【大阪万博】木造リングが邪魔で工事が進まない…パビリオン設計を担当する「一級建築士」が明かす!絶望の「工事現場」の現状

 

「万博は税金の無駄使い」維新の目的「利権」に加担し続ける事を許さない!務政策は維新の得意技、今楽しくお祭り騒ぎができればいい。後は専門分野に「恫喝・恐喝・威嚇」で任せるだけ。責任は取らない。維新腐りきった姿勢である。今回の万博=カジノ=『利権』は維新の無能で卑しい姿勢丸出し…が暴露されている。

 

 

順調という維新どっちが本当? 海外パビリオンは基礎すらない 屋根下の床の保護のため、重い車両は2ヵ所以外は通れない。

 

 万博会場の隣、咲洲の中心には地上252mのさきしまコスモタワーがそびえ立つ。その43階に万博協会のオフィスがあり、廊下奥の西側の窓からは万博会場となる夢洲を上から見下ろすことができる。協会職員はトイレに立つたびに、工事の進捗を目にすることになる。

 開幕まで1年2ヵ月を切った現在も、土の地面がむき出しのだだっ広い野原のような工事現場。そこにぽつんと、大きな空洞を抱えた木製巨大リングが佇んでいる。

 彼らはこの巨大な建造物を見下ろしながら、何を思うのだろうか。

 

維新の連中が「失敗を恐れている場合ではない」と言うのは、こういう文脈で聞くとよくわかる。

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 2月下旬、本誌記者は大阪府・夢洲の会場予定地を訪ねた。巨大木製リングの工事が進む一方、海外パビリオンは基礎すらない。広がるのは茫漠とした灰色の地面。絶対に間に合わない―そう確信した。

 

 

 

行く手を阻む巨大リング

 

 

 A氏の指摘に同調するのが、建築エコノミストの森山高至氏だ。

 「万博の会場予定地である夢洲は、埋め立て地で地盤が弱い。日本の建築基準法は厳しいため、建物のデザインによっては地盤対策に多額の費用がかかります。しかし、諸外国からは『そんなことは聞いていない。今更デザインを変えられない』と文句が出て、そのたびに調整が難航。時間を浪費しているそうです」

 ただでさえ現場から「会期に間に合わない」という声があがるなか、さらなる懸念が浮上した。

 「(リング)内側のパビリオンなどの建設は、これから着工するものも多く、今後すべてのリングがつながった際には、内側への重機や資材の搬入に制約が生じる」

 2月22日、前出の日本建設業連合会の宮本会長が記者会見でこう漏らし、関係者らを騒然とさせたのだ。「リング」とは、この大阪万博のシンボルとして建設している、万博会場を囲む「木製の大屋根」である。円周約2km、高さ最大20mの木製巨大リングが、海外パビリオンをぐるりと囲む予定だが、先にリングを作ってしまうと、内側のパビリオンの建設に支障が生じるという問題をしぶしぶ明かしたのだ。

 いわば、「先にお堀を作ってしまい、城が建てられない」というギャグのような話だが、なぜこんなことが分からなかったのかと呆れてしまう。

 リングをデザインした建築家の藤本壮介氏は自身のSNSアカウントでこう反論している。

 〈現在、リングの地上部分に10ヵ所の工事車輌アクセスルートを確保しています。それらはリングが全て繋がった後も、幅、高さともに確保できるルートです。(中略)その周辺の舗装等の工事が入ることも想定して、最低でも5ヵ所のアクセスを確保できる工事計画としています〉

 

 

なぜ「場当たり的」になってしまったのか

 

 

 藤本氏の説明通りであれば大きな問題はなさそうだが、Aさんは、「現場では明らかに邪魔になっている」と証言する。

 「現在、リングの内側へ出入りできる大きな通路は2ヵ所しか確保されていません。それ以外にも出入りできる通路はありますが、どこも狭い。大型工事車両はどこからでも自由に入れるわけではないのです。屋根下の床の保護のため、重い車両は先の2ヵ所以外は通れない。大型コンテナ車は回転できないでしょう。

 リングがいつどの箇所から完成するのかもアナウンスされておらず、リングの工事車両とのバッティングが調整できない。またリング内の道路が整備されておらず、このままでは現場がぬかるみ状態となり、工事車両でごった返してしまう可能性もある。施工予定の工務店は困っています」

