書籍を「爆買い」していた二階俊博氏、モヤモヤ感は晴れるどころか… 会見せず書面で幕引き図る無責任さ

 

 

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、二階俊博・元党幹事長(84)の資金管理団体が訂正した政治資金収支報告書が議論を呼んでいる。2020~22年の3年間で、計約3500万円もの書籍代の支出を追加したためだ。二階氏側は14日になって、書籍代の内訳と領収書を公表したが、内容を見ると疑問は膨らむばかり。説明責任を果たしたと言えるだろうか。(木原育子、山田祐一郎)

◆17タイトル3万冊に3500万円
 二階氏の政治資金管理団体「新政経研究会」は裏金事件発覚後の先月、2020〜22年分の収支報告書を訂正。今月14日になって、二階事務所は自民党本部の記者クラブ宛てに「政治資金の使途について」という題名の説明文と書籍購入時の領収書などを公表した。

 領収書や明細書によると、3年間で約3500万円の「爆買い」をした書籍は17書籍、3万冊近くに上る。

 

 書籍別最高額は「ナンバー2の美学 二階俊博の本心」。21年1月27日、国会内のりそな銀行支店から5000冊分計1045万円が、出版した財界通信社(東京)に振り込まれた。その1分前には、和歌山放送が手掛けた「地元メディアが見た二階俊博 力の源泉」の3000冊分275万円が同放送に振り込まれていた。
◆購入経緯は2パターンと説明
 二階事務所の説明文によると、購入経緯は出版社側から買い取りを提案されたケースと、政治家や関係者から著書を紹介されて購入したケースがあるという。

 和歌山放送の中村栄三社長は「地元放送局として、二階氏が中国の習近平国家主席に会った時などに随行して伝えてきた。書籍化をしたため二階氏側に購入を打診した」と明かす。

 「政権奪取秘史」の出版社で、21年3月に3000冊分475万円の支出を受けたさくら舎(同)の古屋信吾代表は「著者の大下英治さんを介して購入してもらった」と話す。

◆図書館の本棚142個分
 それにしても計3500万円とは巨額だ。二階氏の地元和歌山県御坊市によると、市立図書館の本年度運営予算は1600万円。2年分の予算に相当する。また、計3万冊近くの書籍は保管だけでも大変そうだ。

 図書館用品を専門に扱う「キハラ株式会社」(同)の担当者は「図書館の棚は1段で約35冊入り、高さ6段が一般的。単純計算で図書館の本棚が142個分必要になる」と話す。

 二階氏の著書の印刷を請け負ったことがある中和印刷紙器会社(和歌山市)の担当者は「御坊の事務所に大量の本が平積みされているのを見たことがある」と話す。「二階さんは高校時代は新聞部。活字へのこだわりを感じる」と語る。

◆関係の深い「小池百合子」本も

 購入書籍の多くは自身の政治家人生を扱った本だが、関係の深い政治家の本も。目を引くのが大下英治氏が書いた「小池百合子の大義と共感」。小池氏が再選を果たした20年の東京都知事選後に3000冊、396万円かけて購入。かねて二階、小池両氏の距離は近く、選挙戦の「慰労」の意味か。

 二階事務所の説明文では、購入書籍は「政策広報」のため「選挙区外の関係者に配布」したと強調している。選挙区内の有権者に配れば寄付扱いとして公選法違反になる恐れがあることを警戒したのか。

◆「研さん用」というより「宣伝広告費」
 いずれにせよ、研さんを積むための書籍代というより「宣伝広告費」ではないか。正当な支出なら、なぜ最初から報告しないのか。

 もやもやを解消しようと、「こちら特報部」は15日、二階事務所に質問状をファクスした。だが、回答時間が限られているとして「記者クラブ宛てにコメントを出しているので、それをご覧ください」という書面での素っ気ない答えしか返ってこなかった。

