なんと政倫審の議事録は作らないそうです。
通常、政倫審は非公開で議事録も残しません。
でも、今回は公開した。放送もされた。
で、議事録は作りませんですって?
裏金議員の発言を精査させるとまずいことでもあるのでしょうか。あるんでしょうね。

 

 安倍派の還流の経緯を知り得る立場にいたとして森喜朗元首相への聞き取りも求められたが、首相は「森氏には直接聞いていない」と回答。

 

 

 

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、衆院政治倫理審査会での安倍派幹部の証言の食い違いが、真相解明の焦点となっている。一度廃止が決まったパーティー券の販売ノルマ超過分のキックバック(還流)を継続したことについて、塩谷立元文部科学相と西村康稔前経済産業相の認識が一致しない。6日の参院予算委員会でも野党の追及が続いたが、岸田文雄首相は「党として実態把握に努めているが、現在確認できていない」と明確に答えないままだった。(三輪喜人)
 

◆塩谷氏「還流継続になった」 西村氏「結論出ず」
 1日の衆院政倫審での答弁によると、2022年4月の安倍派幹部の会合で、会長だった安倍晋三元首相が還流廃止を指示。会合には、当時会長代理だった塩谷氏と下村博文氏、事務総長の西村氏、参院自民幹事長の世耕弘成氏、松本淳一郎事務局長=政治資金規正法違反罪で在宅起訴=の5人も参加した。
 

 その場で安倍氏は「現金還付は非常に不透明で疑義が生じかねない」と説明。その後、幹部が手分けをして所属議員に電話し、還流廃止を伝えた。
 

 しかし、所属議員から還流の継続を求める声が多数上がり、安倍氏死去後の8月上旬、5人が再び集まり、還流を巡って協議した。塩谷、西村両氏とも8月に会合が行われたとの証言は合致する。

 

 

 食い違うのは会合の結論だ。塩谷氏は衆院政倫審で、還流復活を協議したのは8月の会合1回だけで「(還流廃止で)困っている人がたくさんいるから、仕方ないぐらいの話し合いで継続になった」と説明した。
 

 一方、西村氏は「その時は結論は出ず、8月10日に経産相となって事務総長を離れた」と主張。後任の高木毅氏も「検討の場に出席したことはない」と関与を否定し、再開は11月に「事務局から聞いた」と述べる。いつ、どの場で、誰が還流再開を決めたのか、責任の所在は不明なままだ。
 

◆首相は昨年「国民の信頼回復に火の玉となって取り組む」と…

 

 

 立憲民主党の小西洋之氏は6日の参院予算委に先立ち、8月会合を巡る認識の食い違いを、首相が塩谷氏らに直接確認するよう求めた。首相は予算委で本人に尋ねたかは曖昧にしたまま「確認できていない」と繰り返した。
 

 安倍派の還流の経緯を知り得る立場にいたとして森喜朗元首相への聞き取りも求められたが、首相は「森氏には直接聞いていない」と回答。正面から答えない首相に対し、小西氏は「火の玉の決意というのは、線香花火程度の決意ではないか」と皮肉った。

 

 

主張
予算委・裏金論戦
組織的犯罪に無反省浮き彫り

 

 日本共産党の田村智子委員長は5日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー収入をめぐる裏金事件が紛れもない組織的犯罪であることを明確に示し、徹底した事実解明と金権腐敗の根である企業・団体献金の全面禁止を求めました。しかし、岸田文雄首相はあくまで犯罪とは認めず、企業・団体献金の温存に固執し、事件にまったく無反省な姿勢を浮き彫りにしました。

「定義は承知しない」
 田村氏は質疑で、裏金事件の違法性を以下の3点にわたり明らかにしました。

 ▽自民党の全議員対象のアンケートの「調査結果」(2月13日)は裏金について「一部の派閥が(パーティー収入の)還付金を収支報告書に記載しないよう所属議員等事務所に指導していた」と述べています。総務省は、政治資金規正法は故意に収支報告書に記載しなかった場合、5年以下の禁錮または100万円以下の罰金を定めていると答弁しました。派閥が記載するなと指導したことは犯罪を指導したことになります。