 工事の段取りといい、予算の膨張といい、場当たり感が否めないこの万博。なぜこうも次々と問題が起こるのか。

 万博協会の関係者は本誌の取材に「問題を引き受ける責任者がいないからだ」として、こう不満を漏らす。

 「'05年の愛知万博では、歴史学者の木村尚三郎さん、建築家の菊竹清訓さん、環境デザイナーの泉眞也さんという3名の『総合プロデューサー』が基本構想、会場計画、催事を分担し、全体の調整役を果たしていました。まず総合プロデューサーがしっかりした指針を示し、そのうえでなにか問題や調整ごとがあれば、彼らがしっかりと決断をしてくれた。

 ところが、今回はそれぞれの個性を発揮してもらうという名目で、あえて『総合プロデューサー』を置かなかった。結果、各プロデューサーは自分の業務に専念することとなり、全体を見る人がいなくなったのです」

 

工事現場は被災地同然

 

 

 万博協会に総合プロデューサーを置かなかった理由を問い合わせたところ、「シニアアドバイザーの方々にその役割を担っていただくことを考え、就任いただいています」と回答した。しかし、大崎洋元吉本興業会長をはじめとしたアドバイザーは15名もいる。「アドバイザー」という名称からも、総合プロデューサーとは役割が大きく異なることは明らかだ。

 全体の進行や予算管理を統べる人たちがいない。それが、この万博の不幸を生む根源なのだ。

 そのしわ寄せは末端の現場の労働者に来ている。前出のAさんが嘆く。

 「工事は遅れ、現場にはいまだ電気や上下水道も通っておらず、作業員は仮設トイレで用を足しています。言い方は悪いですが、被災地で復旧活動をするような状況で彼らは働いています。

 万博成功のためにもあと半年でも延期してくれれば、無理無理のところをなんとか解消できるのですが……」

 万博会場の隣、咲洲の中心には地上252mのさきしまコスモタワーがそびえ立つ。その43階に万博協会のオフィスがあり、廊下奥の西側の窓からは万博会場となる夢洲を上から見下ろすことができる。協会職員はトイレに立つたびに、工事の進捗を目にすることになる。

 開幕まで1年2ヵ月を切った現在も、土の地面がむき出しのだだっ広い野原のような工事現場。そこにぽつんと、大きな空洞を抱えた木製巨大リングが佇んでいる。

 彼らはこの巨大な建造物を見下ろしながら、何を思うのだろうか。

 

万博エコ推進アプリはツッコミどころ満載! 「環境に優しくない」ポイントのため方も

 

 

大阪・関西万博の開幕まで9日で400日。機運醸成に躍起の日本国際博覧会協会(万博協会)が7日にリリースした「EXPOグリーンチャレンジ(GC)アプリ」は、ツッコミどころ満載だ。

アプリの目玉は、7つのチャレンジメニューからエコ活動を重ねてポイントをためると、ポイントに応じて抽選で当たる景品だ。万博をキッカケに企業や学校、自治体などの団体を通じて個人のエコ活動を広げていく狙いがあるという。

例えば「マイボトル使用」や「食べ残しゼロ」で各100ポイントを獲得できる。

ちなみにマイボトルを持っていなくても、食べ残しても、ポイントはもらえる。
笑ってしまうのが、「使用済み食用油の回収」。ペットボトルなどに詰めて指定場所に持って行くと300ポイントをゲットできるのだが、肝心の指定場所は今のところ、大阪に7カ所、滋賀に3カ所のみ。万博協会は「今後、全国展開する予定」(広報担当)というが、CO²をじゃんじゃん排出する車で油を持ち込む人も出るだろう。「ペットボトル使ってるやん」「エコちゃうやん」とツッコみたくなる。

 

GCを通じた「省エネ旅行」(3000ポイント)は狙い目だが、開始時期は来年春ごろ。とっつきやすそうな「ごみ拾い」(300ポイント)は、イベントに参加してイベント名と参加日を入力しなければならず、意外とハードルが高い。

集めたポイントは景品交換の応募に使える。5月末締め切りの第1弾の応募に必要なポイントが最も高い景品は「ポータブル電源・ソーラー充電セット」(2万ポイント)。9日から毎日平均238ポイントをため続けて、ようやく応募できる高難易度。しかも「当選者は1人」だ。

■会場は電力不足の恐れ

わざわざアプリを作ってまでエコ活動の啓発に力を入れているものの、万博会場はエコと逆行している。

「開催後の会場内で電力不足が懸念されます。万博は脱炭素や省エネも開催意義に掲げており、会場内は冷水プラントを使った一元管理でエネルギー消費を効率化する想定です。しかし、専用の機器が足りず、各パビリオンに個別の空調を認めることとなりました。パビリオン全体で個別空調による電力量がどの程度必要なのか検証できておらず、必要量を供給できるのか懸念されているのです」(万博関係者)