◆本当に裏金から支出していたのか

 これほどの大量の本を購入することは、政治家にとっては珍しくないのだろうか。元特捜部検事で国会議員秘書の経験もある坂根義範弁護士は「一般的には3500万円分も書籍を購入して読むのかと疑問を持たれるのかもしれないが、永田町ではあり得る話だ」と明かす。特に二階氏の場合は、派閥のトップであり、所属議員の書籍をまとめて購入することも考えられるとし「自分の政治活動の周知、派閥拡大のため各地で配布するなどしていたのかもしれない」と話す。

 一方で「書籍代の支出が、自民党のアンケートで判明した二階氏側への裏金約3500万円に、本当に対応しているのかは別問題。報告義務のない調査研究広報滞在費(旧文通費)から支出したのに、つじつまを合わせるため裏金の使途として付け替えた可能性もある。それができる政治資金規正法の緩さがある」と問題点を指摘する。

◆訂正時の支出先は「不明」でも通ってしまう

 自民党議員の収支報告書の訂正内容が問題視されたのは二階氏だけではない。安倍派の萩生田光一前政調会長が代表を務める政党支部は、3年間で派閥からの寄付計1952万円を収入として追加する一方、それに対する支出の具体的内容の多くを「不明」とした。同派の事務総長を務めた高木毅衆院議員の資金管理団体の収支報告書も、訂正した支出の額や相手先の多くが「不明」だった。

 総務省政治資金課の担当者は「政治資金規正法には訂正については特段の定めがない。報告書の内容は事実に即して記載されるべきものであり、政治団体から訂正の申し出があれば認める」と説明する。訂正内容の真偽や「不明」の具体的内容について、提出先の総務省や都道府県選管がチェックすることはない。

 

◆独立した行政機関がないことには
 「結局、報告書上で数字の帳尻が合っていれば、それ以上のことはわからない。そこに現行法の限界がある」と話すのは、日本大の岩井奉信名誉教授(政治学)。国会議員関係の政治団体に適用する政治資金監査制度があるが、訂正時の監査は求められておらず、「今後の議論になる」と岩井氏。さらに「報告書への不記載に対し、政治家本人の責任を問う連座制を導入するためにも、独立した行政機関が必要だ」と訴える。

 ただ、政権や自民党の踏み込みは甘い。14日に行われた衆院予算委員会の集中審議で、二階氏の報告書訂正について問われた岸田文雄首相は「事情を知る関係者による明確な説明が必要」と正面からの回答を避けた。同党が公表したアンケート結果で現職国会議員82人の不記載や誤記載の金額が明らかになったが、裏金の使い道などを問う質問はなく、野党から批判が集まる。開催が検討されている政治倫理審査会への関係議員の出席も不透明だ。

◆世論の関心が移るのを待っている?
 政治アナリストの伊藤惇夫氏は「ひと言で言えば、やったふり。内輪による調査で全容が明らかになるはずがなく、本気度が疑われる」と批判する。岸田首相は、裏金問題への対応として派閥の解消を表明するとともに、政治資金規正法改正にも言及する。だが伊藤氏は「岸田氏は先頭に立つとしながら、具体的にどこを向いているのかがわからない。改正案は小手先以下のものとなりかねない」と懸念し、こう強調する。「野党やメディアの追及が長引き『これ以外にもやるべきことがあるだろう』というムードが高まるのを待っているのだろう」

◆デスクメモ
 3500万円の金額に見合う政策広報の効果が本当にあったのかと、こちら特報部は二階事務所に見解を尋ねたが、具体的回答はなかった。記者会見も開かず、書面だけで終え、時が過ぎるのを待つのか。「家が一軒建つ」とやゆされるほどの支出の説明としてはあまりに不十分だ。(北)


 

 

二階元幹事長の「政倫審」出席リスクに自民が戦々恐々…党内グダグダも、本人は意気軒昂

 
国会で迷子になるという二階。そうとう…。説明責任さえ危ういのでは?って逃げさせる事はできない。
 
 
「じゃあ俺が出る……どうぞどうぞ」とダチョウ倶楽部の“伝統芸”のようにはいかないようだ。自民党は裏金事件を受け、国会の政治倫理審査会(政倫審)の開催を検討。再来週までの衆院通過を目指す新年度予算案の審議をにらみ、近く野党の要求を踏まえ、日程調整に入る見込みだ。

