共産党の田村智子委員長は同日の会見で「そもそも経済安保の考え方があいまいで、(捜査の違法性を東京地裁が認定した)大川原化工機のような冤罪(えんざい)事件まで起きた。徹底した審議で廃案を求めていく」その通りだ。

 

 自民、公明両党は22日の与党政策責任者会議で、国が指定した経済安全保障上の機密情報を扱う人を認定する「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度を盛り込んだ重要経済安全保障情報保護・活用法案を正式に了承した。月内にも閣議決定される。国会での審議入りを前に、野党には慎重な意見もある。

 

 

◆自民は「本人の同意が基本」と説明
 法案は10年前に施行された特定秘密保護法の「経済安保版」。政府が「重要経済安保情報」を指定し、適性評価のために民間人や公務員などの身辺調査を行う。情報漏えいには罰則を設ける。経済活動の自由を規制し、プライバシーを侵害する懸念がある。

 

 自民の渡海紀三朗政調会長は会議後の記者会見で「議論は予想されるが、(適性評価は)本人の同意が基本なのでプライバシーなどは守られると判断している」と述べた。公明の高木陽介政調会長は「懸念に対し、政府側の説明で国民に理解いただけるようにしなければいけない」とくぎを刺した。

◆共産は廃案求める構え
 同法案について、立憲民主党の泉健太代表は本紙の取材に「現時点で賛否は決めていない」と説明。「新たな取引や契約を生むために適性評価は必要だ」としつつ、「企業活動や個人の権利を制約しない形をどうつくるのか慎重に議論していきたい」とも語った。

 日本維新の会の藤田文武幹事長は、21日の会見で「経済安保は重要だ。前向きに議論を進め、しっかりとした法体系にしたい」との考えを示した。一方、共産党の田村智子委員長は同日の会見で「そもそも経済安保の考え方があいまいで、(捜査の違法性を東京地裁が認定した)大川原化工機のような冤罪(えんざい)事件まで起きた。徹底した審議で廃案を求めていく」と話した。(近藤統義)