自民党の派閥と議員が次々収支報告書を訂正し、裏金を手にした議員のリストも徐々に明らかに。
立件された議員は3人にとどまるが、パーティー収入を利用した裏金づくりの組織性、悪質性、継続性は極めて深刻。
金額の多寡によらず、経過と使途など全容について直ちに説明を。
山添拓さん
施政方針演説でも、答弁でも、首相は一切「裏金」という言葉を使わない。「実態の解明」をいうが「裏金づくりの実態の解明」とは決して言わない。
そもそもなぜ「裏金」と言えないのか。今日の代表質問で正面から聞いてみようと思う。
安倍派 6.7億円訂正
収支報告書 パー券収入 3年で4.3億円増
自民党派閥のパーティー収入不記載事件を巡り、安倍派(清和政策研究会)は31日、訂正した政治資金収支報告書を総務省に提出しました。これによると2020~22年の3年間でパーティー収入が合計約4億3600万円増え、計約7億3300万円になりました。所属議員へのキックバックとみられる支出も計約4億2700万円増額。巨額のパーティー収入と裏金を隠ぺいしてきたことになり、関与した議員の責任が改めて問われています。
また安倍派は同日、20~22年を含めた5年間で所属議員が関係する計95政治団体への寄付、総額約6億7600万円が未記載だったと公表しました。
自民党主要派閥によるパーティー収入の不記載は、「しんぶん赤旗」日曜版(22年11月6日号)がスクープ。それ以降、新たな不記載の報道が出るたびに、訂正を繰り返してきました。今回、東京地検が同派の会計責任者を政治資金規正法違反(虚偽記載)で在宅起訴したことを受けての訂正で、従来に比べ収入や支出が大幅に増えました。
訂正された収支報告書によると、東京プリンスホテルで開催してきたパーティーの収入が、いずれの年も約1億300万~1億7200万円ほど増えています。購入した企業・団体名も追加しています。ただパーティー券の購入者数を3年分とも「不明」と訂正しており、隠ぺいが続いている疑いが残っています。
21年には、AOKIホールディングスが120万円分を購入していたことが新たに判明。同社の元会長は東京五輪を巡る汚職事件で起訴され、一審で有罪判決を受けています。
また所属議員の政治団体への寄付を新たに多数記載。キックバック分とみられる支出の「寄付・交付金」の項目は、約1億800万~1億6100万円増えていました。(三浦誠)
萩生田前政調会長側に1952万円、松野前官房長官側に865万円… 安倍派、裏金の不記載訂正 杉田水脈氏側にも872万
杉田水脈衆院議員側にも、3年間で872万円を寄付したことが追記されていた。
茂木派退会者が「集結」? 小渕氏ら3氏、財政健全化本部
推進本部は党総裁直属の機関。古川氏が昨年10月本部長に就き、小渕氏は本部長代行、青木氏は幹事長を務める。役員の一人は「茂木派退会者の集まりに映ると思った」と苦笑し、グループ化の意図を否定した。政策集団へ移行する茂木派では、小渕氏ら8人が相次いで退会した。
〈“ドリル優子”の乱で茂木幹事長、自滅〉安倍派幹部に離党要求も小渕氏の離脱発表で足元グラグラ…“ドライバー池田”の逮捕で所属議員は様子見状態、ポスト岸田レースは泥仕合へ
「安倍派幹部に離党要求/自民執行部 塩谷、松野氏ら念頭」
つい先日まで官房長官として政権を支えていた松野博一氏ら安倍派幹部に対し、自民執行部が裏金問題の責任をとって離党や議員辞職を求めたと、読売新聞が一面で報じたのは1月25日。
「岸田首相もこの内容は把握していなかったといい、この『自民執行部』が茂木氏を指すのは明らかでした。読売新聞には茂木氏のお気に入りの女性記者がおり、これまでも茂木氏は自身の幹事長続投など、自分にとって都合のいい記事を読売に書かせていました。女性記者も茂木氏に気に入られているから日々余裕で、勤務中もスマホゲームをしばしばやっているほど。今回も茂木氏が、安倍派幹部が離党や議員辞職をせざるを得ない流れをつくろうと、いち早く読売にリークしたのでしょう」(全国紙政治部記者)