 問題は政倫審には出席を強制する権限がないこと。誰もが出席したがらない中、15日、「俺が出る」と前向きな姿勢をみせたのは萩生田前政調会長だ。野党が出席を求める安倍派幹部「5人衆」のひとり。ただ、「出席要請の明確な基準が公表され、その対象になるのであれば」と、5年で2728万円もの裏金を受け取りながら、エラソーに条件を付けた。

「5人衆のうち1人は『出席する合理的な理由がない』と難色を示しているそうです。いくら調整しても『俺が出るのに、アイツは出ないのか』『だったら出ない』と大モメは必至です」(自民党関係者)

■「書籍代3472万円」にも悪びれず
 
 政倫審の出席を巡っても党内はグダグダだが、二階元幹事長は野党の出席要求に「そんなに言うなら、出て行ってやる」と意気軒高らしい。そんな本人のヤル気に周囲は凍り付いているという。
 
「与党が政倫審開催を前提に、予算案の衆院通過を野党にのませるか。それとも与党の足元をみて、野党が衆院通過前の政倫審開催を強硬に主張するのか。どちらにせよ、開催が決まれば、次は『公開か、非公開か』でひと悶着しますよ。政倫審の審査は原則、非公開。しかし、審査対象となる議員が公開を求めれば、その限りではない。野党に『非公開では国民に説明を果たしたことにはならない』と押し切られた場合、二階さんを出すワケにはいかないでしょう」(自民党関係者)

 何せ、自派閥解散宣言の会見でも「派閥が悪いことをしているわけでもなけりゃ、金をごまかしているわけでもなんでもない」と言い放った二階氏のことだ。周囲が気を揉むのも理解できる。

「野党は『書籍代3472万円』の追及に手ぐすねでしょうが、本人には1ミリも悪びれた様子はない。購入本の内訳や領収書を堂々と公開したのも、その証拠。政倫審で『自分について書かれた本を配って何が悪い』とすごみ出したら、たまらない。党のイメージがこれ以上、悪化するのを恐れ、皆、体を張ってでも出席を止めにかかるんじゃないか」(ある自民党議員)

 自民党内は「どうぞどうぞ」どころか、「逆ダチョウ」状態。国民には、政倫審での二階氏の「リアクション芸」を見る権利がある。

 

 

自民の本好き妖怪・二階俊博に「巨額脱税」疑惑!特捜部による金丸事件再現&ブタ箱送りエンドの可能性は?

 
政策活動費も、派閥からのパーティー売上還流金も、使途不明であるかぎり、巨額脱税の疑いが晴れることはない。検察がここで奮起できないようでは、存在意義が問われることになるだろう。悪さの限りを尽くした二階には刑務所で読書三昧してもらおう。
 
 
自民・二階元幹事長に巨額脱税の疑いが浮上
自民党の二階俊博元幹事長に巨額脱税の疑いが浮上している。

5年間で50億円にのぼる党から二階氏個人への「政策活動費」名目の寄附のうち、政治活動に使っていない金額について、雑所得として税務申告していない可能性があるからだ。

そのような疑念が湧き起るのも、ちゃんとした理由がある。

二階氏の資金管理団体「新政経研究会」が派閥パーティー券売上の裏金化問題にからみ、収支報告書を訂正したのだが、その内容は、あまりに納得のいかないものだった。

一昨年までの3年間、自身が会長を務める二階派(志帥会)からの収入計1768万円を記載していなかったとして、収支報告書を訂正した。おそらく、パーティー代金のノルマ超過分を“中抜き”した金額を計上したのだろう。

もちろん、これは裏金作りの“自白”といえるものだが、いま国会やメディアで話題沸騰しているのはその件ではない。

同時に追加記入した支出が3年で3500万円もあり、その全てが書籍代金だったことだ。

読書家の元幹事長が刑務所で差し入れ本を待ちわびる日
あの二階氏が3年間に3500万円分もの本を買って読み漁ったとは誰も想像できまい。以下のような批判や疑問の声がネット上やメディアにあふれ、国会でも取り上げられた。

