自民党の先生方に聞きました「政策活動費」にメスを入れない理由は何? 通常国会初日の騒がしさの中で

 
もはや検察任せではダメ。国会が裏金をつくった自民議員全員を証人喚問し真相究明しなければ国民の怒りは収まりません。
 
 そもそも政策活動費は政治資金規正法を改正し、「抜け穴」となっている条項を削除すれば廃止できるカネだ。一連の裏金問題を告発した神戸学院大の上脇博之教授(憲法)は「極めて簡単な話なのに、できないのは、結局裏金づくりはやめたくないという意思表示だと受け取らざるを得ない」と語気を強める。

 「派閥のパーティーだけ制約しても、逆に政策活動費の額や対象者が増える可能性もある。急に廃止するのが難しければ、使途を順次公開するなど覚悟を示してほしい。でなければ、裏金で政治を進めてきた党の言葉など誰も信じない」
 
 先生、なぜ「改革」しないんですか。
 
 自民党派閥の裏金事件を受けた政治改革の中間取りまとめに、批判が相次ぐ「政策活動費」の改革は盛り込まれなかった。使途不明で、金額もケタ違いの「ブラックボックス」をどう考えているのか。通常国会が開会した26日に登院した自民党議員を、東京新聞「こちら特報部」が直撃した。 (木原育子)
 
 
◆党から議員に山分けされる多額の資金
 政策活動費は、政党から議員個人に支出される政治資金。例年、幹事長を筆頭に党幹部に「山分け」される。党の収支報告書には支出先の議員名や金額を記載するが、受け取った議員側に記載義務はない。自民党は2022年だけで他党を圧倒する14億円を支出。パーティー券裏金問題で不記載が判明した安倍派の6億円超(5年間分)、二階派の2億円超(同)をはるかに上回る。
 
 
 これほどの問題が、なぜ改革対象にならないのか。自民議員に聞くために、国会を訪れた。開会前の衆参本会議場周辺は、はかま姿で闊歩(かっぽ)する議員を含め、熱気ムンムン。若手議員が「派閥の件だけどさ…」と声をひそめて話す姿も。
 
◆「びっくりしちゃったわよね」
 廊下を歩いていた朝日健太郎参院議員は「僕自身は派閥にも入っていないし、もらったことがないから少し分からない」と首をかしげた。党控室にいた1期目の衆院議員にも聞いたが、「幹部の人の話だから。そこだけ切り取って批判しても仕方がない」と的を射ない。本会議開会までの暇つぶしか、スマホゲームに視線を戻した。
 
 控室から出てきた元外務副大臣の城内実衆院議員は一瞬取材に応じる姿勢を見せたが、「政策活動費」という言葉を出した途端、「ん? ダメダメ」と背を向けた。大臣経験者の女性議員は「あまりに巨額でびっくりしちゃったわよね」とどこ吹く風。
 
「これ、取材なのですが…」と水を向けたが、「事務所にアポを入れてもらえればちゃんと答えますから」と立ち去っていった。
 意外に緊張感を感じない「裏金国会」。本会議終了後、大勢の記者に囲まれた森山裕総務会長にも質問した。「何ですか? 政策活動費?」と聞き返し、数秒の間の後、「あれは自民党だけじゃないから、決められない。各党で議論が始まっていくんじゃないですか」と人ごとのように話した。
 
◆結局裏金づくりはやめたくないという意思表示
 
 
 自民党は10日、岸田文雄総裁を本部長に「政治刷新本部」を設置。24日に自公両党が政策活動費の見直しの必要性を認識することで一致したが、自民側は「野党にも不透明な資金がある」と言いのけた。25日に正式決定された中間取りまとめに記載はなく、意気込みは感じられない。
 
 刷新本部で有識者として意見を述べた東大の谷口将紀教授(現代日本政治論)は「中間取りまとめに書かれたことを確実に進めてもらうと同時に、これで終わりだと思わないでもらいたいと、社会がウオッチし続けることが肝心だ」と指摘する。
 
