自民党の茂木敏充幹事長は23日の記者会見で、派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け「政治責任のあり方についても結論を得ていく必要がある」と言及した。関係者が立件された安倍派の幹部などを党則に基づいて処分する方針を示唆した発言とみられる。

 茂木氏は「(事件の)当事者がこの問題に真摯(しんし)に向き合って、明確な説明責任を果たしていくことが重要」だと語った上で「政治責任のあり方も国民の信頼に大きく関わってくる」と強調。続けて22日の党政治刷新本部で「刑事責任とは別に政治責任というものもあるという意見が複数出された」とし、政治責任の所在についても「結論を得ていく必要がある」と語った。【加藤明子】

 

 

きょうの潮流
 

 開き直りのなかにも本音がのぞいていました。「私は力をつけたかった。大臣並みの金を集めてやろうと…。金を集めることが必要なことだと思っていました」

 

▼自民党安倍派の裏金づくりをめぐり略式起訴され、議員辞職願を出した谷川弥一衆院議員。会見では、派閥のことは一切話さないといいながら無念をにじませました。派閥のやり方に従いながら、なぜ犠牲にならなければならないのか。そんな悔しさが言葉のはしばしに

 

▼裏金の使い道については「飲みに行ったり、食べに行ったり、いわば人間関係づくり」とも。不正に集めた金がどんな目的でどう使われたのか。自民党がどういう政党なのか。こうした言動からもみえてきます

 

▼私が悪かったといって辞める姿がまだましに見える醜態も。秘書や会計担当に責任をなすりつける岸田首相や安倍派幹部からは、反省どころか自分たちは裁かれないというごう慢さがありありと。それが政治不信をあおり、社会に害悪をもたらしています

 

▼名ばかりの政治刷新本部の中間とりまとめ案。真相解明や裏金の大本となっている企業・団体献金の禁止には背を向け、派閥の存続にも道を残しています。みずからの体質を変えてしまえば、党そのものが成り立たないといわんばかりに

 

▼立党の原点に立ち戻るという岸田首相。しかし、もともと自民党は、財界とアメリカの要請によって生まれた政党です。立党宣言にかかげた「政治は国民のもの」。それは国民を欺いてきた、この党の裏返しです。

 

 

「自分は受注額の1%を納めている」 議員辞職の谷川弥一議員の建設業者からの「上納システム」とは

 

 

 自民党の政治資金パーティーを巡る事件で、東京地検特捜部に略式起訴され、議員辞職願を提出した谷川弥一衆議院議員(82)。その集金システムに関しては地元・長崎からも告発の声が届く一方で、肝心の安倍派(清和会)幹部らの立件は見送られる公算が大きい。だが、すべての捜査がこれで終わるわけではないというのだ――。

 

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 巨匠・黒澤明監督が架空の土地開発公団を舞台に政官財の汚職事件を描いた名作「悪い奴ほどよく眠る」。末端の公団職員らの人生は破滅するが、事件の本丸である公団トップらには、司直の手は及ばないというのがあらすじである。

「特捜部による自民党の裏金捜査の展開は、それこそ黒澤映画を彷彿とさせます」

 とは社会部デスク。

「特捜部は派閥側の総額10億円超の裏金の不記載に関しては、会計責任者だけを政治資金規正法違反で在宅起訴する方針です。一方で、事務総長経験者については会計責任者との共謀を立証するのが現時点では難しく、立件を見送る方針に傾いています」

幹部は難を逃れる? 
 つまり下村博文元文科相(69)、松野博一前官房長官(61)、西村康稔前経産相(61)、高木毅前国対委員長(68)の4名は難を逃れそうだというのだ。

「安倍晋三元総理は生前、2022年分の裏金還流中止を西村事務総長(当時)に指示していました。ですが安倍氏の死後、西村氏が下村氏や座長の塩谷立元文科相(73)らと協議の末、還流再開を決定。高木事務総長時代に還流が実際に行われてもいます。ところが西村氏らは、還流はあくまで故・細田博之氏や安倍元総理らの“会長案件”だったと主張。22年分を含めて、会計責任者との共謀を真っ向から否定しているのです」(同)

地元から告発の声が
 まさに死人に口なしだが、特捜部は派閥から還流を受けた個別議員側にも、捜査を実施している。実際今月7日には、4826万円の還流を受けていた池田佳隆衆議院議員(57)が証拠隠滅の恐れが認められたとして逮捕された。