ネット上では《お前ん家は図書館か!》《店丸ごと買ったんか》というツッコミが相次いでいるが……。日本図書館協会によると、2021年度の公立図書館の図書資料等購入費は1館あたり823万円が予算額になっているという。3500万円という金額はじつに公立図書館4館ぶんの年間の書籍購入金額となる。
(2月9日女性自身)

家一軒建つくらいの書籍代に支出をされたということで、3500万円ですから一体何万冊を購入されたのか、使途について非常に説明が求められると思います。
(2月8日衆院予算委員会、藤岡隆雄議員)

もちろん、知人や議員仲間、あるいは自民党べったりのジャーナリストの本を大量購入したことも考えられなくはない。1冊1200円の本を3万冊近くも買える金額である。一般的な書籍の場合、2万部以上売れれば大ヒットといわれるから、たった一人でベストセラーをつくるようなものだ。

永田町の論理だと、これも自分の党を利するための政治活動といえるのかもしれないが、自分の腹が痛まないカネだからこそできる芸当であり、意図的に世論を捻じ曲げる行為にほかならない。一般社会の常識では、まともな政治資金の使い方とは言い難いのではないか。

こんなことだから、5年間で50億円を使途公開の必要のない「政策活動費」として党本部から引き出していた二階氏に対し、どんな使い方をしていたのか怪しむ声が頻出し、あげく党資金の私的流用の疑いがかけられるのだ。
 
50億円から不正蓄財か?
2月6日の衆院予算委員会で、 米山隆一議員は、二階氏に脱税の疑いがあり、政務調査をする必要があるのではないかと国税当局にただした。

その根拠として米山氏が指摘するのが、政治資金規正法に定められた寄附の総額規制だ。

規制法21条3により、個人からの寄附は、他の個人や政党、政治団体に合わせて3000万円までしかできない。だから1年に10億円の政策活動費をもらえば、残り9億7000万円は二階氏が自分で使わないといけない。5年間、雨の日も晴れの日も、寝てるときも起きてるときも、1時間ごとに10万円。ひたすら政治のためにお金を支出し続けた、あり得ますか、あり得ない。相当な額が残余となっているはずで、その分は雑所得になるはずだ。

たとえ二階氏が50億円すべてを政治活動に充てるつもりだったとしても、法の定める総額規制を破って他の政治家や団体に寄附しない限り、一人ではとうてい使いきれない数字である。

使い残した資金は、雑所得として申告する必要があると米山氏は主張する。

これについて、星屋和彦国税庁次長は、一般論としながらも米山氏の考えに肯定的な見解を述べた。

個人が政党から政治資金の提供を受けたら、雑所得の収入金額として取り扱う。1年間の政治資金の総額から政治活動の必要経費を差し引いた残額が課税対象となり、残額がなければ課税関係がないことになる。

もし、米山議員の言うように、5年間で50億円を手にした二階氏が、使いきれない金額を税務申告することなく“蓄財”していたとすれば、31年前の「金丸事件」を想起させる脱税事件にもつながりかねない。
 
東京地検特捜部が威信回復を目指した「金丸事件」
「金丸事件」は、いうまでもなく、かつての自民党のドン、金丸信氏を東京地検特捜部が脱税容疑で電撃的に逮捕した出来事である。

金丸氏が自民党副総裁だった1992年8月、東京佐川急便から5億円の献金を受け取りながら収支報告書に記載していないことが発覚。金丸氏が副総裁を辞任し、政治資金規正法違反を認める上申書を提出したため、東京地検は略式起訴にとどめた。

その結果、金丸氏は裁判所から罰金20万円の略式命令を受けるだけですんだが、この刑罰の軽さに世間が猛反発し、検察庁の石表札に黄色いペンキが投げかけられる騒ぎにまで発展した。

