松本人志騒動に西川のりおが「初動ミス」と吉本を痛烈批判 常識的な指摘に「数少ないまともな人」の評価も

 
「報道があったとき、事実無根って言うたでしょう。無根ということはゼロということ。根がないということ」としたうえで、「どういう風に言えばよかったかいうのはね、『とりあえず調べてみます。本人にも事情を聞いてみます』と言うたうえで発表したらいいのに、何を思うたんか『事実無根です』と言い放ったのが、大きく波紋を投げて」と、吉本興業の対応を批判した。

 さらに「まず、ほんとに自分に何もなかったら、休業することない。やましくないんやったら、活動休止とかせんでええわけで。それが『ひょっとしたら迷惑かかるかもしれんし』って、なんでかな?って。やましくなかったら裁判に打ち込む必要もないのよ。なんぼスポンサー降りた言うても、自分がシロやったら続けたらええんですよ」と、松本の活動休止という決断に疑問を投げかけた。
 
 
 
 漫才師・西川のりおが、1月18日に放送された『ますだおかだ増田のラジオハンター』(ABCラジオ)にゲスト出演し、「裁判に注力するため」として活動休止を発表した吉本興業の後輩、松本人志について言及した。
 
 のりおはこの日、時事ネタや話題を取り上げるコーナーに出演。最近の気になるお笑いニュースとして松本の報道をあげ、「僕も吉本いて53年、たちますけど、会社の初動ミスでしょう」と指摘。

「報道があったとき、事実無根って言うたでしょう。無根ということはゼロということ。根がないということ」としたうえで、「どういう風に言えばよかったかいうのはね、『とりあえず調べてみます。本人にも事情を聞いてみます』と言うたうえで発表したらいいのに、何を思うたんか『事実無根です』と言い放ったのが、大きく波紋を投げて」と、吉本興業の対応を批判した。

 さらに「まず、ほんとに自分に何もなかったら、休業することない。やましくないんやったら、活動休止とかせんでええわけで。それが『ひょっとしたら迷惑かかるかもしれんし』って、なんでかな?って。やましくなかったら裁判に打ち込む必要もないのよ。なんぼスポンサー降りた言うても、自分がシロやったら続けたらええんですよ」と、松本の活動休止という決断に疑問を投げかけた。

 のりおのこの発言に対し、SNS上ではさまざまな意見が投稿された。

《これ以上でも以下でもない、忖度も何もないこれが市民感覚やと思います》

《至極常識的な指摘なんだけど、これが特別に見えてしまうくらいにこの問題周辺の空気は荒れているわけで、その事自体が事の性質を幾分かは物語っている気がするな》

《事実関係は別として、全くのシロなら休業せずにテレビに出続ければいいというのは、人間の弱さを無視した話だと思うなあ》

 吉本興業に所属する芸人が、松本の性加害疑惑報道における事務所側の対応について、公然と批判的なコメントをするのは、これが初めてのこと。その理由について、芸能ライターは次のように述べている。

「吉本興業が芸能界で現在の地位にあるのは、ダウンタウンの功績が理由のひとつです。その影響力は大きく、関西の先輩芸人たちにとっても批判は難しい。加えて、現社長は元マネージャーの岡本昭彦さんで、上層部で松本さんに意見できる人はほとんどいないと言われています。

 このような状況のなかで、のりおさんは若手芸人からも信頼が厚く、忖度なしに発言できる芸人として知られています。業界関係者からは、“吉本で数少ないまともな人”として評価されています」

 そんなのりおの人柄を象徴するエピソードがある。2009年10月3日に放送された『オールスター感謝祭』(TBS系)での出来事だ。

「島田紳助さんが、生放送中にもかかわらず、東京03にブチ切れた事件です。現場にはタレントがたくさんいたのに、激怒した紳助さんを止めようとする人はいませんでした。唯一、のりおさんだけが『やめろ!』と紳助さんを止めたのです」(テレビ局関係者)

 まだまだ長引きそうな、松本の性加害疑惑報道。のりおは今後も発信を続けるのだろうか。

 

西川のりお、松本人志騒動に箝口令「一切ない」としゃべり倒し 「カリスマというのも作ったものなんよ」

 
 漫才師の西川のりお(72)が18日、ABCラジオ『ますだおかだ増田のラジオハンター』(毎週木曜 正午)に出演し、活動休止を発表したダウンタウン・松本人志をめぐる騒動を語った。

