このままでは3月末の予算成立をきっかけに「岸田おろし」が浮上する。それを阻止するには解散・総選挙に打って出るしかない。時期としては予算成立後。

ただし7月には都知事選があるので、公明党はそこに重なることに反対している。9月の総裁選前後も可能だが、「岸田おろし」を避けるには4月解散で、島根補選などと重ねることも現実的だ。

年初からの能登半島地震などで政治の責任が問われる日本だが、その根っこでは主権者の判断が問われる1年になる。

 

林芳正官房長官が震災対応中に「一人3万円以上」高級ステーキをおごられた! 手土産ももらって「意見交換」と説明

 
 
「信頼回復のために宏池会を解散する」と明言した岸田文雄首相(66)。

 1月19日の急転直下の決断の裏に、林芳正官房長官(63)の存在を指摘するのは政治部デスクだ。
 
「周囲に考える隙を与えないように、前日の午後に岸田首相は林官房長官と2人きりで『宏池会解散』を決めたようです。実際、宏池会に倣うように他派閥も解散を決定。目論見は成功しています」

 林官房長官の頭は早い段階で、「復興」ではなく「政局」に切り替わっていたのか――。

 政権の危機管理担当として、元日に発生した能登半島地震の対応をまかされている林官房長官。

 1月12日の官房長官会見でも「被災自治体を全力でバックアップする」、「差し迫った課題に、まずは全力を挙げる」と被災地に約束していたが、その日の夜6時過ぎに人知れず向かったのは、六本木にある高級ステーキ店だ。

「まさかこんな時期に、官房長官が来ているとは思いませんでした」と、居合わせた常連客から驚きの声が上がるのも無理もない。

 1月5日、日中に開かれた経済3団体の新年会に出席し、大きな批判を浴びた岸田首相ですら、1月19日までは夜の会食はおこなっていなかった。

 ステーキ店の窓ガラスに面した個室に入った林官房長官は、男性2人組とワインを嗜みながらステーキに舌鼓を打つ様子が窺える。デザートまで、しっかりと堪能していた。

「この店は米国発の老舗ステーキチェーン店。高級店なのはもちろんですが、個室を利用すると会計は10万円以上でなければなりません。3人での会食なら、一人3万円以上になるはず」(前出・常連客)

 3時間近く滞在した後の夜9時過ぎ、店から出てきたのは林官房長官一人だけだ。右手にお土産の白い紙袋を持ちながら、林官房長官は待機させていた車で店を後にした。

 それからしばらくして、残る2人組も店の外へ。会計をしたのは、2人組のうちの一人で、林官房長官が支払いをすることはなかった。

 能登半島地震は発生後2週間で、震度5弱以上の余震が15回以上。会食で林官房長官が官邸を離れていたこの日の午後9時10分にも、最大震度4の余震が発生していた。

 その4日後の1月16日には、最大震度5弱の余震発生の4分後に林官房長官は官邸を離れ、翌17日の官房長官会見で記者陣から追及を受けている。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は、こう疑問視する。

「必要な意見交換会なのかもしれませんが、わざわざ官房長官が高級ステーキ店に行く必要はないでしょう。震災対応で必要だったら、相手を官邸に呼べばいい話です。

『ご飯を食べるな』と言うつもりはありません。しかし、この時期にパーティを開く政治家がいないように、プライベートで豪勢な会食をする政治家は国民感情をわかっていません」

 林官房長官の事務所に、1月12日の会食の「必要性」と「支払いの有無」などについて見解を求めると、

「毎日、能登半島地震の対応を最優先に内閣として対応しているところです。そのほか、平素より政策判断のための意見・情報交換をさまざまな分野の方々としているところです」

 とだけ回答があった。

 高級ステーキで、国民が“ご満悦”の政策が思い浮かべばいいが……。
 
 

自民パー券疑惑で急浮上した「日本青年会議所」の深い闇。なぜ“元会頭”の池田代議士が逮捕されたのか?