威信回復をめざした東京地検特捜部は、金丸氏が政治資金を流用し個人資産を蓄財していたとみて、脱税容疑で捜査をする方針に切り替え、1993年3月6日、逮捕した。

大手ゼネコンから闇献金を受け取り、約18億4230万円の所得を隠したとみられていたが、裁判の途中で金丸氏が亡くなったため、審理は打ち切られた。

家宅捜索で時価1千万円相当の金の延べ棒が発見されたことも、ニュースにインパクトを与え、同年7月の総選挙で自民党は単独過半数を失った。

そして、非自民・非共産8党派の連立政権である細川内閣が誕生し、自社対立の「55年体制」は崩壊した。

それから長い歳月を経た今でも、自民党の金権腐敗体質は変わらない。企業からの闇献金は、派閥パーティー券売上のキックバックや“中抜き”の裏金に姿を変えただけである。

政権に遠慮し、肝心の二階氏や安倍派の幹部たちをいずれも無罪放免にした検察の姿勢と、それに国民が憤慨した構図も金丸事件と同じだ。

ならば、今後は「政策活動費」も含めた脱税捜査に移るべきであろう。二階氏はその最大のターゲットだ。
 
二階氏を擁護する子飼い議員の「呆れた屁理屈」
むろん、二階氏を擁護する声もある。かつて民主党に所属し、2021年、自民党二階派に迎え入れられた長島昭久議員は2月5日の衆院予算委員会で、このような発言をした。

政策活動費が何を原資にしているかというと、自民党においては、国民の税金が原資となっている政党助成金(政党交付金)ではなく、政党独自の努力によって集めた浄財である。

なんという愚かな理屈であろうか。国民の血税を直接フトコロに入れたのではないから問題ないと言わんばかりである。

自民党の収入は、国民の税負担で賄われる政党交付金が70%近くを占め、あとは企業・団体献金の受け皿である国民政治協会や所属議員からの寄附などによるものだ。

長島氏はこのうち国民政治協会からの資金だけを政策活動費にあてていると解釈したいようだが、お金に色はついていない。党資金の大部分が政党交付金である以上、国民の莫大な血税を一人の政治家が思うがままにしてきたということになるのではないか。

問われる東京地検特捜部の存在意義
政権をコントロールしたい財務省の一組織である国税庁は容易に動かないだろう。問題は検察の姿勢だ。

金丸事件では、東京佐川急便事件の軽い刑事処分で批判のマトとなった東京地検特捜部が、金丸元自民党副総裁に関わる情報を東京国税局と共有して極秘に捜査を進め、巨悪を討つことが可能になった。

つまるところ、検察や国税を動かす国民の声が大切なのだ。

政策活動費も、派閥からのパーティー売上還流金も、使途不明であるかぎり、巨額脱税の疑いが晴れることはない。検察がここで奮起できないようでは、存在意義が問われることになるだろう。
 
 

二階俊博の「●ックス上納システム」が大炎上。松本人志も顔負けの“欲望”実現のため税金私物化?世論工作やマネロンまで疑われる始末

 
 
弊サイトでもたびたび報じているように、松本人志(60)の性加害疑惑をめぐり取り沙汰されている「セックス上納システム」。同システムが大きな話題となっているのは上の記事のとおりだが、松本同様、いやそれ以上に権力を振りかざし、政治の世界で欲望の限りを尽くしてきた「ミスター老害」こと二階俊博元自民党幹事長(84)に、驚きの「上納システム」の存在疑惑が浮上し、一部で大炎上状態となっている。

ことの発端は、自民党派閥の裏金問題に関して二階氏の資金管理団体「新政経研究会」が行った20〜22年の政治資金収支報告書の訂正。ここに「書籍代」として3,500万円近い金額が計上されていたのだ。当然ながら野党議員はこれを問題視、その内容の公表を迫られた二階氏の事務所は14日、書籍購入の理由とともに書名と領収書を添付した書面をリリースしたのだが、その購入部数は全2万7,700冊、ものによっては数百〜数千部単位と、とてもではないが常人が理解できる範疇をはるかに超えるものだった。