一事が万事、何もかもがグダグダ。巨額の税金を使うことへのエコ精神はみじんもない。

 

 

世界的建築家の「カジノありきの万博」「あり得ない」の批判に、維新・大阪市長が「万博とカジノ関連ない」と失笑の大ウソ反論

 

 

 開幕まであと約400日に迫った大阪・関西万博。2億円のデザイナーズトイレや「世界最大級の無駄」とも呼ばれている大屋根リングなど問題が山積しているが、そんななか、日本を代表する建築家が「カジノありきの万博」を批判し、話題を集めている。

 その建築家は、先日、「建築界のノーベル賞」と言われるプリツカー賞を受賞したばかりの山本理顕氏。世界的に優れた建築家に贈られる同賞を日本人が受賞するのは5年ぶりの快挙だ。

 そして、今回の受賞を受けて山本氏はTBSの取材に応じたのだが、そのインタビューのなかで“専門家であるはずの建築家が社会の中で信頼を失っているのではないか”という課題を感じているとし、その例として大阪万博を挙げ、こう批判したのだ。

「あれほどひどい計画は、建築家から見たらあり得ないと思う。日常生活を阻害するような施設がカジノ。社会貢献(課題解決)をすることを前提にしている博覧会に対して、明らかにカジノのための万博になっていると思います。そこに対して建築家集団は何も言わない」

「カジノは日常生活を阻害する施設」「大阪万博はカジノのための万博」──。世界的な建築家による直球の大阪万博批判だが、ネット上でも「その通り」「超正論」などと賛同する意見が溢れた。

 だが、山本氏の「カジノのための万博」発言に、横山英幸・大阪市長が噛みつき、SNSでこう反論したのだ。

〈当たり前ですが「万博」と「IR(統合型リゾート)」は完全に別事業であり相互に関連はありません。
そもそも万博開催は2025年4〜10月「IR」は2030年開業予定時間軸も相当に離れてます。〉

 大阪万博とカジノは相互に関連がない……? まったくバカも休み休みに言え、という話だ。

 まず、横山市長は「万博とカジノには関連がない」とする論拠として、万博の開催時期とカジノ開業の時期が「相当に離れている」ことを挙げたが、これ自体がとんだ歴史修正だ。というのも、当初、吉村洋文・大阪府知事と松井一郎・前大阪市長は「相乗効果を狙って万博前にカジノを同時にオープン」することを明言していたからだ。

 実際、IRの誘致候補地となっていた夢洲を万博会場候補地に決定した2016年9月、当時大阪市長だった吉村氏は「万博とIRで相乗効果が出せるような仕組みにしていきたい」と発言。相乗効果を狙うために万博開幕の前年である2024年にIR開業を目指し、2019年3月に大阪維新の会が公表したマニフェストでも「2024年には夢洲にIRの開業を実現」と記していた。ところが、工期や国のIR整備計画申請受付の延期などもありIR開業予定時期はどんどん後ろ倒しされ、現在の2030年開業予定となったのだ。

 

 

維新と安倍政権が一体となって進めてきた「カジノありきの万博」


 ようするに、万博の開催時期とカジノ開業の時期が「相当に離れ」たのは、結果論でしかないのである。だいたい、万博経費が上振れするなか、維新の馬場伸幸代表は昨年9月、「税金の無駄遣いとは言えない。万博からIRというレールが敷かれていて、うまくいけば大阪・関西経済に大きなインパクトがある。そこには惜しみなくお金を出していく」と発言したのを横山市長は忘れたのか。

 横山市長のみならず、吉村知事や松井前市長なども、いまでは「万博とカジノはセットではない」といったポーズをとっているが、「大阪万博はカジノのありきの万博」であることは揺らがない事実だ。

 そのことを明らかにするためにも、カジノと万博誘致の経緯を振り返ろう。

 そもそも、大阪へのカジノ誘致計画は橋下徹・府知事時代からはじまっている。たとえば、橋下府知事は2009年、「こんな猥雑な街、いやらしい街はない。ここにカジノを持って来て、どんどんバクチ打ちを集めたらいい。風俗街やホテル街、全部引き受ける」と発言。この発言は当然ながら批判を浴びたが、橋下氏のカジノ誘致への姿勢は変わらず、2013年12月に大阪府・市は「IR立地準備会議」を設置。2014年4月に松井知事はIR予定候補地を夢洲とする意向を表明し、その4カ月後である2014年8月には万博の誘致を表明した。