 大野泰正参議院議員(64)と谷川氏は19日、派閥からパーティー収入の高額なキックバックを受けた事件で立件されたことを受け、自民党を離党した。

 谷川氏の権勢は完全に地に落ちており、地元からも告発の声が相次いでいる。

 

会費が裏金に
「谷川氏が長崎県に創業した谷川建設は諫早湾干拓をはじめ、あらゆる公共工事を受注してきた。谷川氏はその谷川建設を使って、裏金作りを行っていたのです」

 そう声を潜めて語るのは谷川建設の関係者だ。

「谷川建設の下請け業者で作る『谷建会』という業界団体があります。その数は長崎を中心に九州全体で実に500社ほどに上ります。ここからが問題なのですが、谷川建設は谷建会の業者に下請けの仕事を発注する際、数%を“会費”と称して発注額から中抜きする。そしてその資金は裏金として会の口座にプールされ、長年にわたり、谷川氏の選挙費用などに使われてきたといわれています」

 この点、現在、長崎谷建会に所属している、さる下請け企業も、

「自分の場合は受注額の1%を谷建会に納めています。長崎谷建会だけで毎年、数百万円の会費が集まっているはず。みんな、そうした会費が谷川先生の裏金になっていると薄々は分かっていたのでは」

 と“上納システム”について証言。別の業者は、

「谷建会に会費として毎月3千円ほど納めていました。また、それとは別に数%を受注額から中抜きされていました」

 などと打ち明けた上で、こう続ける。

「谷川建設から仕事を1回受注するたびに、自民党に寄付する名目で、1万円を谷川建設の関連会社に手渡しで届ける決まりもありました。領収書は出る時と出ない時がありましたが、寄付をしない業者は仕事を干されていました」

「ある幹部は“ぐっすり眠れるようになった”と」
 無論、谷建会は派閥パー券収入の裏金化にも関わっている。前出の関係者が明かす。

「派閥パー券も谷建会の業者に買わせてきた。ノルマは1社で2、3枚程度。谷川氏は下請け企業に加えて、都内などの後援者にもパー券を売りさばき、売り上げは年間で約2千万円程度だったとか。そのうちの約800万円を、派閥からキックバックされていたと聞いています」

 以上の件について、まず谷川建設に聞くと、

「ご指摘のような裏金という趣旨のものはなく、会費の徴収方法並びに支出に関する事項は、各谷建会で決定しております」

 また谷川事務所も、

「法令に従い適正に処理していると伺っております」

 さる清和会関係者が苦笑しながら言う。

「4千万円以上の裏金還流を受けた谷川氏ら個別議員が立件対象にされる一方で、立件を逃れた派閥幹部らは軒並み、安堵の表情を浮かべています。ある幹部など、年末には“よく眠れない”と不安を口にしていたのに、最近では“ぐっすり眠れるようになった”と笑っていますからね」

 だがしかし、安心するのは早計なようで、

「事務総長経験者らの案件は、間違いなく検察審査会に持ち込まれます。菅原一秀元経産相(62)の公選法違反事件のケースでは当初不起訴とされましたが、検察審査会で起訴相当と議決した後、特捜部が起訴方針に転じ、菅原氏は最終的に略式起訴されました」(前出・デスク)

 悪い奴らが、枕を高くして眠るのはまだ早い? 

「週刊新潮」2024年1月25日号 掲載

 

 

“政治刷新本部に安倍派10人”「国民にケンカ売っとんか!企業献金もパーティーも全面禁止せい!」

 

泉房穂

 今回の政治刷新本部も、岸田首相自らが本部長を務め、そして麻生派会長の麻生太郎副総裁が最高顧問、茂木派会長の茂木敏充さんと、各派閥の領袖が入った。無派閥の菅義偉前首相も参加しているが、これはガス抜きやろうね。本気で派閥について議論するなら、最低限、無派閥の石破茂さんぐらい入れるべきやった。

 政治にはカネがかかるから派閥は必要というが、国会議員は十分すぎるほどカネをもらっている。 まず、年間2000万円ほどの議員報酬がある。これは諸外国と比べてもけっして少なくない。次に立法事務費という、まさに政策を進めるための費用が年間780万円支給されている。そして、旧文通費の名前だけ変えた調査研究広報滞在費が年1200万円。すべて合わせて、年間約4000万円もらえるわけです。

