「欠席された方が多かったのは事実です」西村康稔前経産相が「週刊文春」記者の質問に“架空パーティ”開催を認めた!

 
どう足掻いても西村の最終目的地点「総理の倚子」は消えた。政治を自分の願望だけに追い求める人間は政治家になってはいかんのだよ!
 
 
 安倍派(清和会)の政治資金パーティを巡る裏金事件で1月19日夜、記者会見を開いた西村康稔前経済産業相(61)。昨年末に開催した“架空パーティ”疑惑を巡る「週刊文春」記者の質問に対し、初めて「欠席された方が多かったのは事実です」と認めた。パーティ券購入者による事実上の「寄附」にあたり、政治資金規正法違反(不記載)の疑いが強まった。
 
 問題ないとの認識を示していた
「週刊文春」は 昨年12月14日発売号 で、大臣在任中の西村氏が12月8日に開いた政治資金パーティ「西村やすとし茶話会」で、パーティ券の購入者は出席せず、10人足らずの経産官僚が“サクラ役”として駆り出されていた“架空パーティ”疑惑を報じた。パーティ会場はホテルのこぢんまりとした会議室で、数百万円の利益が出ていたと見られている。
 
 当時、西村氏は「週刊文春」の取材に「ご質問の会については、出席者が少なかったこともあり、内容・開催方法について、見直しをしていく予定です。なお、経産省の職員については、業務に関連する有識者の講演ということで、勉強会として参加の案内をしたものです」と書面で回答。12月14日の退任記者会見でも「実際に講師を招いて開催をしており、(パーティの)実態はある。欠席した方々への追加の懇談会のようなものを開く予定」と、問題ないとの認識を示していた。

6人目に指名された「週刊文春」記者
 以降、西村氏は公の場で事件の説明をする事はなかったものの、「週刊文春」は昨年12月21日昼、“追加の懇談会”が開催されるとの情報を入手。姿を見せた西村氏を直撃し、「また架空パーティですか?」などと質問を重ねた。だが、西村氏は記者を一顧だにせず、3人の秘書を引き連れて車に乗り込んでいった。

 そして今年1月19日、東京地検特捜部が西村氏ら安倍派幹部の立件を見送ったのを受け、約1カ月ぶりに記者会見がセットされたのだった。

 場所は自民党本部7階の会議室。国会議員の会見では「記者クラブメディア以外お断り」のケースも少なくないが、この時は事前のチェックはなく、「週刊文春」記者は前から3列目に座ることができた。会見は夜9時に始まり、「事務所主催」で、司会とマイクを渡す役割をそれぞれ西村氏の男性秘書が担った。

 西村氏は冒頭、「私が還付や収支報告書への不記載を指示したり、了承したことはありません」などと、関与を否定する説明を行い、その後、記者との質疑応答に移った。この日は長丁場で、記者たちは疲れ果てているせいか、質問で挙がる手は鈍い。「週刊文春」記者は6人目に指名された。以下はそのやり取りの詳細だ。

小分けにパーティを開催する“調整”を認めた
――“架空パーティ”の件は特捜部の聴取の中で、聞かれなかったか? パーティは、購入したことの対価として開かれるもので、購入していない経済産業省の職員が来るのは、趣旨に反するのではないか? 今なお、問題ないとお考えか?

「西村氏は鋭い眼光でじろり」と睨んだと報じたインターネット記事もあったが、記者の目を見てしっかり質問を聞いていた印象だ。

「検察とのやりとりの中では……、捜査に関わることですけど、言っていいと思いますが」

 裁判を理由に回答を控える場面もあった西村氏は、なぜかこの点には踏み込み、「検察とのやり取りの中では(“架空パーティ”について聞かれたことは)ありません」と否定。そして、こう語り始めた。
 
「私自身の政治資金パーティについては、収支を法令に則って報告しているところでありますが、大臣就任期間中は大規模なパーティを自粛するようにとの大臣規範がありましたので、私も後援会も分けるとか、そういったやり方で開催をしてきました」

「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」には、政治資金パーティについて「大規模なものの開催は自粛する」と記されている。「週刊文春」 昨年12月21日発売号 では、西村氏が、パーティを小分けにしてパーティ券での収入額を抑える“調整”を行っていた旨を指摘したが、それを認めたことになる。さらに、こう続けた。

「会費」ではなく、事実上の「寄附」
「昨年開いた、ご指摘の会についても、講師を招いて、実際に私も出席して開催をしております。実態はしっかりとあります。経産省の職員については業務に関係することでありますので、有識者の会ということで案内をしたものであります」

 これまで通りの説明を繰り返した一方で、以下のようにも語った。

「ご指摘のように都合がつかず、欠席された方が多かったのは事実です」

 パーティ券を購入した参加者の多くが「欠席」していた事実を認めたのだ。つまり、収入はパーティの対価である「会費」ではなく、事実上の「寄附」だったことになる。年5万円を超える寄付を受けていれば、政治資金収支報告書に記載する必要があり、記載がなければ政治資金規正法違反(不記載)ということになる。

 やがて質問は途切れ、40分ほどで記者会見は終了した。

 安倍派の裏金事件では事務総長としての関与が疑われたものの、立件については見送られた西村氏。ただ、今後、検察審査会に申し立てられる可能性が高い。1月23日早朝に地元の兵庫県明石市で「裏金は一切ありません」などと書かれたビラを配っていた姿も報じられたが、当分、冷や飯食いが続きそうだ。

 1月24日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および1月25日(木)発売の「週刊文春」では、岸田首相が牛耳ってきた“宏池会マネー”の内実、立件された岸田派の元会計責任者の初告白、首相に対する麻生太郎副総裁や菅義偉前首相の苛立ち、岸田派の森屋宏官房副長官のオフレコ発言、石破茂元幹事長の次期総裁選に関する意気込みなどについても取り上げている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年2月1日号)