 のりおイズム全開で、一連の騒動を前のめりにしゃべり倒した。週刊文春の報道を「事実無根」と否定した吉本興業に対し、「会社の初動ミスでしょう」と指摘。事実は分からないとしながら、これまでの文春砲を列挙し、「ほぼ空振りないんですよ」「かなり自信もってやってるなというのは分かってた」と私見を連ねた。

 アテンド役になったとされる、たむらけんじ、パンクブーブー・黒瀬純の名前も出し、大阪、福岡でそれぞれ松本が出演した番組の共通点にも言及。「松本人志が好きなのか、松本人志の番組が好きなのか、僕は後者やと思う」とし、「誰々にハマってる、気に入られてる」ことが仕事につながる、いわゆるファミリーについても言及。その上で「カリスマというのも作ったものなんよ」とズバリ。

 松本の活動休止については「本当に自分に(問題)なかったら休業することない」とし、「記者会見したらいい」とする向きに「全くその通り」と同調。「自分が全くシロであればきっちり言えるはずなんですよ」とし、「一般視聴者もファンの人もね、本人が出てきたら一番スッキリするん違うかな。その上で、『僕のことを名誉毀損した。裁判する』って記者会見で言えばいい」と説いた。

 パーソナリティーの増田英彦が、記者会見について「事務所がちょっと待ってくれとか、そういう話も聞く」と向けたが、「それは今ないと思いますよ、うちの会社」と推察。

 さらに、「ラジオとかテレビ出たらね、のりお師匠そんなん言わんといてくれと、週刊誌のインタビューとか答えんといてくれとか、一切、会社に今、言われてないですよ。だから今ここでこんなんしゃべってるんですよ」、「箝口令を敷かれたらね、今の世の中と反しますよ。要するに言論の自由ですから」と明言。

 そして「会社には所属してますけど、この件に関しては全くの第三者で、(松本と)付き合いもないので、どうなるのか見守ってますけどね」と自身の姿勢を表明。島田紳助さんの引退後にも触れつつ、「芸人の賞味期限ってあるんですよ。(裁判で)2年、3年経ったら世の中変わるんですよ」とも語った。
 
 

「一線は越えてます。誰や思っとんのや」 松本人志が妻とした“不倫話”で見える「たった1つ」の主張

 
 
『週刊文春』との法廷闘争を宣言している『ダウンタウン』松本人志の“たった1つの争点”が明らかになりつつある。

【その瞬間が…写真あり】松本人志が”ニヤリ”と車中から女の子を物色し「後輩芸人とナンパ姿」

昨年暮れに文春が報じた女性トラブル。同誌によると、松本は10年以上も前から後輩が“調達”した女性と飲み会を開催。なかには“性的関係”を伴うものもあったという。

’15年に都内ホテルで行われた飲み会に参加したAさんは文春誌上で性被害があったと主張し、ショックのあまりPTSDを患ったと主張している。

これに吉本興業は先月27日に

《記事は客観的事実に反する》

とした上で

《タレントの社会的評価を著しく低下させ、その名誉を毀損する》

などと声明を発表。松本本人もXで

《事実無根なので闘いまーす》

と文春に対する法的措置を宣言した。

この時、松本が使った「事実無根」というワードが臆測を招いた。一体どこからどこまでが事実無根なのか判然としなかったからだ。

松本は活動休止発表前に、お笑いコンビ『スピードワゴン』小沢一敬にAさんが宛てた“お礼LINE”を報じた『週刊女性』の記事を引用し

《とうとう出たね。。。》

と投稿。好戦的な姿勢とともに、飲み会自体はあったと解釈された。

また、小沢と同じく女性を集めたとされる後輩芸人のたむらけんじは、米国のラジオ番組で、過去に大阪で女性とパーティーを行ったことは認めた。

一方で、飲み会自体は「いわゆる合コン」のようなノリで、いかがわしいことは一切なかったと否定している。

そんななか、一部メディアが吉本興業の広報担当者の新たな見解を報道。松本は

《強制的に性行為をしたとは思っていない》

とした。このほか、女性が参加したパーティーや性行為については「回答を差し控える」としている。舞台裏を知る関係者の話。

「最初から松本さんは飲み会そのものも『事実無根』という話はしていなかった。世間がすべて“なかったこと”扱いしていることに驚いていたそうです。松本さんの主張は一貫していて『無理矢理は絶対にない』ということだけ。具体的な描写も周囲に説明しているそうです」(芸能プロ関係者)

ただ、裏を返せば「強制的に性行為をしたとは思っていない」のだから、性的な行為自体はあったと推察できる。時期や回数は不明だが、これを妻に対する「不貞行為」と解釈する人もいるだろう。