 ▽自民党の議員への「聞き取り調査」の報告書(同15日)は、裏金(還付金)を議員本人が管理していたのは12人としています。自分の口座で管理していた議員もいると報じられています。国税庁は、確定申告に所得を含めず所得税を免れた場合、10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金となると答えました。所得隠しも悪質な所得税法違反です。

 ▽アンケートの「調査結果」によると、裏金が参院選の年だけ膨れ上がっている議員が多数います。総務省は、公職選挙法によると、候補者の選挙運動への寄付、支出について選挙運動費用収支報告書に虚偽の記入をした場合、3年以下の禁錮または50万円以下の罰金になると答弁しました。裏金が選挙運動に使われていれば公選法違反の重大な疑惑になります。

 ところが、岸田首相は「組織的犯罪という定義は承知していない」と繰り返し、犯罪だという認識を一切示しませんでした。こういう態度では真相の究明は到底できません。公開での政治倫理審査会の開催、予算委員会での徹底審議、証人喚問などが不可欠です。

 政治資金パーティーは、政治家個人や派閥に対して禁じられている企業・団体献金の抜け道に他なりません。田村氏の調べによると、岸田首相の資金管理団体の2018~22年の収入約7億円の94%、約6億6千万円がパーティー収入となっています。首相が「(パーティーには)多くの企業にご参加いただいている」と答弁したように、パーティーという抜け道を使えば、企業・団体から多額の資金を集められることを示しています。

「透明性」繰り返すだけ
 「この抜け道を最大限利用して巨額のカネを企業・団体から集めて裏金にしたことが、(今回の)事件の本質」(田村氏)です。金権腐敗の根を断つには、パーティー券の購入や、政党や政党支部に対するものも含め、企業・団体献金の全面禁止が必要です。しかし、首相は「企業・団体献金の透明性を高める」と繰り返すだけでした。

 田村氏が指摘したように、企業・団体献金はカネの力で政治を動かそうとするもので、国民の参政権の侵害です。その廃止に背を向けることは許されません。

 

説明責任 議員任せ
自民が運動方針案

 

 

説明責任は議員任せ。
「裏金」とは決して言わず。
「組織的犯罪」とは決して認めず。
「憲法改正」だけは明記する。
これで「真摯に反省」とは空々しいにもほどがある。

 

 自民党総務会は5日、2024年運動方針案を了承しました。政治資金パーティーを巡る裏金事件について「真摯(しんし)に反省し、国民に深くおわび申し上げる」「解体的に出直す覚悟」とする一方で、「国民への説明について所属議員や政策集団に対し、すみやかに説明責任をつくし政治責任を果たすことを求める」などと、議員・派閥任せにすることで、党としての責任をあいまいにしています。

 運動方針案は、党内の「運用面」での対応として派閥の政治資金パーティーを禁止します。裏金事件を「不透明、不適切な会計処理」と矮小(わいしょう)化し、同党政治刷新本部の「中間とりまとめ」(1月)での「現行の法律ですら遵守(じゅんしゅ)されていなかった」との認識よりも後退しています。

 改憲について同案は、「昨年、衆院憲法審査会において『緊急事態に関する論点』が取りまとめられ、自衛隊明記についても多くの会派から賛意が示されている」などとして、「本年中にわが党の党是である憲法改正の実現のため、国民投票を通じ、主権者である国民の判断を仰ぐことを目指す」と執念を示しています。

 また、次期衆院選挙に向けて「常在戦場を改めて肝に銘じる必要がある」「党一丸となり勝てる態勢の構築に力を注ぐ」と強調。裏金事件で無責任を極める一方で、総選挙では優位に立とうという傲慢(ごうまん)な姿勢をあらわにしています。