裏金問題で安倍派が29日に収支報告書を訂正へ 所属議員の大半がキックバック、訂正も異例の規模に

 
逃げ切ったと思っている議員が間違いなくいる。こんな甘い姿勢で政治の世界がまかり通る…。判断を下すのは「自民党政治阻止のために一票を生かす」そんな覚悟が必要になる日本である。
 
 
 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、最大派閥の安倍派(清和政策研究会)は29日に派閥の2020~22年の政治資金収支報告書を訂正する方向で調整に入った。東京地検特捜部の捜査で立件された不記載の総額は計約13億5000万円だが、訂正の対象期間は政治資金規正法が保存を義務付ける3年間分。安倍派では所属議員の大半が還流を受けており、派閥の訂正後に行われる議員個人の収支報告書の訂正も異例の規模となる見通しだ。

◆26日ごろとみられていたが…「今週」間に合わず
 複数の関係者によると、25日に派閥関係者から所属議員事務所に29日に訂正を行うとの連絡があった。ある閣僚経験者の事務所関係者は「派閥の訂正後に速やかに(議員個人の)訂正を行いたい」と話した。
 
 安倍派は当初、1月中旬に収支報告書を訂正する方向だったが、調整が付かずに先送り。塩谷立座長は19日の臨時議員総会後の会見で「来週いっぱいぐらいになると思う」と述べ、26日ごろまでに訂正を行う見通しを示していた。作業が遅れれば、さらに延期される可能性もある。
 自民の派閥の裏金事件を巡っては、安倍派は政治資金パーティー券の販売ノルマの超過分を収支報告書の収入に記載しないまま議員側に還流していた。派閥の支出にも記載せず、議員側も収入として記載していなかった。所属議員の多くが還流を受けていたとされ、ノルマ超過分を派閥に納めずに中抜きしてプールしていた議員もいた。

 東京地検特捜部は19日、政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪で、安倍派、二階派、岸田派の3派の会計責任者のほか、大野泰正参院議員(岐阜選挙区)や谷川弥一衆院議員(長崎3区)らを立件。衆院議員の池田佳隆容疑者は逮捕されている。松野博一前官房長官や高木毅前国対委員長ら安倍派幹部の議員7人の立件は見送られた。(佐藤裕介)
 

自民党・政治刷新の数少ない目玉が派閥へのナンチャッて「外部監査」、本当に政治資金は透明になるのか

 
政治を金で買収する、それには大金が必要。だからパーティー開催やら企業献金を頼り政党助成金さえ当り前に受取り、民意に背を向ける政治をし続けてきた自公政権。「まあ~慣例だからしょうがないのでは」なんていう諦めの言葉を吐いた途端、腐敗政治は永遠に終わりを見ない。
 
 
企業への外部監査とはまったく別なもの
パーティー券収入など政治資金の不透明な扱いに揺れる自民党は、党政治刷新本部(本部長・岸田文雄総裁)が中間報告をまとめた。
 
派閥の解散を党として打ち出すことはできず、政策集団としての存続を容認する煮え切らない内容になった。政策集団によるパーティー開催を認めないことや、人事とポストから切り離すことなどが盛り込まれたが、どう実効性を保つのか不透明な点が多い。
政治資金収支報告書への不記載などの場合に会計責任者だけでなく政治家の責任も問う「連座制」も検討されているが、これは国会での政治資金規正法見直しが必要になり、どう決着するかは見通せない。

そんな中ですんなり盛り込まれたのが、政策グループの政治資金に「外部監査」を導入するという点。これまで国会議員の資金管理団体などは「外部監査」が義務付けられていたのに、派閥は対象外だったので、その対象に加える、というわけだ。

外部監査を入れるというと、資金の流れが外部の目で厳しくチェックされるようになると感じるだろう。だが、政治資金の世界で言う「外部監査」は、上場企業などで行われている「外部監査」とはまったく別もの。日本公認会計士協会の幹部ですら、「あれはナンチャッて監査ですから」と言う代物なのだ。

会計士協会の中には「政治監査禁止」の声も
まず、監査を行うことができる人の「専門性」と「独立性」がまったく違う。上場企業では会計専門家である公認会計士しか監査を行うことができず、それも個人ではなく、専門家集団である監査法人が監査を行う。監査法人は監査対象の企業とは利害関係のない独立性が求められる。

ところが政治の世界で言う「外部監査」は、監査法人でなくても、会計士個人や税理士、弁護士なども行うことができる。現在義務付けられている資金管理団体で、監査法人が監査を担当しているところはほとんどない。しかも、政治家の後援会に所属している税理士が担当するなど独立性が疑われるケースも少なくない。党に入った政党助成金から資金が流れることから外部監査が導入されたが、とても国民の血税が正しく使われているかを厳正にチェックする体制からはほど遠いのだ。

会計士協会の幹部などが集まる会合では、「いっそのこと政治資金がらみの監査からは手を引いた方がいいのではないか」と協会会長OBからも意見が出たという。金融庁などから「監査の質」を常に問われている会計士協会としては、「ナンチャッて監査」を会計士が引き受けることを禁止した方が良い、というわけだ。だが一方で、「そんなことをしたら、税理士に監査を取られる」という反対論が根強いという。

