2022年のノーベル平和賞を受賞したロシアの人権団体「メモリアル」の幹部だったオレグ・オルロフ氏に対し、モスクワの裁判所は27日、ロシア軍の信用を失墜させる情報を繰り返し発信したとして、禁錮2年6カ月を言い渡した。タス通信が伝えた。ウクライナ侵攻2年を迎え、プーチン政権は批判を封じる姿勢を一段と強めている。

 

 ロシアメディアによると、オルロフ氏は昨年11月、SNSに「彼らはファシズムを望み、それを手に入れた」という記事を投稿した。こうした情報発信が罪に問われていた。

 オルロフ氏は判決後、「この判決は、私の記事が真実だと示した」と支持者らに話した。裁判は米国のトレーシー駐ロ大使らが傍聴した。同氏の弁護士は控訴するとみられる。オルロフ氏は昨年10月に罰金15万ルーブル(約24万円)の有罪判決を受けたが、同12月、「軍人への敵意と憎悪が動機だ」として審理が差し戻されていた。

 メモリアルはソ連時代の1987年に設立され、政治的抑圧や人権侵害に目を光らせてきたが、2021年12月にロシア最高裁に解散を命じられた。オルロフ氏は新しく設立した「メモリアル人権擁護センター」の共同議長を務めている。

 

 

 

 

維新高橋氏、クルド人危険視発言 国会質疑で「一斉取り締まりを」

 
こんな差別主義者が、なぜ国会議員になれるのか?維新らしい!
 
 
 日本維新の会の高橋英明衆院議員が国会質疑で、埼玉県の在日クルド人コミュニティーを念頭に「ちょっとひどい状況だ」「早急に一斉取り締まりを」などと危険視する発言をしていたことが27日、分かった。「不確かな情報を基にした国会議員による外国人差別だ」と専門家も批判している。
 
 高橋氏は26日、クルド人への直接的な言及を避けながら「川に遺体が二つ浮いている事件があった」と治安の悪化を主張。「特に仮放免の方。しっかり管理していただきたい」と、犯罪者と同一視するような発言もあった。

 埼玉県の新芝川で8日に男性2人の遺体が発見されたが、武南署によると外国人が関与した事実は出ていないという。

 

ドイツ極右、移民200万人を北アフリカに強制移住させる計画が暴露される

 
日本も例外ではない。国会議員が平気で人権蹂躙、差別発言を平気でしでかし何ら反省をしなかばかりか、平然と次から次へと抗議を嘲笑うかのように発言を続けている。コメンテーターが意識的に全く根拠のない反共発言をしても垂れ流しの状態。同じ現象が起きているのである。
陰謀論や極右といった現状を否定し、暴力によって変更しようとする勢力は不満が鬱積した社会に多く生まれてくる。満たされた平和な国は世界で少なく、状態が悪い国ほど反主流派勢力が生まれやすい。また、満たされた平和な国であっても、満たされず見捨てられた層の人々が存在する。こうした人々は現状を否定し、暴力によって変更しようとする勢力に惹かれる。欧米の多くの国の反主流派はこうした人々によって支えられており、彼らを支持層とする極右政党やポピュリストが拡大する素地となっている。
 
 
ドイツの極右政党AfDへの抗議と民主主義の保護を求めるデモ 2月25日ハンブルク REUTERS/Fabian Bimmer

<ヨーロッパ各国で農家の抗議活動が広がり、ドイツでは首都機能が麻痺する事態に。気候変動基金資金不足による補助金廃止が引き金となり、生活費上昇や気候変動対策への不満が背景にある。極右勢力がこれに乗じて支持を伸ばし、移民問題や政治不信が深刻化している......>

ヨーロッパに広がった農家の抗議活動
日本であまり報道されていないが、ヨーロッパで農家の抗議運動が広がっていた。フランス、ギリシャ、イタリア、ポルトガル、ポーランド、スペインと野火のごとく燃え広がっていた。ドイツでは首都ベルリンの都市機能が麻痺する事態にまでなり、郊外の高速道路入り口と主要幹線道路は封鎖された。ただし、現地の市民たちには大きな反発はなく、支持している人が多いようだ。おそらく政府への不満を共有しているのだろう。
 
理由はいくつかある。ドイツでは気候変動基金に回す資金が足りなくなったことから70年以上続いていた農業用ディーゼル車に対する減税および補助金を廃止する決定をしたことがきっかけとなった。しかし、それだけが理由ではない。なぜなら今回廃止される補助金はそれほど多くの農家に影響を与えない。多くの農家が抗議活動を始めた背景には、生活費の上昇、気候変動への対処、移民問題、ウクライナ問題などさまざまな不満が鬱積していたことがある。さらに農家だけではなく、多くの市民に不満が広がっていたため、大規模な抗議運動への反発もほとんどなかった。
 
農家の反発は今年突然始まったわけではなく、2019年オランダでは、窒素排出量の規制のため政府が農場の閉鎖や飼育頭数の削減を行おうとして、農家から激しい抗議が繰り返された。2023年ベルギーでは同様の規制に対する抗議でブリュッセルにトラクターが押し寄せた。ヨーロッパ全土に広がる抗議活動をグローバリゼーションへの強烈な反対ととらえる識者もいる。

混乱に乗じる極右勢力
こうした御乱に乗じて支持を伸ばそうとしているのがドイツの極右政党AfDに代表される極右勢力である(なお、AfD自身は極右とは言っていない)。AfDにくわえて、The Third Way、The Free Saxons、The Homeland、クーデター未遂事件で世界的に有名になったも農家の抗議活動に参加している。