「松本さんも文春との裁判に臨むにあたり、無傷で済むとは思っていない。ただ、『強制的に行為に及んだ』とイメージがついたことには、妻や娘のためにも断固として否定していくだろう」(お笑い関係者)

松本は’17年9月放送『ワイドナショー』(フジテレビ系)で不倫の話題となり、こんなことを話していた。

「嫁がさ、急に『最近の雑誌の不倫の報道どうなの?』と言い出して……」

と振り返り

「もしあなたがそういう写真を撮られて、会見をすることになって、『一線は越えてません』とあなたが言ったら、正直ガッカリだわ。そんな松本人志は見たくないと言うたんですよ」

松本は“ちょっとホレ直しました”とした上で

「俺もテンション上がって、不倫をわーっと語ってもうて。俺、不倫はしてないでということを言うのを忘れてもうた。

だからこの先、そういう写真が出たら今のうちから言うときますけど、一線は越えてます。誰や思っとんのや」

と笑いながら予告していた。

「不倫については、極論を言えば奥さんとの話。一方の“性加害”は全くの別モノで、犯罪行為。松本さんはどんなに仕事がなくなろうが、その一点のために闘うそうです」(前出・お笑い関係者)

と明かす。もはや松本は芸能界復帰うんぬんよりも、汚名返上しか頭にないようだ……。

 

「NHK×性×松本人志って斬新でしょ!」とスタッフは自画自賛…NHKが“リスキー”な「松本人志」のキャスティングを決めた「知られざる裏側」

 
 
 
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週刊文春の報道をきっかけに芸能活動休止を発表したダウンタウン・松本人志氏を巡って、NHKでも火種がくすぶっています。それは去年10月に放送された特番「松本人志と世界LOVEジャーナル」。実は放送前からキャスティングを巡ってはNHK内でも批判がありました。NHKは今や吉本芸人の力無くして番組制作が成り立ちませんが、他のお笑いタレントにも“飛び火”が懸念されています。私個人のディレクターとしての経験と、現場からの声を元にNHKと吉本興業について改めて考えてみます。
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「松本人志と世界LOVEジャーナル」の舞台裏
 去年の10月17日に放送されたこの番組については、実は放送前から現場職員の一部で番組を不安視する声が上がっていました。松本人志氏と呂布カルマ氏の過去の言動に、女性蔑視的な要素が多く含まれていたからです。NHKの番組公式サイトには「思春期の娘の父親でもある松本さんと、多様な立場の出演者たちが、楽しくまじめに語り合います」とありますが、こんなコンセプトは世の中に受け入れられないだろう、というわけです。

 放送が近づき番組情報が公表されると、一部の職員の不安の声は現実のものとなります。放送中止を求める声がSNSで巻き起こり、署名運動にまで発展する異例の事態となったのです。

 私が聞く限り、NHK内部では「世間の圧力に負けるな!」というトーンだったとのことですが、放送後の炎上を警戒してか、できる限りリスキーな表現を和らげるため、放送直前まで何度も修正が重ねられたそうです。その努力が奏功してか、NHKが公開する「週刊みなさまの声」によれば、NHKに直接寄せられた意見の数は134件(出演者への意見・感想、再放送予定問い合わせ等)。反響が大きい番組の場合、500~1000件は寄せられるので、番組自体は無難に着地したと言えるでしょう。

 では、そもそもなぜ「松本人志と世界LOVEジャーナル」が制作されたのでしょうか? 
 去年はジャニーズ問題がNHKも巻き込んでハレーションする中、週刊誌各紙は吉本興業をはじめとする大手事務所のタレントのスキャンダルも追いかけていました。そんな状況下、特に松本人志氏はリスキーな人選だったのは間違いありません。
 
「NHKらしからぬ」を求め続けるNHK
 番組公式HPを見る限り、世界各国の公共放送が「性」に関するユニークな番組を制作する中、NHKもその流れに乗ろうとしたことが伺えます。「ユニークさ」へのこだわりは、制作体制にも表れています。

 私が取材する限り、主導したのは「新領域」と呼ばれる新番組を開発する部署。平たく言えば、「NHKらしからぬ番組」を作ることをミッションとする部署です。スタッフ情報を確認すると、性暴力を専門とする報道系のチームと、芸能番組や若者向けエンタメ番組に長けたベテランが協力して制作したことがわかりました。

 性暴力を取材するチームが敢えて松本氏のキャスティングをした背景には、NHK特有の奇妙な組織風土が関係しています。実は、NHKでは「NHKらしからぬ」ことが評価されるのです。

