西村康稔「松本人志と違って自分のは嘘だ!」東京では出せない地元講演会のヤバすぎる発言録

 

今回「虚偽記入」を自白した。特捜部の処分は不起訴だったが、告発人から検察審査会への申し立ては必至だ。当然、100万円を虚偽記入した会計責任者は「起訴相当」など厳しい議決が予想される。当然「会計責任者が」の言い訳は通用しない。西村氏が崖っぷちであることに変わりはないのだ。
 

 

 

 

西村康稔議員「おわびのビラ」地元で配布 市民から「あなたから説明しないと」の声も(2024年1月24日)自民党の裏金事件を受けて、いわゆる派閥を解消する「中間とりまとめ案」が了承されました。そんな中で1月24日朝には、政治資金の裏金疑惑をめぐって経済産業大臣を辞任した自民党の西村康稔衆議院議員が、地元の兵庫県明石市の駅前で、市民に「おわびのビラ」を配りました。 (ビラを配る西村康稔議員)「おはようございます。西村康...リンクyoutu.be

 

突然開かれた「世話人会」に登場

 


西村氏が地元で配付したビラ

 「まあ(週刊文春の)松本人志さんは本当かウソかしりませんけれども、私のは、まったく嘘です!」

 こう声を張り上げたのは、安倍派「裏金」事件で東京地検特捜部から事情聴取を受けた「5人衆」のひとり、西村康稔前経産相だ。国会の政治倫理審査会への出席の意向を示したものの、苦境に立たされている。

 「現代ビジネス」は、2月3日、地元・兵庫9区で西村氏が開催した「世話人会」での録音を入手した。出席した地元の有権者のひとりが語る。

 「いきなり西村氏の秘書から『参加するように』と連絡がきてFAXを見ると『西村本人がまいりまして』というところにアンダーラインがある。『世話人の皆様とご相談させていただきたく』なんて書いてあるものの、相変わらずの上から目線やなあと思いました。

 突然の土曜日開催で、誰もがなんらかの予定があります。ブーブー言いながらも、地元のホールに行ったら、ダウンタウンの松本はいかにもヤバイと思わせながら、自分は潔白だというひどい独演会でした」

 週刊文春が昨年12月から報じているダウンタウン松本人志氏の「性的暴行」をネタに
して、西村氏は地元では「裏金」の潔白を訴え、それが有権者から反感をかっているのだ。しかし、この日の「独演会」では、西村氏が派閥パーティーでのキックバック裏金について、かなり以前から把握していたこと、そして安倍派の事務総長として事態を掌握していたことなど、新しい疑惑が明らかになった。

 西村氏は、事前に

 《皆様へ 説明責任を果たし、反省すべきを反省し初心に戻り、これまで以上に精進してまいります》

 というチラシを参加者に配付して、この日のスピーチに臨んだ。

 西村氏は、第二次安倍政権では官房副長官から経済再生担当相とコロナ担当相、岸田文雄首相のもとでは経産相という要職を歴任した。

 安倍晋三元首相が総理を退任して清和会の会長に就任した際には、派閥の事務総長として手腕を振るった。東京地検特捜部が立件した裏金事件の「中枢」に位置していたことは、ほぼ疑いようがない。この日の会場からの意見、質問でも同様の内容が出た。

 

キックバックについて二転三転
 

 しかし西村氏は、

 「事務総長としての責任、これがよく話題になっております」

 と切り出して、こう弁明した。

 「(経済再生担当相兼任で)コロナ担当大臣をやり、それをやめて岸田政権で経産大臣になるまでの1年間、清和会の事務総長をやっていました。このときはじめて派閥の運営というものにかかわった。

 安倍さんとの二人三脚で清和会(安倍派)、100人の世話をしました。(2022年に)参議院選挙がありましたから、参院選応援の仕組みとか、安倍さんに来てもらう(選挙区など)ここが弱いとか、情勢を調べてそういう仕事をやっていた」

 そして安倍元首相と「裏金」の関わりについてはこう証言する。

 「令和4年の5月に(安倍派の)パーティーがあるわけです。その前の4月に安倍さんから『どうも清和会は(キックバックを)現金で戻していると。大変なことだから、やめるように』と言われた。その時初めてキックバックの話を、私は認識するわけですね」

 「(キックバックを)返さないと。(何人かの)議員にやめると電話も入れました。電話をしたことを証明する人もいます」

 そういいながらも、その後のことについては、こうはぐらかかすかの発言をしている。

 「そうこうするうち7月に安倍さんが亡くなった。みんな大慌てになって、会長どうするって……」

 「(2022年)8月10日に私は経産大臣になりましたので、そこから先のことは全くかかわっていません。(安倍派の)事務総長は高木(毅・前国対委員長)さんに代わりました。その後、また現金で還付があった。その経緯は、私は一切分からない」

多額の萩生田や世耕とは違う?