最近、世論調査で支持率2位に上昇したAfDは核となる主張を持たず批判に明け暮れていることは昨年ので紹介されていたとおりだ。今回も網領に補助金廃止を謳っているにもかかわらず、補助金廃止を批判して農家の抗議活動を支持している。

昔のイデオロギーを優先する考え方からすると、ありえないと思うが、近年重要なのは「現在の体制への不満、怒り、批判、そして破壊」であり、そのあとのことや、思想は後付けでいいことになっている。そのため今回の抗議活動には極右の勢力、陰謀論、ポピュリストがこぞって参加している。悪いことに現在のドイツの連立政権の支持率はきわめて低い。

ネット空間でドイツの極右が取り上げるテーマは大きく反フェミニズム、反ユダヤ主義、気候変動、陰謀論、コロナ、差別など14に分けられることが、戦略的対話研究所(ISD)によって明らかにされている。この傾向はドイツ以外の国でも見られ、欧米に広がっている傾向と考えられる。で紹介したアイルランドでも類似の傾向が見られた。

特に移民に対する反感は深刻になっており、移民排斥を唱えるのはもはや極右ではなくヨーロッパの多数派なのだ、という指摘もあるくらいだ。それを反映してEUの新しい移民法は金を払えば移民を追い返すことができるようになっている。それも決して民主主義的とは言えない地域にだ。そして、こうした動きの背景には中露がいる。本誌記事にもあったように中国はヨーロッパの極右勢力を支援しているし、ロシアは以前からイデオロギーを問わず極右、極左を支援してきた。
 
日本ではいまだに偽情報やプロパガンダをデジタル影響工作の中心ととらえているが、昨年暮れに機密解除されたアメリカ国家情報会議のレポートは自ら発信するのではなく、相手国の国内活動を拡散し、煽ることが中心となっていることを指摘している。より正確に言えば、特にロシアは以前から相手国内の問題を拡散し、煽ることに注力しており、これまでの欧米の対策は的外れだったと言える。

最大200万人を北アフリカに強制移住計画の暴露
抗議運動が燃えさかり、極右政党AfDの支持が高まる中で信じられない事件が起きた。AfDの幹部(党首補佐官)とドイツ最大野党のCDUなどのメンバーが参加した会合(デュッセルドルフ・フォーラム)で、ドイツ国内の移民(すでにドイツ国籍を持つ者も含め)最大200万人を北アフリカに強制移住させる計画が話し合われた。計画の名称は、「マスタープラン」。

この計画の実現には数十年が必要で、圧力がかかると彼らは認識していた。必要な資金を調達したうえで、インフルエンサーの利用、プロパガンダの流布、キャンペーン、大学プロジェクトなどを展開して、右傾化した社会を作ろうとしていた。最終的には、選挙に疑問を呈し、憲法裁判所の信用を失墜させ、反対意見を弾圧し、公共放送を検閲することによって、ドイツの民主主義を崩壊させる。会ではそのための具体的な方法が検討された。

調査報道機関Correctivが潜入調査を行って会の様子を暴露した。当然のことながら、猛烈な反発が広がり、ドイツ全土で200万人を超える人々が抗議集会を行った。多くの報道は民主主義を尊重するドイツ国民の意思の表れとしているが、ほんとうにそうなのかどうかはこれからわかる。AfDの支持は下がったようだが、政治活動を禁止されたわけではない。AfDがドイツ社会で許容され続けるならば、この大規模な抗議集会は分断の深さを象徴しているだけになる。

極右、QAnon、陰謀論者......わいてくる現状否定の反主流派
アメリカは世界にテロや陰謀論を輸出している。ヨーロッパにおける陰謀論の最大輸入国はドイツであり、多数のQAnon支持者がいる。クーデター騒動を起こしたReichsbürgerもQAnonの影響を受けている。

陰謀論や極右といった現状を否定し、暴力によって変更しようとする勢力は不満が鬱積した社会に多く生まれてくる。満たされた平和な国は世界で少なく、状態が悪い国ほど反主流派勢力が生まれやすい。また、満たされた平和な国であっても、満たされず見捨てられた層の人々が存在する。こうした人々は現状を否定し、暴力によって変更しようとする勢力に惹かれる。欧米の多くの国の反主流派はこうした人々によって支えられており、彼らを支持層とする極右政党やポピュリストが拡大する素地となっている。
 
現在の世界は、気候変動、資源・エネルギー不足、パンデミックおよびそれらが引き越す移民増加によって、主要国が強調して強力な対策を打たない限り、中長期にわたって悪化し、社会はより不安定にする。紛争の増加も予想され、これらの問題の悪化を加速する。根本的な原因が気候変動、資源・エネルギー不足、パンデミックという多国間の信頼関係に基づく協力がなければ解決できないものである以上、解決はかなり難しい。自動的に世界の状況は悪化してゆき、そのしわよせは見捨てられた国や人々にゆく。極右、陰謀論といった反主流派はつきることなくわいてきて、多数派を形成することはほぼ間違いない。

このように書くと、暗澹たる気持ちになる方がいるかもしれない。分断というとネガティブに聞こえるが、異なる世界観が確立され、混在する社会と言えば印象が変わる。世界各地で生まれてくる新しい世界観の中から次世代へのブレークスルーが生まれてくる可能性もあると考えることもできるかもしれない。