政党助成金を国民から強制的に徴収し、政治資金で悪さの限りを尽くす、これが当り前の慣習が身について政治資金で「ホラ貝」までこ購入し、「ホラ」を吹きまくっていた。異常事態だ!

 

 

 自民党の裏金問題を契機に、“政治とカネ”に対する国民の不信感は高まっている。岸田首相が今後打ち出すであろう支持率稼ぎの政策に騙されぬよう、把握しておきたい「議員特権」を総ざらいする。

 

議員宿舎は破格の賃料
 さらに、衆参あわせ議員定数713人に対し、203台の公用車も用意されている。運転手の人件費だけで年間約16億円。もちろん、ガソリン代も議員が負担する必要はない。

 「公用車は会派ごとに割り当てられ、各委員会の委員長など役職者に支給されます。ただ、常に空いている車があり、一般議員でも抽選にとおれば間違いなく乗れる。過去には改革派から削減の提案が出たこともありますが、結局行われることはありませんでした」(前出・尾藤氏)

 議員宿舎は衆院が赤坂と青山、参院が麹町と清水谷に持っているが、いずれも賃料は格安だ。

 たとえば、赤坂議員宿舎は3LDK(約82㎡)で家賃が月12万4652円と、相場の4分の1の額になっている。もちろん、宿舎の管理運営費も税金で賄われており、赤坂議員宿舎の場合は年間で総額約6億2000万円に及ぶ。

 「地方選出の議員が国政に専念するために宿舎は必要というのが建て前ですが、実際には都内の大学に通う子供を一緒に住まわせている議員もいる。子供のために必死に仕送りしている地方在住者からすれば、特権と批判されても仕方ない」(前出・ベテラン政策秘書)

 永田町にある衆参の議員会館の管理運営費も、当然、国が負担している。衆議院第2議員会館地下3階には最新器具を備えたトレーニングジムが設置されているが、それも無料で使い放題だ。

 さらに、国会議事堂の院内では、こんな「特権」も受けられるという。

 「院内の1階には衆院と参院それぞれに医務室があって、内科医が常駐しています。実は、国会議員であれば、診療代は無料なんです。薬剤師もおり、花粉症の薬や目薬など簡単な薬も出してくれるので、セコい議員はドラッグストアで買わず、わざわざ院内の医務室で処方してもらっています」(同前)

 

ほら貝購入も政治活動費
 これだけ優遇されている国会議員だが、それでもなお課税は避けたいようだ。「特権」の極めつけとも言えるのが政治資金団体の名義変更。これにより、議員は相続税や贈与税すら免れることができる。

 「たとえば、自民党大物議員Xの政治資金管理団体に1億円の資産がプールされていたとします。その団体の代表名をXから息子のYに変えれば、お金を丸々引き継げるというわけです。昨年には故・安倍晋三元首相の政治団体から、妻の昭恵さんが約1億9000万円もの資産を非課税で継承していたことが明らかになり、話題を呼びました。ただそれでも、法改正の議論は一向に進んでいません」(前出・全国紙政治部記者)

 地方選出の若手議員などからは、「選挙資金が足りない」といった声が根強くある。しかし、各政党には合計で年間約315億円もの政党交付金が支払われており、政治活動費はそれで十分に賄えるはずだ。ちなみに、この助成金も使途の制限はなく、過去には麻生太郎自民党副総裁による人気漫画『ONE PIECE』のまとめ買いや、維新の会・杉本和巳議員の「ほら貝」購入が報じられるなど、政治活動と関係があるとは思えない使い方がされている。

 安倍派などの裏金づくり発覚のきっかけとなる刑事告発をした神戸学院大の上脇博之教授が、きっぱりと語る。

 「政策のために調査をしたり、官僚機構と対抗するために勉強しようとすれば、確かにお金はかかる。これらは民主主義を維持する上でのコストと言えるものですから、税金で負担されて然るべきです。しかし一方で、旧文通費にしろ立法事務費にしろ、使途については明確にすべきです。透明化し、税金の私物化を防ぐことが、政治改革の出発点です」

 裏金問題を契機に、今度こそ“政治とカネ”の在り方を見直すべきだ。

 

 

