さよなら自民党政治。

 

 日本共産党の宮本徹議員は2日の衆院予算委員会で、自民党派閥のパーティー収入をめぐる裏金事件で新たに麻生派で元万博担当相の井上信治衆院議員が派閥の政治資金パーティーのキックバックを政治資金収支報告書に記載せず裏金にしていたとスクープした「赤旗」日曜版報道(3日付)を示し、自民党全議員を対象に改めて徹底調査するよう求めました。

 井上氏は2018年の収支報告書に派閥からのキックバック458万円を記載していませんでしたが、18年以降の5年間についての自民党の「全議員調査」で収支報告書への「不記載」等があったのは、安倍派と二階派の議員だけで、井上氏の名はありません。

 宮本氏は「井上議員は『全議員調査』にうその報告をしていたことになる」と指摘し、麻生派も含む徹底調査を要求。岸田文雄首相は「党のアンケートとの食い違いについては、党として確認する」と応じました。

 宮本氏は、麻生派では18年以降、派閥から所属議員への寄付が毎年収支報告書に記載されるようになったが、17年以前はそのような記載がないと指摘。「17年以前に麻生派で裏金づくりが行われていた疑念がわく」と強調し、自民党として18年以降の5年間に限定せず、過去にさかのぼって調査するよう迫りました。

 岸田首相は、資料が存在しないなどとして「5年は合理的だ」と言い逃れを図りました。

 宮本氏は「真相究明に後ろ向きなのは、これ以上事態が明るみに出るのを避けようとしているとしか思えない」と批判しました。

 

 

 
参院選に裏金疑惑 究明必要 遅れる被災者支援「国が総力を」 NHK「日曜討論」 井上氏が主張
 
 日本共産党の井上哲士参院議員は3日、NHK「日曜討論」で、4日からの参院の予算審議の焦点となる自民党の裏金問題や能登半島地震の被災地支援について各党の代表と議論しました。井上氏は、裏金が参院選に使われた疑惑を指摘し「参議院の役割が本当に問われている」と主張。被災者支援については政府の支援の遅れを指摘し、「住民に希望を与える支援」を求めました。(関連記事)

 井上氏は、衆院政治倫理審査会(政倫審)について、「『調査』結果を繰り返すだけの総理、5人の元派閥の事務総長も全く事実を明らかにする姿勢がない。そして、組織的な裏金づくりについての違法性の認識もない」と批判し、「到底国民は納得できない」と強調。「誰がいつ、どのような理由で行って、何に使われたかをしっかり説明することが必要だ」と述べ、ウソをつけば偽証罪に問われる証人喚問が必要だと主張しました。

 井上氏は、日本共産党が参院に提出したパーティー券を含む企業・団体献金の禁止と政党助成金の廃止法案を紹介。「自民党はいつまで(企業・団体献金に)しがみつくのか」と批判しました。司会から企業・団体献金禁止について質問された自民党の松山政司参院幹事長は「企業献金も含めて(野党との)協議の場をつくりたい」と禁止に踏み込まない姿勢を示しました。

 能登半島地震の被災地支援について井上氏は、被災から2カ月が経過したが、「避難所の改善、生活再建、なりわいの再建など、行政の取り組みが遅れている」と指摘。「総理の答弁には、危機感が感じられない」と批判し、「国が総力を挙げることが必要だ」と強調しました。

 生活再建を進めるために、罹災(りさい)証明の迅速な発行や上下水道などのインフラの復旧、仮設住宅の確保の問題などをあげ、「さらに人的財政的支援を強めること」を求めました。井上氏は、与党が予算強行の理由に「能登地震対策」をあげたのに対し、2024年度予算案には、肝心の被災者生活再建支援金の倍増が盛り込まれていないと指摘し、法改正を求めました。

 
きょうの潮流
 「さよなら自民党」と題した特集が雑誌『世界』の3月号で組まれています。派閥や世襲、裏金。政治腐敗をくり返す政党の自浄作用には期待できないとすれば、われわれ主権者が選挙によって鉄槌(てっつい)を下すしかないと
 
▼「責任を逃れるために無能であると世間にアピールする政治家を見て、怒り、呆(あき)れ、蔑(さげす)み、哀れみ、悲しみ、色々な感情が行き交う」。政治学者の三浦まりさんは、秘書や会計責任者のせいにして逃げる醜い姿に
 
▼清水の舞台から飛び降りる覚悟で―。政倫審に出席した岸田首相をたたえる声がメディアから上がりました。自身も「先頭に立って改めるべきは改めていく」と
 
▼実際はどうだったか。範を垂れたのは裏金問題の解明に背を向けること。自民党の総裁として説明責任を果たすどころか、疑惑隠しに徹する。安倍派幹部らも右にならえと知らぬ存ぜぬを決め込みました
 
▼リーダーシップをとったのは政倫審を踏み台にした予算案の強行でした。しかもそれは過去最大8兆円もの軍事費を盛り込む一方で、物価高騰で苦しむ生活には追い打ちをかけるもの。審議を求める野党の訴えには耳を貸さずに
 
▼企業からの献金で裏金をつくり、財界の意にそった政治を行う。自民党がこの問題に踏み込めないのは、みずからの存在意義にかかわるからでしょう。「一人ひとりの粘り強い抵抗だけが、金権政治からの脱却を現実のものにしていく」と三浦さん。市民や野党議員が集まった国会前でも響いています。さよなら自民党政治。