伊藤惇夫氏、自民「政倫審」出席たった5人に「岸田総理のリーダーシップがあまり見えない」

 

参議院の政治倫理審査会は自公を除く4党で委員の3分の1を超えるため、審査会開催の申立てが可能であり、申立てがあれば開かなければならない。ただし、誰に出席を求めるかは審査会の多数決による。自公は、4党が求める32人の裏金関与議員全員の出席に応じるべきだ。

 

 政治アナリスト伊藤惇夫氏が21日、TBS系「ひるおび」(月~金曜午前10時25分)に出演。派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、自民党安倍派「5人組」の松野博一前官房長官と西村康稔前経済産業相、高木毅前国対委員長が衆院の政治倫理審査会に出席すると党幹部に伝えたことについて言及。自民は20日、安倍派座長を務めた塩谷立氏と二階派の武田良太事務総長の出席を野党側に伝えたものの、野党は不十分と反発していた。

 

 伊藤氏は現状、5人の出席に対し「パフォーマンスであろうが何だろうが、出てきて真相解明につながればいいわけですよね」と切り出し、「岸田さんって総理大臣でもありますが、自民党の総裁でもあるわけですから。説明責任を果たしてもらいたいって言うだけではなくて、説明責任を果たさない人間に対して、厳しい罰則を科しますよ、ぐらいのことを言わないと前に進まなかったのかなと」と分析した。

 さらに「それがここまでグズグズグズグズ続いてしまった要因で。岸田総理のリーダーシップみたいなものはこの間、あまり見えなかった印象はある」と続けた。

 5人組はほかに萩生田光一前政調会長、世耕弘成前参院幹事長がメンバー。出席意向を伝えた3氏は派閥の実務を取り仕切る事務総長経験者だ。安倍派は解散方針を決めている。

 

 

 安倍派内は最高顧問の発言に不満分子が刺激され、中堅・若手は一斉に「俺も、俺も」と政倫審出席に雪崩を打ちかねないムードだ。さすがの西村氏も「じゃあ俺も」と言わざるを得なくなり、他の5人衆も追従すれば、若手に「どうぞ、どうぞ」と突き放される展開だってあり得る。その時、森元首相と5人衆が「聞いてないよオ!」と嘆いても、後の祭りだ。

 

 

 大山鳴動「やや大きな」ネズミ2匹では、やはり話にならなかった。自民党は20日、裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)の対応をめぐり、安倍派座長の塩谷立元文科相と、二階派事務総長の武田良太元総務相が出席する意向だと野党に伝達。野党が反発すると突然、夜になって安倍派幹部5人衆のひとりで事務総長経験者の西村康稔前経産相も、政倫審出席の意向を党側に伝えた。背景には、往生際の悪い5人衆に対する安倍派の中堅・若手による反乱の動きがあるようだ。

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 野党は自民の裏金議員82人のうち、衆院側の51人全ての出席を要求。自民は当初、19日から対象議員にヒアリングし、出席の意向を示したのは塩谷氏と武田氏の2人きりで、残る49人は返答がなかったと野党に伝えていた。

「党のヒアリングなんて、建前です。対象である安倍派のベテラン議員でさえ、何も聞かされていないありさま。塩谷、武田両人の出席意向だって、真相は国対サイドによるピンポイント指名ではないか」(自民党関係者)

 安倍派の座長とはいえ、実態は「名ばかり」の塩谷氏を差し出したのは、派閥の裏ボスとして君臨する森喜朗元首相の差し金ともささやかれている。

「森さんのシナリオは塩谷さんひとりに派内の責任を押しつけ、自分の息のかかった5人衆に傷を負わせないことでした。5人衆を守る森さんにも保身が見え隠れ。派閥ぐるみの裏金づくりは森会長時代の20年以上前からの慣習で、森さんはその経緯を知る重要参考人。5人衆が政倫審に応じれば、野党の追及が自分に連鎖するのは必至ですから」(ある自民党議員)

 5人衆が政倫審出席に消極的だったのも、自分たちを引き立てたボスへの火の粉を払う狙いもあったはず。そんな5人衆の煮え切れない態度に、安倍派の中堅・若手は猛反発。西村氏が他の5人衆に抜け駆けして政倫審出席を伝えたのも、派内に燃えたぎる怨嗟の炎に抗しきれなくなった証拠である。

 

ボスの思惑を察した安倍派最高顧問も焚きつけ

 

 中堅・若手の不満は日に日に高まっている。党幹部のお手盛りヒアリング調査の報告書も〈派閥なら派閥らしく、トップが腹を据えるべき〉〈派閥総会で、誰も責任を取ろうとしない〉〈派閥の上に立つ人間が責任をとらないといけない〉など、匿名ながら5人衆に対するグチのオンパレード。大新聞を広げれば連日、政治面には5人衆に責任を求める若手の匿名コメントがあふれている。

