どの世代、どんな働き方でも年金制度のメリットを受けられるようにすることが制度全体の信頼性を高める。政府にはよりよい制度に向けた不断の検討を求めたい。

 

 2024年度の公的年金額が決まった。23年度に比べて2・7%増と2年連続の増額だが、物価や賃金の上昇分を下回る。年金額の上昇を一定程度抑制する「マクロ経済スライド」が働くためだ。

 物価や賃金の上昇分に比べて年金額の増額を抑制するのは、将来世代の年金財源に充てるため。世代間の支え合いの仕組みだが、年金受給中の高齢者には痛手だ。制度の意義を十分説明し、理解を得る努力を尽くさねばならない。

 低年金者には年金とは別に月額最大約5千円の支援給付金制度がある。給付金の増額に加え、重い負担である住宅費軽減のために安価な住宅提供を検討するなど、暮らしの底上げに知恵を絞りたい。

 年金は働く現役世代の保険料で支えられている。賃上げが実現すれば保険料収入も増え、年金制度はより安定する。大幅賃上げが期待される今年の春闘で、企業と労働組合は誠実に交渉し、確実な賃上げにつなげるべきは当然だ。
 

 現役世代が将来受け取る年金額を増やすための制度改正も重要となる。

 厚生労働省は短時間労働者を対象に厚生年金への加入拡大を進めている。適用対象となる企業規模を現在の100人超から、今年10月には50人超に広げる。

 職場規模の違いで厚生年金加入に差がある現状は、社会保障の公平性に欠ける。一定の時間働いて一定の所得があれば加入できるようにすべきだ。いずれは企業規模要件の撤廃も検討してほしい。

 国民年金(基礎年金)の額を増やすために、保険料の納付期間を40年から45年に延ばす案も検討されている。保険料負担は増えるものの、受け取る年金額も約12%増える。

 長寿化により厚生年金加入者は60代以降も働き続け、保険料を引き続き負担することが一般的だ。国民年金の納付期間の延長も検討すべき課題だろう。

 国民年金では自営業者やフリーランスらを対象に、子どもが1歳になるまで両親の保険料納付を免除する子育て支援策を26年度中に実施することを目指している。厚生年金では既に同様の免除制度がある。

 どの世代、どんな働き方でも年金制度のメリットを受けられるようにすることが制度全体の信頼性を高める。政府にはよりよい制度に向けた不断の検討を求めたい。

 

 

「増税なんだよ」「減税できるわけない」田原総一朗氏に泉房穂氏が生反論

 
 
「この番組ね、面白くないんですよ。10代20代見て面白いと思うか。それはね、みんな話を遮るからですよ。みんな人の話を聞かないでね。怒鳴り合って、人の話遮ってワーワーやってるのを…」

日本維新の会の音喜多駿参院議員が苦言を呈したのはテレビ朝日の名物討論番組「朝まで生テレビ」。1月26日深夜の放送回では、日本の政治をテーマに与野党の議員や政界の関係者が議論を繰り広げたのだが、音喜多氏の提言もむなしく、司会の田原総一朗氏が庶民の感情を逆なでするような“増税論”をブチあげた。

番組終盤、「なぜ日本の経済は停滞したのか」というテーマで意見が交わされる中、田原氏が「80年代の日本は世界一だったんだよ」と愚痴っぽく語ると、日本共産党の宮本徹衆院議員はこう答えた。
最もリアルなPCゲーム
最もリアルなPCゲーム
PR
Plarium
「やっぱり目先の利益に走って、岸田さんもコストカット型経済からの転換って言いますけど、コストカットに企業が走ったわけですよ。優秀な技術者まで含めてリストラの対象にしていった。そして非正規雇用ですね。拡大して正社員を非正規に置き換えていった…」

そこで宮本氏の発言を遮るように、田原氏が「いや!岸田のいちばんの間違いは、今消費者問題とかいろいろある。本当は増税なんだよ」と持論を展開。「岸田さんのことを『増税メガネ』と言われて、突然、『減税』って言ったんだよ。減税なんかできるわけないんだよ」と続けると、ここで元明石市長で弁護士の泉房穂氏が「それは違いますわ!」「それはぜんぜん違う!」と異をとなえ、日本の国民負担率がおよそ5割に達しているとして、「イギリスより高いくらい」と指摘。さらに「イギリスより低い負担率の国では、消費税のうちの食料品などは無税にもできてるんだから、日本も今生活キツキツだから、そこは今の負担でやったらいいと思いますよ」と、田原氏の“増税論”を否定した。

「田原さんが突然、『減税なんかできない』『増税だ』と切り出したことで、SNSでは『人の話を遮って増税とか最悪かよ』『ザイム真理教に毒されてる』などと批判が殺到していました。もしそのままCMに突入していたら、多くの視聴者が“消化不良”を起こしていたかもしれません。しかし、そこは世間から絶大な支持を得ている泉さん。田原さんの話を遮って、増税論を全否定してくれました。これには『泉さんが総理になって』『もう一度国会に』と、政界復帰を望む声があがっていました」(メディア誌ライター)

人の話を遮ってワーワーと怒鳴り合うのも、「朝生」のひとつの醍醐味かもしれない。

(福島シゲル)