本当に自民というものが、社会の感覚からズレていることが裏金にもつながっていると思う」と自身の見解を述べた。

 

自民、早期幕引きへ出席者調整か…国対幹部「全員が出席すれば収拾つかない」

 
 
■野党反発 全員出席求める

 自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受けた参院政治倫理審査会は14日の開催が決定した。自民には「出席は本人の意向次第」という原則を盾に出席者を3人に絞り、問題を早期に収拾したいとの思惑があるが、野党は反発し、先行きは不透明となっている。

 「我々は32人(の出席)を求めている。3人は第1弾で、それで終わる話ではない」

 立憲民主党の岡田幹事長は12日の記者会見で、参院政倫審への自民の出席者が、参院安倍派会長を務めた世耕弘成・前参院幹事長ら3人にとどまったことを批判した。その上で、実態解明に向け、安倍、二階両派に所属した参院議員31人と、在宅起訴された大野泰正参院議員(自民を離党)の計32人の出席を求める考えを強調した。
 
 32人のうち、参院政倫審に出席する意向を示したのは3人だけで、与野党は12日の幹事懇談会で、残る29人に今後出席を促す方針を確認した。

 自民は表向き、「出席は議員本人の意向を尊重する」としている。だが、実際には、不規則な発言が飛び出さないように党内で出席者の調整が行われたとみられる。国会対策委員会幹部は、「全員が出席すれば収拾がつかなくなる」と、調整が行われたことを示唆した。

 4月28日には、政権の消長を占う衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙が行われる。自民は政倫審を乗り切り、幕引きを図りたい考えだ。

 野党は、真相究明を求める世論をバックに攻勢を強める。衆院政倫審では、安倍派で事務総長を務めた下村博文・元文部科学相が12日、出席を申し出た。下村氏は安倍派の政治資金パーティー券収入のキックバック(還流)の再開の経緯を知ることができる立場にあったとされ、厳しく追及する方針だ。

■党則など改正案 自民総務会了承

 自民党は12日の総務会で、派閥の政治資金規正法違反事件を受けた党則と党規律規約、ガバナンスコード(統治指針)の改正案を了承した。同法違反で政治団体の会計責任者が逮捕・起訴された場合の議員に対する罰則を明文化し、派閥の規制を強化することが柱だ。17日の党大会で決定する。

■自民・森山派が130万円分不記載…22年パーティー収入

 自民党の森山総務会長は12日の記者会見で、会長を務める森山派(近未来政治研究会)の2022年分の政治資金収支報告書について、訂正を総務省に届け出たと明らかにした。同年に開催した政治資金パーティーの収入内訳のうち、130万円分が不記載だった。

 森山氏によると、記載漏れがあったのは、鹿児島県の建設関係の政治団体が購入したパーティー券代の130万円分。団体側の計7人からそれぞれ振り込みがあったため、名前や金額の記載義務のない「1回20万円以下」と判断したという。収入総額に変更はなく、団体名と金額を追加で記載した。

 

下村博文元文科相が政倫審に審査の申出書を提出 野党側は「なぜ1人なのか、疑問が残る」

 
 
自民党「清和政策研究会」(安倍派)の下村博文元文科相は12日、派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件の弁明のため、衆院政治倫理審査会(政倫審)に対し、審査の申出書を提出した。

下村氏は安倍派の会長代理を務めていた。死去した安倍晋三元首相が派閥パーティー収入のキックバック(還流)をやめるように指示を出した同派会議に出席。安倍氏が死去した後は、同派でキックバック復活について話し合った同派幹部会議にも出席していた。

これを受けて立憲民主党の岡田克也幹事長は会見で「下村さんは非常に重要な人物なので、そこの見通し(政倫審に審査の申出書提出)は評価できると思います。ただ、なぜ1人なのかという疑問が残りますね。われわれは(自民党の衆院議員)51人を求めているわけですが、6人のあとなぜ1人なのか。(衆院で)予算が通ったことで(岸田)総理自身が(政倫審に)後退しているんじゃないかというふうに見えてしまいます」と語った。
 
一方、参院政治倫理審査会はこの日裏金問題を受けた審査の実施に向けて、同党参院議員32人を対象にした政倫審に出欠する意向があるのか否かの調査の回答を締め切った。

野党は対象の同党参院議員全員の出席を要求。しかし出席を野党側に伝えたのは橋本聖子元五輪相ら3人にとどまった。

橋本氏らの弁明と質疑は14日に行われる見通しが立った。

この状況に対し日本維新の会・音喜多駿政調会長は自身のⅩ(旧ツイッター)で「結局、参院政治倫理審査会に出席意向を示したのは自民党所属議員31名中3名のみ。あれだけ岸田総理総裁が『説明責任を果たすべき』と公の場で述べていたのに、所属国会議員の9割以上がフルシカト。これは一体なんだ? 自民党には自浄作用もガバナンスも、総理の指導力もまったくないのか」と投稿した。