岸田首相、こんなお笑い「刷新本部」で自民党が変わると本気でお考えですか。

 

 

「政治は国民のためにあるという自由民主党の立党の精神に立ち戻る必要がある。我々自民党は変わらなければなりません」

 

1月11日に行われた自民党政治刷新本部の初会合で、本部長の岸田文雄首相はこう力説したのだが――。

「そもそもこの刷新本部は、安倍派を筆頭とした党内派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑を受けて作られたもの。最高顧問の菅義偉前首相が『派閥の解消がスタートライン』と話したように、自民党を大胆に改革することが目的であるはずです。

ところが、刷新本部最高顧問で志公会を率いる麻生太郎元首相が別の会合で派閥の効能を説くなど早くも言っていることがバラバラ。岸田首相も、自身が率いる宏池会への思いが強いのか、派閥解消に消極的で当事者意識が全くない。本部メンバーの安倍派議員10人の中の9人は裏金疑惑の当事者。いったい何が狙いなのか……」(政治ジャーナリストの角谷浩一氏)

刷新本部幹事長には隠し子問題や警察の捜査への介入疑惑が報じられた木原誠二元官房副長官、本部長代理には″ドリル優子″こと小渕優子選対委員長(50)、そして副本部長には過去に「違法デリヘル通い疑惑」で世間をザワつかせた逢沢一郎衆議院議員(69)が選出された。

はたしてどういう基準で人選が行われたのか。自民党職員が匿名を条件に話す。

「茂木敏充自民党幹事長(68)の指示で幹事長室の党職員が作成し、それを官邸が承認した。担当職員がメンバーのリストを作成するように命じられたのは初会合が行われた11日のわずか2日前、1月9日のことだったようで、メンバーの議員も急に知らされたと聞いています」

第一回の会合に、パリ視察が観光旅行だと批判された″エッフェル姉さん″こと安倍派の松川るい参議院議員(52)が出席できなかったのにはそんな背景があったのだ。それにしたって、″いわくつき″の議員ばかり選ばなくてもよかったのではないだろうか。

「小泉進次郎元環境大臣(42)ら歴代の青年局長、女性局長を中心に構成したらこうなった。『若い人から厳しい意見を頂戴した』と結論付けるためのパフォーマンスですよ。

全体の構成を見ればわかりますが、実際には大派閥から多人数が、小派閥からは少人数が参加している。党職員が叩き台を作ったわけですから、国民より党内に目配りした人員になっています。結局、今回の刷新本部は国民の不満のガス抜きでしかない」(同前)

岸田首相、こんなお笑い「刷新本部」で自民党が変わると本気でお考えですか。

『FRIDAY』2024年2月2・9日号より

 

 

「組織より自分の政治生命を優先」 萩生田光一前政調会長、派閥の総会から“雲隠れ”の舞台裏

 
 
 自民党派閥の裏金事件を受けて、自身が会長を務めた宏池会の解散を表明した岸田文雄総理には「党より政権の存続を優先した」という怨嗟の声が少なくない。
 
 一方で、逮捕者を出した最大派閥の安倍派幹部には「組織より自分の政治生命を優先した」との評が。“5人衆”の一人、萩生田光一前政調会長のことである。

「1月19日夜、党本部で安倍派の議員総会が行われ、全会一致で解散が決議されました。会はおよそ1時間半にわたって紛糾しました」

 とは安倍派の中堅幹部。

「若手からは“早く解散すべきだ”との声や、幹部の責任を問う意見が飛び出した。西村康稔前経産相や松野博一前官房長官、世耕弘成前参院幹事長、そして高木毅前国対委員長の四人はうつむき加減で沈黙。お家存続の可否を仲間と議論する重要な場でしたが、萩生田さんの姿はありませんでした」

子飼いの候補者の応援に
 かつては会長の座を目指した派閥の、大事な場面で雲隠れ。その行く末を打ち捨てて向かった先は、自身の選挙区(東京24区)がある八王子市だった。2日後に控えた市長選挙に出馬していた、子飼いの候補者の応援に駆け付けていたのだ。

 自民党の都連幹部が言う。

「萩生田さんが来たのはJR八王子駅近くの、自公が推薦する初宿(しやけ)和夫候補の演説会場でした。ただ、裏金問題に関する聴衆からの質問を嫌がったのか、街宣車には上らず、その脇で笑みを浮かべるだけ。ついぞマイクを握りませんでしたが、“オレが表に出過ぎるとマイナスになるだろ”と理由を周囲に話していました」

 選挙戦は事実上、三つどもえの争いとなった。元都庁職員の初宿氏、小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会に所属していた滝田泰彦元都議、同様に元都民ファ所属の元都議で、日本維新の会所属の衆院議員秘書の両角(もろずみ)穣氏の三人である。結果は初宿氏が激戦を制した。

「意外にも、都知事は都民ファOBの二人ではなく初宿を応援した。理由は昨年末の江東区長選の際、自公と密約を交わしたからだとされています。“江東区では都知事が支援する候補を自公が推薦する。その代わり都知事は八王子で元都民ファを応援しない”との内容だったとか」

 実際、江東区長選では小池氏が推す候補が当選した。

「双方が取り決めを守った結果、八王子では与党サイドが勝利した。この密約を裏でまとめたのが萩生田さんだったといいますね」
 
出馬を見送るよう圧力
 萩生田氏の八王子市長選挙への執着は並大抵ではない。水面下では初宿氏の対抗馬の妨害にも動いていた。

 別の都連関係者の解説。

「初宿さんと滝田さんより、両角さんの出馬表明はひと月ほど遅かった。両角さんは元八王子市議で保守系会派に属していたこともあり、萩生田さんは初宿さんの票が食われることを恐れ、彼に出馬を見送るよう圧力をかけています。個人的な関係から両角さんの応援をしていた維新の国会議員や関係者にも激怒し、懇意の維新幹部に支援中止を申し入れてもいました」

