丸川珠代・元五輪相「中抜き700万円」にネットから「愚か者めが!」特大ブーメラン!…安倍派幹部不起訴に”喪が明けた”と動き出す政治家

 
 一部には検察審査会による解明に期待を寄せる声もあるが、正式な裁判が行われなければ国民が事実を知ることは困難だ。なぜ裏金が必要だったのか。「プール」していたお金は脱税にはならないのか。国民の解せない点は、次の衆院解散・総選挙で国民の怒りを発しりと示そう。
 
 
 
 自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部はパーティー券収入の一部を派閥からキックバック(還流)されていた現職議員1人を逮捕する一方、大半の議員は「不問」にするとの方針が報じられている。浮かび上がるのは政治家という「上級国民」と庶民感覚のズレだ。政界事情に通じる経済アナリストの佐藤健太氏は「立件の有無に関係なく、国民には解せない点がたくさん残っている。疑惑議員は全員、記者会見で説明責任を果たすべきだ」と指摘する。

派閥側は事務職員のみが立件されるというのでは「法の欠陥」
 1月16日付の読売新聞は「安倍派幹部7人不起訴へ 会計責任者との共謀認定できず 4000万円超不記載の3議員は立件方針」と報じた。これまで特捜部は、自民党最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)の幹部から複数回にわたって任意聴取してきたが、立件する方針を固めた会計責任者との「共謀」を認定する証拠は固められなかったという。

 報道の通りならば、政治資金規正法違反容疑で告発された安倍派幹部の塩谷立元文部科学相▽松野博一前官房長官▽西村康稔前経済産業相▽高木毅前国会対策委員長▽萩生田光一前政調会長▽世耕弘成前参院幹事長▽下村博文元文科相―の7人は不起訴になるのだろう。

 一方で、派閥から4000万円超のキックバックを受けたとされる池田佳隆衆院議員は政治資金規正法違反容疑で逮捕され、大野泰正参院議員や谷川弥一衆院議員、会計責任者は立件する方針という。派閥で決めたルールに基づきキックバックを受けていたにもかかわらず、派閥側は事務職員のみが立件されるというのでは「法の欠陥」でしかない。

田崎史郎「数十万円でも摘発していったら安倍派の議員はほとんど関わってきてしまう」
 不起訴になると伝えられる幹部7人は、派閥会長がルールを決めていたとの趣旨を証言しているとされる。だが、「安倍派セブン」も派閥からキックバックを受けていたと報じられており、問題がなかったわけではない。特捜部は不記載額が「4000万円」に満たない議員の立件は見送るというが、同じようなことを一般国民がすれば「1000万円」でも厳しく処罰されるのではないか。上級国民と庶民を区別する理由が解せない。

 政治評論家として著名な田崎史郎氏は昨年末のテレビ朝日「モーニングショー」で、「金額で線を引くのはおかしいんですが、数十万円でも摘発していったら安倍派の議員はほとんど関わってきてしまうでしょう」と解説している。では、なぜ政治家は許されて庶民は処罰されるのか。特捜部は国民が納得できる理由を説明できるのだろうか。

 東京地検は全国からエース級の検事を集め、100人体制で捜査にあたってきたといわれる。昨年12月19日に安倍派と「志帥会」(二階派)の関係先を強制捜査し、年末には高額のキックバックを受けていた議員の事務所などを3日連続で家宅捜索した。
 
 
直近5年間で少なくとも約8000万円に上る
 しかし、所属議員に「渡していた側」である派閥の処罰対象が会計責任者にとどまるならば、それだけ大がかりの体制が本当に必要だったのかと言いたくもなる。政治資金規正法違反で派閥幹部を立件するには、最初から「共謀」の証拠を固める必要があることは分かっていたからだ。

 さらに解せないのは、派閥からのキックバックではなく、「中抜き」していた議員の扱いだ。元日の朝日新聞によれば、所属議員がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた収入を派閥に納めずに手元で裏金にした疑いがある総額が、直近5年間で少なくとも約8000万円に上ることが取材でわかったという。TBSも1月12日、こうした「中抜き」は安倍派の事務総長経験者である下村氏が約500万円、丸川珠代元五輪相も約700万円あることが分かったと報じている。

 この「中抜き」がなぜ解せないのかと言えば、キックバックは派閥から「渡される」のに対して、派閥に納めず手元に残す「中抜き」はそこに意志が存在すると思われるからだ。丸川氏を巡ってはX(旧ツイッター)では「丸川珠代! お前もか! この、愚か者めが!」などといった厳しい意見もみられた。安倍派の実態を“告白”していた同派の宮澤博行衆院議員は1月14日、静岡県での党会合で2022年までの3年間に132万円の不記載があり、そのうち114万円は派閥に納めず手元に残していたと説明した。