実は、会計士と税理士は長期にわたって職域論争を展開している。会計士は監査業務のほか税務も行うことができるが、税理士は税務だけで監査を行うことができない。税理士会は会計士協会に比べて政治家とのパイプが太く、選挙協力も行うため、政治力が圧倒的に強いとされる。過去にも税理士会が政治に働きかけて会計監査を税理士にも認めるよう求めてきた経緯がある。政治資金監査を手離したら税理士会の思うツボだというわけだ。
 
資金管理団体で行われている監査を仮に政策集団の資金団体にも義務付けたとしても、今回のような不記載はまったく防げない。上場企業でも経営者が意図して売り上げを隠したり、架空計上する「粉飾決算」を行なった場合、なかなか監査で見抜くことは難しい。銀行口座の残高証明や通帳の記録などをチェックしたり、取引先とのモノやお金の動きを調べることで粉飾決算を防いでいる。ところが政治資金監査の場合、領収書と帳簿の付き合わせぐらいしか行う権限がなく、今回の政治資金パーティー収入の不記載などを調べる方法がない。会計士幹部が「ナンチャッて監査」と言う所以だ。

こんな慣行はもうやめるべき
政治資金は政党助成金という国民のお金が政党を通じて政治家の資金団体などに流れているほか、課税が免除されるなど高い公益性を持つ。それは、上場企業の比ではない。それだけに、外部による厳しいチェックを入れるのが当然だろう。上場企業に義務付けている監査法人による厳密な意味での「監査」を導入するのが当然と言えるだろう。「外部監査を導入する」という言葉を鵜呑みにするのではなく、本物の監査を通じて透明性を図るべきだ。

今後、国会では政治資金規正法の改正が議論になる。日本の政治で資金集めの大きな手段になっているパーティー券の扱いを変えるべきだろう。1回20万円以下ならば購入者の名前を明らかにしなくて良いという「抜け穴」が最大の問題だ。企業からみても「交際費」や「寄附金」として経費処理でき、しかも名前が出ないことで株主などの批判をかわすことができるため、便利な仕組みとして定着してきた。だが、そろそろそうした「慣行」は止める時だろう。手っ取り早いのは、上場企業に政治家や政党、政治資金団体などへの支出はすべて情報開示させることだろう。

今回の「裏金」問題が発覚したのも資金の出と入りが一致していないことが明らかになったのがきっかけだった。政治資金の出し手つまり個人や企業側の情報開示を徹底すれば、受け手である政治資金団体は不記載ができなくなる。

岸田首相に近い政治家は「出し手が記載していない以上、受け手が記載するわけには行かなかった」と語っていた。受け手の不記載を防ぐ手立てを考えるよりも、出し手の情報開示を進めることが重要である。
 
 

鈴木英敬・衆院議員を書類送検、公選法違反の疑い…代表務める自民支部が公共工事受注会社から1000万円の寄付受けたか

 
 
 鈴木英敬衆院議員が支部長を務める自民党三重県第4選挙区支部が2021年秋の衆院選直前、国の公共工事を受注した建設会社13社から計約1000万円の寄付を受けた問題で、三重県警が今月、鈴木氏を公職選挙法違反の疑いで書類送検したことが25日、分かった。

 公職選挙法は国の公共事業を請け負った事業者から国政選挙に関する寄付の受け取りを禁じている。鈴木氏の事務所は書類送検について「承知していない。今後も捜査には真摯(しんし)に対応する」とのコメントを出した。

 支部側は、既に寄付は全額を返還したと説明している。鈴木氏はこれまでの取材に対し、「事務所の確認不足で深く反省している」と述べていた。

 鈴木氏は11年に三重県知事に初当選し、3期目だった21年9月に辞職、同10月の衆院選で初当選した。
 
 

<独自>証拠隠滅?ドライバーでパソコン破壊か、池田議員を26日にも起訴 パーティー収入不記載

 
 
自民党の派閥のパーティー収入不記載事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)容疑で東京地検特捜部に逮捕された衆院議員の池田佳隆容疑者(57)の事務所のパソコンがドライバーのようなもので破壊された疑いがあることが25日、関係者への取材で分かった。特捜部は池田容疑者が証拠隠滅を主導したとみて、勾留期限の26日にも同罪で起訴する見通し。
 
特捜部は昨年12月27日、池田容疑者の関係先を捜索。関係者によると、名古屋市の地元事務所から押収されたパソコンにはドライバーのようなものでこじあけられた形跡があり、記録媒体が破損した状態だった。

また、事務所内の書類が捜索前に破棄され、その前後に事務所を出入りする秘書の姿が近くの防犯カメラに写っていたことも判明した。

池田容疑者の秘書の一部は特捜部の調べに対し、特捜部の捜索前に池田容疑者側の指示でパソコンを破壊したりしたことを認めているという。

検察幹部は池田容疑者らを逮捕した理由について「具体的な罪証隠滅の恐れが大きいと判断した」と説明していた。

池田容疑者と政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)は平成30年~令和4年に安倍派(清和政策研究会)からキックバック(還流)されたパーティー収入計4826万円分を記載しなかった疑いで今月7日に逮捕された。