これだけトイレに注目が集まる万博も無いだろう。
異臭漂う維新らしいといえばそうなのだが。

 

新国立問題のときの磯崎さんの登場や、築地市場問題のときの伊東豊雄さんの改修案もそうだが、大阪万博問題のさなかに理顕さんがプリッツカー賞受賞と、ドラマチックやなあ。

 

2億円トイレの不条理

国民は、能登地震から2カ月がたってもトイレを使えない被災地の惨状を目の当たりにしている。高額トイレ工事を含む会場整備費は当初から約2倍の2350億円にまで膨らみ、国民に広く負担を求めている。大阪万博は反感の対象になった。

 

 

 

 

 鬱々(うつうつ)たる空気がこの国を覆う中で万博関係者は「復興を後回しにすることはない」と軽く言う。トイレ棟に投じる経費で能登にトレーラー型トイレを贈り、それを万博会場で連帯の証しとしてリユースする―復興優先というならこんな案に変えてもよかった。

 万博の歴史に詳しい名古屋学院大の小林甲一教授は「万博運営側は当初のお祭り気分のまま続けてきたが、世の中は(震災や物価高騰で)急速に変化し、感覚の違いが顕在化した」との見方を示す。

 お笑いの本場だからといって、いつまでも大喜利の冷笑で済まされるわけはない。人心は確実に離れている。

 

大阪・関西万博へ向けて 「ミャクミャク」刻まれた記念硬貨の製造スタート 
すごーい!14倍もする硬貨!

 

 

吉村洋文

万博オランダ館が起工式 閉幕後は日本国内で移設・再利用を検討 躯体などは10月に完成
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 大阪・関西万博の「2億円トイレ」が話題になっている。「高すぎる」という意見と、規模を考えれば「妥当だ」という声も。このトイレについては他でも話題になっている。吉村洋文・大阪府知事は3月4日、自身のX(旧ツイッター)で、さまざまな「デマが流されている」として、「くみ取り式ではないか」との指摘について「水洗だ」と否定している。建設費増やパビリオン建設の遅れなどの問題が出てくる万博だが、今回はトイレだ。

 

《万博トイレが2箇所だけ、1日入場者16万人中8万人分が汲み取りになるとかデマが流されているので、説明します》

 日本国際博覧会協会(万博協会)の副会長でもある吉村知事は4日、Xにそう投稿した。

 吉村知事によると、万博のトイレは全体で40カ所、1日最大1万1千立方メートルの下水処理が必要と想定しており、これに対し、1日最大1万9千立方メートルの下水整備をするとしている。そして、「くみ取りではなく、全て水洗です」と強調した。

■自見万博相「高額とはいえない」

 そもそも、トイレがこれだけの話題になったのは、万博で設置される40カ所の公衆トイレのうち、8カ所がコンペで選定された若手の建築家が手掛ける「デザイナーズトイレ」となることからだった。このうち5カ所は落札済みで、万博協会の資料によれば、契約金額は便器13個の最小規模で約7千万円、便器50~60個の最大規模で約1億8千万~1億9千万円となっている。

 万博はすでに、当初の1250億円から2350億円に建設費が高騰し、批判を浴びているなかでの「トイレに2億円」に、SNSなどでも「高すぎる」といった批判的な声が多く上がったり、野党の国会議員からも指摘されたりして大きく報道された。

 自見英子万博相は、2月20日の記者会見で「2億円トイレ」について聞かれると、

「建築家が設計するので、アート、美しさも考慮している。8カ所のうち2カ所は約2億円で契約しているが、大規模な公衆トイレ施設で高額とはいえない」

 と述べた。

 

 さらに、コストカットについて問われると、

「コストも考慮した選定になっている。費用の適正性もモニタリングをしている。国民への説明責任もあり、政府として管理監督をしたい」

 と説明するにとどまった。

 吉村知事が同日、「建築家がトイレに魂も吹き込んでいます」と発言すると、立憲民主党の蓮舫氏は、

《吉村知事、大丈夫かしら。コスト単価、建設費用の比較表や必要性を明らかにして納税者を説得させるのではなく、精神論ですか》とXにつづった。

 吉村知事は、

「8つのトイレは若手建築家の技術、価値観などの要素を採り入れたもの。2億円かかるというが、公共施設の平米単価でみれば大きく変わりません。2億円で1つのトイレというのであれば高いと思うが、便器が50~60個ある大規模なもの」

