清和会は福田派vs.高市派に分裂、麻生派にも“裏切り”の危機…自民党「新・派閥のたまご」勢力図

 
懲りない奴等!
 
 
「今、自民党内で起きている事態は、派閥解散ではなく“派閥再編”ですよ」(ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
 
 現職国会議員の逮捕者まで出した、派閥の政治資金パーティーをめぐる“裏金”事件。1月18日に、岸田文雄首相が宏池会の解散に言及して口火を切った後、清和会、志帥会など、おもな派閥が次々と解散を発表した。

「森山派や谷垣グループも解散したため、残るは茂木敏充幹事長率いる平成研究会と、麻生太郎副総裁率いる志公会のみです。しかし、平成研究会は小渕優子党選対委員長や石井準一参院国対委員長ら幹部クラスが次々と抜け、志帥会からも岩屋毅元防衛相が離脱するなど影響が出ています」(政治部記者)

 カネとポストに群がる烏合の衆は消え、政策集団が躍動する新たな自民党に生まれ変わる……とはいかないようだ。冒頭のとおり、永田町に詳しい識者の間では「派閥が再編されるだけだ」という声がもっぱらなのだ。そこで本誌は、新たな“派閥のたまご”を徹底取材。勢力MAPを作成した。元朝日新聞デスクで、政治ジャーナリストの鮫島浩氏はこう語る。

「まず、清和会の分裂は間違いないでしょう。主流を率いるのは、福田達夫議員。もともと、清和会を設立したのが祖父の福田赳夫氏ですから、当然ですね。しかし、若手や中堅クラスには圧倒的に安倍チルドレンが多く、彼らはタカ派なのでリベラルな福田議員とは反りが合わない。

 そこで高市早苗議員と合流し、新たなタカ派集団を作る可能性が高そうです。とはいえ“福田派”は20~30人の規模にはなるでしょうから、総裁選でかなりの力を持つでしょう」

“主流”が残らずに、霧散しつつある派閥もある。

「志帥会ですね。そもそもこの派閥は裏金事件以前に、高齢の二階俊博会長の後継をどうするのか岐路に立たされていました。そのなかで武田良太議員は、菅義偉前首相とのパイプが太く、二階派若手議員のまとめ役でもある。彼を中心に、新勢力が生まれるか注目です」(鈴木氏)

 総裁派閥である宏池会は、「解散直後から『連絡を取り合いながら結束はしていこう』という申し合わせがあった」(鈴木氏)というから、実質そのまま。だが、“謀反人”はどこにでもいるものだ。

「岸田首相の後継者は林芳正官房長官ですが、その対抗馬が小野寺五典議員。小野寺議員は、平成研究会を割って出た小渕氏と仲がよく、小渕氏の自宅に近い裏渋谷の居酒屋によく集まっています。

 小渕氏はボロボロの茂木派の次を担う議員ですから、大きなパイプです。さらに小野田紀美ら、タカ派の議員とも関係がいい。旧派閥を縦断する一大勢力を築くかもしれません」(自民党関係者)

 麻生副総裁の志公会も、“裏切り”の危機だ。

「麻生氏は、次期総理候補に茂木幹事長や上川陽子外務大臣を推しています。河野太郎デジタル大臣が本気で総理を目指すなら、派閥を割って出る可能性があります」(政治アナリスト・伊藤惇夫氏)

 小野寺議員のケースのように、“飲み友達”がまた別の“派閥のたまご”として、結束する可能性もある。

「稲田朋美議員が似たようなグループを作っています。松川るい議員や、杉田水脈議員、森まさこ議員など、いわゆる“やらかし”で世間から非難を浴びている女性議員を温かく迎え入れ、世話をしているとか。

 野田聖子議員も議員会館の会議室を借りた飲み会で、広い人脈を持つことで知られています。飲み友の浜田靖一議員は、野田議員の総裁選出馬の推薦人にまでなっていますから。いまや“裏”党内最大派閥の呼び声もあります」(政治部デスク)

 残念ながら、真の“政策集団”が生まれる気配は、まったくない……。
 
 

岸田首相が「政治倫理審査会」実施に応じる意向…安倍派5人衆が出席するかが焦点に

 
 
 自民党派閥による裏金事件を受け、岸田首相は、野党側が求める国会の政治倫理審査会(政倫審)の実施に応じる意向を固めた。14日の朝日新聞が報じた。

 野党側は、自民党が実施したアンケート調査は不十分だとして、政倫審を開催して安倍派幹部「5人衆」、二階元幹事長らを出席させるよう要求。応じなければ政倫審よりも強制力のある参考人招致や証人喚問を求める構えを示していた。岸田首相は疑惑を抱える議員本人の国会での説明は避けられないと判断。野党側が求める関係議員の出席の可否を確認した上で、野党側との具体的な調整に入る。
 
 政倫審の審査には本人の申し出か出席委員の過半数の議決が必要。議員側は出席を拒否することもできる。5人衆らが出席するか否かは不明だ。
 

高市氏「全く関係ない」と不快感あらわに 肝いりのSC制度と次期総裁選出馬の関連問われ

 

 

高市早苗経済安全保障担当相が13日の記者会見で一部のフリー記者の質問に不快感を示す場面があった。経済安全保障上の機密情報へのアクセスを官民の有資格者に限る「セキュリティー・クリアランス(SC、適格性評価)」制度の創設に尽力したことを巡り、次期総裁選出馬に向けた足場固めかとの見方を問われ、「全く関係ない。そこまで言われると落胆する」と強く否定した。

SC制度については個人情報保護の観点から政府内に慎重意見もあったが、高市氏は岸田文雄首相に法整備の必要性について直談判。制度導入のための新法を今国会に提出する方向性を導いた。

高市氏は会見で、「一部報道で総裁選の足場固めとの見方が出ている。こういう側面もあるのか」と問われると、「もうちょっと、そこまで言われると大変落胆する。(令和5年9月の就任以来)1年半かけて心血を注いで取り組んできた制度だ。日本企業の海外のビジネスチャンスを広げるためにも、日本の情報保全をしっかりしたものにするためにも必要な制度だ」とため息まじりに答えた。

SC制度を巡っては「法案の検討に当たっては、国民の知る権利やプライバシー権を不当に侵害しない制度にしていくのは当然のことだ」とも強調した。

フリーの記者はSC制度について質問する前に、高市氏が岸田首相に対し2025年大阪・関西万博の延期を進言し、その後に能登半島地震対応と万博成功の両立を図る考えに展じた経緯について、皮肉めいた質問も繰り返していた。