  政党交付金もある。各政党に合計で年間約315億円が支給され、自民党だけで年間約160億円。さらに企業団体献金。これは、企業への便宜供与になりかねんからやめようというのが世界の流れ。日本は廃止を前提に政党助成制度を作ったが、企業団体献金はそのまま残ってしまった。

 加えてパーティー収入があり、今回、裏金まで発覚した。裏金は、選挙の際に協力してもらったスタッフへの報酬などに使われている。

 企業団体献金は即刻廃止すべきだし、政治資金パーティーも、報告会以外は全面禁止すべき。そこまでやらなければ、政治改革の意味がない。

 

 

 岸田文雄首相の肝いりで作られた「政治刷新本部」の2回めの会合が開かれ、「安倍派解散」などと派閥の廃止を求める声が出た。

 

 しかし、参加メンバー自体がおかしい。安倍派の裏金問題が事の発端やのに、38人中10人が安倍派所属で、そのうち9人に疑惑があるんやから、国民にケンカを売っとんか! 正しくは「刷新されるべき本部」や。

 自民党が政治改革にどこまで本気か。それは、36年前のリクルート事件のときと対比すればわかる。

 大きく違うのは、当時は自民党の若手議員が声を上げたこと。なんとかせんとという機運が高まり、その後の細川政権に繋がった。自民党を離党した議員により、新党さきがけや新生党ができ、変革の胎動が起こった時期やった。

 そして、後藤田正晴元官房長官が政治改革委員会の委員長を務め、1989年5月23日にできたのが『政治改革大綱』。 「派閥の弊害除去と解消への決意」を掲げ、「総裁、副総裁、幹事長、総務会長、政務調査会長、参議院議員会長、閣僚は、在任中派閥を離脱する」と定めている。つまり、派閥の議論は35年前に終わったはずやのに、今も問題になっている。自民党の自浄能力のなさに呆れるしかない。

 派閥を「政策集団」という人もいるが、たんなるまやかし。派閥の本質はカネとポスト。派閥は政治資金パーティーでカネを集め、議員に活動資金を配る。そして強引な推薦人事で、所属議員を大臣、副大臣、政務官などに押し込む。その結果、どう見ても能力のない大臣が生まれる。

 適材適所に反する人事の典型が岸田首相。派閥の力のおかげで選ばれ、これほど支持率が低いのにその座に居続けられる。じつは岸田首相も、それをよく理解している。元会計責任者らの立件を受け、派閥解散の動きもあるが、一部派閥の見せかけだけの解散のフリでは不十分。

 今回の政治刷新本部も、岸田首相自らが本部長を務め、そして麻生派会長の麻生太郎副総裁が最高顧問、茂木派会長の茂木敏充さんと、各派閥の領袖が入った。無派閥の菅義偉前首相も参加しているが、これはガス抜きやろうね。本気で派閥について議論するなら、最低限、無派閥の石破茂さんぐらい入れるべきやった。

 政治にはカネがかかるから派閥は必要というが、国会議員は十分すぎるほどカネをもらっている。 まず、年間2000万円ほどの議員報酬がある。これは諸外国と比べてもけっして少なくない。次に立法事務費という、まさに政策を進めるための費用が年間780万円支給されている。そして、旧文通費の名前だけ変えた調査研究広報滞在費が年1200万円。すべて合わせて、年間約4000万円もらえるわけです。

  政党交付金もある。各政党に合計で年間約315億円が支給され、自民党だけで年間約160億円。さらに企業団体献金。これは、企業への便宜供与になりかねんからやめようというのが世界の流れ。日本は廃止を前提に政党助成制度を作ったが、企業団体献金はそのまま残ってしまった。

 加えてパーティー収入があり、今回、裏金まで発覚した。裏金は、選挙の際に協力してもらったスタッフへの報酬などに使われている。

 企業団体献金は即刻廃止すべきだし、政治資金パーティーも、報告会以外は全面禁止すべき。そこまでやらなければ、政治改革の意味がない。

 政府ばかりやない。検察も何やっとんねん。政治資金規正法違反容疑で告発された安倍派幹部7人を不起訴にする方針という。会計責任者との共謀は立証困難と判断したということやが、今さら何を言うとるんや。

