【ワシントン=島田峰隆】国連女性機関「UNウィメン」のバホウス事務局長は19日、パレスチナのガザ地区に関する報告書の発表にあたって声明を出し、「即時の人道的停戦をあらためて要求する」と表明しました。

 バホウス氏は「きょう女性や少女が置かれている惨状をどんなに悲しんでも、制約を受けない人道支援や破壊と殺害の終結が実現できなければ、明日も悲しむことになる」として、戦闘を止める重要性を強調しました。

 「彼女らは数字ではなく人間だ。パレスチナの人々を苦しめるトラウマは今後、世代を超えてわれわれを苦しめるだろう」と指摘。「これは女性や少女が起こした紛争ではない。彼女らがこれ以上代償を払うことがあってはならない」と訴えました。

 

 

 

ガザの集団殺害やめよ サウンドデモ

東京・渋谷駅前

 
 
 イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区でのジェノサイド(集団殺害)の中止と即時停戦を求めて20日、東京・渋谷駅前で、サウンドデモが行われました。太鼓やマラカス、鍋など音の出るものを持った多くの市民が集まり、リズムに合わせて「フリー・フリー・パレスチナ(パレスチナに自由を)」「ノー・モア・オキュペイション(占領するな)」と声をあげました。

 主催は、パレスチナ出身者や支援者らでつくる「パレスティニアンズ・オブ・ジャパン」。道行く人が足を止めてリズムに合わせ手を振るなど、多くの人の注目を集めました。

 学生時代にパレスチナに留学していたという川崎市の男性(26)は「パレスチナを思う気持ちはみんな一緒。連帯を強めたい」と語りました。

 ガザに友人がいるという40代の男性は「最近ようやく友人と連絡が取れ、『祈ってほしい、声をあげてほしい』と言われた。日本でもメディアが沈黙する中、私たちが声をあげるしかない」と話しました。

 東京都台東区の女性(25)は「遠い国のことだと思わず、まずは知って、多くの人に一緒に行動してほしい。日本政府も停戦に向けて動いてほしい」と述べました。


イスラエル軍、ガザ住民数千人を拘束か 国連
 
 
【1月20日 AFP】昨年10月7日にイスラエルとイスラム組織ハマス(Hamas)との軍事衝突が始まって以降、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の男性数千人がイスラエル軍に拘束され、拷問に等しい状況に置かれている可能性がある。被占領パレスチナ地域の国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)代表を務めるアジス・ソンガイ(Ajith Sunghay)氏が19日、明らかにした。

 ガザ南部ラファ(Rafah)からビデオリンク方式でスイス・ジュネーブでの記者会見に臨んだソンガイ氏は、イスラエルの治安部隊に30~55日拘束されていたと主張する複数人と面会したと説明。
 
「彼らは殴られ、辱められ、拷問に等しい扱いや虐待を受けたと語った。長時間目隠しされ、中には数日間ずっと目隠しされていたという人もいた」「ある男性は55日間の拘束期間中、1度しかシャワーを浴びさせてもらえなかったと話し、解放された時にはおむつしか身に着けていない状態だったという複数人の報告もある」と述べた。

 こうした証言は、パレスチナ人の大規模拘束についてOHCHRがこれまでに得た報告内容と一致しているという。報告によれば、多くの民間人が秘密裏に拘束されて虐待を受け、家族や弁護士に面会できず、法律による保護も十分に受けられていない。

 ソンガイ氏は拘束されているガザ住民の数について、正確な人数を挙げることはできないが、「数千人に上るとみられる」との見解を示した上で、イスラエルには、拘束者全員を国際人権法、国際人道法に基づく国際規範にのっとって扱う義務があると述べた。(c)AFP
 
 

軍高官、ハマス壊滅と人質解放は「矛盾」 イスラエル各地で反政府デモ

 
 
 【カイロ時事】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は20日、イスラエル軍高官4人が同紙に対し、イスラム組織ハマスの壊滅とパレスチナ自治区ガザに拘束されている人質解放という政府が掲げる軍事目標について、「矛盾している」と語ったと報じた。軍高官は、ハマスとの戦闘が長引くことで人質が犠牲になる可能性を指摘。ガザでの作戦の在り方を巡って、ネタニヤフ政権と軍部との間で溝が生じているもようだ。
 
 ネタニヤフ首相は、ハマスに対する軍事的圧力が、人質解放につながると繰り返し主張してきた。しかし、軍高官は、武力ではなく外交的手段によって解放が実現するとの見方を示した。
 
 また、ネタニヤフ氏がいまだ戦後構想を明確にしていない点についても言及。長期的な展望がなければ、短期的な措置としてガザの一部をどのように占拠するかについても決定できないと不満を漏らした。
 
 一方、イスラエルのメディアによると、エルサレムや商都テルアビブ、北部ハイファで20日、ネタニヤフ政権に対する抗議デモが行われた。テルアビブでは数千人が参加し、国会の解散と総選挙を求めた。
 
 ハイファでは、従軍しガザでの戦闘で負傷した男性が「兵士はきょうも戦い、負傷している。何が(戦闘の)目的かも知らずにだ。なぜなら、明確な目的がないからだ」と怒りを爆発させた。戦闘が100日以上続いても人質解放は進まず、ネタニヤフ氏はハマスの奇襲を許したことへの責任を明言しない。政権に対する国民の不満が膨らんでいる。