維新地方議員の不祥事続く 700万円超の着服でパチンコ、キャバクラ……「町議の仕事、暇なんで」

 
維新支持者の層が「維新の底に感じられる、暴力性や差別意識」への共感がある。新自由主義の「分断と差別」を維新は巧く利用しているのである。「平気でその場しのぎの嘘が言える、維新の強さ(尋常な人には絶対にできない)」端的に言うと、維新の議員になるのは安定した収入を得る就職先と考えている人間が多い。だから隙をみては悪さをしでかすのだ。維新の議員には「実力や見識はいらない」暴力団組織のように上から言われたとおりに動けばそれで良しの状態なのだ。その上が「嘘とペテン」「利権漁り」だけが得意ときたから、始末に負えない。
 
言っておきますが維新の不祥事は地方議員だけではありません。
 
 
 昨年の統一地方選で大躍進した「維新」。大阪以外にも伸長して、首長と地方議員は774人と選挙前から約1・7倍にも膨れ上がった。だが、公職選挙法で定める居住要件を満たしていなかったり、横領事件を起こしたりと、不祥事が次々と噴き出している。
 
 昨年12月5日、大阪府の池田市議会では午前10時から本会議が開催される予定だった。

 午前9時38分、池田市に隣接する箕面市の一戸建ての家のガレージから白い乗用車が数十メートルバックして出てきた。切り返して向かった先は池田市議会。

 9時50分ごろ、乗用車は池田市役所の駐車場に入ると、車を降りた男性は急ぎ足で市議会に向かった。大阪維新の会(当時)の胡摩窪(ごまくぼ)亮太市議だ。

 昨年春の統一地方選で、初当選したばかりの胡摩窪氏について、

「箕面市に住んでいるのに、なぜ池田市議選に出馬するのか」

 という情報が寄せられたのは、統一地方選と同じ時期だった。

■箕面市の一戸建ては

 胡摩窪氏が池田市議選に立候補した際、市選挙管理委員会に届け出た住所は池田市にある賃貸マンションだった。不動産情報サイトによれば、家賃は3万5千円から5万円程度となっている。

 筆者は、そのマンションに昨年6月から30回以上も足を運んだ。朝昼晩と1日に3度訪ねたこともあったが、胡摩窪氏の姿を見ることも、インターホンへの返答もなかった。周辺を歩いてみたが、胡摩窪氏が日常、使っている白い乗用車が駐車していることもなかった。

 そんな時、胡摩窪氏が箕面市の一戸建てに住んでいるとの情報を得た。その住宅を訪ねると、胡摩窪氏の白い乗用車が駐車していた。

 しかし一戸建てなのに表札がない。近所の人に聞くと、

「ご夫婦とお子さんでお住まいですよ」

 というので、池田市議会のホームページにある胡摩窪氏の写真を示しながら、

「この人が住んでいますか?」

 と尋ねたところ、

「この人とそっくりですね。けど、胡摩窪という名前ではなく、〇〇さんですよ。もう1年以上前からいるんじゃないかな」

 と教えてくれた。
 
 胡摩窪氏が、届け出ている池田市のマンションに住まず、箕面市に居住しているとなると、公職選挙法に抵触する可能性がある。

 同法では、市町村議会の議員に立候補するためには、

〈引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有する者〉

 などの要件を満たす必要があると規定されているからだ。

■居住実態を尋ねると激怒

 12月5日、市議会が終わり、駐車場に胡摩窪氏が現れたのは、午後3時48分。胡摩窪氏に名刺を渡し、

「箕面市〇〇の〇丁目〇番の一戸建てから朝、車で出ましたよね」

 と聞くと、

「はい、そうです。そこから出発しました」

 と答えた。そこで、

「池田市には住んでおらず、箕面市に住んでいるのではないか」

 と尋ねると、

「彼女の家と池田市のマンションを行き来している」

 という。そこで、

「池田市のマンションに30回以上行った。朝昼晩と行ったこともあるがインターホンで返事があったことは一度もない。池田市に居住実態はあるのか」

 と重ねて尋ねると、突然、胡摩窪氏は激怒し、

「警察行きましょ。それプライベートなことや。警察呼びますわ。来てください」

 と声を荒げた。

■警察に行くのかと思いきや

 こちらは、市議という公人に居住実態を質問しているだけで、まったく胡摩窪氏のプライベートなどには触れていない。池田市役所の向かいには大阪府警池田署があるので、そちらに向かうのかと思ったら、胡摩窪氏が向かったのは池田市役所の3階、秘書課や市長室があるフロア。胡摩窪氏がそこから警察を呼ぶのかと思いきや、