 として適正価格との認識を示している。

■業者はイメージダウンを心配

 こうした動きに、大阪府のある幹部はこう打ち明ける。

「万博はパビリオンが目玉で、トイレを見に来るものではないなど、厳しい意見も府民から寄せられている。確かにデザイナーズトイレにしなければ、もっと予算が削減できるのは事実。これまでパビリオンの建設費や工期の遅ればかりがニュースになっていたので、トイレまでが批判の対象になるとは思いもしなかった。吉村知事もかなり気にしているようで、夜遅くまで新聞やネットニュースで2億円トイレの記事をチェックしています」

「2億円トイレ」を受注しているある施工業者の関係者に聞くと、

「パビリオンがどうなるのかと言われていたのが、今度はトイレ。こちらは万博協会や建築家の図面通りに建設するだけです。この規模でやれば2億円はかかると思いますよ。会社の幹部は『2億円トイレを受けたばかりにイメージが悪くならないか』と心配していました。正直、万博はどんな仕事をしてもたたかれるので、やりたくないですね」

 と本音を漏らした。

 

 建築エコノミストの森山高至氏は、

「トイレに2億円と、万博は相変わらずコスト意識に欠けます。万博は半年だけの開催なのでレンタルでも十分ではないか。若手建築家にこそパビリオンの設計をやってもらうべきだ」

 と指摘する。

■「さすが日本というトイレに」

 また、パビリオンの設計をしている建築家は、

「(トイレの設計に)選ばれた建築家の面々を見ると、かなりの腕利きがそろっている。吉村知事は『若手建築家』と言っていたが、実力派という表現のほうが的確ではないか。すでに公衆トイレで評価が高いものを世に送り出している建築家も含まれている。トイレなので、パビリオンのような斬新さや創造性などを優先してはいけない。いくらデザイナーズトイレといっても機能性、使い勝手が最も重視され、予算がかなり制約されるのは当然。かかった費用に見合うのかは、来場者が判断すればいい。日本のトイレがきれいなことは世界的にも有名なので、『さすが日本』というトイレができるかどうかではないか」

 と話した。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

 

 

<視点>2億円トイレの本質 心が離れてしまった万博 編集委員・久原穏

 
 募っていたが、募集はしていなかった―。
 
 4年前の国会審議。「桜を見る会」問題で、地元事務所が後援者らに参加を呼びかけたかを追及された安倍晋三首相(当時)は珍妙な答弁をした。交流サイト(SNS)で炎上、いわゆる大喜利状態となり「答えているが、答弁はしていない」「不都合な部分は隠したが、隠蔽(いんぺい)はしていない」などと揶揄(やゆ)する投稿があふれた。
 
 こんなことを思い出したのも、大阪・関西万博を巡って同じような状況が生まれ、大喜利のネタに事欠かないからだ。典型的なのは万博会場につくるトイレ。競争入札にかけた8棟のうち未契約を含め3棟が約2億円と分かり、SNSには揶揄する以上に「半年間の会期のためにぜいたくすぎる」「トイレが使えない能登の被災者を思うと怒りしかない」と批判が目立った。
 
 日本国際博覧会協会の広報部は「若手建築家が手がけるデザイナーズトイレで、機能性やリサイクルを考慮している」と説明。斎藤健経済産業相は「高すぎるとは思わない」と抗弁したものの、トイレの詳細が明らかでないため価格が妥当かは判断できない。
 
 だが、大事な論点はそこではない。高額トイレ工事を含む会場整備費は当初から約2倍の2350億円にまで膨らんでいる。国が3分の1を負担するため、万博に全く関心がない人や行きたくても行けない人も含め、国民に広く負担を強いる。コスト節減の姿勢が感じられず、湯水のごとく税金を使っているように映るから反発を招く。
 