 
 
日本青年会議所の存在。パー券裏金問題で逮捕された池田佳隆議員のバック
自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーにおける一連の問題で、東京地検特捜部は7日、政治資金規正法違反の疑いで衆院議員池田佳隆容疑者(57)=比例東海=と政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)を逮捕した。

一連の裏金疑惑の問題で、逮捕者が出るのは初めて。

池田・柿沼両容疑者の逮捕容疑は、共謀により2018年~22年、派閥から計4,826万円の還流を受けたのに、その額を除いた虚偽の収入を池田氏の資金管理団体である「池田黎明会」の政治資金収支報告書に記入した疑い。

安倍派の裏金は5年間で6億円近くに上っていた可能性があるが、所属議員99人の中でとくに池田容疑者側は高額だった(*1)。また、特捜部は逮捕の理由を、

「具体的な罪証隠滅の恐れが大きいと判断した」(*2)

と説明する。

関係者によると、捜索の押収物の解析の過程で、池田氏の事務所がデータや資料を故意に破壊、破棄するなどした疑いが浮上。

さらに証拠隠滅の行為には池田氏の指示があり、捜索後もそれが継続しているのではないかと特捜部は判断(*3)、逮捕に踏み切った。

直近5年で9人もが逮捕。カネにだらしない自民党
岸田文雄政権発足から2年あまりで、自民党に所属した議員の逮捕や起訴は4人目。直近の5年間では9人目にのぼる。

最近逮捕や起訴された自民党議員(いずれも起訴が表面化した時点では党所属)(*4)

2019年 秋元司元内閣副大臣 IR事業汚職事件で逮捕
20年  河井克行元法相、河井案里元参院議員 19年参院選の買収事件で逮捕
21年  吉川貫盛元農相  鶏卵汚職事件で在宅起訴
    菅原一秀元経済産業相 地元有権者に香典などを提供し略式起訴
22年  薗浦健太郎元外務副大臣 政治資金パーティーの収入を過小記載し略式起訴
23年  秋本真利元外務政務官  洋上風力発電事業をめぐる汚職事件で逮捕
     柿沢末途前法務副大臣  東京・江東区長選の買収事件で逮捕
24年  池田佳隆元文部科学副大臣 安倍派の政治資金パーティーをめぐる事件で逮捕
NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は西日本新聞の取材に対し、

「政治とカネ」の問題が何度も取り沙汰されているにもかかわらず、政治資金規正法には多くの抜け穴が残されているのが現状だ。裏金をつくるために政治資金収支報告書に虚偽の記入があっても有権者は知ることができない。投票行動にもつながる情報が隠されていたとするなら、背信行為で重大な問題だ(*5)

と話す。
 
池田議員がノルマを上回るパー券を売りさばけた訳
池田氏は、父親から受け継いだ化学薬品会社の社長を務めたのち、2006年には若手の企業経営者らでつくる日本青年会議所(日本JC)の会頭に就任。さらに当時官房長官であった安倍晋三氏と知り合い、政治家を志す。


12年の衆院選に愛知3区(名古屋市昭和区、緑区、天白区)で初当選。

「安倍先生を慕い尊崇の念をいだき、先生から『政治家になれ!』と檄をいただいた」(*6)

と振り返る。ただし、地盤は強いとはいえず、14、17、21年の選挙はいずれも比例復活による当選。

安倍氏を師とし、安倍派の萩生田光一・前党政調会長を「兄貴」を慕い、ともに文教畑を歩む。

とくに、前川喜平・元文部科学事務次官が18年に名古屋市立中学で行った講演内容を文科省が調査していた問題では、池田氏が市教委あての質問内容を“点検”していたことが発覚。

「政治による教育介入」(*7)

との批判を受けた。

池田氏の特徴はJC人脈をフル活用した集金力。秘書らが人脈を駆使し、企業や団体にパーティー券を広く販売。結果的に、当選回数に応じた販売ノルマをはるかに上回る売り上げとなった(*8)。

ドキュメンタリー映画で発覚していた初代デジタル相のパー券裏金疑惑
一方、政治資金パーティーの闇については、3年前にその発端が現れていた。それは、ドキュメンタリー映画『香川1区』(21年)に登場する、初代デジタル大臣・平井卓也氏の政治資金パーティーに関する場面。