非課税の収入が1000万円以上…!新幹線も乗り放題…!改めて知っておきたい、ヤバすぎる「議員特権」を全公開

 
国民は怒っている
 世間を大きくにぎわせた自民党の政治資金パーティ問題だったが、東京地検特捜部による捜査は事実上の終結。議員3名を含む10名に刑事処分が下されたものの、安倍派幹部らの立件は見送りという尻すぼみの結末となった。

 「岸田文雄首相は自民党所属の全議員に対し裏金受領についてのアンケート調査を実施し、『早々に結果を取りまとめる』としていますが、そんなもので裏金の実態が解明できるわけがありません。旧統一教会問題のときと同じように、その場しのぎをしてウヤムヤにするといういつものやり方ですよ」(自民党・ベテラン政策秘書)

 裏金問題によって「政治とカネ」に対する国民の怒りは高まっており、SNS上には「まずは自分たちの身を切れ」といった声も飛び交っている。それもそのはずで、国会議員には「特権」としか言えないさまざまな優遇が存在する。

 本誌は今回、そんな「議員特権」を徹底調査。およそ一般感覚からかけ離れた、知られざる実態を明らかにした。

 まずは、議員の「歳費」(給与)と「期末手当」(ボーナス)。'23年の額は歳費が月129万4000円で、年2回の期末手当が約640万円、年間で約2200万円に及ぶ。

 これに加え、「調査研究広報滞在費(旧文通費)」が月100万円も支給される。非課税なうえ、領収書も使途報告も必要ないため、「第2の財布」とも呼ばれる。

旧文通費でバレンタインチョコを購入
 月100万円の「旧文通費」を個人の口座に入れ、“私的”としか思えない使い方をしている議員も少なくないという。自民党中堅女性議員の秘書が声を潜めて明かす。

 「私がついている女性議員は、党内で配るためのバレンタインチョコを旧文通費で購入していました。会計担当者だった私にカネを渡し、買いに行かされたのでよく覚えています。官僚や事務所スタッフとの飲み食いに使っているならまだマシで、クラブ通いや自分の洋服代、家族の食事代に使っている議員までいますよ」

 さらに、「立法事務費」もある。会派に対し支給され、議員一人あたりの金額は月65万円。やはりこちらも、非課税で使途報告の義務はない。

 元国会議員秘書で政治評論家の尾藤克之氏が言う。

 「議員収入年間3000万円超は先進国のなかでも高い額です。しかも、非課税で使途報告の必要がない収入が1000万円以上あるのは日本だけ。イギリスやアメリカの議員は、1円単位まで使途明細書の提出を求められています」

 表に出てきにくい「特権」はまだまだある。

 たとえば、議員は3人まで公設秘書を雇うことが認められているが、その人件費も国から支給されている。金額は年間約2500万円だ。
 
無料で乗ってマイルも貯まる
 移動についてもほぼカネはかからない。「国会議員鉄道乗車証」、いわゆる「JR無料パス」は、特権の最たる例とも言われる。

 「JR無料パスは名刺大のカードで、歳費法にもとづいて国会議員に与えられます。駅の有人改札でパスを示せば、無料で全国のJR路線に乗れる。特急券も無料なので、新幹線を使う際はグリーン車で移動できます」(全国紙政治部記者)

 チェックがゆるいため、この「JR無料パス」は不正の温床にもなっている。'22年には、元参議院議員の男が落選して12年経っていたにもかかわらずパスを利用し、詐欺罪で逮捕。しかしそれでも、対策は昨年3月に決まったパスの「デザイン変更」のみだ。

 国会議員はこの「JR無料パス」の代わりに、月4往復相当分の「航空券引換証」を受け取ることもできる。これらの特権のためにJRや航空会社に支払われる税金は、年間で約14億円にも及ぶ。

 また、海外視察についても、年間約5億3000万円が国から支給されている。

 「名のある議員が海外や地方に行く際、空港では必ずJALやANAのスタッフが玄関口まで出迎えに来てくれます。そして、荷物を運んでVIPラウンジに案内してくれるのです。ちなみに、『航空券引換証』で乗った場合もマイルが貯められます」(前出・ベテラン政策秘書)

 後編記事『相続税もかからない…! 診療代もタダ…! いくら何でもズルすぎる「議員特権」一覧』へ続く。

 「週刊現代」2023年2月17日号より