「慣習というか、流れの中でノルマ分は納めなければいけないという中でずっときて…」
 その理由については「慣習というか、流れの中でノルマ分は納めなければいけないという中でずっときて、ノルマオーバーした時にノルマ分だけ納めれば良いという慣習の中でやってしまったことと認識している」としている。

 宮澤氏は「中抜き」も派閥の指示だったと説明しているが、その通りであったとしてもノルマ超過分の「中抜き」は派閥を通していない分、悪質のように映る。企業・団体からのお金が議員側に国民がわからない形で入っていたとなれば、政治資金規正法の趣旨に反するのは明らかだからだ。

 仮に、庶民の収入の「裏金」が発覚すれば、加算税や延滞税といった厳しい追徴課税が待っている。派閥からのキックバックや「中抜き」をしていた議員は、立件されるか否かではなく、それらのお金を一体何に使っていたのか国民に説明する責任があるだろう。非課税のお金を得ながら「裏金化」しても責任を問われない、「でも庶民はマネしちゃダメよ」というのでは納得できないのは当然だ。
 

丸川元五輪相はJNNの取材に回答を拒む
 そもそも今回の裏金疑惑が浮上して以降、誰が国民への説明責任を果たしただろうか。宮澤氏はたびたびメディアに登場しているが、松野前官房長官は「差し控える」を連発。「中抜き」が報じられた丸川元五輪相はJNNの取材に回答を拒む模様が放送されていた。安倍派幹部の多くは動向すら一般国民に分からないままだ。日頃、政治家を追いかけているマスコミの記者たちは何をしているのか。

 少なくとも野党時代、厳しく民主党政権を批判していた自民党議員の姿はそこにはない。選挙の時だけ低姿勢で票をお願いしながら、いざとなったら“雲隠れ”している議員は1日でも早く記者会見を開いて、有権者に説明する義務があるだろう。

 安倍派でキックバックを受けていた議員の中には「立件されれば議員は辞める」と話す人もいる。だが、不起訴になったからといって政治資金収支報告書への不記載が容認されるわけでは決してない。立件か否かにかかわらず、不記載が事実であれば自分から辞職する議員がいないのが不思議なくらいだ。

99人に上る最大派閥は「喪が明けた」とばかりに
 やがて東京地検特捜部の捜査が幕を閉じ、不起訴処分となった際には「安倍派セブン」は派閥中枢に居座り続けるのか。所属議員が99人に上る最大派閥は「喪が明けた」とばかりに、岸田文雄首相(自民党総裁)が再選を目指す今年の党総裁選で大きな影響力を発揮するだろう。将来の宰相候補としては萩生田氏や西村氏らの名もあがる。

 一部には検察審査会による解明に期待を寄せる声もあるが、正式な裁判が行われなければ国民が事実を知ることは困難だ。なぜ裏金が必要だったのか。「プール」していたお金は脱税にはならないのか。国民の解せない点は、次の衆院解散・総選挙とともに霧消しそうな気配である。

佐藤健太

 

 

主張
自民派閥裏金事件
中枢政治家の責任逃れ許すな

 

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、東京地検特捜部は政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で安倍派と二階派の会計責任者を在宅起訴し、岸田派の元会計責任者を略式起訴しました。一方、安倍派の歴代事務総長を含む中枢幹部7人の立件は見送りました。パーティー収入での裏金づくりは派閥ぐるみの疑いが深まっています。派閥を取り仕切ってきた有力政治家の責任を不問に付すことはできません。岸田文雄首相は「岸田派解散」方針を持ち出しましたが、事件の全容を国民に説明していません。疑惑隠ぺいを許さず徹底追及が不可欠です。

億単位の裏金を組織的に
 安倍派では、時効にかからない2018~22年の5年間でパーティーに関する収入約6億7500万円が政治資金収支報告書に記載されていなかったとされます。同派の議員側では還流分約5000万円が未記載だった大野泰正参院議員と秘書が在宅起訴され、4000万円超が未記載の谷川弥一衆院議員と秘書は略式起訴となりました。安倍派の大半の議員は還流を受けているとされ、池田佳隆衆院議員は逮捕されています。