 そもそも政策活動費は政治資金規正法を改正し、「抜け穴」となっている条項を削除すれば廃止できるカネだ。一連の裏金問題を告発した神戸学院大の上脇博之教授(憲法)は「極めて簡単な話なのに、できないのは、結局裏金づくりはやめたくないという意思表示だと受け取らざるを得ない」と語気を強める。
 
 「派閥のパーティーだけ制約しても、逆に政策活動費の額や対象者が増える可能性もある。急に廃止するのが難しければ、使途を順次公開するなど覚悟を示してほしい。でなければ、裏金で政治を進めてきた党の言葉など誰も信じない」
 
 

自民・茂木幹事長が「ポスト岸田」から消えた…小渕優子氏の派閥退会が“号砲”で離脱者続出

 
 
 裏金事件の対応をめぐり、内ゲバ状態に陥っている自民党で派閥解散の動きが広がっている。総裁派閥かつ第4派閥の岸田派(宏池会)、最大派閥の安倍派(清和会)、第5派閥の二階派(志帥会)、最小派閥の森山派(近未来政治研究会)に続いてきのう(26日)、谷垣グループ(有隣会)も解散を決定。残った塊は第2派閥の麻生派(志公会)と第3派閥の茂木派(平成研)だけとなったが、プリンセスの退会が号砲となり、幹事長派閥から離脱者が続出。茂木幹事長が隙あらば狙う「ポスト岸田」の目はついえた。

 通常国会が召集された26日、小渕優子選対委員長は茂木派に退会届を提出。平成の政治改革で自民党がまとめた「政治改革大綱」を持ち出し、「党幹部は在任中、派閥を離脱することが掲げられている」ことを理由に挙げた。


「小渕さんが抜けたことで、党4役で派閥に所属しているのは茂木幹事長ただひとり。渡海政調会長はもともと無派閥ですし、森山総務会長は自派を解散した。茂木派を離脱するのか、幹事長を辞任するのか。茂木幹事長は進退を迫られた格好です。相変わらず人望がなく、参院側と折り合いが悪い茂木幹事長が派閥を離れたら、総裁選に向けた足場を失う。カネとポストを差配できる立場を手放したら見向きもされない。究極の二択です」(平成研関係者)
 
 志半ばで病に倒れた小渕元首相の次女の動きに他のメンバーも追随。「参院のドン」と呼ばれた青木幹雄元官房長官の長男の青木一彦参院議員も退会を決め、「派閥の前の会長の竹下亘元総務会長が亡くなり、茂木派に変わった時からずっと心の中では思っていた」とブチまけた。関口昌一参院議員会長、石井準一参院国対委員長、福岡資麿参院政審会長も抜けた。

「昨年、鬼籍入りした青木元長官は平成研に思い入れが深かった。衆院議長になった額賀元会長に派閥を乗っ取られたという思いが強く、傲岸不遜な茂木会長と並んで忌み嫌い、『額賀と茂木だけは絶対に許さん』と言い続けていた。青木さんの影響を受けた参院側は、一刻も早い茂木派から小渕派への衣替えを望んでいましたから、茂木会長を刺しにいったといっていい」(自民党中堅議員)

 焦った茂木氏は、派の若手を党本部に急きょ招集。政治刷新本部の中間報告に沿って政策集団として生まれ変わろうと呼びかけ、引き留めを図ったという。最大派閥の安倍派幹部に対し、ケジメのつけ方は自分で考えろとチンピラのごとく迫った茂木氏だが、オトシマエをどうつけるのか。

 

安倍派“5人衆”高木毅衆院議員 キックバック「関係してない」と関与否定

 
 
派閥パーティー問題をめぐり、自民党安倍派の高木氏は27日午後、地元の福井・敦賀市で会見した。

安倍派の事務総長として、議員へのキックバックについては「長年の慣行だった」との認識を示したものの、政治資金収支報告書に不記載としてきたことについては、知らなかったとの認識を示し、キックバックの経緯については「全く関係していない」と述べた。

