【独自】5人衆は自分を助けてと老人ホームの「森喜朗」に嘆願《安倍派ではなく森派と呼ばれる派閥の末路》

 
 ちなみに森元首相が入居している老人ホームは、皇居のお堀からもほど近い千代田区にあり、国会へも車で5分程度の立地。森元首相は妻と2人で入居しているそうで、ホームページを見ると「一時金」として1億円近い資金が必要と書かれている。
 
 
5人衆の処分を「穏便に」と麻生に
 「やっぱりうちは森派だったんだなぁ」

 そうつぶやくのは、安倍派(清和政策研究会)所属の衆議院議員のひとりだ。
 
 東京地検特捜部が手がけた安倍派のパーティー裏金事件では、池田佳隆被告が逮捕され、大野泰正参議院議員は在宅起訴、谷川弥一前衆議院議員が略式起訴と、3人の議員が立件された。さらに安倍派の会計責任者までもが在宅起訴となり、裁判で裁かれることになった。

 立件は逃れたものの、安倍派の「5人衆」と呼ばれる幹部全員が裏金を受領しており、岸田文雄首相や茂木敏允幹事長は安倍派に「責任」を求めるいま、安倍派は派閥解散だけでは済みそうもない。

 ここで動き出したのが、安倍派の「影のオーナー」とも目される森喜朗元首相だ。麻生太郎副総裁や茂木幹事長と相次いで会談し、5人衆の処分について「穏便に」と求めているという。

 5人衆は、萩生田光一前政調会長が約2728万円、世耕弘成前参院幹事長が1542万円、松野博一前官房長官が1051万円、高木毅前国対委員長が1019万円、西村康稔前経産相が100万円といずれも高額の裏金がわかっている。

 自民党は独自に政治資金収支報告書への不記載が判明している議員に事情聴取を開始。安倍派だけで60人以上が対象になるという。

 岸田文雄首相の岸田派も、パーティー裏金事件では会計責任者が略式起訴されている。岸田首相は、真っ先に岸田派解散と派閥解消を打ち出し、「岸田の乱」に打って出た。特捜部に立件された安倍派、二階派だけではなく、関係がないとみられていた森山派までもが派閥を解散する公算だ。

特捜検事はやはり森を狙っていた
 官邸関係者が証言する。

 「安倍晋三元首相が亡くなり、安倍派と言いながらも、会長は不在。5人衆みんなが森元首相のご機嫌とりに終始し、次期会長に就くべくゴマを擦っていたのが本当のところです。

 5人衆は、最大派閥の安倍派の会長になれさえすれば、首相の座はすぐに手が届く。さらに森元首相は、キングメーカーに返り咲ける。そうした構図だったのです。

 ところがそれが今回の事件でおじゃんになった。だが森元首相はそう簡単にあきらめる人じゃない。麻生氏、茂木氏どころか岸田首相にも、5人衆に手を出させず、『派閥の中で解決するので』と直談判するつもりです。

 今のところ、岸田首相はうまくかわしているので直接会ってはいないが、森元首相の執念はすさまじい」

 安倍派のパーティー裏金事件では、森元首相自身の「疑惑」も浮上した。安倍派のパーティーでノルマを超えた売上をキックバックする方式は、森元首相が派閥会長時代に考案されたともいわれる。また、高木氏が森元首相にキックバック分を「上納」していたという不透明なカネの流れも噂された。

 特捜部に複数回呼ばれて事情聴取に応じた安倍派のベテラン秘書が語る。

 「ノルマ超過分をキックバックで戻し、政治資金収支報告書には書き込まないという方法は、誰が指示したのか聞かれました。私は森元首相の時代からそういう処理をして、ずっと続いていると見聞きしていたのでそのまま特捜部に話をしました。

 検事も『やっぱりそうだよな』『森元首相がこういう手法を思いついたのかな』とつぶやいていました。『本当に責任があるのは森元首相ではないのか』と影で愚痴っている議員もいる。

 しかし、永田町で隠然たる力を誇る森元首相に正面切っては誰も言えません。実はうちの議員から『森元首相のことは検事に言うな』と口止めされていましたが、隠すとよけいにダメだと思い、私はしゃべりました」

 特捜部が森元首相に事情聴取をしたのかしなかったのかは、いまだ判然としない。しかし、2022年8月に特捜部が着手した東京五輪汚職では、オフィシャルスポンサーに選定されるように、便宜を図ってもらおうとした紳士服大手「AOKIホールディングス」の青木拡憲元会長らが贈賄容疑で逮捕されたことを思い起こそう。
 
一時金1億円近い千代田区の老人ホーム
 大会組織委員会の会長である森元首相のがん治療中に面会した青木元会長は、200万円の「お見舞い」を持参したり、会食を重ねていたことも明らかになった。その際、森元首相は特捜部の事情聴取を受けている。

 すでに有罪判決が確定している青木元会長の裁判では、

 《(スポンサーの決定権は)なんだかんだ言っても最後は森さん》
《スポンサー決定は森会長に一任されていた》
《森会長と会食しAOKIの要望項目を書面にして手渡した》

 と森元首相の関与を疑わせる内容もあったが「不問」となっている。東京五輪談合の収賄側の「主犯」として公判中の高橋治之被告は、1月31日に開かれた法廷で「森元首相を証人に呼ぶべき」と主張しており、疑惑が再燃している。

 前出の安倍派議員のひとりが語る。

 「森元首相は五輪談合で特捜部から調べを受けて『なんで私が聞かれなきゃいけないのか』とご機嫌斜めでした。それでも森元首相は常に永田町の真ん中でニュースの中心にいることは間違いない。それが影響力というのでしょう。