 反逆のカリスマでもあった松本氏はその意味では出演者に適任でした。2010年に「プロフェッショナル 松本人志スペシャル」を制作した経験のあるチーフ・プロデューサーが関わったことでキャスティングに成功。性暴力の取材に取り組んできたメンバーは、「NHK×性×松本人志って斬新でしょ!」と自画自賛していたとのことです。

 NHK的には、世界のコンクール出展やシリーズ化も目論んでいました。しかし、それは一連の報道で立ち消えに。恐らく再放送やネット配信も未来永劫無いでしょう。受信料で制作されたコンテンツがお蔵入りになるわけで、せめてもう少し安全なキャスティングをしていれば、と悔やまれます。

 
【松本人志問題】なぜNHKは「吉本興業なしでは成り立たない」状態になってしまったのか?元番組制作者が明かす「吉本芸人だのみ」になったワケ
 
NHKが吉本興業依存を強めた背景
NHKと吉本興業は、もともと「爆笑オンエアバトル」などのお笑い番組を通じた深い繋がりがありました。ただ、一般の番組にも吉本のタレントが数多く出演するようになったのは、私の記憶によれば2008年ごろからです。

当時、NHK内部を揺るがせる衝撃的な調査が発表されました。元々、「日本人は年をとればNHKを見る」と楽観論があったのですが、「10代でNHKに触れていない人は、年をとってもNHKを見ない」という調査結果が出てしまったのです。そこで、若者を取り込むためにジャニーズや吉本興業のタレントのキャスティングが急増しました。

私がいた近畿地方でも、それまでニュースを主体とする報道情報番組だった夕方5時台の枠が、「あほやねん!すきやねん!」という吉本興業所属の中山功太、ジャルジャルをメインMCに据えた10代向けバラエティ番組に変貌しました。高齢のロイヤルカスタマーを逃してしまい、視聴率は急減少しましたが、そこまでして10代を狙うNHKの姿勢に驚いたことをよく覚えています。

当時の私の上司が芸能番組の出身だったこともあってか、私自身も中継番組やスタジオ番組などで吉本の芸人さんに出演してもらう機会が急激に増えていきました。
 
NHKと吉本興業の関係、今後はどうなる?
色々と想定外のNGが多かったジャニーズと比べても、私個人としては、吉本興業は仕事をしやすかったという印象があります。芸人さんがお固いNHKのアナウンサーを適度に弄ってくれれば、予定調和感が減って場が盛り上がり、視聴率の下落も抑えられます。NHKっぽさを逸脱した「きわどい」テーマや演出に対応して貰いやすいことも、制作サイドとしては嬉しいポイントでした。

ある意味、窮地に追い込まれたNHKが吉本芸人にすがったことで、両者の結びつきが深まっていったとも言えるでしょう。

今や吉本興業無しではNHKの番組は成り立たなくなっています。ジャニーズ問題での対応に苦慮したトラウマから、今回の騒動がどこまで広がるかNHK上層部も戦々恐々としています。私がこの記事を書いている1月中旬時点ではまだ動きはありませんが、例年2月上旬に行われる新年度のキャスター(出演者)発表でNHKの判断が示されるはずです。

この先、NHKは事業規模を縮小していくことが2024年度からの経営計画案でも示されています。このあたりで、コストとリスクの2つの観点から、安易なタレント頼みの番組制作を見直すべきかもしれません。
 
 

NHK稲葉会長が明かした、松本人志「今後の起用」と「意外な評価」

 
キャスティングへの批判
 週刊文春で報じられた「ダウンタウン」松本人志の「性加害疑惑」騒動を受け、テレビ局やスポンサー企業が頭を抱えている。
 
 松本が所属する吉本興業は「当該事実は一切なく、今後、法的措置を検討していく予定です」と疑惑を全面否定。これに対し、週刊文春側も「一連の報道には十分に自信をもっており、現在も小誌には情報提供が多数寄せられています」との声明を発表し、一歩も引かない構えだ。

 報道の真偽は今後法廷で明らかになっていくと思われるが、双方の主張は平行線をたどっており、事実関係がはっきりしない中、テレビ局やスポンサー企業は対応を迫られている。

 「松本は個人とコンビで7本のレギュラー番組を持っていますが、裁判に注力するため活動休止を決めました。あくまで現時点での話ですが、各局とも松本不在のまま番組を継続する流れです」(スポーツ紙記者)