かつて安倍政権時代には「いつかウチ(茂木派)が政権を取り戻す」と記者の前で鼻息荒く語っていた茂木氏。安倍派幹部に厳しい世論を味方につけて勝負に出た形だが、まさかこの日のうちに自身が政治家人生最大のピンチに追い込まれるとは…。
「本流」小渕氏か、「傍流」茂木氏か…派内は様子見
25日、茂木派に所属していた小渕優子選対委員長が、茂木派からの離脱を表明。自民党の政治刷新本部で出た「党幹部が派閥を離脱すべきだ」との意見を「重く受け止めた」と理由を述べた。その日のうちに、「参院のドン」として知られた青木幹雄元官房長官の長男・青木一彦氏の退会の意向も報じられた。
「2人がこの機会に、折り合いの悪かった茂木氏から離れようと考えたのは明らかでした。茂木派はかつて、小渕氏の父・恵三氏が率いた派閥『平成研究会』。いわば小渕氏は派閥の『本流』で、日本新党を経て自民党に入った茂木氏が『傍流』だったのです。小渕氏は、恵三氏らこれまでの平成研が大切にしてきた沖縄振興政策に関心を示さない茂木氏に不満を抱いていました。小渕氏とタイミングを合わせるように退会の意向を示した青木氏も、父・幹雄氏が小渕内閣で官房長官を務めた経緯もあって小渕氏に近く、茂木氏とは距離があります」(全国紙政治部記者)
小渕氏、青木氏に続いて関口昌一・参院議員会長ら参院幹部3人や古川禎久元法相らも相次いで退会を表明。30日の茂木派の意見交換会では、派閥として解散することは確認された一方、政策集団としての存続の可能性は残っている。
「茂木派は歴史的に参院議員の力が強く、参院茂木派は『鉄の結束』と言われてきたが、多くの議員が退会を表明した参院幹部にすぐについて行くという状況でもない。かといって、人望のない茂木氏を積極的に支えたいというわけでもない。茂木派に残ったほうがいいのか、小渕氏について行ったほうがいいのか、みな様子見の状況だ」(茂木派関係者)
茂木派の中でも「将来の首相候補」と目されてきた小渕氏だが、すぐに小渕氏について行こうという動きが広がらない背景には、やはり「ドリル事件」がある。
「昨年9月の党役員人事で選対委員長に就いた小渕氏ですが、ドリル事件について問われて涙目で答えるなど、いまだ影響は残っています。しかも、今回逮捕された池田佳隆容疑者の秘書が『池田容疑者の指示で、事務所のパソコンをドライバーで壊した』と話したことが報じられたことで、『ドリル優子』も蒸し返されてしまいました。今後も池田容疑者の裁判などのたびに『ドライバー池田』と『ドリル優子』がセットで思い出されるでしょう」(全国紙政治部記者)
一方、茂木派の分裂含みの騒動でいったん胸をなでおろしているのが、安倍派幹部だ。
「茂木氏から離党や議員辞職を迫られた安倍派幹部ですが、茂木氏自身の足元がゆらぎ、それどころではなくなっているため、離党や議員辞職を求める圧力はいったん弱まりました。安倍派5人衆を通じていまだに政界に力をもつ森喜朗元首相も、5人衆が党内に留まれるよう、麻生太郎副総裁らに働きかけたようです」(同)
安倍派は30日、常任幹事会を開いたが、安倍派幹部は改めて離党や議員辞職を否定。若手・中堅議員は塩谷立座長に対し、政治責任をとるよう決議文を提出したが、幹部はのらりくらりとかわしている状態だ。
「茂木の乱」の不発、再びスキャンダルを蒸し返された「ドリル優子」、責任をとらないままで若手・中堅の不満を解消できない安倍派幹部……。『ポスト岸田』が次々と自滅していくなか、一番得をしているのは、岸田首相かもしれない。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班