その中で、「とある告発者」からの情報として、2万円×10人分のパーティー券の購入依頼で、パーティーに出席するのは3名までで、本来なら残り7名分は寄付になるという場面が流された。

一方、ジャーナリストの津田大介氏はX(旧Twitter)で、

「自民党の裏金問題、間違いなく今後炎上延焼必至なんだけど、大島新監督のドキュメンタリー映画『香川1区』で描かれた自民党の金ぐるみ選挙戦のパーフェクトな『答え合わせ』という感が強い」(12月2日)

とポストしていた。

「香川1区」の監督である大島新監督は、FRIDAYデジタルの取材に対し、

「ある意味、すごい調査報道だと言ってくださった方もいました。私自身は調査報道の専門家ではないので、どこか共同戦線を張ってもらえないかと思って声をかけたりしたんですが、やっぱり事例が1つだということと、大した額じゃない(20万円のうちの7枚分=14万円)話なので、報道する価値をあんまり感じてもらえなかったのかな、と」(*9)

とした。

■引用・参考文献

(*1)「安倍派 池田議員を逮捕」西日本新聞 2024年1月8日付朝刊 1項

(*2)西日本新聞 2024年1月8日

(*3)植松敬・横山輝「データ破壊か 逮捕へ急転」朝日新聞 2024年1月8日付朝刊 3項

(*4)西日本新聞 2024年1月8日付朝刊 2項

(*5)「政治不信払拭、政界全体で」西日本新聞 2024年1月8日付朝刊、 2項

(*6)寺沢知海・村上友里・根津弥「集金 安倍氏との関係強調」朝日新聞 2024年1月8日付朝刊 28項

(*7)寺沢知海・村上友里・根津弥 2024年1月8日

(*8)寺沢知海・村上友里・根津弥、 2024年1月8日

(:9)FRIDAY DAGITAL「裏金は『文化』!? 政治資金パーティー『裏金問題』を2年前に暴いていた…大島新監督は今何を思うか」Yahoo!ニュース、2024年1月6日
 
 

4月に解散総選挙か。能登半島地震の被災者を見捨てて保身に走る岸田文雄

 
 
「宏池会(岸田派)」解散で生き残りを図る岸田総理
裏金問題で安倍派「5人組」に東京地検特捜部の捜査の手は伸びるのか。本人たちも世間も強い関心を持ってきた。ところがNHK、毎日新聞、読売新聞などが断続的に否定報道を行った。

事務総長経験者たちではなく、事務局長を政治資金規正法違反(不記載)で立件するだけで、議員にまで及ばないというのだ。1月19日に立件されたのは実務関係者と2人の国会議員だけだった。

たしかにこの法律は実務者を対象とするもので、議員との共謀を示す明確な物証がなければ立件は困難とされてきた。1月18日の朝日新聞が江東区長選挙で柿沢未途議員が買収をしたことで逮捕、立件されたことで、否認から一転した背景を報じている。

柿沢議員はあるスタッフに現金提供などしていないと供述した。ところが柿沢議員がその人物と会食する直前にATMで現金を引き出す防犯カメラ映像があり、さらに出金記録まで示され、さらには「最後まで木村さん(有田注、木村弥生候補)の当選に向けて頑張りましょう」と書いたLINEも残っていた。

東京地検特捜部はここまで捜査する。安倍派「5人組」については明白な物証がなかったと理解するしかない。ただし政治資金規制法で立件できなくとも脱税は明確なので、そこまで踏み込むのかどうかは、まだ注目される。

岸田派の元会計責任者を立件、二階俊博元幹事長の秘書を立件、元会計責任者を在宅起訴する方針だが、ここでも議員にまでは及ばない。安倍派についても26日の通常国会までに結論を出すべく詰めの捜査が続いている。最終的な結果は不明だが、いずれ安倍派「5人組」たちには検察審査会への申し立てが行われる。

11人の委員(国民から任意で選ばれる)のうち8人が「起訴相当」とすれば、検察は再捜査義務が生じる。それでも不起訴にすれば、二度目の「起訴相当」を議決することもできる。そうなれば強制起訴され、裁判になる。時間はかかるがまだまだ裏金問題は続いていくのだ。