「同じ維新だから」

 と瀧澤智子市長を伴って現れた。私は瀧澤市長に胡摩窪氏とのやりとりを説明して、

「警察を呼ぶなら、早く呼んでください」

 と瀧澤市長に求めた。横から胡摩窪氏は、

「威圧的に質問したのは、脅迫、名誉棄損だ」

 などと繰り返す。こちらはしっかり記録をとっているが、威圧的に質問などしていない。公職者の居住実態を尋ねているだけだ。すると、秘書課の職員4人ほどが立ち上がって、私を取り囲むように近づいてきた。
 
 池田市では2020年秋に、当時の冨田裕樹市長が市役所内に家庭用サウナなどを持ち込んだことが問題となり、「サウナ市長」の名前が全国で知られる事態になった。その際も筆者は池田市の副市長らに取材をしたが、取り囲まれるようなことはなかった。

「こういうやり方は、マスコミ、記者に圧力を加えているのではないか」

「私の取材が威圧的というなら、早く警察呼べばどうなのか」

 と胡摩窪氏と瀧澤市長に訴えると、

「いや、威圧的ではなかった。警察は呼びません」

 と、なぜか胡摩窪氏は態度を変えたのだった。

■「大阪維新の会を離党しました」

 胡摩窪氏は、今年1月になって維新を抜けて無所属となった。

 瀧澤市長も、X(旧ツイッター)で、

〈この度、ごまくぼ亮太池田市議会議員が一身上の都合により1月30日付けで大阪維新の会を離党しました〉

 と書いている。離党という重大な問題なのに、具体的な理由については一切触れていない。

 池田市議の一人が、こう話す。

「胡摩窪氏が居住実態のことでAERA dot.さんに直撃取材されて、あたふたしていたという話はすぐに市役所内で広がった。以前から出ていたウワサでしたが、あの慌てぶりから本当だったのかと思った。それ以外にも維新の中でトラブルを起こして離党に追い込まれたと聞いている」

 維新では、「居住要件」を満たさない不祥事が続いている。

 昨年の統一地方選では、茨城県の龍ケ崎市議選で初当選した日本維新の会の村井将重氏が、居住要件を満たしていないと判断され、昨年10月に県選挙管理委員会が当選無効を決定した。村井氏は今年1月に議員辞職した。

 埼玉県でも、昨年4月の県議選で初当選した日本維新の会の中村美香氏が居住要件を満たしていないとして、県選管が7月に当選無効を決定した。中村氏は決定を不服として訴訟を続けている。

 このほか、2015年の京都府の城陽市議選で当選した維新の党公認候補も、居住実態がないとして当選無効になっている。
 
 日本維新の会は昨年11月、地方議員選挙における居住要件の撤廃などを含めた「選挙等改革推進法案」を衆議院に提出している。居住要件を満たさない違反者を次々出しながら、その要件を撤廃させようという法案提出には、批判の声もある。

 元東京地検検事の落合洋司弁護士は、

「維新も野党第2党というほどの国会議員を抱えているのだから、地方議員の“身体検査”もしっかりやるべき。出馬前に電気やガス、水道の支払い状況をチェックすれば居住実態はすぐにわかる。提出した法案で居住要件に触れているとなれば、党利党略と思われかねない」

 と話している。

 維新の地方議員の不祥事はまだある。

 2月14日、奈良地裁の法廷に姿を見せた大柄の男性。

「被害者の自治会の皆さまには申し訳ないです」

 と消え入りそうな声で答えたのは、奈良県斑鳩町の前町議で日本維新の会所属だった大森恒太朗被告だ。昨年10月、斑鳩町の神南自治会から自治会費を着服したとして業務上横領罪で起訴された。着服したとされる自治会費は754万円にものぼった。

■着服額は700万円以上

 大森被告は、神南自治会で会計担当をしていた。

「地元から出た町会議員で、しかも維新が選挙で公認していた。大森にも、維新にも裏切られた」

 と話すのは、神南自治会役員の清水修一さん。

 起訴状によると、大森被告が会計担当という立場を悪用して自治会の預金を勝手に使いはじめたのは2023年3月から。預金通帳を見ると定期預金は解約され、普通預金からも10万円、20万円と頻繁におろされていた。

 4月の斑鳩町議選で、大森被告は維新から出馬して再選。その後、大森被告の着服は700万円を超すまでに膨れ上がった。

 発覚のきっかけは大森被告が、会計の引き継ぎの際にクリーニング代などと称して出してきた領収書。法被のクリーニングに使ったという説明だったが、

「調べると架空の領収書でした。問い詰めると『400万円くらい使った』『ギャンブルにつぎ込んだ』と自白。その足で警察に相談に行き、さらに調査すると子供会費170万円を含め700万円以上も着服していた」(清水さん)
 
