「ロシアが好き放題やるようにけしかける」トランプ氏の放言が波紋 軍事費負担しない同盟国は「守らない」

 
日本の維新と重なる…。危うい機運が全世界に襲いかかっていくる様な尋常でないものが、平然とのさばる…。新自由主義が行き着く先なのであろうか?
 
こんな人物がアメリカ合衆国の前大統領で次期大統領候補。
民主党はバイデン氏以外に候補者いないのか? いるでしょう。あの二人しか大統領候補がいない国とは思えない。

 
 
 
 
 【ワシントン=浅井俊典】11月の米大統領選で返り咲きを狙うトランプ前大統領が、北大西洋条約機構(NATO)の同盟国が十分な軍事費を負担しなければロシアが攻撃してきても米国は守らないと発言し、国内外から批判を浴びている。ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、同盟軽視の発言はNATO加盟国にトランプ氏再選の不安をかき立てそうだ。

◆ホワイトハウス「正気とは思えない」
 トランプ氏は10日、南部サウスカロライナ州での集会で、自身が在任中にNATO加盟国の首脳から「もし十分な軍事費負担をしていない国がロシアに攻撃されたら米国は守ってくれるのか」と問われた話を紹介。首脳に「守らない。むしろロシアが好き放題やるようにけしかける」と伝えたと明かした。

 この発言を受けてホワイトハウスはすぐに声明を出し、「同盟国への侵略を促すとは正気とは思えない」と非難。NATOのストルテンベルグ事務総長も「同盟国が互いを守らないとほのめかすことは、米国を含むすべての加盟国の安全保障を損なう」と批判した。

◆ドイツもフランスも非難、警戒感
 AP通信によると、12日になっても発言の余波は収まらず、ドイツのショルツ首相はトランプ氏の発言を念頭に「無責任で危険であり、ロシアの利益になるだけだ」と述べた。フランスのセジュルネ外相は「トランプ氏の描くシナリオの衝撃に備えるためには一刻を争う」と警戒感を示した。

 NATOは北大西洋条約第5条で、加盟国が軍事攻撃を受けた場合、すべての加盟国への攻撃とみなし、武力行使を含む必要な行動を直ちに取ると規定している。加盟国には国内総生産(GDP)比2%以上の国防費確保を求めているが、トランプ氏は在任中、この基準を満たしていない国が米国の支援に「ただ乗りしている」と主張し、脱退も検討していたとされる。

 トランプ氏は大統領選で共和党の候補指名争いを独走し、民主党のバイデン大統領との再対決の可能性が高まっている。
 
 

トランプ米前大統領、NATO加盟国攻撃をロシアに「促す」……在任中の発言に批判 軍事費負担めぐり

 
 
今年11月の米大統領選で野党・共和党の指名候補になる見通しが強いドナルド・トランプ前大統領は10日、在任中に北大西洋条約機構(NATO)の加盟国に対し、その国の「軍事費負担」が不十分ならばアメリカはその国を守らず、ロシアに「好きにするよう促す」と発言したのだと、支持者集会で明らかにした。

これについてNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、「我々全員の安全保障を損なうものだ」と強く反発。ジョー・バイデン米大統領も、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による侵略行為に「青信号」を与えるものだと批判した。

トランプ前大統領は10日にサウスカロライナ州で開いた支持者集会で、自分がかつてNATO首脳会議(サミット)に出席した際、「大きい国」の指導者から、仮定の話を持ち掛けられたのだと明らかにした。
 
これに対して自分は、「払ってない? ちゃんと払ってない? だったらうちはおたくを守らない。むしろ、(ロシアに)好きにするよう促す。払わないとだめだ」と答えたのだと、前大統領は聴衆に話した。

前大統領は、この会話がいつのことか、相手の国や指導者がどこのだれかなどは明らかにしなかった。

「アメリカと欧州の兵をさらに危険に」
NATOには、加盟国が一定の防衛努力をするために国内総生産(GDP)比2%を国防費に充てるという基準がある。また北大西洋条約第5条で、加盟国に対する武力攻撃は全NATO加盟国への攻撃と見なし、防衛に協力すると定めている。

NATOがまとめた加盟国の2023年国防費によると、加盟国30カ国のうち19カ国の国防費が、このGDP比2%基準に達していない。これにはドイツやノルウェー、フランスが含まれる。

他方、ウクライナやロシア、ベラルーシに近接する加盟国は、GDP比2%以上を国防費に充てている。

ポーランドの国防費はGDP比3.9%で、アメリカを超える。ルーマニア、ハンガリー、フィンランドのほか、ラトヴィア、リトアニア、エストニアのバルト諸国は、同比2.3~2.7%を国防費に充てている。

NATOのストルテンベルグ事務総長は11日、声明を発表し、NATOは加盟国を守る「用意と能力がある」と強調し、NATO加盟国へのどのような攻撃にも「一致団結して強力に反撃する」と述べた。

そのうえで事務総長は、「同盟諸国がお互いを守らないなどという発言は、全員の安全保障を損なう」ものだと警告し、トランプ前大統領の発言は「アメリカと欧州各国の兵士に対する危険を拡大する」ものだと批判した。

「大統領選に誰が勝つとしても、アメリカは引き続き強力かつ前向きに、NATOの加盟国であり続けると期待する」とも、事務総長は述べた。

プーチン氏への「青信号」
ストルテンベルグ事務総長の声明を受けて、バイデン米大統領は声明で、「ドナルド・トランプは、自分がプーチンに青信号を与えるつもりだと認めた。プーチンがさらに戦争を続け、暴力をふるい、自由なウクライナに対する残虐な攻撃を続け、その侵略行為をポーランドやバルト諸国へ拡大するのを、容認するつもりだと。これはとんでもない、危険なことだ」と強く批判した。

共和党の大統領候補指名争いで唯一人、トランプ前大統領の対抗馬として残るニッキー・ヘイリー元国連大使は、BBCがアメリカで提携するCBSニュースに対して、プーチン氏を「敵は殺す、ごろつき」と呼び、そのプーチン氏やロシアに味方することの危険性を指摘した。

NATO加盟国が懸念する「もしも」
トランプ前大統領はかねてNATOに批判的で、他の加盟国を防衛するための経済的負担をアメリカが過度に担いすぎだと主張し続けている。

NATO分析官だった英バース大学のパトリック・ベリー博士(安全保障、対テロ研究)はBBCに対して、トランプ前大統領は、一部のNATO加盟国の国防費がNATO基準を満たしていないというアメリカ国内の不満を反映したものだと指摘した。

「NATO加盟国に厳しい態度で臨むのは正しいことだが、それをどこまでやるのかが大事だ。今回のコメントは本当に行き過ぎだ」と博士は述べた。

ただし、ロシアが戦時経済に移行し、その軍事費が欧州諸国を上回っている現状での今回のトランプ発言は影響力を持つとも、博士は指摘する。

「もしトランプがホワイトハウスにいて、ウクライナをめぐり、あるいは(NATO条約)第5条発動に理論上はつながる小規模な侵略をめぐり、NATOの間で意見が割れたとする。そういう『もしも』を、NATO各国は心配している」のだと、ベリー博士は述べた。

それによると、その外国指導者は「もし私の国がNATOでの金銭的義務を果たしていないとして、私の国がロシアから攻撃されたら、アメリカはどうするのか」と、トランプ氏に尋ねたのだという。