 一方、万博予定地を決めるために2014年には立地調査がおこなわれたが、候補地としてあがっていたのは花博記念公園鶴見緑地や万博記念公園といった万博跡地、関西国際空港に近いりんくう公園・りんくうタウンといった場所で、夢洲は交通アクセスの不備が指摘されていた。また、翌2015年7月には府や経済界などでつくる検討会が府内6カ所を候補地として選定したが、そこに夢洲は含まれていなかった。

 ところが、2016年5月21日に松井知事が菅義偉官房長官と東京都内で会談し、その場で「会場候補地は夢洲を軸に検討する」と方針を伝達(朝日新聞2016年5月23日)。同年7月22日に開かれた「2025年万博基本構想検討会議 第1回整備等部会」の議事録によると、事務局の担当者が「夢洲は、要は知事の試案ということで、知事の思いということで、この場所で出来ないかということでお示しをした場所でございます」と発言している。

 つまり、大阪万博を夢洲で開催するというのは事実上、松井氏によるトップダウンの決定だったわけだが、松井氏が夢洲にこだわった理由、そして菅官房長官にわざわざ報告をおこなったのは、夢洲がカジノ候補地だったからにほかならない。

 夢洲はもともと廃棄物の最終処分場だったためインフラ整備に巨額の金がかかるが、カジノだけでは税金投入に反対意見が出る。しかし、万博という大義名分を使えば、夢洲のインフラ整備を図ることができる──だからこそ、松井氏は万博誘致を決めたとしか思えないのだ。

 さらに、この「カジノありきの万博」案は、万博候補地を夢洲に据えた2016年5月の松井・菅会談以前から安倍政権と共有がなされていたはずだ。松井氏は著書『政治家の喧嘩力』(PHP研究所)のなかで、2015年の年末に安倍晋三首相と菅官房長官、吉村氏、橋下徹氏とおこなった忘年会において、〈総理にお酒を注ぎながら、一生懸命、持論を展開した〉と記述。「菅ちゃん、ちょっとまとめてよ」という安倍首相の一言で〈大阪万博が動き出した〉と振り返っている。当時、安倍首相が「カジノは成長戦略の目玉だ」としてカジノ合法化に向けて前のめりだったことを踏まえると、カジノありきで万博を推進していくことは暗黙の了解となっていたと考えるのが自然だろう。

 そして、維新と安倍政権が一体となって「カジノありきの万博」が進められた結果こそが、現在の国民負担の増大だ。

 

 

カジノありきで選ばれた万博会場 夢洲の整備に1000億もの公金投入の可能性も


 いま、SNS上では、万博会場の下水処理能力が疑問視され、馬場代表が「汲み取りのトイレが衛生上問題だとは思わない」と言い出したり、吉村知事が「汲み取りはデマ。汲み取りではなく、全て水洗だ」などと火消しに走るなどの騒ぎとなっている。だが、そもそも汲み取り云々の話以前に、万博という期間限定イベントのために下水道をわざわざ整備しなければならないことが問題なのだ。実際、昨年3月8日の大阪市議会での説明によると、下水道整備にかかる総事業費は115億円にものぼるという。

 無論、問題は下水道だけではない。地盤改良に盛り土作業、上水道、電気、道路の整備、地下鉄延伸……。当初、万博会場の候補地として挙がっていた前回の大阪万博跡地である万博記念公園や服部緑地、鶴見緑地などで実施すれば、こうしたインフラ整備にここまでの巨額を投じる必要はなかった。つまり、カジノ誘致ありきで万博会場を決めたばかりに無駄遣いがまかり通り、「トイレは汲み取りになるのか」などの疑念を膨らませることにつながっているのだ。

 今回、「カジノは日常生活を阻害する施設」「大阪万博はカジノのための万博」と批判をおこなった建築家の山本理顕氏は以前、横浜市が誘致を進めていたカジノ計画に対しても「市民を置き去りにしている」「カジノで集客する考えは20世紀で破綻した」とし反対の立場を取り、横浜市が実施したコンセプト提案にもIR事業者に混ざって参加。カジノありきではない〈住む人の生活そのものが観光資源となる場所をイメージ〉した提案をおこなった(毎日新聞2020年10月29日付)。

 一方、大阪カジノは、市民を置き去りにするばかりか、示された民意さえ蔑ろにした。2022年には大阪カジノ誘致の賛否を問う住民投票の実施を求める署名運動がおこなわれ、住民投票実施の条例案を吉村知事に直接請求するために必要な法定数を超えたというのに、維新独裁体制の大阪府議会はこれを否決。松井・吉村両氏は府民の民意を切り捨てた。

