「大阪の自民党支持者の間でも、万博開催をめぐり悩んでいる人もいると聞く。高市氏としては、岸田首相にアイデアや発信力をみせ、リーダーとして存在感をみせつけようという狙いもあるのではないか」その通りであっても、万博は中止ですよ。能登半島地震被災地復興は1年半待っている事できないんです!お祭り騒ぎに税金を投入している場合じゃないんです。

 

 

2025年大阪・関西万博をめぐり、自民党の高市早苗経済安全保障担当相が、岸田文雄首相に開催延期を進言したことが注目されている。能登半島地震の復興に人材や資材を最優先すべきと伝えたといい、岸田首相は「被災地復旧に支障が出ないよう配慮する」と応じたという。現職閣僚が、国家プロジェクトの延期に言及するのは異例。X(旧ツイッター)上には賛同する声と、疑問を呈する声がみられる。国内外の大局観を踏まえ、大胆な発信を行うこともある高市氏だが、政財官界や国民の支持を得られるのか。自民党派閥のパーティー収入不記載事件の激震が収まらないなか、29日以降の国会論戦でも、「万博延期の是非」が争点の一つとなりそうだ。

 

「被災地の復興に影響が絶対出ないようにしてほしい」
高市氏は27日、長野市内の会合で講演し、岸田首相に16日に面会して、こう万博延期を進言したことを明かした。

背景には、元日に発災した能登半島地震がある。高市氏は延期を考える理由として、復興に必要な資材の価格高騰や人手不足を挙げた。そのうえで、建設業界などから開催延期を求める声が上がっていることを伝えたという。

高市氏と同様の意見はある。

経済同友会の新浪剛史代表幹事は5日の会見で、「人命第一が政策としてしかるべきだ。そうであれば世界は理解していただける」と話した。

万博が開催される地元・大阪府の元知事、橋下徹氏も自身のX(旧ツイッター)で、「最後の判断までは、できる限り開催の方向で頑張っていこう」とする一方で、テレビ番組で「万博の中止・延期も考えるべきだ」との考えを示している。

高市氏の発信に対し、泉房穂・前明石市長は28日、Xで「『岸田派の解散』だって決断できるのだから、『万博も延期』だって決断できなくはないようにも思う」「(高市氏は)総理に対して『大阪万博延期を要請』するなら、もっと本気で迫っていただきたいものだ。『閣僚の座を賭けてでも』ぐらい言えばいいのに…」と語った。

一方、日本維新の会の東徹参院議員は「高市さんは、わかっていないとしか言いようがないですね。万博延期となれば、予算が変更になりますね。さらなる赤字が増えるだけですよ」とXで苦言を呈した。

万博をめぐっては、地震発生前からパビリオンや施設の建設の遅れが指摘されていた。

日本国際博覧会協会(万博協会)が発注したテーマ館や迎賓館、大催事場など計10施設で当初、入札不成立が相次いだ。これらは仕様の見直しなどを経てすべて落札された。国内企業などが手がける民間パビリオンも順次、着工しているという。

ただ、海外パビリオンでは各国が独自で設計・建設するタイプで、当初60カ国が建設を希望したが、建設事業者が決まったのは半数あまりにとどまり、一部の国が撤退するなどの動きも出ている。

こうしたなか、道路や上下水道などインフラが甚大な打撃を受けた能登半島の現状を受け、万博工事の影響による復旧の遅れを懸念する声や、「お祭り」とも形容される万博開催を疑問視する声もある。

高市氏の真意は何なのか。

高市氏は周囲に「震災の有事には、国民の生命や財産が最優先だ」「科学技術の夢や国の底力を披露する万博だからこそ、柔軟に対応すべきだ。過去にも延期の事例はある」などと語っているという。

実際に、アラブ首長国連邦(UAE)で開かれたドバイ万博は当初、2020年に開幕予定だったが、新型コロナウイルス流行で1年延期された。高市氏は、被災による万博延期は国際社会の理解も得やすいと強調したという。

ただ、政府や大阪府などは地震に伴う万博の延期・中止は検討しないとの立場だ。岸田首相は22日、斎藤健経産相に対し、被災地復興に支障をきたさないため、万博関連の資材調達を計画的に進めるよう指示した。

大阪府の吉村洋文知事は「(万博と被災地は)二者択一の関係ではない。万博があるから(復興の)費用が削減されるものではない」と述べ、万博協会の会長を務める経団連の十倉雅和会長は「被災地の復興と同時に万博会場も完成させる」と話している。

平井宏治氏「勇気のある提言は評価すべきだ」

高市氏は閣僚として、岸田首相の判断に従う意向だ。万博をめぐる今回の動きをどう見るのか。

経済安全保障アナリストの平井宏治氏は「被災地は、大震災と懸命に戦っている。仮設住宅の建設も道半ばの段階だ。これから資材や人手がさらに必要になる。限られた『資源』を、被災地に振り向けるのは当然だ。万博は不要不急の催しで、震災対応と同列に扱うものではない。物事には優先度がある。『万博延期』は言い出しにくい雰囲気もあるが、まだ建設中の段階で、高市氏の勇気のある提言は評価すべきだ。議論のきっかけになる」と語った。

一方、政治評論家の有馬晴海氏は「大阪の自民党支持者の間でも、万博開催をめぐり悩んでいる人もいると聞く。高市氏としては、岸田首相にアイデアや発信力をみせ、リーダーとして存在感をみせつけようという狙いもあるのではないか」と指摘した。