金権腐敗政治の根本である企業・団体献金の禁止を求めた志位さんの質問に対し、「論理の飛躍がある」「企業・団体献金自体が不適切とは考えていない」と岸田首相。 腐敗の根本を正そうとせず、汚職を繰り返してきた反省は見られない。利権と癒着の構造を断ち切るべきだ。

 

 

 

能登地震・裏金・暮らし・外交

国政の根幹ただす

衆院本会議 志位議長が代表質問

 

 

 日本共産党の志位和夫議長は1日、衆院本会議で代表質問に立ち、能登半島地震の被災者支援の抜本拡充、自民党の政治資金パーティーをめぐる裏金問題の全容解明を迫りました。経済では、岸田政権がこれまでの政策の失敗を認めながら、失敗した道を転換できない政策破綻に追い込まれていると批判。平和では、米国いいなりの「戦争国家づくり」ではなく、自主自立の外交で平和をつくる道への転換など、希望を届ける対案を示して国政の根幹をただす論戦を展開しました。

 

 志位氏は、能登半島地震の対応について、被災者の命と健康を守り抜くために、実態をつかみ、支援を現場に届け切る具体策を示すよう要求。住宅・なりわいの再建に向けて政府が「希望」のメッセージを発信する必要性を強調し、被災者生活再建支援金の大幅な引き上げなど、「災害の特別の深刻さに見合った『異例の措置』をちゅうちょなく実行すべきだ」と求めました。また、深刻なトラブルが発生した志賀原発、柏崎刈羽原発の廃炉、巨額の税金を使う大阪・関西万博の開催中止を迫りました。

 岸田首相は、被災者支援について「実情に合わせて追加的な方策を総合的に検討している」と述べるにとどめました。志賀原発について「安全確保に影響のある問題は生じていない」と強弁し、大阪・関西万博の開催中止を否定しました。

 志位氏は、自民党の裏金問題について、国民の深い批判と怒りが沸き起こっていると指摘。政治資金規正法の根本精神をじゅうりんし、「『民主政治の健全な発達』を妨害する組織的犯罪行為という認識と反省はあるか」とただしました。

 自民党内でシステム化していた裏金づくりの全容解明を迫り、「全容解明にふたをしたまま、いくら『政治刷新』と言っても何の意味もない」と批判。パーティー券を含めた企業・団体献金の全面禁止、政党助成金制度の廃止を求めました。

 志位氏に「総理が繰り返す『実態の解明』の実態とは、いったい何の実態なのか」と追及され、岸田首相は「(政治資金収支報告書の)不記載の実態の把握」に努めると初めて述べざるを得なくなりました。一方、企業・団体献金は「不適切とは考えていない」と述べ、全面禁止に背を向けました。

 暮らしと経済について志位氏は、自民党の「税制改正大綱」が「近年の累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかった」と結論付けていることをあげ、「長年続けてきた法人税を減税し、その穴埋めに消費税を増税する路線を根本的に改めることが必要だ」と追及しました。富裕層・大企業に応分の負担を求め、消費税5%減税、インボイス増税の中止こそ「失敗から学ぶ道だ」と迫りました。

 米中対立が強まるもとでの日本の進路について志位氏は、昨年末、東南アジア諸国連合(ASEAN)に加入する3カ国を歴訪した経験から、「中立と自主独立を貫くASEANの立場に、日本外交が学ぶべき英知が示されている」とただしました。東アジアを戦争の心配のない平和と協力の地域にしていくために、憲法9条を生かした平和外交に取り組むことこそ未来ある道だと強調しました。

 岸田首相は「ASEANの中心性を支持する」「AOIP(ASEANインド太平洋構想)を強く支持する」と述べる一方、大軍拡と日米同盟に固執するという矛盾した姿勢を示しました。

 

 

衆院本会議 代表質問 政治資金規正法の改正など求め議論

 

国会では1日午後、衆議院本会議で2日目の代表質問が行われ、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、各党が議員も責任を負う「連座制」の導入も含め政治資金規正法の改正などを求めました。これに対し、岸田総理大臣は党として考え方をまとめ議論する意向を示しました。

 

《政治資金パーティーめぐる問題について》

▽日本維新の会の馬場代表は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について「派閥解消を政治改革の中心に据える動きが加速しているが、目くらましと言わざるをえない。本筋は『裏金問題』で、問題の全容を明らかにせず派閥を解散して幕引きとするのは許されない」とただしました。