 そればかりか、2016年に松井知事は「IR、カジノに税金は一切使いません」と明言していたにもかかわらず、カジノ用地の汚染土壌対策として788億円を上限に大阪市が負担することを決定。IR開業後に施設拡張がおこなわれる場合は追加で約257億円の公費負担が必要だと市が試算しているほか、万博跡地の一部を「国際観光拠点」とするべくIR予定地と同様の対策をした場合はさらに約766億円が必要だと見られている。つまり、夢洲の土壌対策には今後、合わせて1000億円が必要になる可能性があるのだ。

 山本氏による「大阪万博はカジノのための万博」という批判は当然の意見であり、公然の事実だ。しかし、それさえも事実を捻じ曲げた反論にもなっていない反論で浅ましい態度をとる維新。このような連中に、いったい何を任せられるというのか。大阪万博とカジノは、中止一択しかないだろう。
(編集部)

 

 

大阪万博、大丈夫?予言されていた「荒井注」化の危機と見えてきたイヤ~な着地点

 

<新聞15紙を読み比べるプチ鹿島さんが万博のプロセスを検証すると、様々なグダグダの先に「東京五輪」の亡霊が浮かぶホラー展開が見えてきました>

 

 

物事は「プロセス(過程)」こそ大事。結果オーライでいいなら民主主義だって多数決だけでよくなってしまう。だから途中経過や時系列をしっかり味わう。それはニュースの見方でもあるはず。その意味で大阪・関西万博は今まさにプロセスの「博覧会」中。万博開催までの経過、おさらいが欠かせないのである。

 

例えば万博招致に注力してきた日本維新の会の振る舞いはどうだったか。そもそも「維新は万博を『成長の起爆剤』と訴え、大阪を含む関西を中心とした党勢拡大にもつなげてきた」(読売新聞、昨年9月24日)。

私も思い当たるフシがある。昨年4月の統一地方選で大阪の選挙区に密着したのだが、維新の候補者たちが党の実績として万博誘致を誇らしげに語っていたことを覚えている。

しかし昨夏ごろから、税金も投入されている建設費の増加やパビリオンの建設遅れが指摘され始める。すると、「政府・自民と維新の責任の押し付け合いが目立ち始めた」(毎日新聞、昨年9月17日)

そんなバカな。でもこういう変遷を見ておくのが大事なのだ。昨夏からの記事をもう一度見てみよう。

■「荒井注万博」の懸念がまさかの...

「海外パビリオン申請ゼロ 万博協会、建設代行提案」(毎日新聞、昨年7月14日)。

この時点で建設申請ゼロという事態に万博協会には焦りの色が見えるという。私は「荒井注カラオケボックス事件」を思い出した。かつてザ・ドリフターズの元メンバー、荒井注さんが建てたカラオケボックスは入り口が狭すぎて肝心のカラオケ機材が搬入できず伝説となった。大阪万博も本番がどうなるか分からず荒井注万博のにおいがする、と昨年8月に「文春オンライン」に書いた。

すると約半年後の先日、こんなニュースがあった。

「万博のシンボル"大屋根リング"めぐり...建設業界トップが新たな懸念『リングで搬入に制約生じる』」(TBS、2月22日)。

会場の周囲にリング(大屋根)が完成すると、建設用車両の通り道が狭まり、パビリオン建設が遅れる懸念があるという。ああ、まさに荒井注のカラオケボックスではないか。私の懸念は的中してしまったのか?

ちらつく「東京五輪」の4文字
そもそもリングも会場建設費の上振れの象徴的存在となっている。「世界一高い日傘」という声や無駄遣いとの批判が絶えず、整備費も当初想定から2倍近くに増えている。

その昔『リング』というホラー小説があったが、大阪万博では建設費350億円の「リング」がホラーだ。しかし関係者は何ごともなかったかのように開幕の日を迎え、結果オーライを目指すのだろう。だからこそ「博覧会」を注視するのは大事だ。

昨夏の時点で警鐘を鳴らす専門家もいた。「国民もこのような形の巨大イベントに意味はあるのかと思い始めている。このままでは、何となくやって終わり、誰も責任を取らない。東京五輪のようなことが繰り返されるだけだ」(小笠原博毅・神戸大学教授、東京新聞、7月28日)。

「東京五輪」が亡霊のように浮かぶ。何となくやって、誰も責任を取らない......。やっぱりホラーだ。