 捜査のポイントは3点。すなわち不逮捕特権、立件のラインとされる4000万円ルール、そして共謀の立証。

 一般国民だったら、会社があろうが学校があろうが、捜査をやめてもらえん。国会議員だけ、国会会期中は逮捕されないのはおかしい。

 じつは、国会議員も逮捕許諾請求により逮捕可能。実際、鈴木宗男議員、中村喜四郎議員など、戦後16人の国会議員が、国会の会期中に逮捕されている。逮捕までいかなくても捜査は継続できる。国会が始まる1月26日までに捜査を終えるという方針は間違っとる。

 4000万円ルールについては、そんなことどこにも書かれていないし、100万円でも裏金は違法なんやから、ちゃんと捜査すべき。とくに派閥の幹部は当然、立件が必要。

 最大の焦点となった共謀の立証は、客観的資料が乏しいからできないという。私も刑事弁護をやっているが、そんなドンピシャの証拠があるわけない。「不記載にしろ」なんてメールで書くわけないやん。立件するには状況証拠を積み重ねればいいだけの話。

 普通に考えて、会計責任者が独自の判断で虚偽記載を決めるわけないがな。当然、事務総長の指示があったと誰もが思う。時効前の歴代事務総長の4人は全員立件すべき。それでも捜査を打ち切るというなら、相手が権力者だからこそと思わざるを得ない。

 まだ十分な証拠がないのなら、先日逮捕された池田佳隆議員らをきちんと立件して、裁判の過程で出てきた事実関係をもとに、派閥側に手をつければいい。やりやすいところから始めればええんよ。

 検察は政治家のような権力を持っているわけではない。しかし権威はあり、その根拠は国民の信頼だけ。だから、検察を動かすのは世論。1992年に「黄色いペンキ」事件が起きた。金丸信元自民党副総裁が5億円の闇献金を受けたのに、検察は略式起訴をして罰金20万円で終わらせた。

 これに反発した男が、検察庁の石看板に黄色いペンキをかけた。男は器物損壊容疑で捕まったが、その後、世論の高まりにより金丸氏は別件の脱税容疑で逮捕された。今回も最後に検察が方針を変え、急転直下となるかもしれん。

 

 

自民・松川るい氏、204万円還流「知らなかった。返還したい」発言にネット「説得力なし」「信頼回復を」

 

見つかってしまったら仕方がない、修正する、返還する。泥棒が捕まって「返します」と言ったら無罪放免しますかっていう問題。松川は全く事の重大性を感じていない。政治をなんだと思っているんだ!💢

 

 

 

 

 派閥裏金事件を受けて新設された自民党の政治刷新本部のメンバーで、安倍派の松川るい参院議員(52)が23日、自身の政治資金収支報告書に記載していなかったパーティー券収入は、2019年からの4年間で計204万円だったと明らかにした。

 松川氏はパーティー券収入のキックバック(還流)について「全く知らなかった。事務所の管理に任せきっていたことについては監督責任を感じている」と陳謝し、「一切手を付けていないので、(派閥に)返還したい」」と語った。

 松川氏の説明について、インターネット上では「事が明るみになって返還とか、そうでなければ保管していた金をどうするつもりだったのか?」「一切使っていないとの釈明ですが、お金に色はついていないから何の証明にもならないと思います」「真面目に確定申告をするのがアホらしくなってきた」「『不記載』という不正経理処理をした段階で『一切使っていない』という釈明には、何ら説得力がないことはご自分が一番よく知っているはずだ それにしてもパリ旅行、裏金、そして刷新会議のメンバーでありながらのロンドン漫遊…味噌をつけっぱなしですね」「信頼回復に努めてください」「汚名挽回、期待していますよ」などの声が上がっている。

 松川氏を巡っては、昨年8月、フランス研修中に撮影した写真が投稿先の交流サイト(SNS)上で「観光旅行のようだ」と批判され、党女性局長を辞任した。また、昨年に年末恒例の「現代用語の基礎知識選 2023ユーキャン新語・流行語大賞」の候補30語では、唯一の政治関連ワードとして、松川氏らがフランス研修中にエッフェル塔前でポーズを取った写真で批判された「エッフェル姉さん」がノミネートされた。