「人々の生活がいかに脆弱(ぜいじゃく)かを感じさせる」現実がここに顕著に表われている。

 

 

<東京共助>

 東京・新宿の都庁前で、コロナ下に始まった毎週土曜日の無料の食品配布会が27日、200回目の節目を迎えた。認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」などが生活や医療の相談にも乗り、利用者は増え続けている。この日は、当初の6倍以上にあたる762人が訪れた。

 

 蛇腹のように数百メートルも続く行列に並んでいた62歳の男性は「ネットカフェを転々としている」という。「物価高でネットカフェの料金も値上がりしている。日雇いの仕事はあっても不安定。生活苦で精神的にも不安がある」とため息をついた。
 

 隔週で行われていた食品配布会が、毎週土曜日開催に拡大されたのは、緊急事態宣言が出ていた2020年4月。その月の1日あたりの平均利用者は119人だった。回を重ねる度に行列は延び、今は、以前は見られなかった若者や女性が目につく。昨年12月23日は、過去最多の779人が列をなした。

 行動制限がなくなって街のにぎやかさが戻っても支援を必要とする人が減る兆しはない。もやいの加藤歩事務局長は「人々の生活がいかに脆弱(ぜいじゃく)かを感じさせる」と話した。(中村真暁)