 しかし、西村氏はその前段で

 「パーティーで余計に売ってその分を還付してもらおうなんて、毛頭考えていませんでした。ノルマもよく認識していなかった」

 と述べている。しかし、今回の事件で西村氏は過去5年間で約100万円のキックバックを受けていたことがわかっている。認識していなかったという割には、ノルマについてこう発言している。

 「うちの秘書にもノルマ分だけを売ればいい言うふうにずっと言ってきました。その結果(ノルマを)105枚、110枚と売って、超えてしまうわけですね。その分はバックあったみたいです。その時、会計責任者は、裏金にしたくない、だからまあ苦肉の策なんですけれども、私自身が開いている政治資金パーティーのその収入に入れておりました」

 「苦肉の策なんです、それで政治資金報告書に記載したわけであります」

 「正式にはやっぱり清和会での寄付として書かなきゃいけないと検察の(取り調べでも)指摘を受けました。おとといかな、修正をいたしました」

 自民党調査の内訳は2018年12万円、2019年18万円、2020年32万円、2021年38万円。西村氏は5年前からキックバックを受け取っていた。

 「皆様へ」と配布したチラシでも、「私自身の政治資金パーティーの収入として(キックバックを)を記載」と書かれている。西村氏は政治資金規正法の不記載であることを認識しながら、安倍派のパーティー券収入を、自身の政治資金パーティーの収入であるとした。政治資金規正法の「虚偽記入」にあたることを「自白」したのだ。

 安倍派では、萩生田光一前政調会長が約2700万円、世耕弘成前参院幹事長が約1500万円など「5人衆」の巨額な「裏金」が明らかになっている。西村氏は自分の裏金の小ささをこう強調する。

 「正直、申し上げて(安倍派の)ほかの人はどうやっているか。巨額の1000万円とか2000万円とか出てますが、真実わかりませんけれども、まあ恐らく確認されているでしょう。それを全く書かずに何かに使っていたとか、自分のポケットにいれたとか、(私は)ありません」

 と潔白ぶりを説明しつつ、こう続ける。

 「自分だけいい子になるつもりもありませんし、他の人、仲間を売るようなことをしたくないんであんまり強調しておりません」

 いや、自分は相対的に額が小さいと、立派に“強調”しているのは明白だ。

 

文春の黒ビキニ報道も「怪文書は旦那が出した」
 

地元有権者に配付されたカレンダー

 そして、裏金以外でも、西村氏の外遊時に女性秘書を同行し、ホテルで「コネクティングルーム」に泊まったという「週刊文春」の報道についてもこう語った。

 「マスコミは私が、極悪非道みたいにですね。一番主導したワルモンみたい。週刊誌はもう本当にひどい」

 「東京の女性の秘書は、プライバシーに関わることなので言いたくありませんし、どっかに書かれたりされたら困るんですけども、離婚されてまして、シングルマザーですね。その旦那がややストーカー的に、いろんなあの怪文書も出したんではないかと思われます」

 前出の有権者のひとりが語る。

 「会場には、世話人と西村氏側からされている150人ほどが会場に来ていました。ふるさと納税で問題になっている洲本市の上崎市長の姿までありました。『現代ビジネス』では西村氏のカレンダーほしさで1000人くらいが来たと以前、報道がありました。あの時と違って公明党が動員はなかったからそう人は来なかったが、それでも150人超はよく集まったほうでしょう。

 西村氏の話を聞いていると、裏金と知っていたから政治資金収支報告書に記載したといいつつ、事務総長の時は知らなかったとアベコベの話ばかりでした。

 『西村氏が特捜部に安倍派の仲間を売ったんだろうな』と他の支援者から聞かれ『そうでしょうね、あの話からは』と私も思った。おまけに政治家でもない芸能人の松本人志の名前まで出して、自分は潔白というのです。

 こんな人を兵庫9区から選んだのが間違いでした。テレビでJR明石駅だかでお詫びのようなチラシを配っているが、この日来ていた支援者に聞いたら『テレビに映っている時だけ配っている』とのこと。さすが西村氏らしい」

 それでも西村氏は、「自民党からいずれ処分は出ます、謹慎します。しかし、離党や(議員)辞職はない」と半年ほどで「復帰」する見通しを語り、「慕ってくれる若手(議員)がいる」「総裁選にという若手もいます」「力はあります」と自信たっぷりに繰り返した。

 しかし今回「虚偽記入」を自白した。特捜部の処分は不起訴だったが、告発人から検察審査会への申し立ては必至だ。当然、100万円を虚偽記入した会計責任者は「起訴相当」など厳しい議決が予想される。当然「会計責任者が」の言い訳は通用しない。西村氏が崖っぷちであることに変わりはないのだ。



現代ビジネス編集部