 5人衆も、それぞれが『悪いのは西村だ』『世耕が参議院をまとめていたので責任がある』と責任の押し付け合い。5人衆としてもてはやされたのに、いざとなったら誰も責任をとらない。本当なら、議員辞職でもおかしくないが自分たちから助けてとは言い出せないので、森元首相にすり寄って、なんとか岸田首相につないでもらい命拾いしたいという魂胆だ。

 だからよけいに、森元首相の存在感が発揮される。老人ホームに入っただけでも、週刊誌に掲載されるのですからね」

 ちなみに森元首相が入居している老人ホームは、皇居のお堀からもほど近い千代田区にあり、国会へも車で5分程度の立地。森元首相は妻と2人で入居しているそうで、ホームページを見ると「一時金」として1億円近い資金が必要と書かれている。

 「老人ホームですから、当然、外出時間などの制限があります。しかし、森元首相はお構いなしでパーティーや会食にも出席し、酒も飲むし、夜遅くに老人ホームに帰宅することもあるほど意気軒高。安倍派の議員にもよく電話が入っている。そのうち、5人衆をはじめとして“老人ホーム詣で”がはじまるかもしれない」(前出・安倍派の衆議院議員)

 安倍派と言われていたが、会長不在で実態は「森派」の証明。「岸田の乱」に乗じて「森院政」を敷きかねない状況で、森元首相は高笑いをしているのだろうか? 。
 
 

自民関係議員聴取、成果に疑問の声…茂木氏は銀座通いで3人離党したのは「厳しかった」

 

 

 自民党は派閥による政治資金規正法違反事件に関係した議員への事情聴取を2日に始め、実態解明の作業に乗り出した。世論の批判が収まらない中、自浄作用をアピールする狙いがある反面、聴取で十分な成果が上がるかどうか疑問視する見方が多く、関係者への厳しい処分につながるかも不透明だ。

 「聞き取り作業の進捗(しんちょく)状況を受け、党としても説明責任を果たしていきたい」

 岸田首相(党総裁)は2日、首相官邸で記者団にこう述べ、党として実態把握を進める意義を強調した。
 聴取実施の背景には、東京地検特捜部の捜査は終結したものの、党としては事件の詳細や全容を把握できていないとの問題意識がある。聴取は森山総務会長、渡海政調会長、小渕優子選挙対策委員長ら党幹部6人が3グループに分かれ、約90人を対象に弁護士同席で行われる。

 2日は、森山、小渕両氏がペアになり、国会からほど近い東京都内のホテルで午後から聞き取りをした。収支報告書への不記載額や使途、経緯などを確認した。連日実施して2月上旬をめどに作業を終え、茂木幹事長に報告書を提出する予定。

 自民は聴取結果を公表することで、「事件をうやむやには終わらせない」との姿勢を示して国民の批判を和らげたい考えだ。ただ、政府・自民内では、新事実が明らかになる可能性は低いとの見方が出ている。政府高官は「特捜部の捜査を超える聴取は不可能。議員は地検に話した以上のことは話せないだろう」と語る。

 焦点となるのは、聴取結果を踏まえた党としての対応だ。政治資金パーティー収入を議員に還流し、裏金化していた安倍派の幹部らに対しては、党内にも厳しい処分を求める声がある。

 党には、党の役職停止、離党勧告、除名などの処分があるが、執行部には「地検が立件できなかったのに重い処分を科せるのか」との見方がある。2021年の新型コロナウイルスの緊急事態宣言中、東京・銀座のクラブ通いが判明した議員3人は離党したが、茂木幹事長は1日のBSフジの番組で「今までの基準からすると厳しかった」と述べ、参考にならないとの考えだ。

 とはいえ、党内では「銀座通いより裏金の方が重大なのは明らか。それより軽い処分では国民の理解は得られない」(中堅)との声が根強い。処分の結果次第では聴取の意義が問われる事態に発展しかねず、執行部は難しい判断を迫られる。

■氏名公開基準 引き下げ要望…令和臨調提言 パーティー券購入者

 経済界や学識経験者らでつくる「令和国民会議」(令和臨調)は2日、東京都内で記者会見し、政治資金制度の改革に向けた緊急提言を公表した。透明性確保のため、政治資金パーティー券購入者の氏名などの公開基準を現在の「20万円超」から「5万円超」に引き下げることなどを与野党に求めた。

 提言では、与野党が今国会中に「直ちに合意すべき事項」として、パーティー券購入者の公開基準額引き下げのほか、パーティー券の現金による売買禁止、会計責任者らが政治資金収支報告書に虚偽記載を行った場合の政治家の責任を問う仕組み作りなどを掲げた。

 

議員個人が政党から受け取る「政策活動費」の使用後の領収書提出や使途の記載義務づけ、収支報告書のデジタル化などは制度設計に時間を要するとして、今国会中に「道筋をつけるべき事項」とした。

 政治資金を巡る一連の事件について、提言では「不透明な資金の授受を可能にしているシステム自体の包括的かつ抜本的な改革が求められる」と結論づけた。

■安倍派・二階派の報告書訂正提示

 自民党は2日の衆参両院の予算委員会理事会で、派閥の「政治とカネ」の問題を巡り、安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)の政治資金収支報告書の訂正内容をまとめた文書を提示した。

 文書には派閥から支出を受けた政治団体名しか記されておらず、野党は5日午前の理事会で政治団体の代表を務める議員名を加えた資料を出すよう要求した。