 一方で、松本は自身のXで「「無実無根なので闘いまーす。それも含めてワイドナショー出まーす」と投稿していたが、『ワイドナショー』を放送するフジテレビは、上層部の判断により出演の取りやめを決めた。

 スポンサー企業の対応を見ると、アサヒビールやサントリー、アコムなどが、松本が出演した番組内での社名表示を取りやめた。

 こうした厳しい対応をとる企業が出てきた中、昨年10月17日に『松本人志と世界LOVEジャーナル』を放送したNHKに対し、「性教育番組に出演させていたNHK側の良識とは?」などとキャスティングを疑問視する声が出ている。

公共放送トップの見解
 同番組は、世界のさまざまな「性」の話題や悩みについて、「思春期の娘の父親でもある」松本ら出演者が、楽しくまじめに語り合うことをコンセプトにした内容であった。

 昨年、この番組の放送が明らかになると「松本は女性軽視ともとれる発言を度々していた。そんな人物を性教育番組のMCに起用するのはいかがなものか」という意見が続出し、放送中止を求める署名が集まる事態にも発展した。

 故ジャニー喜多川氏の性加害問題以降、テレビ局やスポンサー企業は、人権に関わる問題が起きたときにどう対応するかが問われている。

 NHKのトップとして、世間の声をどう受け止めているのか、また今回の問題をどう考えているのか。1月半ばの週末の朝、自宅前で稲葉延雄会長に話を聞いた。

 ――「ダウンタウン」松本さんの性加害疑惑が社会問題になっています。昨年から世の中の意識が変わっている中、こうした問題が起きたとき、テレビ局、スポンサー企業はどう対応すべきなのか。民放とは若干、立場が違いますが、NHKとしてどのように考えていますか。

 NHKが番組を作るとき、タレントを選ぶ際にそういう問題は大事な要素だと考えていますし、そういうことがいろいろ報じられている中では、事実が正しいかどうか報道機関としてもフォローしていく必要があります。

 ――社名提供をやめたスポンサー企業もあります。これについてはどう考えますか。

 (NHKの場合)それは考える要素には入っていません。ただし、タレントを起用して番組を作る場合、人権を深く尊重する社会にとって、それはよろしくない。
 
評価に値するタレントなのか
 ――現段階では事実かどうか断定できません。しかし、いまは報じられた段階で、判断せざるを得ないということですか。

 その方に関して、そういう情報がまったくないときに契約するのとは違います。いまみたいに、何か言われているときは、もう少し慎重に考えるべき。

 ――週刊誌の報道については、さまざまな意見がありますが、週刊誌だろうが新聞だろうがテレビだろうが関係ないという考えですか。

 週刊誌であろうが同じです。日本のメディアが検証しているのは、社会にとっていいことだと思います。

 ――今回の報道について、会長ご自身はどんな感想をお持ちですか。松本さんは現在のテレビ業界を象徴するひとりだと思いますが。

 なかなかコメントしにくいですね。でも、何ていうかな。松本さんというのが、本当にタレントとして評価に値する、そういうタレントだったのかなという感じが個人的にはします。

 ――出演番組をご覧になったことはありますか。

 もちろんです。評価が高いタレントさんであっても、どうしてそれほど評価が高いのかなと思ったりもしますので。そういうことも含めて、彼を起用していくのか、改めて協会内みんなで考えたほうがいいと思います。

 ――NHKでは昨年の秋に「性」をテーマにした番組がありました。あのときは「なぜ起用したのか」という声が出ました。今回の報道を受け、「NHKの判断は正しかったのか」という声が再燃している状況については、どう考えていますか。

 NHKの番組をチェックする、外部の方による中央放送番組審議会という組織があり、放送前から「そういう取り上げ方はいかがなものか」という意見もありました。

 NHKとしても問題意識を持っていました。しかし、彼ではよろしくないというエビデンスもなかったので。当時の判断としては間違ってなかったとは思いますが、いまになってみると、いろいろ考えることが多いですね。
 