これについてネット上には批判的な書き込みが殺到。

《本屋でも開く気か》

《普通ならそれだけ本があれば家の床が抜ける》

《大人買いどころの話じゃねーぞ》

さらには「セックス上納システムどころかブックス上納システム」として、その問題点を指摘する声までが上がった。

しかしこの「ブックス上納システム」、考えてみれば日本社会を揺るがすと言っても過言ではない「仕組み」でもあるようだ。当稿では、その問題の考察を試みる。

【関連】松本人志「女性上納システム」20年に渡る“構築の黒歴史”を文春砲が暴露。苦しい言い訳の擁護芸人らを一網打尽か、未だ訴状が届かぬ理由

内訳の公表で明らかになった書籍タイトルと同一本に費やした購入金額
今回の内訳公表で明らかになった購入書籍は全17点。もっとも部数が多かったのは『ナンバー2の美学 二階俊博の本心』(林渓清著、大中吉一監修/ブックマン社)の5,000部で、購入金額は1,045万円。他にも二階氏本人がインタビューを受けるなどした自身の関連本が300〜3,000部、金額にして34〜475万円となっており、二階氏と関係深い小池百合子東京都知事を描いた『小池百合子の大義と共感』(大下英治著/エムディエヌコーポレーション)は3,000部を購入し396万円を支払っている。

その他、自民党議員関連の書籍やネットユーザーの言を借りると「お抱えジャーナリスト」が執筆した本も含まれており、二階氏の事務所は「選挙区外の行政や議会関係者、関連する政策を進める関係者などに配布し政策広報に努めています」としている。

大量購入の恩恵を受けた著者や出版社は二階氏にどう振る舞うか
その購入部数を問題視するのは、約30年に渡り出版業界に身を置く50代の男性メディア関係者だ。

「3,000〜5,000部を一括購入しているタイトルもありますよね。ご存知のように今の御時世、深刻な出版不況でして、初版1万分を超える書籍はかなりレアな存在で、3,000部からスタートという場合も珍しくありません。それを二階さんがまとめて買ってくれるとなれば、著者も出版社も絶対に頭が上がりませんよね」

それほど二階氏の「爆買い」は大きな意味を持っている、とした上で、男性メディア関係者はこう続ける。

「となると、大量購入の恩恵を受けた著者や出版社は、二階氏や自民党の批判をすることは一切できなくなります。つまり二階氏は爆買いで“メディアコントロール”しているということになるんです」

二階氏に、大量購入がメディアコントロールにつながるという意識はあったのだろうか。

「書店のランキングを大きく左右する」という問題
大量購入はまた、リアル書店やネット書店のランキングを大きく左右する。これに起因する問題を口にするのは、書籍出版経験もある50代のライターだ。

「ランキング上位になるとそれを売りにして出版社は広告も打ちますし、書店はポップなどで大々的に売り場展開します。テレビを始めとしたメディアも取り上げますから、宣伝効果も抜群です」

しかしこの場合、何が問題となってくるのだろうか。

「宗教関連では昔からよく耳にするケースですが、例えば先日亡くなった池田大作氏や大川隆法氏は、信者から集めたお金で自著の大量購入をしていたという話も流れてきていました。これはある意味、信者も納得しているからマシですが、二階さんの場合は裏金、もしくは税金を使っていたとなれば悪質と言わざるを得ません。お話しした通りメディアもこぞって取り上げますから、大量購入は世論や印象すら操作できるんです」(同前)

男性ライターが言う通り、仮に二階氏の大量購入に税金が使われているとなれば、血税で世論操作・印象操作を行っていたことになり、悪質極まりない。

2017年には『週刊金曜日オンライン』が「安倍首相の政治団体が『アベ本』を4000冊以上購入、有権者に無料配布の疑いも」という記事で、『約束の日 安倍晋三試論』(小川榮太郎/幻冬舎)を、「10月16日に丸善書店で900冊を約140万円で購入。翌月11月9日に、紀伊國屋書店新宿本店で900冊、丸善日本橋店でも140冊を購入した」と伝えている。これも「世論操作・印象操作」のために行われたのだろうか。