裏金問題に関わって東京地検特捜部は逮捕した池田佳孝議員と統一教会の関係についても捜査をしていた。教団の会合にしばしば出席し韓鶴子総裁を持ち上げていたからだ。

資金の流れはないかが関心だった。さらに池田議員が「兄貴」と慕っていた萩生田光一議員と統一教会マネーの関係だ。

結論からいえば巨額な資金援助があった証拠は出てこなかったが、パーティ券は購入していたという。

池田議員は公判があるので、裁判で統一教会問題が指摘されることもありうる。
 
ここにきて岸田派と安倍派が解散に向かうとの発言があった。1月18日夜に岸田総理は記者の質問にこう発言した。


Q:岸田派は政治団体を解散し、事務所を廃止する方針を固めたとの報道があるが事実関係を。また、政策集団としての宏池会は存続させるか。

A:ご指摘の点について、解散についても検討している。政治の信頼回復に資するものであるならば、そうしたことも考えなければならない。このように思っている。

 Q:政策集団としての宏池会は残すお考えか。

A:いや、宏池会を解散することを検討している。宏池会はもともと政策集団だ。

この発言を受けて岸田総理は19日朝に解散を改めて明言した。派閥解散は自らの派閥関係者が立件されるからだが、いちばんの狙いは再選戦略との関係だ。

このままでは3月末の予算成立をきっかけに「岸田おろし」が浮上する。それを阻止するには解散・総選挙に打って出るしかない。時期としては予算成立後。

ただし7月には都知事選があるので、公明党はそこに重なることに反対している。9月の総裁選前後も可能だが、「岸田おろし」を避けるには4月解散で、島根補選などと重ねることも現実的だ。

年初からの能登半島地震などで政治の責任が問われる日本だが、その根っこでは主権者の判断が問われる1年になる。
 
 

「岸田の乱」― 派閥解散の胡散臭さ

 

今月19日、東京地検特捜部が自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー裏金事件に関する刑事処分を公表。裏金が6億円超の安倍派、2億円超の二階派の会計責任者を政治資金規正法違反(不記載)で在宅起訴し、裏金が3千万円超の岸田派の会計責任者は略式起訴にした。大山鳴動して鼠一匹とはこのことで、大物政治家逮捕を見送った検察には国民から厳しい批判の声が上がる状況だ。

そうした中、岸田文雄首相が唐突に「派閥解散」を宣言した。「岸田の乱」である。

◇   ◇   ◇

政治家個人については、安倍派からキックバックの裏金5,145万円を隠ぺいしていた大野泰正参院議員を在宅起訴。同じく4,300万円を不記載にしていた谷川弥一衆議院議員を略式起訴となった。また、二階俊博元幹事長の政治団体「新政経研究会」の収入3,500万円を収支報告書に記載していなかったとして、秘書が略式起訴されている。

肝心の安倍派5人衆ら幹部のうち、世耕弘成前参院幹事長側には1,500万円超、松野博一前官房長官側にも約1,000万円が裏金として渡っていたが、刑事責任は追及せず幕引きとなった。

鼠数匹が軽い処分で受けて終わるという結末となった裏金事件。捜査終結を見据えたように動いたのが岸田首相だ。東京地検の処分発表前日、岸田派の会計責任者が立件されることがニュースになると、派閥幹部を呼び寄せ「岸田派解散」を通告。首相自ら取材に応じ、池田勇人元首相が創設した伝統派閥「宏池会」の解散を発表した。「岸田の乱」を受け、特捜部に立件された安倍派、二階派も派閥総会で「解散」を発表している。ある自民党の大臣経験者はこう話す。
「自民党は派閥同士がしのぎを削って政権与党の座を維持してきた。派閥解散となればその歴史も終わってしまう。岸田総理は、最大派閥である安倍派の大混乱に乗じて思い切った奇襲に出てきた。安倍派、二階派も面食らっただろう」



2021年9月の自民党総裁選で岸田首相に勝利をもたらしたのは派閥の力。党内最大の安倍派に加え麻生太郎副総裁の麻生派、茂木敏充幹事長の茂木派をがっちりと固め、首相の座についた。しかし岸田氏は、慣例となっている派閥離脱を拒み、宏池会会長に居座っていた。