人権ありきで判断すべき
 ――昨年は、ジャニーズ事務所の問題に続き、宝塚や歌舞伎でも問題が出ました。放送局としてエンタテインメントを扱うのは難しいですか。

 難しいですが、人間として考えるべきことは考えなきゃいけないと言われているようなものですからね。

 ――大前提としてあるのは人権ですか。

 エンタテインメントであろうが、何だろうが、そこの部分を揺るがすことはできません。

 ――松本さんがフジテレビの番組に出ると宣言されていたのはご存じですか。タレントさんがそうした宣言をすることについて驚きがありました。

 そういう発言というのは、あまり適切じゃないですよね。そういうことを言える立場ではない。

 ――所属事務所、テレビ局のガバナンスについて、「適切だったのか」という意見もあります。

 その背後に何があろうと、契約関係がどうなっているかっていうことに帰着すると思います。

 ・・・・・

 故ジャニー喜多川氏の性加害問題においては、長年見て見ぬふりをしてきた姿勢が批判されたNHK。しかし、「スピードワゴン」小沢一敬が松本のために女性を集めるなどしたと報じられると、小沢が出演する予定だった番組の放送を即座に取りやめるなど、今回の騒動では対応が早かった。こうした迅速な対応の背景には、さまざまな反省があるようだ。

 大御所タレントの性加害疑惑をめぐる騒動はいまだ収まる気配がない。今後の各社の対応にも注目したい。

 さらに関連記事『松本人志「性加害」問題…吉本興業「元会長」の大﨑洋氏が「語ったこと」』では、一連の騒動について、ダウンタウンの「育ての親」が率直な思いを吐露しています。

週刊現代(講談社)

 

松本人志が“異常な権力”を築くに至った背景。島田紳助引退と「巨大化願望」

 
 
週刊文春(昨年12月27日発売号)にて性加害疑惑報道がなされ、記事への対応ならびに裁判に注力するため休業宣言をしたダウンタウンの松本人志。
 
 週刊誌ではその後、第二、第三の告発が報道されるなど、日々刻々と状況が変化している本件。ともに報道で名前の挙がったスピードワゴンの小沢一敬も活動自粛を発表しました。

 今回の騒動について、映画やドラマなどのエンタメ解説で人気の東京大学法学部卒業の芸人・大島育宙さん(XXCLUB)が自身のYouTubeチャンネルで持論を展開。その考察に注目が集まっています。(以下、大島さんの許可を得て大島育宙【エンタメ解説・映画ドラマ考察】で公開の動画『松本人志さんは〇〇の被害者です【切り抜き禁止】』から構成しています)

松本人志の「巨大化願望」説
 松本人志さんについて僕は元々結構自分なりの説を持っていまして、それは「巨大化願望があるのじゃないか」という“陰謀論・都市伝説”なんです。

 松本さんが筋トレを始めたのが38~39歳ぐらいだと言われており、そこからどんどんマッチョになって40代前半には「ムキムキだ」といういじり方をされ始めていたと思うんですよね。

 松本さんが初めて監督を務めた映画『大日本人』(2007年公開)は、フェイクドキュメンタリーコメディという感じなんですけど、松本さん自身が扮する大佐藤大という、ヒーローが電流で巨大化して怪獣と戦う話です。

 で、この映画は構想5年と当時触れ込まれていたので、39歳ぐらいから構想していたことになるんですよね。44歳になる年に公開だったので、筋トレを始めたタイミングと『大日本人』を構想し始めたタイミングと同じなんです。自分の体をデカくしたいという巨大化願望が、まさに『大日本人』になってますよね。

 どんどん胸筋が発達してマッチョになって、体がどんどんでかくなっているということは、これはあながち冗談でもなくて、自身の巨大化に気づいていないということでもあると思うんですよね。
 
本人志の権力性を検討する機会
 これは、ただの松本人志ウォッチャーとして長年温めてきた論を、今この松本さんに注目が集まってるタイミングでみんな聞いてよ、という形なんです。

 現在、多くのYouTube動画で公開されている、松本さんが性加害をやっていた前提で話している論は、基本的にまずいと思っています。それよりは、松本人志という人物、そして現象の権力性というものを検討するタイミングに来ているということだと思うんですよね

 松本人志さんの最近の話だけじゃなくて、いかにして今の権力を築くに至ったのかという歴史を話さなければいけないというのは、本気で思っていることなんです。

島田紳助の引退で増した松本人志の需要
 松本さんが、1人のプレイヤーや、最先端でお笑いを開拓する開拓戦士というポジションじゃなくて、ゲームを俯瞰する王様になり始めた時期というのが、2011年の島田紳助さんの引退の本当に直前なんですよね。

 2009年に始まった『IPPONグランプリ』は企画自体松本さんが長年やってきた大喜利の形式だし、松本さんがプレイヤーではなくてチェアマンという形式で座ってますよね。『人志松本のすべらない話』(フジテレビ)もそのちょっと前(2004年)から始まってますけど、あれも企画は松本さんだし、松本さんがゲームマスターのパーティーにみんなを招待したというポジションで座っています。