【関連】安倍首相の政治団体が「アベ本」を4000冊以上購入、有権者に無料配布の疑いも

さらに浮上してくる大きな疑惑
加えて、二階氏の書籍大量購入に税金が使われていたとした場合、次のような疑いも生まれてくる。以下、順を追って解説する。

二階氏の事務所は書籍大量購入の目的の一つとして、「関係者などに配布」という理由を挙げている。書籍は「無料」で配布されることになるが、著者や版元は売れる当てのない多くの在庫を抱えることはない。つまりノーリスクで利益を得られるのだ。

ここで一つの「if」を唱えるのは、40代の男性ネットメディア編集者だ。

「もし仮に、出版社の利益や著者印税の一部が二階氏にキックバックされていたとしたら、それは原資を税金とした裏金が二階氏の懐に入っていたことになり、マネーロンダリングと言っても差し支えないと考えます」

事実、ネット上にもこんな書き込みが散見される。

《税金使ったマネロンだろこれ》

《二階が税金使って本買って印税が還流されてるってことないの?だとしたらマネロンだよね》

《著者から献金受けてたらそれもう立派なマネロンです》

今回公表された購入リストに、二階氏本人が著した書籍は含まれていないため、「還流」がない限り違法性は指摘できない。が、二階氏を巡っては幹事長在任中の5年間に党から50億円もの政策活動費を受け取っており、その使途も明らかにされていない。そんなカネを配られた子飼いの政治家たちが、派手な飲み食いや「女性遊び」としていたとしても、もはや国民は驚かないだろう。

右派メディアにも疑われる「血税を使った世論操作」
選挙が近づくと、『月刊Hanada』や『月刊Will』といった右派雑誌と呼ばれるメディアが、こぞって政権与党を持ち上げ野党を貶めるかのような特集を組み、これでもかと言わんばかりに電車の中吊り広告などを打っていた。

「ああいったメディアにも官房機密費から少なくないカネが渡っていたという話も聞いたことはあります」(前出の40代男性ネットメディア編集者)

こちらも原資は税金。血税を使った世論操作は今後も行われるのだろうか。

X(旧Twitter)の反応
自民党の二階俊博が政治資金の使い道として「書籍代が3年間で3500万円」と抜かしたことに対して、その道のプロである市立図書館のベテラン司書が「3500万円分の書籍というのは一般的な市立図書館だと4館分の蔵書に当たります。これを個人で所有するのは物理的に不可能です」と指摘w

— きっこ (@kikko_no_blog) February 9, 2024

やはり、大量購入だった

ナンバー2の美学 二階俊博の本心(大中吉一氏監修、林渓清氏著=5千冊)
政権奪取秘史 二階幹事長・菅総理と田中角栄(大下英治氏著=3千冊)
小池百合子の大義と共感(同=3千冊)など

政治資金による世論操作が発覚したのは異例
二階氏もかなり追い込まれてきたのだろう https://t.co/VyGuk2Q3Gl

— 鮫島浩??ジャーナリスト『朝日新聞政治部』『政治はケンカだ!』『SAMEJIMA TIME』 (@SamejimaH) February 14, 2024

二階俊博の本の買いっぷりは、なかなかなものだ!
これについて2/14の毎日新聞が書籍購入の詳細な内訳を報道している。
特筆すべきは「大下英治」氏の本が突出していることだ。
──合計12,300冊。全体の約44%を占めている。
政治系作家の力の源泉がここにあり!といったところか?… https://t.co/LpLk7UkPc2 pic.twitter.com/OxTRuhM2zP

— 白坂和哉|ジャーナリスト|”突き刺さる” 政治情報を提供します! (@shirasaka_k) February 14, 2024

修正した3年で3740万円の書籍代。図書館でも作るのかと思いきや、その内訳をみて愕然とする。誰も納得しないだろう。出版社から最低買取数量を提示され、購入した本も含まれていたという。