 東京都営地下鉄がホームドア設置工事で従来の無線方式から2次元コードを読み取るだけの簡易式に変え、20億円と想定したコストがわずか270万円で済んだと最近報じられた。こうした知恵や工夫を凝らしてこその万博であってほしいと思う。
 
 もう一つの大事な点は、能登半島地震の被災住民への思いが離れてしまったかのような万博関係者の言動である。
 
 国民はメディアを通じ、地震から2カ月がたってもトイレを使えない被災地の惨状を目の当たりにしている。震災は決して人ごとではないと多くの人が感じ、胸を痛め、被災者に思いを寄せる。
 
 鬱々(うつうつ)たる空気がこの国を覆う中で万博関係者は「復興を後回しにすることはない」と軽く言う。トイレ棟に投じる経費で能登にトレーラー型トイレを贈り、それを万博会場で連帯の証しとしてリユースする―復興優先というならこんな案に変えてもよかった。
 
 万博の歴史に詳しい名古屋学院大の小林甲一教授は「万博運営側は当初のお祭り気分のまま続けてきたが、世の中は(震災や物価高騰で)急速に変化し、感覚の違いが顕在化した」との見方を示す。
 
 お笑いの本場だからといって、いつまでも大喜利の冷笑で済まされるわけはない。人心は確実に離れている。
 
 

 万博は野放図がいい。落合陽一君たちが好き勝手に突き抜けちゃえばいいのだ。

 
このおっさん大丈夫か??猪瀬直樹!こんな頭のネジが数本ぶっ飛んだ人間が集まって維新という集団は成り立っている。
 
 
今日は日帰り出張で万博視察でした。いま帰りの新幹線車中でこれを書いています。

 新大阪からタクシーで高速利用で30分、大阪府咲洲庁舎に集合、維新の国会議員参加40人のための企画です。そこから貸切バスで10分、海底トンネルを抜けて万博会場の夢洲へ。
 バスは建設中の大屋根リングに着いて、ヘルメットを配られ、細い足場階段を登ります。12メートル、3階分です。リングは段差があり、外側は高さ20メートル、内側が12メートル。1周すると2kmになるからランニングできるな。いま6割が完成している。

 ここからが問題。12メートルだから建設中の万博のパビリオンの工事の風景がよく見える。万博協会のトップ・石毛事務総長から説明を受ける。
 僕は、「あそこの亀の甲羅のように見える屋根の建物を近くで見たい」と言うと、「工事中ですので、できません」の一点張り。役人は融通が利かない。
「東京から往復6時間を費やして来ているのに、このリングに登っておしまいなんて何考えてんだ!」と少し怒ってみせた。その結果、工事現場を避けながらバスで会場を一周できました。写真etc

 この石毛さんという人、経済産業省経済産業審議官(事務次官と同格)の後,ジェトロ理事長、そして万博協会事務総長に収まった。無難なエリート役人ですね。
 ただ万博は世界150カ国が参加する。そういう交渉を担うには大阪府・市ではできない。やはり経産省の組織力がものをいうので、石毛事務総長が誕生したようです。
 そもそも2018年11月にパリ(辞退)とロシアのエカテリンブルクとアゼルバイジャンのバクーが立候補し、大阪に決まったわけだが、根回しに経産省の力を借りなければならなかった。言い出しっぺの堺屋太一(誘致決定の3カ月後、力尽きて83歳没)も経産OBだしね。天下りだからと全否定するわけにいかない事情もある。

 なお2030年万博は、ロシアのモスクワもウクライナのオデーサも候補だったが戦争中で失格となり、韓国の釜山、イタリアのローマ、サウジアラビアのリヤドが争い、昨年11月、リヤド圧勝で決まった。

 事務総長にリーダーシップがないから、かえって自由な感じでプロデューサーが決まったよさもあるのではないか。写真、
 落合陽一君たちが好き勝手に走っちゃえばいいのだ! そのあたり東浩紀君は意外にステレオタイプの批判のような気がする。何でもアリで野放図で逆説、それしか所詮、未来なんて見えない。そもそも万博っていう祝祭空間は19世紀からそんな歴史だったように思われる。