 島田紳助さんはゲームメーカーをやっていた人なんですけど、だんだん『ヘキサゴン』(フジテレビ)や『深イイ話』(日本テレビ)など、お涙ちょうだいという“素敵やんモード”に突入していって、ビジネスの人としてどんどん評価されていくようになりました。結果的に不祥事で退場したので、松本さんがお笑いのゲームメーカーとしてのポジションっていうのは2つの意味で空いていたんですよね。

 紳助さんが“素敵やんモード”に突入してだんだんお笑いじゃなくなると同時に、物理的にもいなくなってしまったんで、2つの意味でスポーンと空いたところでの松本さんの活動のしやすさは非常にあったと思います。

プレイヤー兼ゲームメイカーとして唯一無二の存在に
 そうして、松本さんに働いてほしい場所がたくさんできていたところから、松本さんが完全に独占状態になっていったという歴史があるわけです。

 2009年に『IPPONグランプリ』がスタート。島田紳助さんが作った『M-1グランプリ』がいったん2010年に終了して、2015年に復活したわけですけど、そこで実質審査委員長的なポジションを務めているということは、松本人志さんが言ったことが若手芸人にとってのすべてになるという空間ができ始めたということです。

『キングオブコント』の審査員も2015年以降ずっとやっていくことになるわけですから、コントにせよ漫才にせよ、松本人志の脳を通らないと世に出られないという状況が、若手芸人の中では当たり前になっている。それ以降に芸人を目指した人にとっては、それはもう疑いようのないルールというか、法律みたいになっているということですよね。

『ドキュメンタル』で企画者として世界へ
 2016年からはAmazonプライムで『ドキュメンタル』が始まりますね。“笑ってはいけない”というルールの中で事故的に発生した笑いを評価する。

 日本の内輪ノリのカルチャーでしょ、と思われていたけど、まんまと海外に輸出されていて、世界でリメイクされていますから、これはゲームメイカーとしての松本人志の才能っていうのが、映画監督としての評価では超えられなかった国境を超えているっていうことです。

話芸のプレイヤーとしてもバキバキに成果を
 近年は、プレイヤーとしてちょっと身を引きつつ、みんなを統括する担任の先生とか校長先生みたいなポジションになりながらも、それでもなお才能をバキバキに開花させて結果を出しているのが松本人志のすごいところなんです。他の人ではできない唯一無二のポジションを確かに担っているんですよね。

 例えば『ダウンタウンDX』(日本テレビ)などで、バラエティに慣れてない人が心もとないトークをした後に、最後の最後に「いや、でもそれ、君さっきから●●やね」と、その番組の序盤に出てきたことを伏線回収して落としたり。圧倒的な名人芸は本当に衰えていないし、年々切れ味を増してるような気さえするところもあります。

 自分のことを俯瞰的にいじれるようになったっていう部分も含めて、手数も増えてる感じもするんですよね。
 
権力・権威がめちゃくちゃ強くなっている
 そういうところで、バキバキに「話芸の人」としての手数も増えている。そして企画者としてゲームメイカーとしての結果もどんどん出しているっていう意味で成長してる人間ではあるんですけれど、同時に権力がめちゃめちゃ強くなってるんですよね。

 売れっ子で冠番組持ってるというタレントの立場から、松本さんがいないとまず企画ができない、という状況になっていった。企画を思いついたとしても松本さんの名前がないと人が集まらないっていうところも含めて、いないと成立しない番組とか企画が結構いっぱいあると。

 だからといって、“今回の件で松本さんが退場することはお笑い界の損失だから、退場させてはいけない”という安直な論説がX(旧Twitter)で見られるし、それとこれとはまったく別の話で僕は意味わかんないなと思うんですけど、そのぐらい権力がめちゃくちゃ増してきた歴史を語らないと、今回の件を語ることはできないと思います。

<文/大島育宙 構成/るしやま>

【大島育宙】
1992年生。東京大学法学部卒業。テレビ、ラジオ、YouTube、Podcastでエンタメ時評を展開する。2017年、お笑いコンビ「XXCLUB(チョメチョメクラブ)」でデビュー。文化放送「おいでよ!クリエイティ部」、フジテレビ「週刊フジテレビ批評」にコメンテーターとしてレギュラー出演中。Eテレ「太田光のつぶやき英語」では毎週映画監督などへの英語インタビューを担当。「5時に夢中!」「バラいろダンディ」他にコメンテーターとして不定期出演。

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「いつ、何を言われるか」松本人志の性加害報道で芸人たちが恐れる「過去の性スキャンダル」告発の連鎖