 大森被告は、着服した自治会費をパチンコや競輪、競馬、キャバクラなどに使っていたという。その理由を問われると、

「町議の仕事は暇なんで、パチンコとかしていました」

 と話したそうだ。清水さんは、

「町議が暇で自治会費を横領してパチンコや競馬にというのであきれて言葉もありません。大森被告は大量のコピー代の領収書も出しており、日付から町議選の費用に自治会費をあてていた可能性もある。子供会は大森被告がやりましょうという提案ではじまったが、そこにまで手を付けた。最初から着服するつもりで会計になったのかと疑いたくなる。大森被告の着服で、お金が足らず、昨年の秋祭りは中止に追い込まれました」

 と怒りはおさまらない。

 保釈後、葬儀関係の仕事をしているという大森被告。父親が400万円は肩代わりして弁済したが、まだ350万円ほど不足している。

 大森被告は法廷で、

「ギャンブル依存症の治療をしたい」

「月6万円を返済していきたい」

 などと反省の弁を述べた。

■化粧品を買ってメルカリで販売

 しかし清水さんは、

「月に6万円返してもらっても5年ほどかかります。当然、利息もつきますからもっと金額は増えます。お祭りも神社の修復も、子供会活動もできない。自治会のメンバーからは公認した維新に請求したい、責任をとってほしいという声もある」

  兵庫維新の会は今年2月、同会の経理を担当していた宝塚市の田中美由紀市議が党費を不正に支出したとして、除名処分と辞職勧告を行った。田中氏は2月16日付で議員辞職した。

 同会によると、田中氏は2019年1月から2022年11月まで、兵庫維新の会の経理を担当。領収書を偽造するなどして80万円相当を着服したという。

「田中氏は架空の支出伝票、領収書でカネを引き出していた。カネはネイルサロン、エステ、美容院などに使ったそうだ。着服したカネで化粧品などを買ってメルカリに出品もして、現金化。職員の給料にも手を付けていた。宝塚市議会は全議員の過半数が女性市議ということで注目されていたのに、こんなことになってしまい申し訳ない限り。普段は活発でしっかり仕事をしてくれると、会計を田中市議ひとりに任せきりにしていたことが被害を広げた」

 と兵庫維新の会所属の市議はいう。

 田中氏は昨年4月の統一地方選ではじめて宝塚市議に当選したばかり。ブログには、グリーンがイメージカラーの維新にあって白いスーツで選挙戦を戦ったことについて、

〈何色にも染まらないという意味を込めて「白」がイメージカラー〉

 と記していたが、黒く染まってしまった。

(AERA dot.編集部 今西憲之)

今西憲之
 
 

日本維新の会・馬場伸幸代表(58)による社会福祉法人“乗っ取り疑惑”に裁判所が動いた!

 
 小誌が昨年8月10日発売号などで報じた日本維新の会・馬場伸幸代表(58)の社会福祉法人“乗っ取り疑惑”。維新は11月10日付で、名誉を毀損されたとして発行元の文藝春秋と担当記者を相手取り、300万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こしたが……。

◆ ◆ ◆

約15億円に及ぶ法人財産と約2億円の個人財産も私的に管理
 堺市で保育園事業を手がける社会福祉法人「ドレミ福祉会」。創設者の西侑子氏(仮名)は傘寿を過ぎ、身寄りがいない。2020年頃からは認知機能の衰えも顕著だった。ドレミ元理事で西氏の友人A氏が語る。
 
「コロナ禍以降は連絡もつかず、心配していたところ、老人ホームに入居していたことが昨春に判明した。入居手続きをしたのは、ドレミの理事だった馬場さんの事務所。馬場事務所は過去数年間、園の運営を仕切っていた一方、西さんに認知症の検査を受けさせず、約15億円に及ぶ法人財産と約2億円の個人財産も私的に管理していたのです」
 
 
 訝しんだA氏らは昨年4月10日に馬場氏らと協議。判断能力に支障のある高齢者の財産管理については、厚労省が成年後見制度の利用を推奨している。裁判所が選んだ弁護士などを後見人とすることで、適切な財産管理に有効とされるからだ。

馬場氏側は「遺言書をもらった」と説明
 ところが、馬場氏は、

「後見制度とかを使ってやるということはそぐわない」

「西先生から一筆頂いて、やらせて頂いているので」
 

 などと反論。A氏らに再度報告するとして、その場を後にした。だが、約束は果たされないまま、昨年6月25日付で馬場氏は西氏に代わり、ドレミの理事長に就任。馬場氏の公設第一秘書も理事になった。

「施設にいる西さんの意志に反した“乗っ取り”と言われています。馬場氏側は『死後に全財産を法人に寄付する』という遺言書をもらったと説明していました」(A氏)

ドレミのHPより

ドレミのHPより

 社福の乗っ取りは近年、社会問題化していることもあり、小誌は、公人である馬場氏に事実確認を求めてきたが、「回答は差し控える」と繰り返してきた。