核兵器禁止条約が2021年1月22日に発効して3年を迎えました。同条約が実効力・規範力を高めるなか、唯一の戦争被爆国である日本政府は米国の「核の傘」のもとで署名も批准もしていません。日本政府に核兵器禁止条約への参加を求める地方議会の意見書(趣旨採択を含む)が674に達し、全1788議会の約38%となったことが、原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の調べで21日までにわかりました。

 昨年10月5日に全会一致で可決した長崎県諫早市の意見書は「核兵器のない世界の実現という被爆者の切なる願いを、唯一の戦争被爆国である日本政府は真摯(しんし)に受け止め」、「核兵器禁止条約の実効性を高めるために主導的役割を果たされるよう強く要望する」とのべ、核兵器禁止条約を早期に署名・批准することを求めています。

 昨年9月14日に賛成多数で可決した栃木県高根沢町の意見書は、歴史的な核兵器禁止条約が「被爆国、被害国の国民の声に応えるものとなっています」と高く評価。「日本は、『唯一の戦争被爆国』として核兵器全面禁止のために真剣に努力する証として、核兵器禁止条約に参加、調印、批准することを求めます」としています。

 意見書は核兵器禁止条約が国連会議で採択された17年7月7日以降のものです。岩手、長野、三重、沖縄の4県議会が可決し、鳥取県議会が陳情を趣旨採択。区市町村議会は31の趣旨採択を含めて1区290市302町76村となっています。

 岩手県は県議会と全33市町村議会で可決。県・区市町村議会を合わせて7割を超えたのは秋田、新潟、長野、鳥取、岡山、広島、徳島の7県です。

 

 

きょうの潮流
 

 アフリカ大陸中央部のギニア湾に浮かぶ群島国は、日本でもほとんど知られていません。東京都の半分ほどの面積に22万人余がくらすサントメ・プリンシペです

 

▼固有の動植物が多く生息し、主な産業はカカオの栽培。じつは日本とのかかわりは深く、食料援助の日本米は非常に人気があって国民から感謝されているといいます。その小さな島国が今月、核兵器禁止条約に批准。70番目の締結国となりました

 

▼条約制定に尽くした「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のメリッサ・パーク事務局長は歓迎と期待を込めました。多くの国が参加することで、「核兵器は容認できないとする新しい国際的規範が強化される」と

 

▼核禁条約の発効からきょうで3年。それを前にパーク事務局長が広島・長崎を訪れました。被爆地で訴えたのは、「核廃絶はわれわれが住むことのできる地球を残す手段」であり、この条約が大きな影響を与えていること。さらに核兵器に頼る安全保障からの脱却です

 

▼唯一の戦争被爆国でありながら条約に背を向ける日本政府にも言及。本来ならば最初に条約に署名する国であってほしかった、核の傘と決別し条約に加わる責務があると迫りました

 

▼国の大小にかかわらず同じ星に息づく仲間たち。パーク事務局長は広島の原爆資料館の芳名録にこう記しました。「私たちの美しい地球に核兵器はふさわしくありません。広島はこのことを伝えています。核兵器が私たちを滅ぼす前に私たちが核兵器をなくしましょう」