 
’11年に福岡を訪れた松本と宮迫博之のためにカラオケ店に集められた美女たち(’11年2月18日号)
 
ダウンタウン・松本人志(60)の性加害疑惑報道が止まらない。1月18日発売の『週刊文春』では、6、7人目の告発女性が登場。芸人たちの世界に波紋を広げている。

というのも、お笑い界では以前から「女遊びは芸の肥やし」といった考えがあり、本命の彼女以外に性的関係の女性を作る芸人もいた。彼らからしてみれば、過去のそういった関係にあった相手から「いつ」「何を」訴えられるかわからないというのだ。

「お笑い芸人はとにかくモテます。少しでもルックスが良ければ、駆け出しで劇場公演を中心に活動しているころから、追っかけのような熱心なファンが複数つきます。そして彼らは、こうしたファン女性らの一部と性的関係を結び、恋愛には発展させない状態を続ける人もいました。芸人の間ではこうした相手のことを『カキタレ』という隠語で呼び、セックス目的だけの関係の女性を指す仲間内のワードとして多用してきました」(スポーツ紙記者)

「カキタレ」とは、性行為をさす「かく」と、女性を意味する「タレ」という言葉を合わせた隠語とされ、いつしか芸能界、特に男性芸人たちの間で〝裏用語〟的に横行するようになったと言われている。いわゆる「セックスフレンド」に似ているが、自身に対する女性のファン感情に付け込み、性行為だけの関係を持つ例が多いとされる。かつて複数の吉本興業所属芸人と性的関係を結んだことがあるという、飲食店勤務の30代女性が明かす。

「現在テレビにしばしば出ている中堅芸人2人と、性的な関係を続けたことがあります。いずれも劇場公演に足を運んで〝出待ち〟を繰り返して顔を覚えられ、そのうちに飲みに誘われてその日にホテルに行くという流れで肉体関係になりました。時々メールで『今日あいてる?』と呼び出され、性行為をするだけの間柄で、当時は『これがカキタレか』と自分で思いましたね。

ほかの多くの芸人にも大体カキタレはいましたよ。私の場合、2人ともその後結婚してしまい、切られるかのように連絡が途絶えました。本気で芸人のことを好きになったカキタレの中には、私のように切られた後、芸人に対して恨みのような感情を持つ人も結構いるかもしれませんね」

性加害疑惑を報じられた松本が所属する吉本興業は、最初に報道が出た12月27日にこれを否定して法的措置の検討を表明。松本も今月8日、この件に関する裁判に注力するとして活動自粛に入った。松本に女性をアテンドしたと報じられたお笑いコンビ『スピードワゴン』の小沢一敬(50)も、当初は所属事務所が疑惑を強く否定して活動を続けるとしていたが、13日になって活動休止を発表。『週刊文春』の続報では別の後輩らの名も挙がり、影響はほかの芸人にまで拡大している。

こうした状況をうけ、お笑い界では、すっかり忘れ去っていた自分たちの過去の〝性的スキャンダル〟について、いつ、何を「告発」されるか分からないと戦々恐々とするムードが高まっているという。

「コンプライアンス意識が低かった以前には、テレビやラジオ番組で、平然と『カキタレ』という言葉を使ってネタにしていた人気芸人が何人もいました。モテて遊んでいた芸人ほど、女性をぞんざいに扱ったり、捨てるように関係を断つなどして、知らないうちに怨恨感情を持たれているケースはあると思われます。
 
相手の素性を詳しく覚えていない例も多いとみられ、今回の松本人志をめぐる文春報道を機に、芸人の間では『俺もいつ、過去のカキタレたちから週刊誌に告発されるか分からない』と、ビクビクとささやき合う声がよく聞かれますよ」(芸能プロ関係者)

風俗遊びをネタとして公言している芸人も多いが、過去には人気芸人がそうした店に勤務する女性から、後で訴えられるトラブルが起きたこともあった。

「10年以上前の話ですが、風俗嬢が人気芸人から性加害に遭ったなどと主張して刑事告訴、告訴状をネットに上げるという騒動がありました。

芸人側は逆に名誉棄損罪で女性を告訴し、女性のほうが名誉棄損容疑で逮捕されましたが、有名な芸人であればあるほど、さまざまな女性との〝密室〟での関係をめぐり、どんな告発をされるか分からないという側面を抱え続けていることになります。その点では多くの芸人に〝身に覚え〟がある話なのかもしれません」(ワイドショーデスク)

すねに傷をいくつも持つ芸人は、しばらく自分の「過去」と向き合う日が続きそうだ。