また、安倍派から自身の政治団体にキックバックとして1019万円があり、政治資金収支報告書に記載していなかったことを明らかにした。

不記載については、安倍派から「収支報告書に記載しなくて良い」との指示があり、秘書が対応していたとして、高木氏自身は「詳細までは把握していなかった」と述べた。
自身の責任については「派閥の幹部として政治的責任があり、党の役職である国対委員長をやめる判断をした」と述べた。

自民党離党や、議員辞職については「離党せず、辞職せず、政権与党の一員として信頼回復に努める」として離党や議員辞職はしない考えを示した。
 
 

“裏金”国会スタート 松野前官房長官ついに語る 疑惑の安倍派“5人衆”最後の一人【news23】

 
「政治とカネ」の問題で自民党が揺れるなか、通常国会が始まりました。安倍派の幹部、通称・“五人衆”のうち、疑惑について会見を避けてきた松野博一前官房長官がようやく語りました。

「当時の説明の仕方、適切だった?」記者が聞くと
通常国会がスタートしました。不起訴となった安倍派幹部たちはリラックスした姿です。

萩生田光一前政調会長 ▼2728万円不記載

世耕弘成前参院幹事長 ▼1542万円不記載
西村康稔前経済産業大臣 ▼100万円不記載

高木毅前国対委員長 ▼1019万円不記載

松野博一前官房長官 ▼1051万円不記載

この“5人衆”と呼ばれる安倍派幹部の中で唯一、カメラの前で裏金事件の説明をしてこなかった松野博一前官房長官が記者会見を開きました。

自民党安倍派・松野博一前官房長官

「国民の皆様に大きな政治不信を招いたことに関しまして、清和政策研究会(安倍派)の常任幹事の一人として心からお詫び申し上げます」


裏金問題で官房長官を辞任した松野氏。

松野博一官房長官(当時)

「政府の立場」「政府としてのコメントは差し控えます」

この日の会見で、長官時代に「政府の立場」を繰り返し、説明を拒み続けたことを問われると…

記者

「ご自身の説明の仕方 振り返り適切だったと考えるか?」

松野氏

「政治的不信を招くことがあったというご指摘であれば、私の不徳の致すところでありますし、反省をしなければいけないなと」

また、安倍派からキックバックされたあわせて1051万円のパーティー券収入については…

自民党安倍派・松野博一前官房長官

「還付金(キックバック)があれば、清和会(安倍派)から(自分の)政治団体に対する寄付として記載がなされているものと認識しておりましたので」

事務所スタッフが担当していたもので、問題が発覚した2023年11月の時点まで、自身は未記載を把握していなかったと強調しました。そのうえで、議員辞職や離党の考えはないと述べました。

ドライバーでPCを破壊し証拠隠滅?池田佳隆被告
裏金事件を巡っては、安倍派の議員がドライバーで証拠を破壊していた疑いも…

26日に政治資金規正法違反の罪で起訴された安倍派の衆院議員・池田佳隆(57)被告。総額4800万円のキックバックを受けたにもかかわらず、収支報告書に記載しなかった罪に問われています。

関係者によりますと、特捜部の家宅捜索を受ける前に、事務所のパソコンがドライバーで壊されており、池田被告が秘書に指示して、証拠隠滅を図った可能性があるということです。

茂木派も麻生派も…「離脱ドミノ」始まる
裏金問題による政治不信の高まりを受けて、存続する姿勢を示している二つの派閥でも「離脱ドミノ」が始まっています。

茂木派では、小渕優子選対委員長に続いて、関口昌一参院議員会長らが退会を表明。麻生派の岩屋毅元防衛大臣も「全派閥が解散すべきだ」として退会の意向を明らかにしました。

混乱の続く自民党に対し、野党は「裏金事件」を追及する構えです。

立憲 泉健太代表

「この“裏金”議員は許してはいけないということに焦点を絞って取り組んでいかなければいけない」

29日には「政治とカネ」の集中審議が行われます。