重い腰をあげ、会長を自任したのはパーティー裏金事件が表面化した昨年12月。それが一転して、自ら派閥解散ドミノを仕掛けた格好だ。

「本当は安倍派が最初に解散すべきで、しっかりケジメをつけてクリーンな政治をアピールすべきだった。だが、トップの会長不在で何も決められない。間隙をぬって総理が岸田派解散を決定。安倍派はそれを追随するしかなかった。裏金事件のマイナス部分を、総理だけがプラスになるように持って行かれた」(安倍派の衆議院議員)

だが、麻生派と茂木派は派閥解散に慎重な構え。解散を表明した3派とは、共同歩調をとらないものとみられている。岸田氏が宏池会解散を打ち出した翌日、麻生氏は自民党本部を訪ねて面談。麻生派の国会議員は、怒りをにじませこう語る。
「(麻生)会長は、『麻生派は解散しない。うちは裏金もなく検察の処分もない』と伝えたそうです。岸田総理をよく思っていない人がいても、会長が『うちは岸田でいく』と言えば、一致結束して支えてきた。それが岸田派だけさっさと解散していい子ちゃんぶる。さすがにそれはおかしいでしょう」

これまで、難局に差し掛かる度に麻生氏を頼った岸田首相。「岸田の乱」に世論が好意的となる中、党内では一気に「岸田おろし」に向け火ぶたが切られることも想定される。しかし、元日に能登半島を襲った巨大地震への対応はいまだに不十分で、政争による空白など許されない状況だ。岸田派の国会議員が、先を読む。
「総理総裁の次の最有力候補は、麻生氏と良好な関係の茂木さん。しかし、岸田派をはじめ3つの派閥が解散しているのに、麻生派と茂木派が派閥政治は解散しないとなれば、国民は政治に対する不信感は一層深まります。自民党の支持率も低迷したままにななるでしょう。そうなると、次の解散総選挙では自民党自そのものが政権与党の座から転落しかねません。麻生派と茂木派だけが残るということになれば、能登半島地震で大変な中、カネのために派閥を続けるのかとイメージが悪くなるばかり。早晩、派閥解散に追い込まれますよ」

岸田首相の奇襲が、本当の改革になるか否かは疑問だ。自民党の歴史を見ると、1989年に起きたリクルート事件という大スキャンダルの後、まとめられた「政治改革大綱」には《派閥の弊害除去と解消への決意》と明記。さらに、《派閥と政治資金のかかわりや派閥の内閣、国会および党の全般にわたる人事への介在、派閥本位の選挙応援など、さまざまな弊害を生んでいる。かりに、現状のような派閥中心の党運営が続くならば、党が真の意味での近代政党、国民政党へ脱皮することは不可能である。したがってわれわれは、すくなくとも早急に次の措置を講ずることにより、派閥解消の第一歩とする》、《われわれは、派閥解消を決意し、分野を特定して活動するいわゆる族議員への批判にこたえ、さらに、党運営においては、人事・財政・組織の近代化をはかり、世界をリードする政策を立案・実行できる政党への脱皮をはかる》とまで踏み込んでいた。しかし、派閥は解消されるどころか肥大化。カネと人事を握り、派閥の悪弊は蔓延った。小泉純一郎元首相は「自民党をぶっ壊す」と宣言し高支持率を維持したが、派閥解散に追い込めなかったのは周知の通りである。

昨年12月7日の産経新聞に岸田首相と岸田派についての、こんな記事がある。

《今年9月に山梨県富士吉田市で開いた派の夏季研修会では、官邸から駆け付けただけでなく、所属議員同士の親睦を深める懇親会に長居したという。派の幹部は「首相は機嫌がよかった。時間だから帰るかと思ったが、なかなか腰を上げなかった。派閥が好きなんだ」と周囲に語っていた》

「岸田の乱」が本当に政治改革につながるのかどうか――自民党の「口先」に騙されないよう見極める必要がある。現時点で、岸田首相への「称賛」は不要だ。