岸田内閣の支持率が政権発足後、過去最低だった先月の調査からさらに0.8ポイント下落し、22.9%だったことが最新のJNNの世論調査でわかりました。これで5か月連続で過去最低を更新したことになります。

不支持率も先月の調査から0.2ポイント上昇し、74.4%で過去最高となりました。不支持率についても3か月連続で過去最高を更新しました。

また政党支持率では▼自民党の支持が前月の調査から0.3ポイント上昇し、24.7%、▼立憲民主党は2.1ポイント上昇し、7.1%、▼日本維新の会は1.2ポイント下落し、4.0%でした。

【調査方法】
JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。

3月2日(土)、3日(日)に全国18歳以上の男女2581人〔固定975人、携帯1606人〕に調査を行い、そのうち47.0%にあたる1212人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話606人、携帯606人でした。

インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。

 

 

“岸田おろし”回避への奇策とは? 「退陣前に麻生副総裁に引退を迫り、局面を打開すべき」

 
 自民党派閥の裏金事件で政府・与党に逆風が吹きつける中、永田町は「岸田文雄総理が令和6年度の予算成立後に衆院解散に踏み切る」とのうわさで持ち切りだ。
 
「このタイミングで解散しなければ、9月の総裁選の際に麻生・茂木連合に引きずり下ろされますよ」

 と言うのは政治部記者。

「昨年10月、総理は唐突に所得減税を表明。事前に相談されなかった麻生(太郎副総裁)氏は激怒し、総理交代論に傾いたとか」

 岸田総理には“後見人”たる麻生氏がヘソを曲げる振る舞いが他にもあった。

 麻生派幹部が解説する。

「宏池会の解散についても、総理は麻生さんに相談しなかった。麻生さんは周囲に“俺はポピュリストじゃない”と総理を揶揄し、一方で上川陽子外相を“あのオバさんは大したもんだ”と持ち上げ、暗に総理の交代を示唆した。これに総理は不快感を示し、二人の関係は修復不可能なレベルまで悪化している」

 別の幹部はこんな意見だ。

「麻生さんの支持を失った岸田が、総理の座にあり続ける道はただ一つ。総裁選前に解散・総選挙に打って出て勝利し、その勢いに乗って総裁選に臨むこと。具体的な時期は、政治資金規正法改正にメドがついた後。6月が剣が峰だ」

政治資金規正法の改正の行方は…
 とはいえ政権支持率は低迷中。4月の衆院3補選で負け越せば“岸田おろし”が始まるとの声が伝わる。

「細田博之前衆院議長の死を受けた島根1区はさておき、買収容疑で柿沢未途氏が逮捕された東京15区、裏金事件で谷川弥一氏が辞職した長崎3区の情勢は芳しくない。麻生さんと気脈を通じて、ポスト岸田の座をうかがう茂木敏充幹事長のサボタージュで、東京と長崎は不戦敗となる可能性すら指摘されているからね」

 岸田総理が“火の玉となって取り組む”と宣言した政治資金規正法の改正について、麻生・茂木連合は“抵抗勢力”と化している。

「仮に政治改革が骨抜きになれば、政権は世論の支持を得られずジ・エンド。総理は衆院を解散できないまま、退陣に追い込まれることになるだろうな」
 
“ドリル優子”のあしきイメージ
 一方で岸田派のベテラン議員は次のように指摘する。

「そうなる前に決断するしかない。補選の実施前に解散すれば、補選は総選挙に吸収される。そこで政治改革に後ろ向きな茂木幹事長を交代させ、麻生副総裁には引退を迫る。麻生派と茂木派が抵抗するなら“守旧派”と名指しして選挙区に刺客を差し向けてもいい。小泉純一郎元総理ばりの、“岸田劇場”で局面打開を図るべきだ」

 その場合、選挙を指揮する幹事長には誰を置くのか。

「後継には小渕優子選対委員長や森山裕総務会長の名が挙がっているが、政治改革が争点となる次期選挙の顔にはイマイチ。小渕には過去の政治資金規正法違反事件で“ドリル優子”とのあしきイメージが定着しているし、森山は78歳のご老人。いずれも清新さをアピールするのは難しい」

 さらに続けて、

「国民的に人気が高い石破茂元幹事長を再登板させる手もある。総理と石破は石原伸晃元衆院議員や中谷元元防衛相と年に4回の会合を持つ“四季の会”のメンバーで、いまも関係は悪くない。麻生と犬猿の仲にある、菅義偉前総理を副総裁に迎えるというサプライズもあり得るよ」

 またもコップの中の争いが始まった。

「週刊新潮」2024年2月29日号 掲載
 
 

衆院補選「自民0勝」の可能性

 
「あと2か月しかないのに、どうするのだろう三つの補選で0勝なら岸田降ろしどころでは済まない。即退陣だろう」――2月末のある日、自民党本部である幹部がそうつぶやいた。