 若手反乱の機運を察してか、「政倫審は真相解明のいいチャンスだ」と訴えたのは、安倍派最高顧問の衛藤征士郎・元衆院副議長だ。裏金1070万円で野党に出席を求められている51議員のひとり。20日、東京新聞(デジタル版)の取材に政倫審出席を明言した上で、「要請がある方は全員出席して説明すべきだ」と焚きつけた。

「実は安倍派内で衛藤さんはずっと森さんにニラまれ、要職から外され続けた経緯がある。派内で親しい間柄の塩谷さんを、まるで人身御供として野党に差し出す動きの裏に森さんたちの思惑を察し、牽制の意味合いを含めて発言したのでしょう」(自民党関係者)

 安倍派内は最高顧問の発言に不満分子が刺激され、中堅・若手は一斉に「俺も、俺も」と政倫審出席に雪崩を打ちかねないムードだ。さすがの西村氏も「じゃあ俺も」と言わざるを得なくなり、他の5人衆も追従すれば、若手に「どうぞ、どうぞ」と突き放される展開だってあり得る。その時、森元首相と5人衆が「聞いてないよオ!」と嘆いても、後の祭りだ。

 

 

政倫審出席は「6人」 萩生田氏は“対象外”

 
共産党 田村委員長
「萩生田さんが応じようとしないならば全く許されないことですね」
 
 
自民党の裏金事件を巡る政治倫理審査会で、すべての議員の出席を求める野党は反発を強めています。

■「政倫審」誰が出席? 与野党攻防

立憲民主党 後藤祐一議員
「脱税疑惑のある自民党の議員に対しては税務調査に入らないと示しが付かないんじゃないですか、国税として」

 連日、追及されている自民党派閥の裏金問題ですが…。21日は岸田総理大臣、国会に出席する予定はなく公務に勤しみました。

 そんななか、政治資金収支報告書に不記載が判明した、いわゆる“裏金議員”の政治倫理審査会への出席を巡り、与野党の攻防が続いています。

 衆議院で野党は51人の議員の出席を求めているのに対し、自民党では新たに意向を固めた松野前官房長官と高木前国対委員長を合わせて現状5人が出席するとしています。

立憲民主党 安住国対委員長
「この5人は来週、必ず政倫審で弁明を聞かせてもらいますと」

 攻勢を強める野党は21日、参議院でも政倫審の開催を要求。安倍派と二階派の議員ら32人の出席を求めました。その1人、世耕前参院幹事長は21日午後、出席の意向を表明。

 自民党は今回、事務総長経験者らに出席させる方針で、安倍派5人衆の萩生田前政調会長は対象外となっています。

共産党 田村委員長
「萩生田さんが応じようとしないならば全く許されないことですね」

 参議院で政倫審が開かれれば初めてとなります。
 
 
【政界地獄耳】3月に政変の兆し 岸田内閣の支持率は政権発足以来最低に

★17、18の両日に毎日新聞の世論調査で岸田内閣の支持率は、1月27、28日実施の前回調査(21%)より7ポイント減の14%で岸田政権発足以来最低となった。今までは岸田の失政が批判の的だったが、今年に入って政治とカネ、裏金問題は自民党内に反省の色や自浄能力のなさに国民の怒りが爆発しているといっていい。首相・岸田文雄は国会答弁を見てもわかるようにのんきに構えているが、さすがに焦りを感じているのだろう。開催をぐずっていた衆院政治倫理審査会も開かないわけにはいかなくなり、野党の要求する聞き取り調査を行った51人すべての衆院議員に対し、出席をさせ説明させる方針だ。
 
★政治とカネの質問に明け暮れた予算委員会を緩和させようと、文科相・盛山正仁の旧世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係で時間稼ぎしようとすれば、官房長官・林芳正や岸田自身と教団との関係まで話が広がりかけたが、20日の文科相不信任案否決でいったん落ち着く。この後は予算成立と政倫審のゆくえとなるが、20日現在出席する意向を示しているのは旧安倍派座長・塩谷立と旧二階派事務総長・武田良太の2人だけという。みんなで断れば逃げ切れるとでも思っているのだろうか。一部報道では、元幹事長・二階俊博は「呼べるものなら呼んでみろ」「失礼だ」と不快感を示しているというが、こちらも離党に追い込まれて4月の補選でいろいろ画策しているという情報もある。
 
★19日、立憲民主党の小沢一郎はX(旧ツイッター)で「自民は楽しみ、国民は苦しむ。自民は豊かに、国民は貧しく。自民は脱税、国民は納税。自民に甘く、国民に厳しく。自民は明るく、国民は暗く。そんな自民をまだ笑って支持するなら、国民にはますます厳しく醜い国になる」とし、「普通なら政権交代が当たり前の腐敗政治。国民が怒らなければ、国が壊れてしまう」と憂いた。ここまで追い込まれた自民党が乗り切れるのは、国民が自民党に甘いからだろう。来月に政変があるとすれば、それは国民が主役でなくてはならない。(K)※敬称略