警視庁の警察官に不当な任意同行と事情聴取を受け、伝えた個人情報をトラブル相手に漏らされたとして、南アジア出身の40代の女性と当時3歳の長女が、都に損害賠償を求めた訴訟の最終弁論が26日、東京地裁(片野正樹裁判長)であった。女性は法廷で「私たちを人間として扱い、基本的人権を与えて」と訴えた。判決は5月22日。

 訴状などによると、女性と長女は2021年6月1日昼ごろ、都内の公園で居合わせた男性に「うちの子が女性の長女に蹴られた」と責められ、トラブルとなり「国へ帰れ」などと暴言を浴びせられた。女性と長女は駆けつけた署員に車で署に連れて行かれ、事情聴取などで同日夕まで帰れなかったとされる。

 これまでの弁論で、女性側は長女が1人で聴取され精神的苦痛を受け、署員が女性の連絡先を無断でトラブル相手の男性に伝えたと主張。署員側は「連絡先を伝える了解を取っていた」などと反論している。

 閉廷後、女性は報道陣の取材に「この裁判が、警察をはじめとする司法、行政当局が日本にいる外国人の人権を尊重し、同じ人間として向き合うきっかけになれば」と話した。(望月衣塑子)

 

 

朝鮮人追悼碑、撤去やめて アーティストらが要望書

 
 
 群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」に市民団体が設置した朝鮮人労働者の追悼碑について、県による行政代執行での撤去に反対するアーティストらが26日、存続を求める要望書を県に提出した。県が団体側に撤去を求めていたが応じなかったため、29日から代執行で撤去する方針だった。

 東京の美術家飯山由貴さんらが要望書と、交流サイト(SNS)で募った約4300人分の署名を県担当者に提出。その後記者会見し、「撤去が市民の表現の自由を奪い、朝鮮半島にルーツを持つ人々を傷つける可能性がある」と訴えた。署名には芸術家の奈良美智さんも賛同した。
 
 

LGBT多様性条例、普及啓発などに2700万円計上 千葉県6年度予算案

 
外国人やLGBT(性的少数者)らへの理解を広めることを目的とした「千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」を踏まえた千葉県の新年度当初予算案に盛り込まれる関連事業の概要が判明した。

条例への理解を図る普及啓発などに約2700万円が計上される方向。中小企業での外国人材活用支援の新規事業に約2000万円を盛り込む予定だ。

関連事業は普及啓発、相談・支援、人材育成、環境整備・マッチングに区分けされた。

普及啓発では、条例推進に向けた県と企業などによる「ダイバーシティ宣言」の実施や企業向けセミナーの開催を計画。啓発動画も作成する。

男女共同参画推進のため、新たに取り組むサミットや県民フェスタなども普及啓発の対象事業。県は条例の施行で、都道府県で男女共同参画を推進する条例がなかった「唯一の県」が解消されたとしている。

相談・支援では、悩み事を打ち明けられずに困難な問題を抱える女性への自立支援や、国の性的少数者への理解増進法の施行で求められている専門相談員による相談を行う。

義務教育年齢を超えた外国籍の子供に日本語教育を行うNPO法人などへの助成は人材育成に、中小企業の外国人材活用支援は環境整備・マッチングに位置付けられた。

一方で条例の関連事業は、施行前から実施しているものが多く盛り込まれている。新年度当初予算案は2月議会に提案される。