 その圧力に屈したのか、東京維新の会は19日に初宿氏の支援を表明している。

「萩生田さんは街頭での演説を避ける一方、数十人規模のミニ集会で裏金事件を念頭に“私が検察に連れて行かれることはありませんから”と軽口をたたいていた。反省などしていませんよ」

 守るべきは仲間より自分。先の会見での無機質な釈明も、国民はおろか周囲の理解すら得ることはあるまい。

「週刊新潮」2024年2月1日号 掲載
 
 

「ひじき」「ブロッコリー」「焼きのり」「金時豆」を政治資金で購入していた…土屋品子復興相「政治団体」の不可解な領収書が発覚

 
 
 安倍派裏金事件を発端として、いま、「政治とカネ」の問題がかつてないほどに注目を集めている。政治家それぞれに政治資金の透明性が求められる中、復興大臣を務める土屋品子衆院議員の政治資金を調査したところ、不可思議な領収書が含まれていた。

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あだ名は“なにもしな子”
 土屋大臣は埼玉県春日部市などを地盤とする現在9期の衆院議員である。

 土屋大臣の父は参議院議長や埼玉県知事を歴任した故・土屋義彦氏。その独裁的な県政は「土屋王国」とも称された。娘である土屋大臣は96年の衆院選に無所属で出馬し初当選。01年に自民党に入党した。その後は父親の後援会組織をフル稼働させ、当選を重ねてきた。

 しかし、地元での評判は必ずしも芳しくない。

 地元政界関係者に言わせると、

「古くからの自民党の支援者の中には土屋さんのことを“なにもしな子”というあだ名で呼ぶ人もいます。何もしない、何もしてくれない。決して悪い人じゃないんですけど、やる気がないんでしょうね」

 その土屋大臣は政界を揺るがしている一連のパー券裏金問題について、12月の記者会見で「本当に残念」と述べていた。ならば、土屋大臣自身の政治資金は清廉潔白なのだろうか。

 そもそも、昨年「週刊新潮」は彼女の家賃の問題を報じている。

 土屋大臣が代表を務める資金管理団体「竜の会」について、11年から13年の政治資金収支報告書を確認すると、かつて土屋大臣が主宰していたフラワーアレンジメント教室が入るビルの家賃を拠出していたことがわかるのだ。つまり、お花の教室の家賃を政治資金で処理していたことになる。土屋事務所は当時の取材に「議員はこの不動産を政治活動にも利用し(中略)竜の会がフラワーアレンジメント教室の賃料を支払っていたわけではありません」と否定するも、誤解を生む政治資金の使い方であったことは間違いあるまい。
 
「ひじき」「ブロッコリー」「枝豆」 「里芋」
 

 
 そこで取材班はこの「竜の会」の少額領収書について、情報公開請求を行った。

 一般に公開されている政治資金収支報告書は、政治活動に関するすべての支出と領収書が開示されているわけではない。資金管理団体など国会議員関係団体の場合は1万円を超えない支出については、明細を記載する必要もなく、少額支出の領収書について知るには、総務省や各都道府県に対し、情報公開請求を行わなければ明らかにならない。

 そこで土屋大臣の「竜の会」の少額領収書について情報公開を請求し 、中身を確認すると、不可思議な領収書が含まれていた。ちなみに「竜の会」が所在しているのは土屋大臣と親族が所有する春日部市内の3000平方メートルは超える敷地に建つ大豪邸である。

 例えば、2021年10月4日。春日部市内のスーパーで「こうや豆腐」「金時豆」「焼のり」「干しするめ」「昆布」「桜えび」など4248円分を購入している。

 また、その4日後の10月8日にはまた別の春日部市内のスーパーで野菜や果物を多く購入している。領収書には「ひじき」「ブロッコリー」「大根」「人参」「枝豆」「ごぼう」「里芋」「シャインマスカット」「ぶどう」「柿」などの記載があり、金額は8753円だった。その翌日には同じスーパーで「丸魚」3024円を購入している。

 政治資金収支報告書は元来、政治活動に関わる収入や支出を記載するはずだ。果たしてこれらの食品は政治活動に使われたのか。
 
「事務所の神棚にお供えする物です」
 その領収書をよくよく確認すると、すべて手書きで「神饌用」と記されている。神社や神棚へのお供え用ということなのだろうか。これらが購入された直後の10月14日には岸田文雄総理が衆議院を解散し、衆院選が行われている。

 当の土屋事務所に聞くと、代理人弁護士を通じて回答があった。

「『ひじき』、『ブロッコリー』などといった物品ですが、いずれも、議員の事務所の神棚にお供えする物です。議員の政治資金として処理することに問題はないと考えます」

 政治資金の支出については特定の品物を購入できないといった法的な制限があるわけでない。

 しかし、政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授はこう指摘する。

「自宅の神棚へのお供えものだった場合、それは個人もしくは家族の財布から支出すべきです。政治団体に支払い義務がないので、政治資金から支出すべきではありません。事務所に神棚があった場合でも、お供えする行為そのものは政治活動ではなく、宗教活動と言えるでしょうから、政治資金で処理すべきではなく、個人のポケットマネーで支払うべきものです」