 

これに対し、岸田総理大臣は「政策集団から人事と資金を切り離すことは政治改革の本丸の1つだ。政策集団のあり方の改革に加え関係者による説明責任が果たされるべきなのは当然で、党としても関係者の聴き取りを行うこととしており、目くらましとの批判はあたらない」と強調しました。

また、政党のガバナンスに必要な組織規定などを定める「政党法」の必要性を問われ、岸田総理大臣は「政党が期待される役割を果たすため政治活動の自由が最大限尊重されなければならないという意見もあり、『政党法』の制定は慎重な検討が必要だ」と述べました。

さらに、議員本人も責任を負う「連座制」の導入をめぐり、岸田総理大臣は「対象とする政治団体の範囲や違反の種類など、さまざまな課題について丁寧な議論を行う必要があるが、今後、党としての考え方をとりまとめ、議論していきたい」と述べました。

 

▽公明党の石井幹事長は「政治への信頼を取り戻すため、派閥の解消にとどまらず、政治資金規正法の改正に与野党の枠を超えて取り組むべきだ。『連座制』を導入し、罰則の強化を図ることも極めて重要だ」と指摘しました。

これに対し、岸田総理大臣は「政治資金の透明化や公開性の向上、より厳格な責任体制の確立などに各党と真摯(しんし)な協議を行っていく。政治資金規正法の改正についても党としての考え方をまとめたうえでしっかりと議論していきたい」と述べました。

 

▽共産党の志位議長は「金権腐敗政治の根本にある企業・団体献金の禁止に岸田総理大臣は背を向けている。経済的に圧倒的な力のある企業が献金することが政治をゆがめ、国民の参政権を侵害することになる」と訴えました。

これに対し、岸田総理大臣は「論理の飛躍がある。企業・団体献金は各党・各会派の長年の議論を経て現在の姿になっており、政党などが取り扱うこと自体が不適切とは考えていない」と述べました。

 

▽国民民主党の玉木代表は「派閥の解消や法改正の前に、誰がどのような法令違反を犯したのか全容を解明するのが最優先だ。予算案の審議が始まる前の来週月曜日の朝までに違反者のリストを出してほしい」と求めました。

これに対し、岸田総理大臣は「自民党の各政策集団や議員側の政治団体で政治資金収支報告書の訂正作業が順次行われているところであり、その作業を踏まえつつ可能な情報提供を行っていく」と述べました。

《岸田首相 来年開催の大阪・関西万博について》
一方、来年開催される大阪・関西万博をめぐり、岸田総理大臣は「現時点で万博関連の資材調達などで能登半島地震の復興に具体的な支障が生じるとの情報には接しておらず、万博を延期・中止する必要があるとは認識していない。今後も復興に支障が生じることがないよう政府を挙げて取り組んでいく」と述べました。

岸田首相 憲法改正について
このほか憲法改正について、岸田総理大臣は「先送りできない重要な課題であり、自民党総裁としての任期中に憲法改正を実現したいという思いはいささかの変わりもない。時間的制約がある中でも一歩でも前に進めるため、党内の議論を加速させるなど憲法改正の課題に責任を持って取り組む決意だ」と述べました。

維新 馬場代表「評論家のように話すが やる気感じられなかった」
日本維新の会の馬場代表は記者会見で「岸田総理大臣は評論家のようにきれいに話すが、やる気はあまり感じられなかった。政治改革についても、今まで『派閥』と言っていたのを『政策集団』と繰り返し、どんなにヤジを受けても『派閥』ということばは使わないありさまで、表面上のことだけを考えているようだった。唯一、大阪・関西万博だけは、『オールジャパンでやる』という固い意志が感じられた」と述べました。

国民 玉木代表「ゼロ回答言わないが『塩対応』だった」
国民民主党の玉木代表は記者団に対し「ゼロ回答とは言わないが、『塩対応』だった。『トリガー条項』の凍結解除についても答えがなかったのは極めて残念だ。岸田総理大臣は、自民党を守るために派閥の解消を誰にも相談せず1人で決めたのだから、今度は国民生活を守るために『トリガー条項』の発動を決断するときだ」と述べました。