目線の先にあるカレンダーの4月28日には大きな赤い丸印。衆議院の補欠選挙の投開票日である。

◆   ◆   ◆

補選が予定されているのは、衆院が細田博之元衆院議長の死去による島根1区と公選法違反(買収)で立件された柿沢未途被告の東京15区、裏金疑惑で辞職した元衆議院議員谷川弥一氏の長崎3区である。

東京15区、長崎3区は自民党議員に絡む刑事事件が発端となっており、「自民党の議員が事件を起こして議員辞職しているので、不戦敗という意見が大勢だった。すでに候補者が決定済みの島根1区に続き、東京15区と長崎3区は公募となった」(前出・自民党幹部)

しかし、補選まであと2か月となったこところで、今から公募して間に合うのかという意見が続出。長崎3区は候補者擁立を断念、東京15区も保守系無所属の候補者がいれば支援という、事実上の「不戦敗」となりそうだ。支持が低迷し、打つ手がない岸田政権は、息詰まり状態に陥ったと言えるだろう。

方針が二転三転する背景には、自民党にとっては盤石だったはずの、島根1区の危ない状況がある。

自民党は細田氏の後継を決めるため、早々と公募を実施。中国財務局長などの経験がある財務官僚、錦織功政氏の擁立を決めた。野党・立憲民主党は、出馬を表明している亀井亜紀子元衆議院議員を公認しており、与野党一騎打ちとなる見込みだ。

島根県は保守王国として知られ、竹下登元首相とその実弟、竹下亘元総務会長、青木幹雄元官房長官らを輩出してきた。細田氏も党幹事長や衆議院議長といった要職を歴任。小選挙区制になってからは、9回連続当選というダントツの強さを誇ってきた。

しかし、晩年の細田氏は旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)との親密な関係や女性記者へのセクハラ疑惑とスキャンダルまみれ。晩節を汚す格好となっていた。

そこへ、安倍派の裏金事件が直撃。2021年に衆議院議長に就任するまで同派を率いていた細田氏にも、疑惑の目が向けられることになった。東京地検特捜部の立件対象となったのは、大半が安倍派になる前の「細田派」時代に起因するもの。島根自民党にとっては強い逆風だ。

おまけに相手の亀井氏は、衆議院と参議院で1期ずつのキャリアがある強敵。殿様の家系でもある「亀井」は島根の名家で、父の亀井久興氏は国土庁長官として閣僚も務めた人物である。知名度十分の野党候補に、苦戦が予想される。

「統一教会、セクハラ、裏金と続いた細田さんのスキャンダルで、すっかり自民党への支持も低迷。世論調査でも一定の知名度がある亀井氏がややリードという数字まであるほどだ。楽勝ムードから一転。ヤバイ情勢になってきた」(自民党の島根県議)

そうした背景もあり、三つの補選すべてで候補者を擁立しようとしていた岸田首相は、島根での1勝に全力をあげるため長崎3区と東京15区の戦いを放棄せざるを得なくなった。

自民党が不戦敗を決めた東京15区を巡っては、東京都の小池百合子知事が、お得意の「サプライズ」で国政復帰するのではないかとの情報が燻っている。自民党が撤退となれば政局はさらに流動化し、政権基盤を揺るがしかねないのだが、ある都庁幹部は小池氏の国政復帰を否定する。
「知事には都民ファーストの基礎票がある。ところが衆議院に転出すると、その地盤が崩壊しかねない。また小池氏の最大の理解者である二階俊博元幹事長が裏金事件で権勢を失っており、自民党と組もうにも相手がいない。今年7月の都知事選で3選を目指すのが現実的ですよ。国政復帰はない」

自民党にとって東京15区は鬼門。柿沢被告の前に議席を有していたのは、贈収賄事件で捕まった秋本司被告で、1審で有罪判決を受け控訴中だ。東京地検特捜部は東京15区の自民党衆院議員を、連続して塀の向こうに送り込んだということになる。

2021年の衆議院選挙では、柿沢被告と今村洋史氏(現衆院東京9区支部長)がともに無所属で出馬。勝った柿沢被告が追加で自民党公認となった。落選した今村氏も裏金事件で220万円のキックバックが発覚。おまけに受け皿の政治団体が2年連続で政治資金収支報告書を期限まで提出せずに強制解散となるお粗末さだ。

自民党の江東区議が、次のように嘆く。
「政権与党である自民党の支部長は魅力あるポストですが、東京15区の江東区だけは別世界。出馬する人が業者からカネをもらう、選挙でカネをばらまく、政治資金のカネは裏金にするなどめちゃくちゃ。柿沢被告の事件に至っては、自民党の元区議まで選挙買収の共犯に問われているわけです。自民党の看板で出馬というだけで、石を投げつけられかねないほど酷い情勢となっていて、我が党の国会議員は猛省すべきです」

直近の世論調査の数字では、支持率20%台にも届かない惨状の岸田首相。「補選1勝2不戦敗」で延命を図るつもりだろうが、「1敗2不戦敗」となれば退陣絡みの大きな政局となることは必至だ。