 しかし、同派の塩谷立座長、高木毅事務総長、下村博文元文科相、松野博一前官房長官、西村康稔前経済産業相の事務総長経験者、世耕弘成前参院幹事長、萩生田光一前政調会長については起訴されませんでした。裏金の経過や目的を知る立場であり、自身も裏金を手にしていただけに、検察の結論に国民は納得できません。システムとして違法行為をしていた政治家の責任こそ厳しく追及されなくてはなりません。

 安倍派では還流の仕組みは20年前に存在していたとされます。法律をかいくぐる脱法手法を誰が考え、慣習化したのかにメスを入れなければ再発防止はできません。

 二階派でも5年間で収入約2億6400万円が不記載でした。

 岸田派は18年から3年間のパーティー収入約3000万円が記載されていませんでした。麻生派や茂木派でもパーティー収入を巡る不記載は指摘されており、各派閥の問題ではなく、自民党内でまん延していた実態を浮き彫りにしています。岸田首相は岸田派の法律違反について「事務的ミス」と繰り返すだけで、構造的な問題を明らかにする姿勢がありません。

 政治資金規正法は、政党や政治家の政治活動を国民の不断の監視と批判の下に置くため、政治資金収支報告書の提出を義務付けています。同法を踏みにじり、不記載や虚偽の記載を続けてきたことは、国民を裏切り、民主政治の根幹を揺るがす犯罪です。絶対に曖昧にできません。

金権腐敗の根を断とう
 自民党内では岸田首相をはじめ有力幹部が「派閥の解散」を言い出しているのは、重大なすり替えです。真っ先に行うべきは、なぜ違法行為がまかり通り、温存されたかの徹底的な調査と真摯(しんし)な反省です。国会で全てを明らかにした上で、パーティー券を含めた企業・団体献金の全面禁止を決断すべきです。時事通信の世論調査(12~15日実施)では、自民党の支持率は14・6%で過去最低水準です。国民の怒りと不信は自民党政治そのものに対してです。金権腐敗の根を断つ世論を広げ政治を変えましょう。

 

 

【激震】「もう支えられない」反発も…派閥解散表明で岸田首相“存続派”麻生副総裁と会談 「守旧派と見られても困る」声も

 
 
今回の事件で、一斉に刑事処分が下されたことに加え、岸田首相が「岸田派」の解散を表明したことを受け、自民党内には激震が走っている。

自民党本部から、フジテレビ政治部・阿部桃子記者が中継で最新情報をお伝えする。

岸田首相は今まさに、扉の向こうの総裁室で麻生派トップの麻生副総裁と会談し、岸田派解散の決断について説明していて、多くの報道陣も詰めかけ注目が集まっている。

岸田首相は19日午後、党本部に到着した。
そこに麻生氏が入って会談が始まり、このあとには、茂木派トップの茂木幹事長とも会談する。

岸田首相は、岸田派解散について、周辺に「いちかばちかでやった」と話していて、これまで政権運営の重要局面では、必ず相談してきたこの2人に根回しせずに表明した。

岸田首相は、この会談の中で「これはあくまで岸田派の判断です」などと説明しているとみられるが、率先して岸田首相が解散を決断したことで、存続を主張する麻生派、茂木派に圧力がかかっている形。

派閥の幹部からは、「こんなことをするのであれば、もう支えられない」と猛反発がある一方で、「守旧派と見られても困る」といった声もあり、難しい対応が迫られている。

── 岸田派と同じく立件された安倍派と二階派の動きは?

二階派は、午後3時から派閥の事務所で緊急総会を開いている。

二階派の幹部は、「よその動きには左右されない」と話していたが、「岸田派が解散するなら二階派も解散も避けられないだろう」との見方が広がっている。

一方、安倍派は、すでに解散に向けた大きな動きが出ている。

若手議員らが会合を開き、塩谷座長に対し「安倍派の解散」と、5人衆と呼ばれる幹部らの処分を求める提言を申し入れた。

安倍派・福田達夫元総務会長「責任をしっかりとるのは世間の常識だ」

このあと開かれる議員総会でも、解散が議論となる見通しで、判断が注目される。

── 仮にすべての派閥が解散となると、日本の政治はどう変わっていくのか?

例えば、これまで派閥が行ってきた大臣ポストの推薦人事などの機能がなくなるため、党内からは「混乱が生じるだろう」と不安の声も聞かれる。

ただ、「世界的な標準で見れば派閥政治をやっているのは日本だけ」、「党本部に人事局をつくればいいだけの話だ」との指摘もあり、ある若手議員は「組織が大きく変われば、これまでの古いしがらみ人事はなくなる」と話している。