22日の衆院予算委員会では、立憲民主党の大西健介氏が自民の報告書を紹介しながら「還付金」について政府の見解をただした。鈴木俊一財務相は「報告書の言葉遣いについてコメントする立場にない」と答弁。大西氏は「脱税が問題になっている時に還付金という言葉を使うことは不適切。『正確に言葉を使ってください』というのが財務相の立場ではないか」と苦言を呈した。

 

 

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に関し、自民が派閥から所属議員に渡されたお金を「還付金」だと言い張っている。国税通則法などに登場する用語で、本来は国民が誤って所得税を納めすぎた場合などに返還される正当な金銭を指す。自民は記者会見などで多用しているが、政府与党から使い方をただす声は上がっていない。

◆「還付金」が原因で立件された国会議員たち
 自民が15日に公表した所属議員への聞き取り調査の報告書では、ノルマを超えてパーティー券を売った議員に渡されたお金を「還付金」、議員が派閥側に渡さずに保管したパーティー券収入を「留保金」と名付け、正当性を印象づけた。裏金事件の主な舞台となった安倍派幹部らも還付金という言葉をたびたび使い、党内でも定着している。

 

 一方、この「還付金」が原因で、党所属議員らが政治資金規正法違反の罪で立件されたほか、原則非課税の政治資金とされる留保金も、本来は所得税が課される雑所得に当たる可能性があり、野党から脱税の疑いが指摘されている。
 

 22日の衆院予算委員会では、立憲民主党の大西健介氏が自民の報告書を紹介しながら「還付金」について政府の見解をただした。鈴木俊一財務相は「報告書の言葉遣いについてコメントする立場にない」と答弁。大西氏は「脱税が問題になっている時に還付金という言葉を使うことは不適切。『正確に言葉を使ってください』というのが財務相の立場ではないか」と苦言を呈した。(我那覇圭)

 

 

政倫審、自民は「非公開」希望 28、29日に安倍派ら5人のみ

 
 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、与野党は22日、衆院の政治倫理審査会を28、29両日に開催する日程で大筋合意した。出席は松野博一前官房長官ら自民安倍派、二階派の5人のみで、いずれも非公開の審査を希望した。立憲民主党の泉健太代表は公開での開催を唱え、今後の展開次第で証人喚問を要求する可能性に言及、自民をけん制した。
 
 野党は開催条件として、派閥からの還流額を政治資金収支報告書に記載しなかった衆院議員51人全員の意思確認を挙げた。だが、申し出た5人以外に出席意向の議員はなかった。自民は2024年度予算案審議への野党の出方を見つつ、政倫審対応を最小限にとどめたものとみられる。
 
 政倫審では裏金の使途、安倍派で22年にいったん還流中止を決めた後で復活させた経緯などについて説明が注目される。
 
 公開の是非について岸田文雄首相は22日、記者団の取材に「国会で決めることだ。調整が続いている」と言及を避けた。「関係議員に対し説明を尽くすよう促し続ける」とも述べた。

 

自民党が裏金を『還付金』と調査報告書で表現、ネット上では怒り爆発「新手の還付金詐欺集団じゃん」

 
 批判が殺到している自民党の裏金問題で、派閥からキックバック(還流)された金について、自民党が調査報告書で「還付金」と表現していることに、ネット上では怒りが爆発している。

 自民党は15日、安倍派や二階派の議員ら計91人に聞き取り調査した報告書を発表。派閥のパーティー券販売でノルマ超過分が派閥からキックバックされたものを「還付方式」、ノルマ分超過分を中抜きしたものを「留保方式」と表現している。

 NHKも同日のネット上のニュースに「自民 聴き取り結果”還付総額 おととしまでで5億7949万円に”」というタイトルでこの問題を報じたため騒ぎは拡大。X(旧ツイッター)では「『還付』はないだろう。これではことの本質は伝わらない」「還付金って、まるで払い過ぎた税金が返ってくるかのような表現ですね」「新手の還付金詐欺集団じゃん」「むしろ払いすぎでなく『脱税』してますよね?」と怒りの声が続々と上がる事態となっている。

 ジャーナリスト青木理さんも、18日放送のTBS系番組「サンデーモーニング」でこの問題に言及。「今回の自民党の調査報告書でキックバックされた、僕らが『裏金』と言っているのを何て書いているかご存じですか」「『還付金』『留保金』という認識を見ると党全体で反省していないんじゃないかと思われちゃいますよね」などと苦言を呈した。

 デジタル大辞泉(小学館)には「還付金」について「納付・徴収された税金に納め過ぎ・減免などがあった場合に、納税者に返される金銭」と記されている。