元サッカー日本代表監督の岡田武史氏が「三笘の1ミリ」を引き合いに選挙に関心が低い若者にアドバイス「政治を自分事に」

 
「よく言うんですが、リーダーがいない国がダメなのではなく、リーダーを求める国民がいる国がダメ。しつこいが、自分の国を自分で作っていく、自分の未来を自分で作っていくということ。ぜひ投票に行ってほしい」
 
 
 総務省と吉本興業が2月18日、都内で「若者フォーラム2023 選ぼう!新しい日本のリーダーズ」を開催した。このフォーラムは政治や選挙に関心が低い若者に向けて、投票の大切さを周知し、自発的な投票行動を促す啓発イベント。

 パネリストとして出演したサッカーの元日本代表監督で日本サッカー協会の副会長も務める岡田武史氏が「政治を自分事に」と会場に駆け付けた若者世代にメッセージを贈った。

 イベントはお笑いコンビの見取り図がMCを務め、“選挙マニア”として知られるタレントの井上咲楽がパネリスト、そして特別ゲストとしてボーイズグループ「JO1」の與那城奨が出演。前半は「若い世代が選挙に行かないとどうなるのか?」というテーマでディスカッションが行われた。

 岡田氏は「みんなが政治に絶望し始めている感じがある。選挙に行くのは手段。要は自分たちの未来をどうするかという自分事化することが大事。それが選挙につながると思う。僕は環境問題に取り組んでいるが、環境は砂漠で大雨が降るような、これからは過去のデータが役に立たない時代が来る。その時に、自分の未来を自分たちで作っていかないといけない。政治家はやってくれない。自分たちの代表がやっていかないといけない。若い人たちは自分の未来に投票するわけだから、20代には3票あげてもいいと思っている。自分事化しないといけない」と訴えた。

岡田氏、井上咲楽、杉浦真理氏(左から)

 1票の大切さの例えとして「勝負って、試合翌日にマスコミや評論家が言うような戦術やシステム論よりも、80%くらいは小さなことが勝負を分ける。たった1回“これくらい大丈夫だろう”と思ったり“俺一人くらい”といった考えが勝負を分ける。“三笘の1ミリ”というのも有名になったが、あれも運がいいとか言うけど、森保ジャパンはそういうちょっとしたスキを作らないようにしてきた。そうしたら最後に神様がああいうご褒美をくれた。たった1票、自分の1票がどうなるか分からないが、そういうことの積み重ねが勝負を分ける。無理やりこじつけました(笑)」とカタールのW杯での「三笘の1ミリ」を例えに小さな1票の重要性を説いた。

 これには井上も「私も選挙の開票速報が好きなんですが、早いところは8時に出る。でも競っているところは朝方までずっとやっている。そういうところでは少しの差が勝負を分ける。たった1票と思わずにぜひ行ってほしい」と賛同。

 有識者として出演した立命館宇治中学校・高等学校教諭の杉浦真理氏は「得票数が同数になった場合は公職選挙法でくじ引きになる。1票の違いがくじ引きになることもあるとなると、皆さんの1票にはすごい価値が生まれる時がある」などと説明した。
 
 また岡田氏は「僕が投票することに真剣になったのは子どもができてから。環境問題なんかも含めて子どもたちの時代はどうなるんだろうという危機感があった。これからはAIが発達してきたら、AIが自分より自分のことを理解している時代が来る。相談したことが当たるとなったら人間はAIの言う通りに生きるようになる。こういうことが起こってきたときに“人間ってなんだろう?”という根本的な問題になるという危機感がる。昔、AIが反乱を起こして人間を支配下に置く映画があって、その中で人間が“あなたたちは人間を守るために作られたんじゃないの?”と聞いたらAIは“その通りだ。このまま置いておくと人間は核戦争、環境破壊などいろいろなことで人類は破滅する。だから人類を守るために我々は監視下に置く”と言った。でもそういうAIはまだない。そうすると人が監視をしなければいけない。その監視をするということが投票とか危機感を持って政治に参加していくということ」とも語った。

 そして最後に岡田氏は「よく言うんですが、リーダーがいない国がダメなのではなく、リーダーを求める国民がいる国がダメ。しつこいが、自分の国を自分で作っていく、自分の未来を自分で作っていくということ。ぜひ投票に行ってほしい」と会場に駆け付けた若者世代に訴えた。