政治資金パーティー収入をめぐる裏金問題が国民的な怒りを巻き起こしている中で、野党各党が企業・団体献金の禁止に踏み込むべきだと主張しています。岸田文雄首相は「民主主義のコスト」だなどと企業・団体献金を正当化していますが、世界では多くの国で、政党への企業献金を禁止しています。
国会図書館が日本共産党の宮本徹衆院議員に提出した資料によれば、主要7カ国(G7)のうち、アメリカ、カナダ、フランスの3カ国で政党への企業献金を禁止しています。フランスでは1980年以降、金銭不祥事が相次ぎ、国民的な批判が起きる中で95年の政治資金に関する法改正で企業献金を禁止しました。
政党への企業献金を禁止していない国でも、さまざまな制限を設けています。イギリスでは、企業が献金を行う場合、一定金額を超えると株主総会での事前承認が必要とされ、労働組合が献金する場合は、組合員の秘密投票による承認決議をへたうえで、組合とは別の基金をつくり献金を行うことになっています。
スウェーデンに本部を置く国際組織「民主主義・選挙支援国際研究所」のデータによると、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国のうち、スペインやポルトガル、メキシコ、チリ、韓国など19カ国が政党への企業献金を禁止しています。欧州連合(EU)でも約半数の国で政党への企業献金を禁止しています。
G7諸国の企業等団体献金の規制の概要
アメリカ 企業等団体献金は禁止
カナダ 企業等団体献金は禁止
フランス 企業等団体献金は禁止
イギリス 企業等団体献金は可 企業が一定金額を超える寄付をする場合は事前に株主総会等の承認議決を受ける
ドイツ 企業等団体献金は可 政党への資金移動を条件とする職業団体からの寄付は禁止
イタリア 企業等団体献金は可 公的資本参加が20%を超える企業等の政党への寄付は禁止
OECD、EUでも加盟国の半数が企業・団体献金を禁止
萩生田氏地元で「裏金議員排除」
東京・八王子 250人宣伝
JR八王子駅近くの路上で、参加者は「金権政治NO!」や「裏金着服の説明責任をはたせ」などと書かれた紙を掲げて集い、発言者の訴えを聞きました。市民と立憲野党でつくる「つながる八王子」が主催し、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合が協力しました。
マイクを握った白神優理子弁護士は裏金について「市民が1円単位で厳しい確定申告をしているのに、自民党は組織ぐるみで明らかな違法行為をしている。政治資金規正法違反にとどまらず、所得税法違反にもつながる。法律家として許せない」と語りました。
市民連合の中野晃一・上智大学教授は「報道で『政治と金の問題』『政治不信が広がる』といわれるが、おかしい。『自民党と金』『自民党不信』であるはずだ」と指摘。「私たちが政治を変えないと。市民が野党を後押しし、子どもたちの未来を守る動きを八王子から」と訴えました。
「裏金議員徹底排除」と書いたボードを掲げていた会社員の男性(46)は「萩生田氏は統一協会(世界平和統一家庭連合)との関係もうやむやにしたまま。裏金もあり得ない。政界から去ってもらう。市民の仕事だ」と話していました。